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【SUPER GT開幕戦 岡山】ツノが生えても17号車 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/小暮卓史組)がGT500を優勝。2位は100号車 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/ジェンソン・バトン組)

GT300は18号車 UPGARAGE 86 MC(中山友貴/小林崇志組)が優勝

2018年4月8日 決勝

ゴールした直後の17号車 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/小暮卓史組)。フロントグリルに他車のパーツが突き刺さり、ツノの生えたユニコーンのようになっている

 SUPER GTの開幕戦となる「2018 AUTOBACS SUPER GT Round 1 OKAYAMA GT 300km RACE」が、岡山国際サーキットで4月7日~8日の2日間にわたり開催された。4月8日の日曜日には決勝が行なわれ、GT500はポールからスタートした17号車 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/小暮卓史組、BS)が優勝した。2位にはこのレースからSUPER GTにフル参戦するジェンソン・バトン選手がドライブする100号車 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/ジェンソン・バトン組、BS)が入り、ホンダは1-2フィニッシュを果たした。

 一方GT300は18号車 UPGARAGE 86 MC(中山友貴/小林崇志組、YH)が、同じマザーシャシー86同士の死闘を制して優勝した。

観客に向けてシーズンインの挨拶を行なう株式会社GTアソシエイション 坂東正明氏
ドライバー紹介がピットレーンで行なわれた
今回もパレードラップの先導は岡山県警の白バイ隊が務めた、安全運転を観客にアピール
グリッドウォーク中には参加の警察官による記念撮影も行なわれた
セーフティーカー
岡山国際サーキットのサーキットクィーン
今回の注目の的だったジェンソン・バトン選手
競合メーカーのマスコットキャラクターであるはずの「レクサス くま吉」に絡まれるジェンソン・バトン選手。バトン選手は、さすが世界チャンピオンというあしらいを見せた
世界チャンピオンにも恐れず絡んでいく「レクサス くま吉」、なかなかデキル子だ
メカニックと真剣な顔をしてマシンを見たり、笑い合うバトン選手、どんなシーンでも絵になる
パレードラップ
2018 AUTOBACS SUPER GT Round 1 岡山国際サーキット
スタッフと勝利を喜ぶ塚越広大選手
ツノが生えてユニコーン状態となった17号車とともに。左から塚越広大選手、金石勝智監督、小暮卓史選手
非常に珍しい状態での勝利
ツノが生えたNSX-GTの高解像度画像(1920×1280ドット)。勝利を塚越選手と祝うため駆け寄ろうとしたGT300クラスの小林選手も、ツノを避けつつ近寄ることに。無事に2チームで勝利を祝うことができた
観戦に訪れた本田技研工業株式会社 八郷隆弘社長(中央、後ろ姿)に、「八郷社長に勝利をプレゼントできました」と報告した塚越選手
NSX-GTが1-2フィニッシュ。表彰台にドライバーが登場するのを待つHonda首脳陣。中央が八郷社長
GT500クラスの表彰台
17号車 KEIHIN NSX-GTが装着するブリヂストンのスタッフとも勝利を喜び合う

ツノが生えてユニコーンとなった17号車 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/小暮卓史組)が優勝したGT500

GT500を優勝した17号車 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/小暮卓史組、BS)

 GT500のスタートは比較的平穏になるかと思われたが、いきなり順位はバラバラになった。新しい整列スタートで、得した人と損した人に分かれる展開となった。ポールポジションからスタートした17号車 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/小暮卓史組、BS)は順位を守って1コーナーに入ったものの、2つ目のコーナーを回ってみると、2位に上がってきたのは予選ではQ2へと進んだものの、レインタイヤがうまく合わなかったのか、タイムを出せずに8位に沈んでいた23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI)。23号車は1コーナーを大外から回って、一気に6台抜きで2位に浮上したのだ。逆にこのスタートで損をしたのは、予選2位からのスタートになった8号車 ARTA NSX-GT(野尻智紀/伊沢拓也組、BS)は大きく順位を下げ、レースが落ち着いて見ると、10位まで順位を下げてしまっていた。

