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新型「プレリュード」発表会 「新たな電動化戦略の『前奏曲=プレリュード』になる1台」

「一般モデル」と「オンライン販売モデル(初年度限定)」を設定

2025年9月4日 実施
新型プレリュード発表会。左から本田技研工業株式会社 四輪開発本部 完成車開発統括部 新型プレリュード開発責任者 山上智行氏、執行職 統合地域本部 日本統括部長 川坂英生氏、取締役 執行役員専務 四輪事業本部長 井上勝史氏

歴代ホンダ車の中で〝名車”といわれる1台になる

 本田技研工業は9月4日、新型「PRELUDE(プレリュード)」の発表会を都内で実施した。

 本田技研工業 取締役 執行役員専務 四輪事業本部長の井上勝史氏は冒頭、5月に実施した「2025ビジネスアップデート」にて四輪事業におけるハイブリッド戦略のさらなる強化を発表したことに触れ、ハイブリッド車をBEV(バッテリ電気自動車)普及までの過渡期における中心的な役割を担う商品群として、2030年の販売台数目標を220万台へと引き上げたと説明。

ホンダの四輪電動化戦略について

 また、その中核を担うのが、次世代ADASを中心とする知能化進化に加え、ハイブリッドシステムとプラットフォームを全方位で進化させ、2027年からグローバル展開する次世代ハイブリッドモデルの商品群と紹介。日本市場には2027年から投入する予定とのことで、期待してほしいと語った。

ホンダの次世代ハイブリッドモデル「ゼロシリーズ」の構想

 新型プレリュードについては、スペシャリティスポーツハイブリッドとして、新たな電動化戦略の「前奏曲=プレリュード」になる1台であると言及。さらに、「ホンダはハイブリッド車は、単に環境性能や経済性に優れたファミリーカーに留まるものではなく、動力性能を高め、ハイブリッド車ならではのFUN(ファン)とは何かを突き詰めることで、電動化時代に〝操る喜び”を継承する存在でなければならないと考えています。そして、プレリュードはわれわれが、最も表現したかったハイブリッド車としてのFUNを実現できた」と仕上がりに自信をのぞかせた。

本田技研工業株式会社 取締役 執行役員専務 四輪事業本部長 井上勝史氏。「プライベートで乗ろうと思っていて、今は赤色にしようかなと考えている」と購入予定を明かした

 続けて、新型プレリュードはグローバルな四輪事業戦略上で非常に大きな役割を担うモデルであるとし、「プレリュードは1978年に初代を投入して以降、ホンダの走りを突き詰めるために数々の先端技術を搭載し、常に尖った価値を提供してきたモデルです。新型プレリュードも、次世代ハイブリッド車に採用予定の「Honda S+シフト」など、新技術を先駆けて搭載するなど、ホンダが培ってきたダイナミックス技術と次世代の技術を統合させることで、この時代にホンダが提供したい電動車の価値を実現できました」と説明。

 自身も開発途中から鷹栖テストコースで何度も運転したといい、「スタビリティがすごい。エンジンが軽快で、どこを走っても気持ちのいいクルマになっている。サウンドのチューニングもうまくできていて、シビックTYPE Rとはまた別な種類の、本当に運転を楽しめるクルマに仕上がっています。シビックTYPE Rの圧倒的な動力性能というよりは、高次元でバランスされた走りが具現化できている。歴代ホンダ車の中で〝名車”といわれる1台になると確信している」と新型プレリュードに対する思いを述べた。

 なお、新型プレリュードは日本での発表を皮切りに、2025年末に北米へ、2026年前半には欧州へ投入と、世界展開も積極的に行なうとしている。

歴代プレリュード。1978年の初代~2001年の5代目までで、累計48万7520台を販売してきた

本質的な価値観を持ったユーザーの期待に応えるモデル

 続いて、今年の7月から日本統括部長として国内四輪事業の責任者に就任したという執行職 統合地域本部 日本統括部長 川坂英生氏が登壇。川坂氏は、国内商品企画や販売会社経営など幅広く営業領域に関わったうえ、直近では中国で事業統括部長として現地ビジネスを推進、タイでは現地法人の社長として法人ビジネスの体質強化に取り組んできたという人物。

