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ホンダ、スポーツ ハイブリッド i-DCDで燃費27.2km/Lを実現した新型「フリード」「フリード+」
ボディを大きくせず使い勝手を高めた「ダントツにちょうどいい」コンパクトカー
2016年9月16日 10:30
- 2016年9月16日 発売
- フリード:188万円~272万8200円
- フリード+:190万円~274万8200円
本田技研工業は9月16日、コンパクトミニバンの新型「フリード」、コンパクトハイトワゴンの新型「フリード+(プラス)」を発売した。価格はフリードが188万円~272万8200円、フリード+が190万円~274万8200円。
フリード
モデル | 乗車定員 | エンジン | 変速機 | 駆動方式 | 価格 |
---|---|---|---|---|---|
B | 6 | 直列4気筒DOHC 1.5リッター | CVT | 2WD(FF) | 1,880,000円 |
4WD | 2,096,000円 | ||||
G | 2WD(FF) | 1,980,000円 | |||
7 | 2,001,600円 | ||||
6 | 4WD | 2,212,200円 | |||
G Honda SENSING | 2WD(FF) | 2,100,000円 | |||
7 | 2,121,600円 | ||||
6 | 4WD | 2,332,200円 | |||
ハイブリッド B | 直列4気筒DOHC 1.5リッター+スポーツハイブリッド i-DCD | 7速DCT | 2WD(FF) | 2,256,000円 | |
4WD | 2,472,000円 | ||||
ハイブリッド G | 2WD(FF) | 2,376,000円 | |||
7 | 2,397,600円 | ||||
6 | 4WD | 2,608,200円 | |||
ハイブリッド G Honda SENSING | 2WD(FF) | 2,496,000円 | |||
7 | 2,517,600円 | ||||
6 | 4WD | 2,728,200円 | |||
ハイブリッド EX | 2WD(FF) | 2,656,000円 |
フリード+
モデル | 乗車定員 | エンジン | 変速機 | 駆動方式 | 価格 |
---|---|---|---|---|---|
B | 5 | 直列4気筒DOHC 1.5リッター | CVT | 2WD(FF) | 1,900,000円 |
G | 2,000,000円 | ||||
4WD | 2,232,200円 | ||||
G Honda SENSING | 2WD(FF) | 2,120,000円 | |||
4WD | 2,352,200円 | ||||
ハイブリッド B | 直列4気筒DOHC 1.5リッター+スポーツハイブリッド i-DCD | 7速DCT | 2WD(FF) | 2,276,000円 | |
ハイブリッド G | 2,396,000円 | ||||
4WD | 2,628,200円 | ||||
ハイブリッド G Honda SENSING | 2WD(FF) | 2,516,000円 | |||
4WD | 2,748,200円 | ||||
ハイブリッド EX | 2WD(FF) | 2,676,000円 |
フリードは2001年12月にデビューした「モビリオ」の流れをくむ5ナンバーサイズのコンパクトミニバン。ラゲッジスペースを重視して2列シートとしたモデルはこれまで「モビリオ スパイク」「フリード スパイク」の車名でベースモデルから少し遅れての追加となってきたが、今回のモデルチェンジから同時デビューとなった。
これに伴い、従来までは明確に差別化してきた外観デザインは、一部を除いて基本的に同一のデザインを採用する「ワンスタイル」に集約。モビリオから続くモノフォルムで実用性の高さを感じさせる基本路線を踏襲しつつ、「Dynamism and Functionality」を外観のデザインテーマに採用し、メリハリの効いた凝縮感とドライバーズカーらしいたたずまいを表現している。