 その後レースは、トップを走る17号車 KEIHIN NSX-GTと2位を走る23号車 MOTUL AUTECH GT-Rのマッチレースになった。その後ろ3位には24号車 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/高星明誠組、YH)が続いていたが、21周目に徐々に順位を上げてきた1号車 KeePer TOM'S LC500(平川亮/ニック・キャシディ組、BS)が24号車をオーバーテイクして3位に上がることになった。その勢いで1号車は、2位を走る23号車 MOTUL AUTECH GT-Rに迫る展開となり、4位の24号車を含めて3台でのレースになった。

だが、24周目にスタートでジャンプアップしたと思われていた23号車 MOTUL AUTECH GT-R、24号車 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-Rの2台にジャンプスタートとの裁定が下り、2台はともにピットスルーペナルティを受けどちらもGT500のほぼ最後尾まで順位を下げることになってしまった。

 これでレースは30周を前にしてトップを走る17号車 KEIHIN NSX-GT、23号車、24号車のペナルティで2位に上がった1号車 KeePer TOM'S LC500、3位の6号車 WAKO'S 4CR LC500(大嶋 和也/フェリックス・ローゼンクヴィスト組、BS)、そこから若干間をおいて4位の3号車 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(本山哲/千代勝正組、MI)、5位に38号車 ZENT CERUMO LC500(立川祐路/石浦宏明組、BS)という展開になった。

 トップを走る17号車 KEIHIN NSX-GTと2位の1号車 KeePer TOM'S LC500の差が詰まったのは33周目、1秒以内の差で追い上げており、毎ラップ緊迫したトップ争いが展開された。35周目のマイクナイトコーナー(バックストレート終わりのコーナー)で、1号車を操るニック・キャシディー選手がコーナーでインに入るが、17号車を操る小暮卓史選手はアウトを大回りで回り、次のコーナーでインを取り、順位を守った。こうした熱い攻防が毎ラップ繰り広げられた。

 その勝負に決着がついたのは37周目。同じマイクナイトコーナーで1号車が17号車のインに入り、アウト側の17号車に体当たりを結構。これで17号車がふらついている間に1号車がトップに立った。その後、41周目に17号車が先にピットイン。速い作業で送り出したものの、コースに戻ってみると、100号車 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/ジェンソン・バトン組、BS)の後ろになってしまっていた。100号車は前半のジェンソン・バトン選手が予選5位から8位に下げたが、ピットイン前に5位まで順位を戻していたのだ。それでも17号車の前に出るのは無理なはずだが、それでも前に出たのは、実は100号車がタイヤ無交換作戦に出たからだった。それにより、17号車がピットアウトして見ると、その前を100号車が駆け抜けていく、そういう状況が現出したのだ。

 しかし、17号車をドライブしていた塚越広大選手は、そこで諦めずに100号車を追いかける。43周目に100号車を17号車が接触スレスレでオーバテイク。これでピットを終えた中ではトップに立った。そして、1号車がピットストップを終えてみると、1号車は17号車、100号車よりも大きく後ろになってしまい、先にピットに入っていたホンダ勢の作戦が見事当たった形だ。

 これにより、レースは17号車、100号車のマッチレースとなり、結局そのままほぼ1~2秒差程度で推移するという緊迫したレースとなった。特にレース終盤では、17号車は他の車が落としたパーツがフロント刺さったままになり、オレンジボールはでるのかでないのかが焦点となったが、結局ゴールまでそのまま走り続けることができた。また、同じようにタイヤ交換しなかった100号車のタイヤが持つかどうかも大いに懸念されたが結局そのままゴールまで持ち、17号車 KEIHIN NSX-GT、100号車 RAYBRIG NSX-GT、1号車 KeePer TOM'S LC500の順でゴールした。4位は6号車 WAKO'S 4CR LC500、5位はピットスルーペナルティから追い上げた23号車 MOTUL AUTECH GT-Rとなった。優勝した17号車の二人は、ペアを組むようになってから初優勝、2位の100号車はジェンソン・バトン選手のシリーズ戦デビューレースで、難しいタイヤ無交換作戦を実らせて見事に2位に入ることになった。

