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川崎重工、三式戦闘機「飛燕」を修復・復元した実機初公開

10月15日~11月3日に神戸ポートターミナルで開催する120周年記念展で展示

2016年10月13日 公開

 川崎重工業は10月13日、第二次世界大戦中に開発・製造した三式戦闘機「飛燕」の修復プロジェクトで修復、復元作業を終えた実機を初公開した。飛燕は、10月15日~11月3日に神戸ポートターミナルにおいて開催される創立120周年記念展「川崎重工創立120周年記念展―世界最速にかけた誇り高き情熱―」に展示される。

川崎重工業の創立120周年記念展「川崎重工創立120周年記念展―世界最速にかけた誇り高き情熱―」で展示される飛燕

 公開された「飛燕」は国内に現存する唯一の機体で、経済産業省が認定する「近代化産業遺産群」の1つとして認定された航空遺産。2015年夏までの29年間、知覧特攻平和会館(鹿児島県南九州市)に展示されていたものを、同機の生まれ故郷となる同社岐阜工場(岐阜県各務原市)において、機体を所有する日本航空協会の監修の下、破損部位の修復、欠損部品の復元などを行なってきた。

修復プロジェクトを担当した川崎重工業株式会社 航空宇宙カンパニー役員の野久徹氏

 展示会場での挨拶で、修復プロジェクトを担当した同社航空宇宙カンパニー役員の野久徹氏は「飛燕は川崎航空機により合計約3000機製造された機体。当時、唯一液冷エンジンを搭載してノーズが美しく空気抵抗が小さいカタチで、非常にかっこいいスタイルに仕上がっています。その流麗なスタイルにちなんで、飛燕と名付けられたと聞いております」と紹介。

 野久氏によると、同社岐阜工場に運ばれた飛燕は、機体の状況がチェックされるとともに、修復については文化財としてオリジナルには手を加えず当時のままとし、復元が必要な箇所にあたっても、さまざまな資料の調査をして真正性を確保してきたという。

 記念展での展示に向けて、野久氏は「マニアが集まってきっちり仕上げた唯一の実機の飛燕になります。Ninja H2やスーパーチャージャー、ジェットエンジンなど、連綿と続くカワサキの技術屋魂や誇り高き情熱を少しでも感じていただきたい」と話した。

失われていたメーター類は当時のものを集めて再現した
スーパーチャージャーを採用した液冷エンジンを搭載
修復プロジェクトのようすを記録したパネルも展示される