【東京モーターショー2011
ホンダはEV、プラグイン、Nシリーズのコンセプトカーを公開

コンパクトEVコミューター「MOTOR COMPO」は車載展示も

本田技研工業 代表取締役社長 伊東孝紳氏

会期:11月30日~12月11日(一般公開日:12月3日~11日)
会場:東京ビッグサイト



 本田技研工業は、東京モーターショーのプレスカンファレンスで、スモールスポーツEV(電気自動車)のコンセプトカー「EV-STER」、次世代クルーザー「AC-X」、未来都市型モビリティ「MICRO COMMUTER」と新型軽自動車の「N」シリーズを公開した。

報道公開日初日に発表された、スモールスポーツEV(電気自動車)のコンセプトカー「EV-STER」

5本の指が独立して動かせるように進化した新型ASIMOは、水筒からドリンクを紙コップに注ぎ、カンファレンススピーチを行う伊東社長に手渡していた

 カンファレンスで登壇した代表取締役社長の伊東孝紳氏は、「創業以来ホンダは、自由な移動の喜びを実現するためにパーソナルモビリティの開発に取り組んできました。一方で、今は豊かで持続可能な社会の実現のためにCO2排出量の低減が最重要課題の1つであると考えています。これらの取り組みを実現する環境性能に優れ、ワクワクドキドキできる商品を提供するために、環境・安全性能をベースにエッジが効いた商品を開発していきます」というスピーチの後に公開したのが、次世代スモールEVスポーツの「EV-STER」になる。

 後輪駆動の電動2シーターオープンスポーツカーで、躍動感のある先進的なデザインに加え、高い環境性能を保持していると言う。バッテリーはリチウムイオンで、容量は10kWh。バッテリー出力は58kWで、0-60km/hの加速は5秒、最高速は160km/hというスペックを持つ。充電時間は、AC100Vで6時間以下、AC200Vなら3時間以下。航続距離はJC08モードで160kmとなる。

 外観と同じく、インテリアも先進的なデザインを用いていて、ステアリングは円形ではなくツインレバータイプ。レバーを前後に動かすほうが人間にとっては自然な動きとなり、ステアリングを回すより直感的に操作が可能になると言う。そのほかに、メーターには走りを楽しむための情報やインターネットにアクセスして最新の情報をキャッチすることができる。

次世代EVオープンスポーツの「EV-STER」。同社で人気を誇った軽スポーツ「ビート」の再来となるか
2本の操縦レバーやコクピットを中心に円を描くインパネのレイアウトは未来的な印象。メーターのほかにさまざまな情報が取得できるモニターが左右に並ぶ
ドライビングシートか色鮮やかなイエローとホワイトのツートーン2ペダルとフットレストも未来的なデザイン

 初公開された次世代クルーザーのコンセプトカー「AC-X」は、興奮とくつろぎを自在に味わうことができ、より一層のドライビングの楽しさを広げていくことを提案している。

 4,700×1,820×1,400mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2,750mmというボディサイズを持ち、エンジンはプラグインハイブリッド。1.6リッターのエンジンに最高出力120kWのモーターを組み合わせていて、最大航続距離は1000km以上、EVのみの航続距離は約50km、EV走行の最高時速は100km/hという性能を持つ。燃料消費量は、プラグインハイブリッド時で110km/L、ハイブリッド時で36km/Lという数値を記録すると言う。

 エクステリアのデザインは、上部の躍動感溢れる塊に対して、下部は安定感のある塊を結合させた「デュアル・ソリッド・モーション」によって作り上げている。

 また、フロントバンパー、サイドスカート、リアディフューザーを可変式とすることで空気抵抗をコントロール。タイヤには、無回転のディフューザーを付けることで、空気の巻き込みを抑制し、スポーツカーをも上回るCd値0.21を実現している。

 インテリアは、ドライバーを中心とした「アドバンスド^・、インターフェイス・インテリア」を採用。ドライビングの高揚感、クルージングの心地よさを両立している。

次世代クルーザーのコンセプトカー「AC-X」
ホイールには風の巻き込みを抑えるカバーが装着されているボディー下部のデザインは安定感のある塊を意識している
インテリアは、コクピットを中心に広がるデザイン
長距離のクルージングも心地よく感じるように、ゆとりのあるレイアウトが施されている

 2車種のスポーツとクルーズという近未来的なモビリティを発表したが、さらにもう1台の注目モデルとなるのが都市型移動ツールとなる「MICRO COMMUTER」。フロント1名リア2名の変則的な3名乗車で、フロントシートの横には、EVコミューターのMOTOR COMPOを搭載することもできる。

 ボディーサイズは、2,500×1,250×1,430mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース1,860mm。動力はピュアEVとなっていて、リチウムバッテリーの容量は3.3kWh、バッテリー出力は16.7kW、最大航続距離は約60kmで最高速は60km/h以上となっている。

 バッテリーやパワーコントロールユニットをリアスペースに集合させ、オーバーハングを限りなく削ることで、最大限の乗車スペースを確保している。ホンダが提唱するM・M(マンマキシマム・メカミニマム)思想を追求した。

 コクピットのメーター付近にはスマートフォンを差し込むスペースがあり、これが車両のキーにもなる。スマートフォンから得た情報は、フロントガラスに表示される機能も持っている。

都市型移動モビリティ「MICRO COMMUTER」
MOTOR COMPOを折りたたむことでフロントシート横に収納できるEVシティコミューターのMOTOR COMPO。カセット式のバッテリーを取り外せたり、ハンドルを折りたためたりするなどコンパクトで持ち運べることが特徴

 3台の壇上に飾られたコンセプトカーとともにスポットライトを浴びているのが、12月16日に発売が開始される新型軽自動車「N BOX」とNシリーズのコンセプトカー。

 N BOXはプラットフォームとパワープラントを完全に新設計したホンダの意欲作。新たなプラットフォームは、軽自動車の概念を越えた広さ、快適さ、経済性を実現。ミニバンの設計を得意としている同社の技術が盛り込まれている。

 軽自動車としては最小のエンジンルーム長と、室内長、センターレイアウトによる低床設計により同クラスで最大級の室内空間を実現。「MICRO COMMUTER」にも取り入れられたM・M思想がここにも活かされていている。

 パワートレインは、新開発したDOHCエンジンに、動力効率の高いこちらも新開発のCVTが組み合わせられる。ターボモデルは2,600rpmからの低速域で最大トルクを発揮し、力強い加速を味わうことが可能。省燃費性にも優れていて、自然吸気のFFモデルはJC08モードで22.2km/Lを記録する。

室内空間と経済性を高めた新型軽自動車「N BOX」。3,395×1,475×1,770mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2,520mmのボディーサイズ
N BOXカスタムは、メッキグリルやホイールなどがカスタマイズされたモデル
N CONCEPT_3は、リアシート部分に電動カートを搭載することを想定している
N CONCEPT_4は、N BOXよりも小型のモデル
2012年の夏に国内販売が開始されるフィットEVのコンセプトモデルも展示していた
フルモデルチェンジを行なったCR-Vも展示

(真鍋裕行)
2011年 12月 1日