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【SUPER GT 第6戦鈴鹿】最後の"SUZUKA 1000km”は64号車「Epson Modulo NSX-GT」ベルトラン・バゲット/松浦孝亮組が優勝

ナカジマレーシングとダンロップタイヤ、2007年以来10年ぶり優勝

2017年8月26日~27日 開催

最後の"SUZUKA 1000km”を制した64号車 Epson Modulo NSX-GT(ベルトラン・バゲット/松浦孝亮組、DL)

 三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットでSUPER GT 第6戦 第46回インターナショナルSUZUKA 1000km "SUZUKA 1000km THE FINAL"の決勝レースが8月27日開催され、GT500は64号車 Epson Modulo NSX-GT(ベルトラン・バゲット/松浦孝亮組、DL)、GT300は65号車 LEON CVSTOS AMG(黒澤治樹/蒲生尚弥組、BS)がそれぞれ優勝した。

17号車 KEIHIN NSX-GTと64号車 Epson Modulo NSX-GTがトップを争う

 決勝レースは12時30分よりスタート。スタート後3時間が経過して、レースは落ち着くかと思いきや、レースはさらなる混迷を深める展開になっていった。91周目に23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田 次生/ロニー・クインタレッリ組、MI)がピットインしたときにその”事件”は起きた。第3スティントのロニー・クインタレッリ選手に替わって猛烈な追い上げを見せ、3位まで上がっていた23号車だが、ピットインして、給油、タイヤ交換とドライバー交替を終えてピットアウトしようとしたときに、GT300の車両がちょうどファーストレーンからピット前に入ってくるところで交錯しそうになる。松田選手は危うく衝突を避けることはできたが、構図としては前半で16号車 MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤 英紀/中嶋 大祐/ジェンソン・バトン組、YH)に起きたトラブルと一緒で、16号車にはドライブスルーペナルティがでたので、23号車にもペナルティが出ることが予想された。そして、案の定というか、タイミングモニターには23号車の件を”検証中"という表示がでることになる。

16号車 MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤 英紀/中嶋 大祐/ジェンソン・バトン組、YH)はタイヤバーストなどもあり12位でフィニッシュ

 ところが、その件が検証中のままで、96周目にGT300の31号車 TOYOTA PRIUS apr GT(嵯峨 宏紀/久保 凜太郎組、BS)が130Rアウト側のタイヤバリアにクラッシュしてしまったため、今日2回目のセーフティカーが出ることになった。その後、GT500、GT300の整列に時間がかかったため、セーフティカー先導のラップは思ったより時間がかかり、レースは103周目にようやくリスタートに。

 その段階で23号車 MOTUL AUTECH GT-Rは、トップを独走する17号車 KEIHIN NSX-GT(塚越 広大/小暮 卓史組、BS)に次ぐ2位に上がっていたのだが、先ほどのピットでの交錯の件でドライブスルーペナルティが出され、万事休す。セーフティカーが入ったことで隊列が縮まってしまったこともあり、2位から同一周回では最後尾となる12位まで順位を下げることになってしまった。

 これで楽になったのは、トップの17号車 KEIHIN NSX-GTだ。2位を走っていた23号車が同一周回の最後尾となり、2位にあがった64号車 Epson Modulo NSX-GT(ベルトラン・バゲット/松浦 孝亮組、DL)に10秒近い差をつけており、このまま行けば、独走で優勝かと考えられていた。

 ところが17号車、64号車がピットアウトしてみると、17号車のピットインに時間がかかったためか、両車の差は小さくなっており、17号車のタイヤが暖まらないうちに、64号車が17号車をオーバーテイクし、このレースで初めてトップに立つことになった。両車は3位以下に30秒以上の差をつけており、優勝は事実上この2台に絞られることになった。

64号車 Epson Modulo NSX-GT(ベルトラン・バゲット/松浦 孝亮組、DL)

 しかし、その後ろの争いも非常に激しいことに。120周目には、12号車 カルソニック IMPUL GT-R(安田裕信/ヤン・マーデンボロー組、BS)がシケインで、36号車 au TOM'S LC500(中嶋一貴/ジェームス・ロシター組、BS)を追い越そうとして接触、36号車はグラベルに埋まってしまい脱出するまでに時間がかかり周回遅れになってしまった。なお、12号車はその接触の影響で車が壊れて、オレンジポールが表示されてピットインせざるを得なくなり、さらに接触によるペナルティがでて、こちらも周回遅れとなり、レースからは完全に脱落した。