フロントマスクにはホンダの新デザインアイデンティティである「ソリッド・ウイング・フェイス」を採用。また、ルーフの前方中央をわずかに前方に出した、開発陣が「富士額」と呼ぶ造形もアクセントとなっている。サイドビューではパネルの曲率変化を煮詰め、制約の多い5ナンバーサイズのなかで豊かさや軽快さを演出している。リアビューではリアコンビネーションランプを横方向に大型化してテールゲートとの分割タイプに変更。水平基調の表現によってリアタイヤの踏ん張り感をイメージさせる。また、テールゲートは外観上でフリードとフリード+を見分けるポイントとなっており、フリード+は「ステップワゴン」などでも用いられたバンパー内蔵型を採用して、下端までワイドに開くスタイルを採用。低いフロア高をより強調してユーティリティの高さを外観からも印象づける。
ボディカラーは「ブルーホライゾン・メタリック」「シトロンドロップ」の2色を新色として採用し、全車で9色をラインアップしている。ボディサイズはフリードの2WD(FF)車が4265×1695×1710mm(全長×全幅×全高)で、各4WD車は全高が25mm高い1735mm、フリード+の2WD車は全長が30mm長い4295mm。ホイールベースは全車2740mmとなる。
ハイブリッド車、ガソリン車ともパワートレーンが一新され、ハイブリッド車は「シャトル」と同タイプの1モータータイプのハイブリッドシステム「SPORT HYBRID i-DCD」を搭載。ガソリン車では従来の「L15A」(最高出力87kW[118PS]/6600rpm、最大トルク144Nm[14.7kgm]/4800rpm)から同じく直列4気筒DOHC 1.5リッターの「L15B」(最高出力96kW[131PS]/6600rpm、最大トルク155Nm[15.8kgm]/4600rpm)に変更された。トランスミッションはハイブリッド車でデュアルクラッチトランスミッションの7速DCT、ガソリン車でCVTを採用。7速DCTはほかのi-DCD採用車と比べて7人乗車といった重量増の状況に対応できるよう、ギヤ比をローレシオ化した専用セッティングとなっている。
従来型の「IMA」タイプから効率を高めたi-DCDにスイッチしたことで、JC08モード燃費はハイブリッドの2WD車でこれまでの21.6km/Lから26.6km/L~27.2km/Lに向上。従来型には設定のなかったハイブリッドの4WD車は25.2km/Lとなる。また、ガソリン車でも新エンジンの導入によって、2WD車で16.0km/L~16.6km/Lから19.0km/Lに上昇。従来モデルでは5速ATとの組み合わせだった4WD車は13.2km/Lから17.6km/Lに飛躍している。
また、i-DCDの駆動用モーターでは、ハイブリッド車用モーターとして世界で初めてレアアースの1つである重希土類を完全不使用にした「重希土類完全フリー磁石」を採用している。大同特殊鋼の完全子会社であるダイドー電子が生み出したこの新しい磁石では、熱間加工法を用いることで結晶粒をナノレベルで配向させ、微細な結晶粒組織によって耐熱性の高い磁石の製造を実現。従来型のネオジム磁石に使用していたジスプロシウム、テルビウムといった重希土類元素を不要とした。これにより、調達ルートの多様化で資源リスクを回避できるほか、製造コストも抑えられるようになるという。
このほかにパワートレーンの構造面では、駆動用のリチウムイオンバッテリーや制御用ECUなどを一体化した「IPU(インテリジェントパワーユニット)」を小型化して、「オデッセイ ハイブリッド」同様に車両後方からフロントシート下に移設。ラゲッジスペースの低床化を実現してユーティリティを高めた。
ボディ骨格ではハイテン材の使用率を従来型の30%から40%に高め、部材も従来から使っている590MPa級のほか、780MPa級や980MPa級、ホットスタンプ材などを使用。全体の剛性を22%、リアバンパーまわりのねじり剛性を28%向上させた。また、3列シートのフリードと2列シートのフリード+、ハイブリッド車とガソリン車、通常モデルと低床フロアの福祉車両などの多彩なバリエーションを、最小限の専用パーツの組み替えで実現する「マルチ・シェル骨格」を新開発している。
