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アルカンターラ、“バイオベースのポリエステル”を使うなどサスティナビリティ活動についての説明会
「サスティナビリティ活動で企業としての新たな価値が生まれる」とアンドレア・ボラーニョ会長兼CEO
2016年10月19日 14:24
- 2016年10月18日 開催
クルマのインテリアに使用される内装材などを製造販売しているアルカンターラは10月18日、都内で記者会見を開催。伊Alcantara S.p.A.の会長兼CEOであるアンドレア・ボラーニョ氏が出席し、アルカンターラの各製品の紹介と取り組みを続けているサステナビリティ経営についてプレゼンテーションを行なった。
クルマが好きな人にとって、アルカンターラと言えばシート表皮などに使われている素材を思い浮かべることだろう。製品名であり企業名であるアルカンターラは1972年に設立され、本社はイタリアのミラノにある。研究、開発、製造などを行なう工場や関連企業もすべてイタリアにあり、メイド・イン・イタリーを実践している。
そのアルカンターラが製造販売するのが、登録商標であるアルカンターラの各種素材。独自の技術によって製造される人工皮革で、クルマの内装材やファッション、室内装飾、コンシューマー・エレクトロニクスなどさまざまな分野で使われている。そのアルカンターラは当初、ヨーロッパでブランドとしての地位を確立。そこで得た信頼と評価をベースに世界的な企業と取り引きするようになった。そして現在、アルカンターラが重点を置いている国が日本や中国などのアジア諸国とアメリカとなっている。
アルカンターラはグローバル化に積極的に取り組んでいて、イタリア、フランス、ドイツ、イギリス、ロシア、中国、日本、アメリカの8カ国で継続的に広報活動を行なっている。また、世界中のさまざまな業界にまたがって国際的なイベントを毎年企画してきた。アルカンターラ素材は極めて多様性に富み、いろいろな表現が可能なところから長年に渡ってトップデザイナーや前衛的な新進デザイナーなど、デザイン界の優秀な人材と関係を深めている。こうした活動によって新しい刺激が生まれ、アルカンターラのもの作りのプロセスが常に改善されているという。これが世界で通じる競争力を生むために欠かせないものだと説明された。
また、アルカンターラは素材を販売するだけでなく、その多様性を生かして美術的、技術的、感覚性質を兼ね備えた高度で最先端の製品を提供しているとのこと。製品の製造プロセスについてはアルカンターラが完全に責任を負い、開発と実現に至るさまざまな作業のすべてを統括しているという。この能力が他社と差別化できる要因であり、これこそがトップレベルのグローバル企業から高く評価されている点だとアピール。なお、アルカンターラ素材のベースになった技術は日本の東レが開発したエクセーヌだが、それをさらに開発して独自の進化を遂げて完成したのがアルカンターラ素材となる。特徴はいくつもあるが、前記した「多様性」という面が大きい特徴でであると解説された。
記者会見の最後には、アルカンターラが取り組んでいるサスティナビリティについても語られた。この鍵となるのが「コストを超えた価値」という項目。この定義は「サスティナブル(持続可能)な開発とは、将来の世代のニーズを満たす能力を失うことなく、現在のニーズを満たすこと」という言葉から来ているもので、これをアルカンターラでは消費者に対する価値創造が株主の価値を生み出す原動力になると考えているという。加えてニーズを満たす製品を作ることには、従業員の人権保護や労働条件の確保なども含めていると説明された。
サスティナビリティ活動にはコストが必要になるが、アルカンターラはサスティナビリティ活動を行なうことで企業としての新たな価値が生まれる点に着目していて、それが市場での信頼性や評価につながることを期待しているという。
実際のサスティナブルへの取り組みについてでは、製品の製造において再生可能な資源を原材料に用いる最先端の技術を取り入れることを検討。アルカンターラ素材の原料では約70%にポリエステルが使われており、この元になるポリマーは石油から作られているが、近年はバイオ素材から作るポリマーも出てきている。これをアルカンターラでも研究し、現時点でもポリエステル中の約30%に再生可能なバイオベースのポリマーで作ったポリエステルを使用しているとのこと。そして2020年までに、アルカンターラ素材は完全に再生可能資源を使ったものになる予定だと語られた。もう1つの目標は、十分な投資を行なうことでCO2をさらに削減し、環境負荷を減らしていくとのことだった。