23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田 次生/ロニー・クインタレッリ組、MI)

ナカジマレーシングとダンロップタイヤは10年ぶりの歓喜の優勝

 レース終盤には、64号車 Epson Modulo NSX-GTと17号車 KEIHIN NSX-GTの戦いになると考えられていた。64号車は148周目にピットイン、素早くピットサービスとドライバー交替してピットアウトした。次に17号車 KEIHIN NSX-GTがどのタイミングで入って、どこで戻ってくるのかに注目が集まったが、148周目に誰もが自分の目を疑うシーンが飛び込んできた。64号車のピットインでトップに立っていた17号車はスプーンでタイヤがバーストし、タイヤバリアにクラッシュして車のリアセクションを壊してしまった。17号車はその後もノロノロと走り続けたものの、安全なところに車を止めそのままリタイアに。

 これで、再びトップに戻った64号車 Epson Modulo NSX-GTだが、その64号車を追いかける新しいライバルが登場した。それが2位に上がっていた23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI)。一度は18秒以下まで差を詰め1周に尽き1秒近く差を詰め、残り25周の段階で追いつけそうに見えた。しかし、64号車をドライブする松浦孝亮選手はスピードを上げ差を広げることができた。これで、1位と2位はほぼ確定という状況になった。

 その後の焦点は、3位を走る1号車 DENSO KOBELCO SARD LC500(ヘイキ・コバライネン/平手晃平、BS)と4位の100号車 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/伊沢拓也、BS)の争いとなった。結局シケインで平手晃平選手が操る1号車がミスしたところを100号車が追い抜き3位表彰台を獲得した。最終的に1号車は残り2周の段階でデグナーで止まりきれずバリアに突っ込んで停止してしまった。

1号車 DENSO KOBELCO SARD LC500(ヘイキ・コバライネン/平手晃平、BS)
100号車 RAYBRIG NSX-GT(山本 尚貴/伊沢 拓也、BS)

 これで順位は確定、優勝は64号車 Epson Modulo NSX-GT。松浦孝亮選手は2勝目、ベルトラン・バゲット選手は初優勝、ナカジマレーシングとダンロップタイヤは2007年の富士戦以来の10年ぶりの優勝となった。2位は23号車 MOTUL AUTECH GT-R、3位は4位の100号車 RAYBRIG NSX-GT、4位は19号車 WedsSport ADVAN LC500(関口 雄飛/国本 雄資/小林 可夢偉組、YH)、5位は24号車 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R(佐々木 大樹/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ組、YH)となった。

GT500クラス表彰台
GT500クラス結果
順位車番マシンドライバー周回数タイムタイヤウェイトハンデ
164Epson Modulo NSX-GTベルトラン・バゲット/松浦孝亮1715:51'16.244DL6
223MOTUL AUTECH GT-R松田次生/ロニー・クインタレッリ1715:51'28.394MI82
3100RAYBRIG NSX-GT山本尚貴/伊沢拓也1715:51'31.981BS44
419WedsSport ADVAN LC500関口雄飛/国本雄資/小林可夢偉1715:51'49.096YH26
524フォーラムエンジニアリングADVAN GT-R佐々木大樹/J.P.デ・オリベイラ1715:51'50.333YH6
637KeePer TOM'S LC500平川亮/ニック・キャシディ1715:51'52.574BS84
76WAKO'S 4CR LC500大嶋和也/A.カルダレッリ1715:51'53.256BS86
88ARTA NSX-GT野尻智紀/小林崇志1715:53'14.654BS62
936au TOM'S LC500中嶋一貴/ジェームス・ロシター1705:51'57.070BS88
1038ZENT CERUMO LC500立川祐路/石浦宏明1695:51'59.221BS82
1112カルソニック IMPUL GT-R安田裕信/ヤン・マーデンボロー1695:52'05.873BS26
1216MOTUL MUGEN NSX-GT武藤英紀/中嶋大祐/ジェンソン・バトン1695:52'46.150YH14
131DENSO KOBELCO SARD LC500ヘイキ・コバライネン/平手晃平1685:45'57.890BS72
1446S Road CRAFTSPORTS GT-R本山哲/千代勝正1555:52'01.344MI46
1517KEIHIN NSX-GT塚越広大/小暮卓史1465:01'44.261BS36
GT500クラスドライバーランキング
順位車番ドライバー第1戦第2戦第3戦第4戦第5戦第6戦合計次戦ウェイトハンデ
123松田次生/ロニー・クインタレッリ486815185959
26大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ151511254848
337平川亮/ニック・キャシディ201151564848
436ジェームス・ロシター66204834747
538立川祐路/石浦宏明82111124343
636中嶋一貴6204834141
71ヘイキ・コバライネン/平手晃平1142013636
88野尻智紀/小林崇志1272143535
9100山本尚貴/伊沢拓也51223133535
1064ベルトラン・バゲット/松浦孝亮3252828
1146本山哲/千代勝正8152323
1219関口雄飛5134102323
1319国本雄資534102222
1417塚越広大/小暮卓史3151818
1512安田裕信/ヤン・マーデンボロー3461313
1624佐々木大樹/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ1281111
1719小林可夢偉101010
1816武藤英紀/中嶋大祐2577
1936伊藤大輔666
2019山下健太111

