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ボルボ初のコンパクトSUV新型「XC40」発表会
「XC90はライオンで、XC40はブルドッグ」とチーフデザイナー ミッソーニ氏
2018年3月29日 09:10
- 2018年3月28日 開催
ボルボ・カー・ジャパンは3月28日、同日に発売した新型コンパクトSUV「XC40」の記者発表会を、東京都港区北青山にあるブランドコンセプトストア「ボルボスタジオ青山」で開催した。
発表会にはボルボ・カー・ジャパン 代表取締役社長の木村隆之氏に加え、ボルボ初のコンパクトSUVとなったXC40のエクステリアデザインを統括したボルボ・カー・グループ エクステリアデザイン部門 バイスプレジデントのマクシミリアン・ミッソーニ氏がプレゼンテーションを行ない、2018年欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したXC40の魅力について解説した。
なお、新型XC40の価格やグレードなどに関する詳細は、すでに誌面掲載している関連記事「ボルボ、新開発プラットフォームに出力が異なる2種類の直4ターボエンジン搭載の新型『XC40』」を参照していただきたい。
新開発プラットフォーム「CMA」は電動化にもフレキシブルに対応
発表会では最初に木村氏が登壇。最初に会場となったボルボスタジオ青山について説明し、2017年10月にオープンしてからこれまでの5カ月で1万5000人以上が来場。想定以上の来場があり、日本におけるボルボのブランド認知向上に役立っていると語ったほか、この発表会をここで実施したのは、新型XC40のグローバル発表を行なったのがボルボ初のブランドコンセプトストアとしてイタリア・ミラノに建設された「ボルボスタジオ ミラノ」だったことから決定したと紹介した。
また、木村氏は2017年について振り返り、2017年の1月には「90シリーズ」の「S90」「V90」「V90 クロスカントリー」の3モデル、さらに新世代の「60シリーズ」第1弾となる「XC60」を10月に導入して、これらの新商品が広く受け入れられ、日本、グローバル共に非常に好調となっているとアピール。とくに日本市場では対前年比130%の受注台数を記録し、「非常に嬉しい結果につながっております」とコメントした。
新型XC40については、このモデルがカテゴライズされるSUVは日本とグローバルの両方で伸長しているホットな市場で、日本市場ではコンパクトSUVはまだモデル数が限られているものの、間違いなくSUVで最大のセグメントになっていくと確信していると木村氏は分析。また、新型XC40はボルボとして初めてのコンパクトSUVとなり、既存のXC90、XC60と合わせて新世代モデルの「XCシリーズ」でラインアップが完成。このラインアップについて木村氏は「いかにもボルボらしい」と表現。それぞれのモデルが価格やボディサイズで縦のヒエラルキーを構築するのではなく、デザインや乗り心地の違いにより、「重厚か軽快か」「フォーマルかカジュアルか」といったテイストごとに差別化され、横方向にラインナップを広げる存在になっていることを感じてもらいたいと語った。
木村氏は新型XC40のキーワードとして「Young at Heart」という言葉を使い、「このクルマに『Young at Heart』な方が乗っていただければ、本当に満足いただける1台になっているとわれわれは確信しています」とコメント。また、新しいXC40は新世代モデルとしてリリースしたXC90やXC60とは異なり、新開発のコンパクトカー向けプラットフォーム「CMA(コンパクト・モジュラー・アーキテクチャ)」を採用する第1弾だと説明。XC90やXC60で採用する「SPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー)」とはサスペンション形式などが異なっているが、大枠の考え方となるフィロソフィは全く同じであると述べ、SPA同様に「フロントの車軸中央からダッシュボードまでの距離が一定」「そのほかの高さ、横幅、長さなどはフレキシブルに対応可能」という2つの特徴を持っており、さらに今後のパワートレーン計画に対応可能として、とくに「ハイブリッド」「ピュアEV」といった電動化が成立するよう事前に盛り込まれたプラットフォームになっていると説明した。
