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スズキ、“軽ハイトワゴン最軽量”の850kgの車重とマイルドハイブリッドで燃費30km/L達成の新型「スペーシア」発表会

自信作の新型スペーシアで年末年始商戦のよいスタートを切りたいと鈴木社長

2017年12月14日 開催

新型「スペーシア」「スペーシア カスタム」発表会でスペーシア カスタムの前に立つスズキ株式会社 代表取締役社長 鈴木俊宏氏

 スズキは12月14日、ハイトワゴンタイプの新型軽自動車「スペーシア」「スペーシア カスタム」を発売。同日に都内で記者発表会を開催した。

スペーシア
スペーシア カスタム

 スペーシア、スペーシア カスタムは、2013年3月に先代モデルとなる「パレット」の後継モデルとして初代モデルが発売された軽自動車のハイトワゴン。価格はスペーシアが133万3800円~158万9760円、スペーシア カスタムが157万6800円~190万8360円。このほかスペーシア、スペーシア カスタムのグレード展開などの詳細は、関連記事の「スズキ、『スペーシア』をフルモデルチェンジ。『後退時ブレーキサポート』『ヘッドアップディスプレイ』軽初採用」を参照していただきたい。

これまでのスペーシアは「大きさのアピールが弱かった」と鈴木社長

スズキ株式会社 代表取締役社長 鈴木俊宏氏

 発表会では、最初にスズキ 代表取締役社長の鈴木俊宏氏が登壇。鈴木氏は「10月の東京モーターショーでは、スズキは『“ワクワク”を、誰でも、どこへでも』をテーマに、クルマとはなにか、乗り物とはなにかを考えました。そして数々のクルマを提案しました。その中で、軽ハイトワゴンに『ワクワク』と『安全性能』を盛り込んだモデルが『SPACIA CONCEPT』でした。おかげさまでショーの会場ではお客さまから大変な好評をいただきました。そのコンセプトモデルを、いよいよ本日、『新型スペーシア』としてご披露できる運びとなりました」と紹介。

 また、「新型スペーシアは両側スライドドアに広い室内空間を持ち合わせた軽ハイトワゴンの便利さに加え、『もっと楽しいクルマにしたい』『ワクワクするクルマにしたい』という思いで開発しました。乗る人みんなにワクワクしていただくためには、基本となるクルマの安全性が重要になります。新型スペーシアにはスズキの予防安全である『スズキ セーフティ サポート』をふんだんに盛り込みました。さらに今回、軽自動車初となる『後退時ブレーキサポート』やフロントガラス投影式の『ヘッドアップディスプレイ』『3Dビュー』という3つの安全装備も導入いたしました。このほかにも『衝突被害軽減ブレーキ』なども採用し、『サポカーS ワイド』に対応しております。そのような安全装備をベースに、個性的なデザイン、広い室内空間と利便性に優れたパッケージング、そしてそのなかに数々の装備を詰め込みました。さらに、低燃費に貢献する『マイルドハイブリッド』も全車に搭載しております」と鈴木氏は語り、装備面での魅力をアピール。軽ハイトワゴンの自信作である新型スペーシアを年末年始の商戦に投入し、よいスタートを切りたいと締めくくった。

「新型スペーシアは『もっと楽しいクルマにしたい』『ワクワクするクルマにしたい』という思いで開発した」と語る鈴木氏
スペーシア担当チーフエンジニア 鈴木猛介氏

 また、スペーシア担当チーフエンジニアの鈴木猛介氏からは具体的な製品解説が行なわれたほか、「私たちはどうすればお客さまにより豊かな生活を提供できるのか、スペーシアの利便性に加えて新型では何を提供できるかと考え、たどり着いたのはクルマの楽しさを磨き上げることでした。そのために導き出したキーワードは『ワクワク』です。新型スペーシアは“ワクワクや楽しさを詰め込んだ、家族や仲間と楽しく使える軽ハイトワゴン”をコンセプトに開発を行ないました」。