本田技研工業株式会社 執行職 統合地域本部 日本統括部長 川坂英生氏

 川坂氏は「日本でのハイブリッド車の需要は、各社のラインアップ強化などにより年々増加し、2024年は全体市場におけるハイブリッド車の比率は約50%と、過去最高を記録した」と説明。また、今後もハイブリッド車の需要は、充電不要の電動車であることに加え、各社の商品投入のさらなる加速なども背景に、日本でも拡大し続けていくことが見込まれ、「ホンダは今後の主力商品として多種多様な9モデルのハイブリッド車を構え、年間70万台の安定的な販売を維持したい」と強調。加えて、近日発売予定の「N-ONE e:」をはじめとしたBEV(バッテリ電気自動車)戦略との両輪で、国内の電動化を力強く推進するとしている。

日本における四輪市場の動向
ホンダのハイブリッド車ラインアップ

 新型プレリュードは、年間3~4万台の販売規模となる2ドアクーペモデルであり、このセグメントは、「デザインや走りといったエモーショナルな価値を重視し、クルマをただの移動手段ではなく、自己表現の一部としてとらえる熱量の高いユーザーに支えられていて、市場規模そのものは大きくないものの、ホンダへの期待がとりわけ高い市場」と説明した。

 ターゲットユーザーとしては、X世代(1965年~1980年ごろ生まれ)を中心としたホンダファンおよび、子育てを終えて自分自身のライフスタイルを再構築し始めた子離れ層がメイン。また、「かつてプレリュードに乗っていた、または憧れを抱いていたユーザーに対し、運転が楽しく、洗練されたスタイリング、車格に見合った装備や質感など、クルマに対する本質的な価値観を持ったユーザーの期待に応えるモデル」と説明した。

新型プレリュードは「一般モデル」と「オンライン販売モデル(初年度限定)」がある。ホンダの一部販売店では、新車のレンタカーも用意するとしている

まずはこのクルマに恋をしてもらいたい

 最後に本田技研工業 四輪開発本部 完成車開発統括部 新型プレリュード開発責任者である山上智行氏が登壇。新型プレリュードは「ヘリテージの焼き直しではなく、古きを学び新しいことにチャレンジしていく姿勢を大切にしたモデルである」と紹介。

 また、ホンダのDNAである〝操る喜び”を提供し続けることを役割ととらえ、グランドコンセプトは〝UNLIMITED GLIDE(アンリミテッド・グライド)”とし、山上氏は「グライダーは動力を持たないのに、地球を味方につけると数百kmも数時間も飛び続けられるうえ、時にはアクロバティックなフライトも行なえる。その機能美や体験価値が、今回の開発に多くのインスピレーションを与えている」と説明する。

グランドコンセプトは「UNLIMITED GLIDE」

 また、「商品開発としてやりたかったことは、お客さまの持つ本当の欲求に応えること。ただ欲求は見えている欲求と潜在的な欲求が必ずあると思っていて、“何かかっこいい”とか、気持ちが前向きになる欲求は、どの世代の人でも常に持っていると思います。しかし、日常の忙しさに疲弊していたり、子育て世代の方は、自分よりも子供や奥さまのことを考え、ついつい自分の欲求を忘れてしまっているのではないでしょうか? 個人的な話をしても仕方がないですが、昔アルバイトを3つぐらい掛け持ちして、どうしても欲しいクルマを買うために努力をしたように、欲求はやっぱり仕事を頑張ろうなどいう意欲にもなるんだと思っています」。

本田技研工業株式会社 四輪開発本部 完成車開発統括部 新型プレリュード開発責任者 山上智行氏

「また、私は人と同じことをやるのが嫌いなタイプで、やっぱり人がやらないことをやるのがホンダだと思っています。今はミニバンやSUVなど全高の高いクルマがこれだけあふれているけれど、プレリュードのような全高の低いクルマが走っているのは、すごく新鮮で憧れる存在に映ると思います。もちろんこの思いがすぐに伝わるとは思っていないのですが、時間をかけて理解が広まってくれれば嬉しいです。まずはこのクルマに恋をしてもらいたいです」と語ってくれた。

新型プレリュードは9月5日発売