GT300クラスは、最後の最後までドラマチックな展開で変則ピットストップ作戦を成功された65号車 LEON CVSTOS AMGが優勝

65号車 LEON CVSTOS AMG(黒澤治樹/蒲生尚弥組、BS)

 GT300のレースは、各チームがピット作戦をずらしてきたりしたため、レースの終盤までどこが勝つのか全くわからないレースとなった。そんな中で最後のピットストップが終わった段階でトップに立っていたのは、ポールからスタートした25号車 VivaC 86 MC(松井孝允/山下健太/近藤翼組、YH)で、その25号車を追いかけていたのが65号車 LEON CVSTOS AMG(黒澤治樹/蒲生尚弥組、BS)だ。

65号車 LEON CVSTOS AMG(黒澤治樹/蒲生尚弥組、BS)は1周目にピットに入りドライバー交替を実施

 実は65号車 LEON CVSTOS AMGはスタート直後、1周目にピットに入りドライバー交替を実施。それにより今回のレースの義務である「最低でも5回ピットインしてドライバー交替を5回しなければならない」というルールの1回目をこなすという作戦に出た。これにより、1回のスティント長くして、実質的なスティントを6回から5回に減らすということが可能になったのだ。このため、レースの最後の最後まで、65号車は単体で走ることになり、どこの順位を実際に走っているのかわかっていない状況だった。しかし、最後の最後で、65号車はトップを走る25号車の背後に迫り、162周目に1コーナーで豪快なオーバテイクで25号車をかわしてトップに立ち、そのまま優勝を果たした。

 その25号車は65号車に抜かれた後も2位を維持していたのだが、レースが残り5分(規定で173周ないしは18時28分まで)になった段階で、逆バンクで他車と接触して車が横転クラッシュしてしまった。運転していた松井孝允選手は無事に車から脱出することができたが、2位であればシリーズ首位を確保することができていただけに、痛いクラッシュとなってしまった。なお、それまでのポイントリーダーだった4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口 信輝/片岡 龍也組、YH)も19位に終わったため、ポイントリーダーには65号車 LEON CVSTOS AMGの2人が浮上することになった。

88号車 マネパ ランボルギーニ GT3(織戸学/平峰一貴/山西康司組、YH)
GT300クラス優勝、65号車 LEON CVSTOS AMG(黒澤治樹/蒲生尚弥組、BS)
GT300クラス2位、88号車 マネパ ランボルギーニ GT3(織戸学/平峰一貴/山西康司組、YH)
GT300クラス3位、87号車 ショップチャンネル ランボルギーニ GT3(細川 慎弥/佐藤 公哉/元嶋 佑弥組、YH)

 25号車のリタイヤ(実際には18位完走扱い)により2位に、3位に上がったのが88号車 マネパ ランボルギーニ GT3(織戸学/平峰一貴/山西康司組、YH)と87号車 ショップチャンネル ランボルギーニ GT3(細川 慎弥/佐藤 公哉/元嶋 佑弥組、YH)という2台のJLOCのランボルギーニ。4位には60号車 SYNTIUM LMcorsa RC F GT3(飯田 章/吉本 大樹組、YH)、5位には10号車 GAINER TANAX triple a GT-R(富田 竜一郎/吉田 広樹組、DL)がそれぞれ入った。