 また、新型スペーシアの商品特徴として鈴木チーフエンジニアは「軽自動車初の後退時ブレーキサポートなど充実した安全装備」「遊び心とワクワク感のある個性的なデザイン」「広い室内空間とスライドドアで利便性に優れたパッケージング」「乗る人全員が快適に過ごせるさまざまな装備」「モーターのみで走行できるマイルドハイブリッドの全車搭載」の5点を紹介した。

軽自動車初の装備となる後退時ブレーキサポートや歩行者も検知するデュアルセンサーブレーキサポートを備える「衝突被害軽減ブレーキ」を全車で標準装備
スズキの予防安全技術であるスズキ セーフティ サポートでは前後の誤発進抑制機能や車線逸脱警報機能、先行車発進お知らせ機能、ハイビームアシストなどを用意する
コンバイナを使わずフロントガラスに直接投影するカラー表示のヘッドアップディスプレイを軽自動車として初採用
ヘッドアップディスプレイにはエンジン回転数やマイルドハイブリッドのエネルギフロー、純正カーナビを使ったルート案内時の交差点右左折情報などをカラー表示
単眼カメラが認識した進入禁止の道路標識をヘッドアップディスプレイにも表示して、逆走事故などの発生を予防
「全方位モニター用カメラパッケージ」の表示内容に、発進時の周囲確認などをサポートする「3Dビュー」を追加。エンジン始動時などに自動起動して周辺状況をセンターコンソールのナビ画面に表示して、障害物などがないかチェックできる
視覚的に「大きさ感」を強調
内外装のデザインイメージは旅に出るときに使うスーツケース。家族や仲間と非日常のシーンを楽しみに出かける雰囲気を演出している
スペーシアのボディカラーバリエーション
スペーシア カスタムのボディカラーバリエーション
全高を先代から50mm高めたことから、室内高は35mm、室内幅は25mm、前後乗員間距離は10mm先代からアップしている
スライドドアの開口部を広げ、ステップの地上高を345mmに設定して乗降性を向上させた
強い気流でエアコンの冷暖房を後席まで届ける「スリムサーキュレーター」を一部グレードに搭載
エアコンルーバーを3段階に変化させ、効果的に身体に当てたり、拡散させて全体に効かせたりを調整できるようにした
リアシートの快適性を高める「ロールサンシェード」、使い勝手を高める「パーソナルテーブル」を用意
リチウムイオンバッテリーとISGを組み合わせて使うマイルドハイブリッドでは、バッテリーの大容量化、ISGの出力向上などによって「最長10秒のクリープ走行」が可能になった
ボディ剛性の確保と軽量化を両立させる「HEARTECT(ハーテクト)」、超高張力鋼板の採用拡大などで、車重は“軽ハイトワゴン最軽量”という850kg(HYBRID G 2WD車)を実現

 また、質疑応答では軽ハイトワゴンの市場が進捗しているなか、「N-BOX」や「タント」といったライバルに販売台数の面でこれまでスペーシアが後れを取ってきた理由の分析について質問され、鈴木氏は「軽ハイトワゴンといったところで、これまで『パレット』やスペーシアを投入してきたのですが、大きさといった部分のアピールが弱かったという点があったのかなと。また、デザインでだけではなくて、営業も含めた総合力での弱さといったところから他社さんに追いつけなかったのかと思っております。そうは言いながら、販売店さんの反応などを見ていますと、これまでもスペーシアでも『乗ってもらえれば勝てる』といえる性能を持っていたと思います。今回のフルモデルチェンジを機会に、大きさや見た目でも他社と同等になれたかなと思いますので、営業力やサービス力の強化と合わせてやっていけば、少しは近づいていけるんじゃないかと思っております」と回答した。

質疑応答で、これまでもスペーシアは「乗ってもらえれば勝てる」と言える性能を持ちつつ、「大きさといった部分のアピールが弱かった」と分析。全高をサイズアップさせた新型スペーシアで巻き返しを図っていく考えを述べた