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F1の新しいライブストリーミングサービス「F1 TV Pro」、14の国や地域でスタート
練習走行からプレスカンファレンスまで楽しめる。日本は対象外に
2018年2月28日 13:26
- 2018年2月27日(現地時間) 発表
メディア企業「Liberty Media」の子会社となるF1の運営会社「Formula One Group」は、2018 FIA F1世界選手権の新しいライブストリーミングサービスとして「F1 TV」の新しいサービスとなる「F1 TV Pro」を、14カ国を対象にスタートすると明らかにした。
F1 TV Proは、月額制のサブスクリプション形式のサービスで、地域により価格は異なるが月額8~12ドルに設定される予定。F1全戦の練習走行、予選、決勝、プレスカンファレンスの全てのセッション、そしてF1と併催して行なわれる「FIA Formula 2選手権」「GP3シリーズ」「ポルシェカップ」なども含めてCMなしに楽しむことができるほか、好みのドライバー2人のオンボードカメラを同時に表示したり、360度のオンボードカメラをVRで楽しんだりといった、ほかの配信サービスやTV中継にはないサービスも行なわれることが大きな特徴となっている。
F1ファンにとってはとても気になるF1 TV Proだが、残念ながら日本は対象外で、日本に関しては引き続きTV放送は「フジテレビNEXT」、ネット配信は「フジテレビNEXTsmart」か「DAZN(ダ・ゾーン)」を通じて放送されることになる。
月額8~12ドルでF1の全セッション、F2/GP3などを楽しむことができるF1 TV Pro
Formula One GroupはLiberty Mediaに買収されて以来、さまざまな新しい取り組みを行なっており、メディア配信の多様化にも積極的に取り組んでいる。Formula One Groupがインドの「TATA」と協力して構築してきたメディア配信の仕組みがOTT(Over The Top)プラットフォームで、これを利用してさまざまな形での配信が行なわれている。日本のファンにとってなじみ深いのは、「F1.com」やF1アプリ(AndroidないしはiOSなど)で、F1.comやアプリはこのOTTをベースに作られており、そのライブタイミングの機能を利用して、F1の生放送や近年レース終了後のハイライトの配信などを楽しんでいるユーザーも少なくないだろう。
Formula One Groupマーケティング部長 エリー・ノーマン氏は「我々はTATAとともにOTTの拡張を続けてきた。今回発表するF1 TV Proはそれをベースにコンシューマにさらによいサービスを提供するためのものだ」とその導入の目的を説明した。
F1.comやF1アプリは作成したアカウントでログインできるようになっており、有料プラン(サブスクリプション)を選択すると利用できる機能が増えるというのはF1ファンであればおなじみだと思うが、今回発表されたF1 TV Proはその最上位の有料プランと位置付けられている。価格は国や地域によって異なるが、月額8~12ドルに設定される見通しだ。
このF1 TV Proのサブスクリプションを契約すると、ユーザーは契約期間中に行なわれている、F1レース(練習走行、予選、決勝、記者会見)だけでなく、F2、GP3、ポルシェカップといったサポートレースなども含めてライブでストリーミング視聴することが可能になる。
視聴時には、TVと同じようなメインのカメラだけでなく、ドライバーのオンボード映像を流しっぱなしにすることもできる。最大で2人までのドライバーのオンボードカメラを表示できるほか、メインのカメラと好みのドライバーのオンボードカメラという組み合わせでの表示も可能になっている。利用できるデバイスは、Webブラウザ、AndroidやiOSなどのアプリなどになっており、1つの契約があれば、自由にデバイスを切り替えて楽しむことができる。
また、360度撮影が可能なカメラが、レース中に3台の車両に取り付けられ、それを利用して撮影された360度映像を、VR HMDを利用して楽しむことも可能になる。ただし、これは録画されたもののみで、ライブ中継時には利用することができないとのことだ。
2018年はF1 TV Proの対象地域に日本は含まれず、ライブタイミングのプランのみが引き続き提供される
こうして聞いているだけで、ぜひとも使ってみたい新サービスだが、Formula One Group デジタル&ニュービジネス事業部長 フランク・アートフォファー氏によれば「F1 TV Proを展開するのは14カ国になる予定」と述べ、全ての国や地域でサービスが行なわれるわけではないとした。
Formula One Groupのリリースによれば、ドイツ、フランス、アメリカ、メキシコ、ベルギー、オーストリア、ハンガリー、それにいくつかのラテンアメリカ諸国だという。残念ながらこの中に日本は含まれておらず、同じくF1チームの多くが本拠地を構えているイギリスも含まれていない。
日本などが含まれていない理由についてアートフォファー氏は「日本やイギリスなどでは、すでにTV放送やストリーム配信の事業者があり、それらの企業の権利を守るという観点からサービスを提供するのが難しい状況。もちろん未来永劫そういう状況が続くとは考えていないが、少なくとも今年に関してはサービスを提供する予定はない」と述べ、日本ではフジテレビNEXTによるTV放送、DAZNのようなストリーミング配信があるため、必要性が薄いことに加えビジネス的な観点から提供しないとした。
イギリスでサービスが提供されないのも同じような状況だからという。ただ、アートフォファー氏によれば、2017年までのF1.comやアプリ経由で提供していた低価格のサブスクリプションは引き続き提供される予定で、月額2~3ドル程度で2017年までと同じライブ配信や、ダイジェストの再生などのサービスは日本などのF1 TV Proのサービスが行なわれない地域でも楽しむことができるとのことだ。
個人的には、360度のVR映像や、好みのドライバーのオンボードカメラだけを再生する機能などを試してみたいところで、いろいろと権利的に難しいのは分かるのだが、ぜひ日本でもサービスインしてほしいところだ。