足まわりではフロントスタビライザーの剛性を20%高め、リアサスペンションのトーションビーム形状の見直しを実施。従来型では1枚の板を曲げて成形したところをクラッシュドパイプ化。単体でのねじり剛性を2倍に高めている。また、ブラケットの板厚アップと大型化、アーム長の短縮と断面拡大などによってリアサスペンションの取り付け剛性をアップして、タイヤに対する横方向からの入力に対するトー変化を抑制。安定感の高い乗り心や、多人数乗車などで重くなったときでも運動特性が大きく変化しないセッティングを実現している。このほかにリアサスペンションでは、動きの支点となるコンプライアンスブッシュに液封タイプを採用。力がかかって変形するときにブッシュ内でオイルが移動することによって減衰力が発生して入力を吸収。快適な乗り心地に貢献する。
このほかに走行面では、ステアリングギヤレシオを10%クイック化し、ロールするときの重心高を従来型から8mm低減。ハイブリッド車ではブレーキペダルにリンク機構を追加してブレーキ操作時の感覚的なずれを緩和するなど、運転の心地よさと快適な移動シーンの実現に向けて細部までブラッシュアップされている。
シートレイアウトは、フリード+は一般的なフロント2人、リア3人の5人乗車。フリードはセカンドシートに3人掛けのベンチシートのほか、2人掛けのキャプテンタイプを用意。7人乗りと6人乗りの2種類がラインアップされる。2列目キャプテンシートは前後スライドを従来型の240mmから120mm増やし、360mmのロングスライドを幅広いシートアレンジに対応するほか、シート間隔が1列目で先代比50mm、2列目で先代比20mm拡大され、車内でのウォークスルーがしやすくなっている。後席用のスライドドアは開口スペースを上下に40mm、前後に20mm拡大し、15mm低下して390mmとなったステップ地上高と合わせて乗降性を高めた。
フリード+はラゲッジスペースを2WD車で185mm低床化してフロア高を335mmに設定して荷室容量を拡大。また、ラゲッジスペースを上下に2分割するユーティリティボードをフリード+全車に標準装備。リバースブルタイプで表面が起毛仕様、裏面がワイパブル使用となり、耐荷重は200kg。ダブルフォールダウン機構を持つリアシートを前方に倒すとフラットなフロアが生み出され、分割された下側のラゲッジスペースに荷物を収めつつ車中泊ができる空間が出現する。
インテリアは、フリードが「ナチュラルモダンインテリア」、フリード+が「ワンダーパックインテリア」をテーマに採用。フリードはインパネに本物の木材のような質感を表現するマットな木目調パネルを装着し、シートカラーは「ベージュ」「モカ」「ブラック」の3種類を設定。フリード+はインパネにハイコントラストなメタル調パネルを装着し、シートカラーは「ブラック」のみを設定。シート表皮はファブリックのほか、ハイブリッド EXではプライムスムース×ファブリックのコンビネーションタイプを標準装備する。
このほかにインテリアでは、フロントウィンドウの上側を広げてドライバー席からの見上げ角を拡大。広さ感を演出するほか、最前列での信号待ちで信号機を確認しやすくなっている。前方視界ではAピラーにホットスタンプ材やハイテン材を用いて強度を確保し、ピラーをスリム化してフロントコーナーウィンドウも設定することで見える範囲を拡大。また、ルームミラーの上に車内の様子が映る室内確認用ミラーも設定されている。
車内演出ではメーターパネルとヒーターコントロール7パネルの照明色を6色から選択できるようになっており、エアコンは温度設定を高める操作をしたときに赤く発光、温度を下げる操作をしたときに青く発光するアンサーバック機能も採用している。
先進安全では、グレード別に安全運転支援システム「Honda SENSING(ホンダ センシング)」を設定。また、5月にマイナーチェンジを行なった「アコード」に続き、道路に設置された高度化光ビーコンから得られる複数の信号予定情報などを使って「信号通過支援」「赤信号減速支援」「発進遅れ防止支援」といった情報を画面表示する「信号情報活用運転支援システム」を、ホンダ インターナビの追加機能として用意する。