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【SUPER GT開幕戦 岡山】「GT500はDTMクラス1規定の統合を経て世界選手権化を目指す」と、GTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏

F1のグリッドガール廃止についてもコメント

2018年4月8日 決勝

SUPER GTを運営するGTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏

 SUPER GTの開幕戦となる「2018 AUTOBACS SUPER GT Round 1 OKAYAMA GT 300km RACE」が、岡山国際サーキットで4月7日~8日の2日間にわたり開催されている。4月8日の14時40分にスタートが予定されている決勝レースに先立って、SUPER GTのプロモーターであるGTアソシエイション(以下GTA) 代表取締役 坂東正明氏による定例会見が行なわれた。

GT500はDTMとのクラス1規定の統合を経て、最終的には世界選手権化を目指す

司会:では冒頭に坂東代表から一言

坂東氏:今回は開幕戦ということで、岡山国際サーキット側も(サーキット)ビジョンを変更したり、お客様を向かい入れる体制の細かなところを調整したりしながらやってくれている。駐車場などには引き続き課題があるので、レース後に今後向けて話し合いながらやっていきたい。

──今後のGT500の車両規則の方向性に関して教えてほしい。

坂東氏:どこに将来像を置くのかというのがあって、最終的な目標は世界選手権の実現。そしてその途上にDTMとのファイナルレースの開催、ドイツとの規則統合によるクラス1を世界選手権化していきたい。そしてそのクラス1がGT300と混走しているのが、SUPER GTになる。

 海外のマニファクチャラーにとってはワークスとなり、コストを削減することが重要になる。特にDTMは今年(2018年)の末でベンツが終了になるので、アウディとBMWが継続性をもってやるか、新しいブランドで台数を増やすのかということを検討している。

 特に重要になってくるのはコストだ。アウディがLMP1を終了した後、多くのエンジニアが空力の開発を風洞を利用して行ったが、既に規定で限られたところしか開発できないのだが、去年アウディがDTMでチャンピオンを獲ったのはそれが影響していると考えられている。そうした背景もあり、コスト削減を行うには空力を一定にしないといけない。サイドステップ、フロントリアまでをオッケーにしているが、SUPER GTではそれにもう少し加えているが、SUPER GTとDTMでファイナルをやるなら、その時には1つ(の規定)でやりましょうという話になっている。エンジンも空冷チェンバーを含めてプラスαを認めているが、ファイナルをやるときにそれを外すということだ。

 SUPER GTの中ではGT3などのGT300との併催が受けているし、ガチンコの勝負が面白いということなのだからそれは今後もコストを抑えながら継続して行っていく。

──今年からスポーティングレギュレーションが変わった。主だったところについて説明してほしい。

坂東氏:GT500では、ハンデウェイトが増えたときに燃料リストリクターに置き換えるのを、今年はもう1段階ずつ下げる方向で調整した。車速的にGT300も早くなっているけど、従来は95だったのを91に引き下げている。サーキットでのコーナーの速度はトルク、最高スピードなど様々なパラメータがあり、必ずしも全開のコーナーばかりではない。このため、燃料リストリクターを絞ってもあまり効果がでないサーキットも少なくなかった。そこで、もっとハンデをつけるという意味で、早く結果が残っているところに対するハンデを強化した形。

 もう1つのポイントは、Q2(予選2回目)の時間を短くした。これまでお客様が待っているのにチームの戦略で残り3~4分にならないとでていかないということが合ったので、短くした。昨日の予選を見ていても、ずっと走らないと暖まらない人あり、NSXはミッドシップで暖まりが早かったけど、レクサスは暖まりがちょっと足りないうちに終わってしまった。今後路面状況などによって変わってくると思うが、お客様から見た状態で緊迫した予選を堪能してほしい。

 そしてこれはスポーツランドSUGOのレースで行なわれる予定だが、コース上が混雑しておりクリアラップをとれない状況があるので、時間を分けて行なう。SUPER GTは2人のドライバーの合算ではないが、コース上の問題でクリアラップがとれない状況があるのでこうすることにした。

──今シーズンは、ジェンソン・バトン選手のフルシーズン参戦がファンにとって大きな話題となっている。合同テストの段階でもお客様がたくさん来ていたが、これを起爆剤に何かをやる予定などはあるか?

坂東氏:国内外でバトン選手の参加は大きな話題になっている。そこは元F1チャンピオンということで、ホンダさんにもご配慮いただいていると理解している。これは世界が認めるレースとなることへの起爆剤として大きい。それを目当てにたくさんのファンの皆様にご来場いただけるのはありがたいところだが、ピットウォークやグリッドウォークに対してのセキュリティは強化しないといけないと考えている。例えば100番がポールを獲った時に、挨拶の時のスタンドへの呼び込みするときにセキュリティ的に導線をどうひっぱるかなどに、ドライバーを守るということだけでなく、お客様の安全を確保するということに不安があるので、検討していかないといけない。

──スポーティングレギュレーションにも調整が入り、フォーメンションラップ時の整列などを行なうことになっている。

坂東氏:フォーメーションラップの整列に関しては、テストで既に2回やっているが、まだまだバラバラになってしまっている。富士のテストではようやく綺麗に並ぶようになっている。本番でどこまでできるか、今日のスタートでクリアなスタートになってほしい。NASCARのようにまでは言わないが、それなりの形でやってほしいと願っており、この形になった。

──ドライバーブリーフィングでは自分のグリッドマークを通過するようにと言われたと聞いているが?

坂東氏:そうだ。

──今年でGT25周年を迎えることを考えての、何か花火を考ているのか?

