イベントレポート 東京オートサロン 2026

テイン、「4×4ダンパーグラベル2」装着とともに足まわりの細部に手が加えられたジムニーノマド展示中

自社製のセリカ(ST205)用スーパーストラットやAE86用スピンドルも!

2026年1月9日~11日 開催
4×4シリーズのフラグシップモデルである「4×4 DAMPER GRAVEL 2」を装着したジムニーノマド

 サスペンション総合メーカーのテインは、東京オートサロン2026(幕張メッセ、1月9日~11日)の会場においてジムニーノマドのデモカーを中心に展示を行なっている。

 メインとなるジムニーノマドには「4×4 DAMPER GRAVEL(ダンパーグラベル)2」という車高調整式サスペンションを装備するだけでなく、細部にまで手が入れられたものをジャッキアップして見せていることが印象的だ。

 そこを覗いてみると、まずは調整式スタビリンクロッドに変更して車高変化に合わせてスタビライザーの角度をきちんと補正していることが伺える。車高を上げ下げした時に適正な位置にスタビライザーを備えられるようにターンバックル式となっている。また、ラテラルロッドの変更も行ない、車高アップした時に生じる車軸の左右のズレを適正化するなど、単に車高を変更して終わりとしないあたりは良心的だ。

 さらにオリジナルのステアリングダンパーを与えることで、キャスターが変化した際にもセルフアライニングトルクを得られるようにもなっている。ちなみにこのステアリングダンパーは減衰力調整式。好みに応じたセッティングが可能となっている。

ジムニーノマドに「4×4 DAMPER GRAVEL 2」を装着するとともに、調整式スタビリンクロッドによってスタビライザーの角度を補正。ラテラルロッドの変更も行なわれている

 続いて興味深かったのは動的展示だ。単筒式サスペンションに備えられるハイドロ・バンプ・ストッパー(H.B.S.)の効果を示すために作られたデモ機では、サスペンションの上から100kgの物体を落とし、それをどう受け止めるかを示していた。H.B.S.なしではサスペンションが物体を受け止めた後に何度かバウンド。H.B.S.は瞬時に物体を受け止め、その後の揺らぎがないことが一目瞭然になっている。

 これはサスペンションが底付きした際にバンプラバーで受け止めるH.B.S.なしのものでは、バンブラバーの反発力でバウンドしてしまうということ。H.B.S.ありはショックアブソーバー内部に備えたバルブが熱エネルギーに変換し吸収することで、衝撃を少なくして反発も発生しないとのこと。以前乗ったH.B.S.ありの車両ではたしか大入力があってもフラットにキープされていた。それをデモ機で目で確認できたことで、そういうことだったのかと改めて確認できたところがおもしろい。

テイン独自の機構であるハイドロ・バンプ・ストッパー(H.B.S.)の効果が分かるデモ展示機

 さらにその裏側には「キャビテーション」とは、どんな現象が起きているのかを確認できるデモ機もある。サスペンションのガス室にある圧力がある場合とない場合を示すもので、ここではガス圧がいかに大切かを学ぶことが可能。ガス圧がある場合はオイル内に気泡が発生することはないが、ガス圧が抜けてしまう状況を作るとサスペンションが軽く動くだけでオイル内にはかなりの気泡が発生。これでは減衰力が出ない。ダンパーが抜けたりヘタったりなどと聞くが、これがショックアブソーバーの中で起きているのかと、これもまた改めて目で見て感じることができたのは収穫だ。

キャビテーション発生時のダンパー内部のようすが分かるデモ展示機

 このほか動く展示としてあったのはEDFC5(Electronic Damping Force Controller5)だ。ショックアブソーバーの調整個所にモーターを与えることで車室内から減衰力を調整できるアイテムだが、このEDFC5では車速、前後左右G、前後左右ジャークの変化に対してリニアに動かしていくことが可能。4輪それぞれの減衰力を常に変化することが可能となり、スポーツ走行だけでなくラグジュアリー性能も得られるアクティブサスペンションである。そのコントローラーとモーターがリンクして動く状況を確認でき、緻密なコントロールを肌で感じることができた。

EDFC5とモーターがリンクして動く状況を確認できる

 さらに新製品として展示があったのはテインの車高調整式サスペンション専用に作られたスペシャル工具である。汎用品ではきちんと締めにくい状況が度々あるが、完全に専用ツールとして制作したおかげで、各部は確実なトルクで締め付けることが可能。従来あった一般的な車高調レンチよりも作業性も確実性も高まっていることはひと目で分かる仕上がりがあった。

テインの車高調整式サスペンション専用に作られたスペシャル工具

 最後におどろいたのは、AE86カローラレビン・トレノとST205セリカGT-FOUR向けのスピンドルを蘇らせてしまったことだ。純正部品では入手しにくいスピンドルをわざわざ制作し直したというところはすごい。スピンドルの適応車種は拡大する予定とのこと。

セリカ(ST205)用スーパーストラット(左)とAE86用スピンドル(右)

 テインではこのように旧車に向けた製品も多く存在するので、旧車オーナーの方々は製品ラインアップをチェックしてみてほしい。

ブースでは多数の車高調正式サスペンションも展示されている
橋本洋平

学生時代は機械工学を専攻する一方、サーキットにおいてフォーミュラカーでドライビングテクニックの修業に励む。その後は自動車雑誌の編集部に就職し、2003年にフリーランスとして独立。2019年に「86/BRZ Race クラブマンEX」でシリーズチャンピオンを獲得するなどドライビング特化型なため、走りの評価はとにかく細かい。最近は先進運転支援システムの仕上がりにも興味を持っている。また、クルマ単体だけでなくタイヤにもうるさい一面を持ち、夏タイヤだけでなく、冬タイヤの乗り比べ経験も豊富。現在の愛車はユーノスロードスター(NA)、MINIクロスオーバー、フェアレディZ(RZ34)。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

Photo:安田 剛