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トヨタ、LINEの「Clova」アプリやオンキヨーの「AI スマートオートモーティブ」をSDL対応車載機でデモ

2018年2月26日~3月1日(現地時間) 開催

 トヨタ自動車は、2月26日~3月1日(現地時間)に行なわれた「MWC 2018」に出展し、同社やフォードなどが中心になって推進しているSDL(Smart Device Link)に準拠した車載情報システムのデモを行なった。

 SDLは、カーナビからスマートフォンのアプリケーションなどを利用するためのプロトコル(機器間などでデータをやりとりする際の手順のこと)で、SDLC(SmartDeviceLink Consortium)と自動車メーカーなどから構成されている業界団体により規格策定などが行なわれているものとなる。

 トヨタブースでは、トヨタが試作したSDL対応のカーナビに、LINEのAI音声認識機能となる「Clova」アプリ、およびオンキヨーが開発した「AI スマートオートモーティブ」を接続して音声で操作する様子が公開された。

自動車メーカー側がスマートデバイスとの接続方法を規定したSDL

 SDLは、元々はフォードが開発してきた「AppLink」がベースになっている。このAppLinkを発展させ、トヨタなどほかの自動車メーカーも合流して作られた標準の規格がSDLということになる。AppLinkというフォードのブランドを採用すると、ほかの自動車メーカーは使用できないため、SDLという名前が作られ、それが採用されることになった。

 ただし、自動車メーカーはSDLの規格に基づいたサービスであっても、SDLと呼ぶ必要はない。フォードはSDLに準拠したサービスをAppLinkというブランド名で呼称するし、ほかのメーカーも実際にサービスインする時にはやはり自社のブランド名を付けることになる。つまり、マーケティングや製品化は各々が行なうが、規格として仕様は統一しようというのがSDLの取り組みになる。

SDLの仕組み

 このSDLでは、車載情報システムとスマートデバイス(スマホやタブレット)がやりとりするプロトコル、さらにはスマートデバイスの回線を経由してクラウドにあるSDLのサービス用のサーバーとやりとりをするプロトコルが規定されている。これにより、アプリケーションがSDLに対応してさえいれば、OSはAndroidであろうが、iOSであろうが、なんであろうが利用することができるという、OSの仕様から独立していることが大きな特徴となる。

 また、車両側のリモコンを利用した操作のプロトコルなども規定されているので、例えば、車両側のハンドルについている「音声認識」のボタンを押すことで、SDLに対応した音声認識のソフトウェアで音声による検索が利用できるようになる。また、車載情報システムのタッチパネルのどこが押されたのかをアプリとやりとりすることも規定されているため、車載情報システムのディスプレイを利用してスマホのアプリを操作することが可能になる(ただし、そのアプリはSDLに対応している必要がある)。

 同じような仕組みとして、Appleの「CarPlay」、Googleの「Android Auto」などの規格があり、実際に車載情報システムの中にはCarPlayやAndroid Autoに対応しているものも増えてきている。それらとSDLの違いは、CarPlayにせよAndroid Autoにせよ、AppleやGoogleが車載側の仕様を決めてしまっているため、自動車メーカーが自由に機能を追加したりできないのに対して、SDLでは自動車メーカー側で機能を追加することができる。例えば、リモコンの使い方などはその最たる例で、CarPlayからSiriで検索する際に、ハンドルにある音声認識のボタンを利用してできないなどの制限を解消することが可能になる。

「鶏と卵」問題を解決するために、SDLCが結成されプロモーション中。LINEの「Clova」が車内で使える

 そうした特徴を持つSDLだが、その普及のためには、英語で「Chicken and Egg」、日本語で言えば「鶏が先か、卵が先か」という問題を解消する必要がある。つまり、SDLを利用するためには、スマホなどにアプリを提供するソフトウェアベンダにSDLに対応したアプリを作ってもらう必要があるが、そのためにはまず自動車メーカーがSDLに対応した車載情報システムを搭載した自動車をたくさん販売する必要がある。ところが、SDLに対応したアプリがあまりないため、自動車メーカーも自社の車載情報システムにSDLの機能を実装することをためらう……という堂々巡りを解消していく必要がある。

