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ボルボ初のコンパクトSUV新型「XC40」発表会

「XC90はライオンで、XC40はブルドッグ」とチーフデザイナー ミッソーニ氏

2018年3月28日 開催

新型コンパクトSUV「XC40」の発表会がブランドコンセプトストア「ボルボスタジオ青山」で行なわれた

 ボルボ・カー・ジャパンは3月28日、同日に発売した新型コンパクトSUV「XC40」の記者発表会を、東京都港区北青山にあるブランドコンセプトストア「ボルボスタジオ青山」で開催した。

 発表会にはボルボ・カー・ジャパン 代表取締役社長の木村隆之氏に加え、ボルボ初のコンパクトSUVとなったXC40のエクステリアデザインを統括したボルボ・カー・グループ エクステリアデザイン部門 バイスプレジデントのマクシミリアン・ミッソーニ氏がプレゼンテーションを行ない、2018年欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したXC40の魅力について解説した。

 なお、新型XC40の価格やグレードなどに関する詳細は、すでに誌面掲載している関連記事「ボルボ、新開発プラットフォームに出力が異なる2種類の直4ターボエンジン搭載の新型『XC40』」を参照していただきたい。

ボルボ・カー・ジャパン株式会社 代表取締役社長 木村隆之氏
ボルボ・カー・グループ エクステリアデザイン部門 バイスプレジデント マクシミリアン・ミッソーニ氏
1月に300台限定で先行受注が開始され、すでに完売となっている新型XC40の「T5 AWD R-Design 1st Edition」。ボディサイズは全車共通で、4425×1875×1660mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2700mm
グレード名に「T5」と入るモデルに搭載される「B420」型の直列4気筒DOHC 2.0リッターターボエンジン。最高出力185kW(252PS)/5500rpm、最大トルク350Nm(35.7kgm)/1800-4800rpmを発生。トランスミッションは全車8速ATを採用する
20インチのアルミホイールと245/45 R20サイズのピレリ「P ZERO」タイヤはT5 AWD R-Design 1st Editionに標準装備。そのほかのグレードでもオプション装着が可能
「トールハンマー」と呼ばれるLEDデイタイム・ランニング・ライトを備えたLEDヘッドライトは全車標準装備
R-Designモデルは専用ブラックカラールーフによってスポーティテイストを表現。2WD(FF)モデルのT4とT4 Momentumには6万6000円高の「ホワイトカラールーフ」をオプション設定
ボンネットの助手席側に両面テープで貼り付けられた樹脂製のスウェーデン国旗のアクセサリーは、限定車であるT5 AWD R-Design 1st Editionでも初期納車分のオーナーズマニュアル内にひっそり忍ばせられたサプライズプレゼントとのこと
大きなサイズで被視認性を高めつつ、後方からひと目でボルボ車と分かるアイデンティティとしてデザインされているリアコンビネーションランプ
「T5」「R-Design」「AWD」のバッヂをリアハッチ右側に装着
ステージエリアで行なわれた新型XC40のアンベールシーン

新開発プラットフォーム「CMA」は電動化にもフレキシブルに対応

新型XC40のポジショニングなどについて解説する木村氏

 発表会では最初に木村氏が登壇。最初に会場となったボルボスタジオ青山について説明し、2017年10月にオープンしてからこれまでの5カ月で1万5000人以上が来場。想定以上の来場があり、日本におけるボルボのブランド認知向上に役立っていると語ったほか、この発表会をここで実施したのは、新型XC40のグローバル発表を行なったのがボルボ初のブランドコンセプトストアとしてイタリア・ミラノに建設された「ボルボスタジオ ミラノ」だったことから決定したと紹介した。

 また、木村氏は2017年について振り返り、2017年の1月には「90シリーズ」の「S90」「V90」「V90 クロスカントリー」の3モデル、さらに新世代の「60シリーズ」第1弾となる「XC60」を10月に導入して、これらの新商品が広く受け入れられ、日本、グローバル共に非常に好調となっているとアピール。とくに日本市場では対前年比130%の受注台数を記録し、「非常に嬉しい結果につながっております」とコメントした。

 新型XC40については、このモデルがカテゴライズされるSUVは日本とグローバルの両方で伸長しているホットな市場で、日本市場ではコンパクトSUVはまだモデル数が限られているものの、間違いなくSUVで最大のセグメントになっていくと確信していると木村氏は分析。また、新型XC40はボルボとして初めてのコンパクトSUVとなり、既存のXC90、XC60と合わせて新世代モデルの「XCシリーズ」でラインアップが完成。このラインアップについて木村氏は「いかにもボルボらしい」と表現。それぞれのモデルが価格やボディサイズで縦のヒエラルキーを構築するのではなく、デザインや乗り心地の違いにより、「重厚か軽快か」「フォーマルかカジュアルか」といったテイストごとに差別化され、横方向にラインナップを広げる存在になっていることを感じてもらいたいと語った。