坂東氏:あまり花火を上げるつもりはない。26周年ということもあるけど、私がこのシリーズを運営するようになって去年で10年となって、今後10年をどうするかを常に考えている。25年と言えば、家族で来ていたファンのご家庭ではお子様が免許を取って結婚し、新しい家族を構成する時間。次の世代のことを考えると、そうした家族が新しくできたときに、自分の父親母親といったレースが楽しかったから、また新しい家族とも行こうと考えてくれることが大事。それが繰り返していくことで、そこに夫とが集まり、メーカーが来て、産業ができて、チームのビジネスが成立していく。それを次の10年も同じように考えていきたい。

 レース業界も若い者がなかなか入ってこなくてという声を聞くことが多いが、それは若い者が入ってくる体制を作れていないということだ。若い者が入ってくるには、ビジネスとして成り立って家族を養っていけるという体制を作れなければ入ってきてくれない。そうしたチーム、35チーム40台すべてが経営として成り立つ方針方向を考えていかなければ、プロモーターとしての存在意義がない。そうしたみんながここに入ってくる基盤を作って行かなければ、文化も歴史も作れない。

 我々が作ろうとしているのは、モータースポーツとしての産業。それを作ることで日本の中で認められ、世界で認められる。SUPER GTが面白いのはそれがコンペ(競争)の環境で行われており、負けた企業も翌年も予算を持って出てくる環境が空き上がっている。それが維持できる間はコンペでやりたい。もちろんそれが難しくなれば方針転換もあり得るが、それが楽しいレースだと成り立っているならそれを継続していきたい。そしてこれに関わる上場企業の株価が1円でもあがるようにしていきたい。

──それはGTAが上場することか?

坂東氏:上場はいつでもできるが、そうではなくてスポンサーや関係企業の株価があがることが大事だということ。スポンサーの株価が1円でも上がれば、宣伝経費として継続して投資できる環境になるからだ。

場外駐車場の問題は今後も継続的にサーキット側と検討していきたいと坂東代表

──SUPER GTのアプリによるライブタイミングはiOS版が用意されているが、Android版はない。今後対応する予定はあるか?

GTA事務局:仕組み的にはAndroid版もできないわけではないが、モバイルサイト向けのライブタイミングがあるので、それを利用できるようにしていきたいと考えており、今後検討していきたい。現時点では決定したことはない。

──オートポリスの復興も大分進み、今年は全部のサーキットがノーマル状態で開催できるようになる。それについて。

坂東氏:オートポリスの施設の改良に関しては、ストレートのピットとは反対側がスタンドになればいいと思ったのだが、従来のガラス張りの部屋が直されてということになった。今後パドックへの導線など検討したい。

 復興に関してはGTAとしても協力してきたが、現地に直接モノを届けることができないなどもあり歯がゆい部分もあった。今後災害時に協力をするときにはもっと現場に近い援助ができないかということを検討していきたい。

──岡山国際サーキットは場内の駐車場が限られた状況があり、多くのお客様が場合によってはかなり遠い場外駐車場を利用しなければいけないことがある。来年に向けてそれを改善する計画はあるか?

坂東氏:我々が解決できる問題ではなく、サーキットやオーガナイザーに働きかけている。来年はグランドスタンド裏の空きスペースをさらに駐車場にしたり、裏ストレートの山側を削って新しい駐車場を作ろうという計画があると聞いてている。それにより数百台分を増やすことができる。

 もう1つは場外駐車場への誘導に関しても改善すべき点があると考えている。基本的に場内駐車場は前売りの駐車券をお持ちのお客様でいっぱいなのだが、それを知らないお客様も来てしまってということが少なくない。そこで、現在どこの場外駐車場が開いていて、そこに何台の空きがあるのかなどをわかるようにする仕組みが必要だ。さらにシャトルの効率を現在よりもよくして、その導線も改善していく必要がある。

──DTMなどではVIPのお客様がクルマを場外において、その替わりメーカーなどが走らせるシャトルを利用しているという状況がある。それらを参加している自動車メーカーと協力してやる予定は?

坂東氏:トヨタ、ニッサン、ホンダの自動車メーカーや外資メーカーと相談して、場所を決めてやろうという話は常にしている。オーガナイザーと自動車メーカーが経費の分担をして運ぶということをやったらどうかという話をしているのだが、なかなか賛同を得られていない状況。そこで、例えばゴルフカートを持ってきて、それで朝から晩まで行ったり来たりするなどを検討したりしている。

──F1ではグリッドガール廃止という議論があったが……、GTAの見解は?

坂東氏:F1のグリッドガールというは、プロモーターなりオーガナイザーが用意している。そこで、欧米では女性に対する差別という議論があって、それはやめようという議論になったのだと理解している。

 だが、我々のレースでのレースクィーンは、チームがそれぞれ用意しているタレントだ。そのレースクィーンをやっている自分たちの自負を持ってビジネスとしてやっている。もちろんプロモーターとして(行き過ぎがないように)過度な露出は制限しているし、それぞれの女性が誇りをもってプロダクションに入って職業として選ばれていると理解している。

──ローリングスタートについて、SUPER GTでもスタンディングスタートを検討したりはしていないのか?

坂東氏:今のところない。

──場外駐車場が増えたというのは来場者が増えたということか?

坂東氏:一つには路駐をする人がたくさんいて、「お巡りさん」から申し入れがあったりしたことが影響している。ただ、お客様の利便を考えればもっと増やさなければいけないという話をしているのだが、この周りだとどうしても遠くなってしまうため、シャトルの利便性を上げるなどを検討しないといけない。しかし、1年に1回のレースでもあるので、多大なコストになってしまうと今度は成立しなくなる。そこをオーガナイザーに理解してもらいながらやっている。