 このため、日本でも2017年10月末に行なわれた東京モーターショー2017でSDLの普及を目指すSDLCの日本分科会設立発表会が行なわれ(別記事参照)、トヨタだけでなく、日産自動車、スズキ、三菱自動車工業、マツダ、ダイハツ工業などの自動車メーカーが参加したことが明らかにされている。ほかにも、パナソニックなどの部品メーカー、LINEといったIT企業、オンキヨーなどのAVメーカーも参加しており、それぞれが協力して普及を目指す活動を行なっている。

トヨタ自動車のブースには「プリウス」が設置され、その中にSDL対応車載情報システムが展示されていた
展示に協力していたのはLINE、オンキヨー、KDDI、パナソニック

 今回トヨタのブースでは、そうしたSDLの活動を紹介する場となっており、SDLに対応した車載情報システムの試作品にスマホがUSBケーブルで接続されていた。そのスマホには、LINEのAI音声認識機能「Clova(クローバ)」とTomTomのナビゲーションアプリが導入されており、LINEのAI音声認識機能に関しては、日本語で試すことが可能になっていた。

「Clova」を利用したデモは、USBで接続されたスマホを利用して行なわれた
デモ環境のスマホにはLINEのClovaとTomTomのナビアプリが導入されていた

 LINEのClovaアプリは、アプリを起動してからハンドルに用意されている音声認識のボタンを押して、「ドライブに合う曲をかけて」と自然に話しかけると音楽が再生されるという、LINEが販売しているスマートスピーカー「Clova」の機能を、自動車の中で利用できるようになっていた。自動車の場合には運転しながら安全に使うという観点から、音声認識の機能は必須といえる。それをSDLとスマホで簡単に実現できるので、ユーザーメリットは小さくないといえるだろう。

Clovaを起動したところ
ハンドルにある音声認識のボタンを押すと音声認識が開始される
クルマに語りかけるようにして音楽をかけることができた
ClovaでできることLINEを読み上げたりもできる

オンキヨーは「AI スマートオートモーティブ」をデモ

 もう1つのデモはオンキヨーが試作した「AI スマートオートモーティブ」。AI スマートオートモーティブは、音声で検索や家電の操作などが可能になるスマートスピーカーの車載版。オンキヨー独自のAIを利用した検索が可能になっているほか、顧客が望めばAmazonの「Alexa(アレクサ)」やGoogleの「Google Assistant」にも対応させることができる。ノイズが多い車内で利用することが前提のため、マイクにはノイズを低減するノイズキャンセリング機能を搭載している。また、バッテリーを内蔵しており、出先で外に持ち出してモバイルスマートスピーカーとして使うこともできる。

オンキヨーの「AI スマートオートモーティブ」
MWC 2018のオンキヨーブースではブルー版が展示されていた

 また、SIMカードを搭載しており、Wi-Fiがない環境でもインターネットに接続できるようになっている。このため、SDLで車載情報システムと接続して利用することもできる。デモでは、Amazonの「Echo」(Alexaを利用したスマートスピーカー)などと同じように、「Hello BlueGenie」と話しかけることで、自然言語での検索や音楽の再生が可能になっていた。今回はグローバルイベントということで英語でのデモとなっていたが、もちろん日本語をはじめとしたほかの言語にも対応可能ということだった。

 なお、オンキヨーによれば、このAI スマートオートモーティブは自動車メーカーなどにOEM供給することを考えて開発しているということで、直接コンシューマに販売するという形ではない可能性が高いとのこと。このため、近い将来に自動車メーカーのメーカーオプションやディーラーオプションなどの形で市場に投入されることになりそうだ。

MWC 20118のホール8.1にあるトヨタ自動車のブース