ボルボはこの4年間、日本とグローバルの両方で右肩上がりの成長を続けている
日本のSUV市場は2013年からの5年間で販売台数が倍増。今後も成長していくホットな市場だと木村氏は説明した
同じボルボの「XCシリーズ」でも、3つのモデルで異なるキャラクターを持ち、横方向にラインナップを広げる存在になっているという

 木村氏は新型XC40のキーワードとして「Young at Heart」という言葉を使い、「このクルマに『Young at Heart』な方が乗っていただければ、本当に満足いただける1台になっているとわれわれは確信しています」とコメント。また、新しいXC40は新世代モデルとしてリリースしたXC90やXC60とは異なり、新開発のコンパクトカー向けプラットフォーム「CMA(コンパクト・モジュラー・アーキテクチャ)」を採用する第1弾だと説明。XC90やXC60で採用する「SPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー)」とはサスペンション形式などが異なっているが、大枠の考え方となるフィロソフィは全く同じであると述べ、SPA同様に「フロントの車軸中央からダッシュボードまでの距離が一定」「そのほかの高さ、横幅、長さなどはフレキシブルに対応可能」という2つの特徴を持っており、さらに今後のパワートレーン計画に対応可能として、とくに「ハイブリッド」「ピュアEV」といった電動化が成立するよう事前に盛り込まれたプラットフォームになっていると説明した。

新型XC40のキーワードは「Young at Heart」
コンパクトカー向け新開発されたプラットフォーム「CMA(コンパクト・モジュラー・アーキテクチャ)」は、既存のSPAと同じく電動化やデザイン要求などにフレキシブルに対応可能
新型XC40は3月に行なわれたジュネーブショーで、55年にわたる歴史を持ち、欧州で最も権威のある賞となっている2018年欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞。ボルボブランド初の受賞で、非常に嬉しい結果だと木村氏は紹介した

 これに加え、これまでにも日本のボルボとして約束しているように、主要な先進安全装備を全て標準装備して日本導入していると木村氏はアピール。さらにボルボ初の装備として、これまでのモデルでも採用してきた「CTA(クロス・トラフィック・アラート)」に、危険を検知した場合に自動停止する「オートブレーキ機能付CTA」を新型XC40全車で標準装備。「高速道路のサービスエリアなどで前方駐車して、バックで出ようとしたときにひやりとした経験が皆さんにもあるかと思います。以前のCTAはウォーニングだけでしたが、こちらでは場合によってオートブレーキを作動させ、衝突を防止する1歩踏み込んだ最新の安全装備になります」と木村氏は紹介した。

 最後に木村氏は「このクルマの売りは、なんといっても新しいテイストのデザインですので、本社からデザインのバイスプレジデントのマクシミリアン・ミッソーニに来てもらっています。彼にプレゼンテーションをバトンタッチして、デザインについての紹介を聞いていただきたいと思います」とミッソーニ氏を紹介してプレゼンテーションをバトンタッチした。

「オートブレーキ機能付CTA」の作動イメージ。これまでも行なってきた警告音による注意喚起に加え、オートブレーキの作動で衝突の危険性を低下させる

「生意気なブルドッグ」のイメージがXC40のフロントマスク

 デザイン解説を担当したミッソーニ氏は「私たちが『全く新しいものを造ろう』となったとき、常にトップダウンで考えるので大型のSUVから造ることになります。そのときにはいくつかの選択肢があって、デザイン上で、私たちが『ランゲージ』と呼ぶコンセプトを造り上げていくのです。それを中心にしていろいろなサイズを造っていくというのが通常になります。しかし、私たちはあえて違う方法をとりました。この会場にいくつかの靴を並べています。これで何を伝えたいのかと言えば、『90シリーズ』は非常に高価で豪奢な感じを持つ黒い革靴、『60シリーズ』はスウェードで全く違う世界を表現し、スタイルの違うタイプの人に向けた靴です。さらに下の『40シリーズ』は若さを出したもので、全く違うアプローチをとっています。『XC90』はデザインでも受賞したすばらしい製品です。しかし、私たちはこのように全く違うものを出しました。私たちのチームは、『XC40』というクルマを違うものとして造っていこうと決めたのです」とコメント。

「まず、明確なSUVのアイデンティティを持っていなければなりませんが、同時に若さ、男性的な強さも持たなければなりません。そして上にある2つのモデルの弟分になるのではなく、従兄弟のようなポジションになるべきだと設定しました。そして典型的なファミリーカーになってもいけません。それらを受けてデザインスケッチができ、デザインプロポーザーになり、最終的な提案書になったとき、ボルボのデザインランゲージで全く新しい表現ができたと誇りに思いました」とミッソーニ氏は語り、XC40のポジショニングについてあらためて紹介した。

