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【SUPER GT第2戦 富士】「NSXが調子いいからと言って、ミッドシップハンデを見直したりということはしない」とGTアソシエイション 坂東代表

8月開催の「SUZUKA 10H」との関係性も解説

2018年5月4日 開催

GTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏

 SUPER GTの第2戦「2018 AUTOBACS SUPER GT Round 2 FUJI GT 500km RACE」が、5月3日~4日の2日間にわたり富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で開催されている。決勝レースが行なわれる5月4日には、SUPER GTのプロモーターとなるGTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏による定例会見が行なわれた。

 この中で坂東代表は、開幕戦のGT500クラスでホンダの「NSX-GT」が優勝したことで、2017年に見直された「ミッドシップハンデ」を再び見直す可能性があるのかという質問に対して「そうした性能調整は車両に対して行なっているのではなく、技術に対して行なわれている。3メーカー合意で決めていることだ」と述べ、ある特定のレースやシリーズでホンダが調子よくなってきたらといって、それを見直すということではないと説明した。

ホンダのNSX-GTが調子よくなってきたから、ハンデをもう1度見直すという考えはないと坂東代表

――では、冒頭に坂東代表から挨拶を

坂東代表:昨日は午前中の雨と霧でスケジュールを大幅に変えなければいけなかったが、チームも競技運営側も機敏に動いていただき、対応することができた。こういう形もやり方によってはありだと思った。その反動か、今日は入場者数の方も増えており、8時~9時ぐらいで(富士)霊園の方まで渋滞が発生したが、すでに状況は落ち着いてきている。敷地内に滞留している車両で場内はいっぱいになっており、これから来場していただくお客さまに関しては場外をご案内している状態。これから午後に向けて、お客さまに楽しんでいただくさまざまなイベントを用意し、お客さまにお楽しみいただき、レースを迎えたい。

――岡山のスタートでは、パレードラップ時のちょっとした混乱とスタートに2台がペナルティを受けるなどの混乱があったが?

坂東代表:パレードラップの時にGT300のポルシェがスピンしてしまった。そのままフォーメーションラップに入ると追いついてしまうという状況だったので、否応なく全車を止めるということを行ない、パレードラップなのでポルシェがGT300の隊列の元の位置に戻るまで待機した。本来であれば右側にGT500、左側にGT300という整列だったはずだが、GT500が前に行き、GT300が後ろという流れになってしまったのでいったん止めた。岡山のレースでは場内放送を聞いていた人は分かっていたが、他のお客さまには「何でセーフティカーが?」ということが起きてしまっていた。

スタートに関しては、グリーンランプが点いたらアクセル全開という指示を、その都度審査委員会に呼んで手順を説明している。それなのに、グリーンランプが点いたのに、アクセルコントロール車両があり、数台が前のクルマを抜いてしまう状態が発生してしまった。これはローリングスタートでクリアな状態、きれいなスタートを見せたいということでやっており、もちろんスタートでの真剣勝負ということもあるが、今後も「グリーンランプが点いたらアクセル全開」、これを徹底していきたい。

――開幕戦でGT500はNSX-GTが優勝、GT300ではマザーシャシー優勢となっていたため、BOP(Balance Of Performance:性能調整)の見直しをという声もあるようだが

坂東代表:GT500に対してのミッドシップハンデに関しては、特に見直しなどは考えていない。ホンダのエンジンも速くなっており、そうした要因で岡山での勝利があると考えている。本来であれば「14年規定」でFRと規定したが、レクサス、日産、ホンダという日本の3強が参加するという話の中で、3メーカーの合意の下でこのハンデを規定しており、現状では3メーカー均等だと考えている。

GT300に関してはマザーシャシー、JAF-GT300、そしてFIA-GT3とあり、SROにFIA-GT3とのBOPを任せているが、決して簡単ではない。特にマザーシャシーに関してはチームの知恵で速さが改善していったりもあるので、パワーウェイトレシオなどからBOPを作ってほしいと審査委員会に常々言っている。クルマを作っていけることがマザーシャシーの特徴であるので、例えば空力はローダウンフォース仕様、ハイダウンフォース仕様などの2つに限定して、それをベースにBOPをかけて、性能調整を行なっていく。例えば、スバルはGT3でも導入されているようなブーストコントロールを行なっており、それもそれぞれ定義しながらやっている。

いずれにせよBOPは非常に難しく、欧州との違いとしてタイヤもコンペ(競争環境)にあるなど、SROも苦労しながら性能調整している。

――この8月に開催される「SUZUKA 10H」の開催概要が発表された。GTアソシエイションとしてのSUZUKA 10Hへの取り組みは?

坂東代表:SROとも協力して、SUPER GTのGT300クラスのチームから11台(参戦)でこれからも増える可能性があり、チームによってはSUPER GTの車両とは違う車両で参加する。SUZUKA 10Hではわれわれのシリーズとは異なり、ピレリのワンメイクタイヤを履くので、そこと各チームのスポンサーとの絡みはあるとは思うが、それはそれ、これはこれという考え方が普及するといいのではないかと思っている。

――ミッドシップの性能調整に関してもう少し詳しく教えてほしい

坂東代表:ミッドシップの性能調整は、技術的なものに対する性能調整だと理解してほしい。車両の構成、ねじり剛性などを計測して、3メーカーの合意で技術的な観点から決定した。それを「レースでこうだったから、こうする」ということをするつもりはない。それはきちんと一般の方にも説明できるものであるべきで、きちんとした見解を持ってやらないといけない。

――ITR(DTMの運営団体)のゲルハルト・ベルガー氏が、DTMでメルセデスが撤退した後、現在メルセデスを走らせているHWAなどが独立チームとして独自車両で参戦する可能性に言及していたが、SUPER GTでそういった可能性は?

坂東代表:2014年から共通シャシーということで、例えば1シーズン使えるプロペラシャフトなどの部品は向こうに送ったり、共通部品をお互いに使っている。そうした中で、HWAが独立チームで参戦するとしても、量産車との連携がない車両というものではないと理解している。われわれがDTMと一緒に目指しているのは、どこのマニファクチャラーであっても比較的容易に参戦できるように、共通部品を提供し、その上に載せるものを作れば比較的簡単に参戦する仕組みだ。例えば、HWAが作って参戦するとすれば、それをわれわれや、今いるマニファクチャラーが受け入れられるものなのか次第だろう。

――最後に坂東代表からひと言お願いしたい

坂東代表:午前中の集客が高く、嬉しく思っている。そうした多くのお客さまにいいレースを見せようと思っている。正直、健二(筆者注:山田健二氏。6号車を走らせるチームルマンのエンジニアで先週末に急逝)を失ったことは苦しい。その中で、各チームが今後若手を育成していくことは重要だと考えている。チームが法人として安定して、社会保険に入りながら、しっかりとした経営ができる環境を作らないといけない。GTアソシエイションもそこに協力しながらスポーツの根底をしっかり作り、スポンサーに対してもきちんとそれをアピールしていかなければいけない。それがモータースポーツの発展につながっていく。今回のレースでは6号車には頑張ってほしいし、いいレースを見せて健二にGTレースはこうだと言いたい。