GT300クラス表彰台
GT300クラス結果
順位車番マシンドライバー周回数タイムタイヤウェイトハンデ
165LEON CVSTOS AMG黒澤治樹/蒲生尚弥1585:51'17.191BS54
288マネパ ランボルギーニ GT3織戸学/平峰一貴/山西康司1585:51'53.510YH8
387ショップチャンネル ランボルギーニ GT3細川慎弥/佐藤公哉/元嶋佑弥1585:51'54.150YH16
460SYNTIUM LMcorsa RC F GT3飯田章/吉本大樹1585:51'56.654YH18
510GAINER TANAX triple a GT-R富田竜一郎/吉田広樹1585:51'56.708DL10
651JMS P.MU LMcorsa RC F GT3中山雄一/坪井翔1585:51'57.913BS60
761SUBARU BRZ R&D SPORT井口卓人/山内英輝1585:52'00.319DL50
89GULF NAC PORSCHE 911ジョノ・レスター/峰尾恭輔1585:52'18.584YH38
911GAINER TANAX AMG GT3平中克幸/ビヨン・ビルドハイム1585:52'28.867DL70
1033D'station Porsche藤井誠暢/スヴェン・ミューラー1585:52'35.464YH40
117Studie BMW M6ヨルグ・ミューラー/荒聖治/アウグスト・ファルフス1585:53'21.510YH34
1252埼玉トヨペットGreenBraveマークX MC番場琢/脇阪薫一/密山祥吾1575:52'44.717YH
13111エヴァRT初号機 Rn-s AMG GT石川京侍/山下亮生/植田正幸1565:51'17.752YH
143B-MAX NDDP GT-R星野一樹/高星明誠1565:53'09.115YH28
1518UPGARAGE BANDOH 86中山友貴/川端伸太朗1555:52'02.174YH4
1650Ferrari 488 GT3都筑晶裕/新田守男1555:52'15.536YH30
17360RUNUP GT-R柴田優作/田中篤/青木孝行1555:52'45.514YH
1825VivaC 86 MC松井孝允/山下健太/近藤翼1545:43'03.571YH82
194グッドスマイル 初音ミク AMG谷口信輝/片岡龍也1535:52'17.970YH100
2035ARTO 86 MC 101N.ジャルーンスルカワッタナ/N.ホートンカム1485:52'00.976YH
2122アールキューズ SLS AMG GT3和田久/城内政樹1275:51'28.187YH
225マッハ車検 MC86 GTNET坂口夏月/藤波清斗/玉中哲二1195:52'44.717YH6
232シンティアム・アップル・ロータス高橋一穂/加藤寛規/濱口弘1165:53'04.191YH
2430TOYOTA PRIUS apr GT永井宏明/佐々木孝太1134:20'09.729YH
48植毛 GT-R高森博士/田中勝輝/影山正美1094:12'45.341YH
31TOYOTA PRIUS apr GT嵯峨宏紀/久保凜太郎863:11'33.078BS34
21Hitotsuyama Audi R8 LMSリチャード・ライアン/柳田真孝722:47'02.322DL2
26TAISAN SARD R8 FUKUSHIMA山田真之亮/ジェイク・パーソンズ/クリスチャン・クリエン471:59'55.784YH
55ARTA BMW M6 GT3高木真一/S.ウォーキンショー371:18'50.820BS76
117EIcars BENTLEY GT3井出有治/阪口良平291:01'36.609YH
GT300クラスドライバーランキング
順位車番ドライバー第1戦第2戦第3戦第4戦第5戦第6戦合計次戦ウェイトハンデ
165黒澤治樹/蒲生尚弥16614255252
24谷口信輝/片岡龍也20168155050
325松井孝允/山下健太821124141
455高木真一/ショーン・ウォーキンショー611213838
511平中克幸/ビヨン・ビルドハイム152033838
651中山雄一/坪井翔3205263636
761井口卓人/山内英輝152853030
89ジョノ・レスター/峰尾恭輔1111642323
933藤井誠暢2114322222
1088織戸学/平峰一貴4182222
1187細川慎弥/佐藤公哉/元嶋佑弥8132121
1260飯田章/吉本大樹36101919
1388山西康司181818
1431嵯峨宏紀/久保凜太郎15111717
157ヨルグ・ミューラー/荒聖治4851717
1650都筑晶裕/新田守男151515
1733スヴェン・ミューラー21121515
183星野一樹/高星明誠45231414
1910富田竜一郎/吉田広樹581313
2033アンドレ・クート444
215坂口夏月/藤波清斗333
2218中山友貴/川端伸太朗222
2321リチャード・ライアン/柳田真孝111