XCシリーズの3モデルを靴に例え、価格やボディサイズではなく、用途やユーザーの好みで守備範囲を変えていることを表現
XC40のデザイン要素
XC40のデザインスケッチ
XC40のデザインプロポーザー

 また、デザインにあたって非常に注意したポイントとしてフロントマスクを取り上げ、ミッソーニ氏は「クルマの顔というのは自然から生まれることが多いのですが、私たちはXC90でライオンをモチーフにしました。自信にあふれた誇り高き動物、それをフロントマスクに選んだのです。では、ライオンをもっと小さくしたら? それは猫になりますが、猫ではダメだと考え、XC40では全く違う動物を選びました。路上を走るXC40を見たときにはイングリッシュブルドッグを思い出してください。この生意気なイングリッシュブルドッグのイメージこそが、XC40のフロントマスクを形作っているのです」とコメント。XC40のフロントマスクにイングリッシュブルドッグのイメージを与えていることを明かした。

フロントマスクのデザインについて、ミッソーニ氏はXC90はライオン、XC40はイングリッシュブルドッグをイメージしたと解説
「フロントマスクはクルマのアティチュード(態度)を表わす」と語るミッソーニ氏。前方に傾斜した「ネガティブグリル」はヘッドライト内にある「トールハンマー」と同様で、ボンネットは力強さを感じさせると説明する

 インテリアでは「3つのアイランド」をテーマにデザイン。さらにXC40では「SMART STORAGE」というキーワードを使って車内空間を設計。ノートPCやスマートフォン、ドリンクのボトル、ボックスティッシュ、サングラス、カード類など、ユーザーが日常的に持ち歩いて使う品々を、シートに座りながら届く位置に用意した多彩な収納スペースですっきりと収納。より日常生活に入り込むカジュアルなクルマであることが表現されている。

 このほか、内装の素材ではスカンジナビアンデザインのテイストとして、ドアトリムにフェルトを使っているほか、T4のダッシュボードに装着されたデコレーションパネルでは、ボルボの本社があるスウェーデン イエーテボリの地図をデザインに利用している。

両サイドのエアコン吹き出し口とセンターディスプレイを「3つのアイランド」としたインパネのデザインテーマ
デザインに使い勝手を融合させ、普段使いの品々を手の届く範囲に収納できる「SMART STORAGE」を実現
シート下にミニタブレットなどを収める引き出しを設定
「ワイヤレス・スマートフォン・チャージ」はInscriptionモデルに標準装備。そのほかのグレードでもオプション装着が可能
センターアムーレストの下にボックスティッシュも入る収納スペースを備え、その前方にダストボックスも用意する
柔らかく暖かみのあるフェルトをドアトリムに使用
T4のデコレーションパネルは「イエーテボリの地図」がデザインされている
Inscriptionモデルに標準装備される本革シートは、オキサイドレッド(左)やアンバー(右)も選択可能
T5 AWD R-Design 1st Editionのインパネ。本革巻/シルクメタルのステアリングはR-Design専用
12.3インチ・デジタル液晶ドライバー・ディスプレイは全車標準装備
メーターディスプレイの表示はドライブモードに合わせて4種類に変化する
オレンジ色のフロアカーペット&ドアトリムは2万5000円高でR-Designモデルにオプション設定
パドルシフトはR-Designモデルだけに装着される
フロントドアからスピーカーを廃し、ドアポケットを拡大して収納スペースに利用
リアドアにはドアスピーカーが装着される
フロントドアには小型のトゥイーターだけを設定し、ミッドスピーカーはインパネ中央に装着
低音を担当するウーファーは、エンジンルームとキャビンの間の空間をエンクロージャーとして活用する「エアウーファーテクノロジー」によってこの位置にレイアウトする
センターコンソールにはオープンスタイルのドリンクホルダーのほか、qi(チー)に対応するワイヤレス充電を設定
ワイヤレス充電の手前にあるわずかなスペースも、リッドを備えた収納スペースに活用している
センターアームレストの前方にリッド付きのダストボックスを設定。取り外し可能で大きな荷物の収納にも対応する
リアシートの座面横にも収納スペースを設定
R-Designモデルのシート表皮は専用ヌバック/ファインナッパレザーを採用
フロントシートはボタン操作で座面が前後にスライドするほか、運転席の下には収納スペースが設定されている
ラゲッジスペースは6:4分割可倒リアシートを前方に倒して拡大可能。ラゲッジスペースの右側に格納ボタンを設定する
フロアパネルは山折りにしてセパレーターとして利用できるほか、ヒンジ部分の突起にバッグなどが倒れないようにかけておくこともできる
フロアパネル下にサブトランクが設定され、取り外したトノボードを収納できるようになっている