これに加え、これまでにも日本のボルボとして約束しているように、主要な先進安全装備を全て標準装備して日本導入していると木村氏はアピール。さらにボルボ初の装備として、これまでのモデルでも採用してきた「CTA(クロス・トラフィック・アラート)」に、危険を検知した場合に自動停止する「オートブレーキ機能付CTA」を新型XC40全車で標準装備。「高速道路のサービスエリアなどで前方駐車して、バックで出ようとしたときにひやりとした経験が皆さんにもあるかと思います。以前のCTAはウォーニングだけでしたが、こちらでは場合によってオートブレーキを作動させ、衝突を防止する1歩踏み込んだ最新の安全装備になります」と木村氏は紹介した。
最後に木村氏は「このクルマの売りは、なんといっても新しいテイストのデザインですので、本社からデザインのバイスプレジデントのマクシミリアン・ミッソーニに来てもらっています。彼にプレゼンテーションをバトンタッチして、デザインについての紹介を聞いていただきたいと思います」とミッソーニ氏を紹介してプレゼンテーションをバトンタッチした。
「生意気なブルドッグ」のイメージがXC40のフロントマスク
デザイン解説を担当したミッソーニ氏は「私たちが『全く新しいものを造ろう』となったとき、常にトップダウンで考えるので大型のSUVから造ることになります。そのときにはいくつかの選択肢があって、デザイン上で、私たちが『ランゲージ』と呼ぶコンセプトを造り上げていくのです。それを中心にしていろいろなサイズを造っていくというのが通常になります。しかし、私たちはあえて違う方法をとりました。この会場にいくつかの靴を並べています。これで何を伝えたいのかと言えば、『90シリーズ』は非常に高価で豪奢な感じを持つ黒い革靴、『60シリーズ』はスウェードで全く違う世界を表現し、スタイルの違うタイプの人に向けた靴です。さらに下の『40シリーズ』は若さを出したもので、全く違うアプローチをとっています。『XC90』はデザインでも受賞したすばらしい製品です。しかし、私たちはこのように全く違うものを出しました。私たちのチームは、『XC40』というクルマを違うものとして造っていこうと決めたのです」とコメント。
「まず、明確なSUVのアイデンティティを持っていなければなりませんが、同時に若さ、男性的な強さも持たなければなりません。そして上にある2つのモデルの弟分になるのではなく、従兄弟のようなポジションになるべきだと設定しました。そして典型的なファミリーカーになってもいけません。それらを受けてデザインスケッチができ、デザインプロポーザーになり、最終的な提案書になったとき、ボルボのデザインランゲージで全く新しい表現ができたと誇りに思いました」とミッソーニ氏は語り、XC40のポジショニングについてあらためて紹介した。
また、デザインにあたって非常に注意したポイントとしてフロントマスクを取り上げ、ミッソーニ氏は「クルマの顔というのは自然から生まれることが多いのですが、私たちはXC90でライオンをモチーフにしました。自信にあふれた誇り高き動物、それをフロントマスクに選んだのです。では、ライオンをもっと小さくしたら? それは猫になりますが、猫ではダメだと考え、XC40では全く違う動物を選びました。路上を走るXC40を見たときにはイングリッシュブルドッグを思い出してください。この生意気なイングリッシュブルドッグのイメージこそが、XC40のフロントマスクを形作っているのです」とコメント。XC40のフロントマスクにイングリッシュブルドッグのイメージを与えていることを明かした。
インテリアでは「3つのアイランド」をテーマにデザイン。さらにXC40では「SMART STORAGE」というキーワードを使って車内空間を設計。ノートPCやスマートフォン、ドリンクのボトル、ボックスティッシュ、サングラス、カード類など、ユーザーが日常的に持ち歩いて使う品々を、シートに座りながら届く位置に用意した多彩な収納スペースですっきりと収納。より日常生活に入り込むカジュアルなクルマであることが表現されている。
このほか、内装の素材ではスカンジナビアンデザインのテイストとして、ドアトリムにフェルトを使っているほか、T4のダッシュボードに装着されたデコレーションパネルでは、ボルボの本社があるスウェーデン イエーテボリの地図をデザインに利用している。