2位になった100号車 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/ジェンソン・バトン組)
3位となった1号車 KeePer TOM'S LC500(平川亮/ニック・キャシディ組)
4位となった6号車 WAKO'S 4CR LC500(大嶋 和也/フェリックス・ローゼンクヴィスト組
5位となった23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組)
17号車 KEIHIN NSX-GTと1号車 KeePer TOM'S LC500のバトル
GT500クラス 決勝結果
順位カーナンバーマシンドライバータイヤ周回タイム
117KEIHIN NSX-GT塚越広大/小暮卓史BS821:55'14.381
2100RAYBRIG NSX-GT山本尚貴/ジェンソン・バトンBS821:55'15.991
31KeePer TOM'S LC500平川亮/ニック・キャシディBS821:55'19.963
46WAKO'S 4CR LC500大嶋和也/F.ローゼンクヴィストBS821:55'20.140
523MOTUL AUTECH GT-R松田次生/ロニー・クインタレッリMI821:55'51.371
624フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-RJ.P.デ・オリベイラ/高星明誠YH821:56'02.756
73CRAFTSPORTS MOTUL GT-R本山哲/千代勝正MI821:56'13.743
838ZENT CERUMO LC500立川祐路/石浦宏明BS821:56'14.738
919WedsSport ADVAN LC500国本雄資/山下健太YH821:56'19.913
1016MOTUL MUGEN NSX-GT武藤英紀/中嶋大祐YH821:56'20.913
118ARTA NSX-GT野尻智紀/伊沢拓也BS821:56'21.580
1239DENSO KOBELCO SARD LC500ヘイキ・コバライネン/小林可夢偉BS821:56'24.491
1336au TOM'S LC500中嶋一貴/関口雄飛BS821:56'25.791
1412カルソニック IMPUL GT-R佐々木大樹/ヤン・マーデンボローBS821:56'26.219
1564Epson Modulo NSX-GTベルトラン・バゲット/松浦孝亮DL811:55'27.255

GT300はマザーシャシー86同士の争いを制した18号車 UPGARAGE 86 MC

GT300クラスを優勝した18号車 UPGARAGE 86 MC(中山友貴/小林崇志組、YH)

 GT300のスタートも特に混乱もなくスタートを切った。各車予選順位順に1コーナーに入っていったが、ポールポジションからスタートした88号車 マネパ ランボルギーニ GT3(平峰一貴/マルコ・マッペリ組、YH)にとってはいきなり厳しい展開になってきた。というのも、タイヤの暖まりに問題があるのか、ずるずると順位を下げ、後ろを走っていた11号車 GAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信組、DL)、21号車 Hitotsuyama Audi R8 LMS(リチャード・ライアン/富田竜一郎組、DL)、31号車 TOYOTA PRIUS apr GT(嵯峨宏紀/平手晃平組、BS)などに追いつかれて、次々とオーバテイクされてしまった。そして順位が落ち着いて見ると、88号車 マネパ ランボルギーニ GT3は6位まで順位を下げてしまっていた。18周目には追い上げを図っていた34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3(道上龍/大津弘樹、YH)が前を走る360号車 RUNUP RIVAUX GT-R(柴田優作/青木孝行組、YH)に追突し、360号車はグラベルにはまってしまいそのままリタイア、34号車もボンネットを飛ばしてしまいピットにはいりこちらもそのままリタイアになった。

ポールからスタートした88号車 マネパ ランボルギーニ GT3(平峰一貴/マルコ・マッペリ組)だが、序盤で順位を下げる結果に

 ポールの88号車に変わってトップに立ったのは21号車 Hitotsuyama Audi R8 LMSだが、2位に31号車 TOYOTA PRIUS apr GT(嵯峨宏紀/平手晃平組、BS)にテールツーノーズで追いつかれ、今にも追い越しそうな勢いだった。だが、30周目に、31号車 TOYOTA PRIUS apr GTは突然のスローダウン。それによりピットに入る展開となり、残念ながらトップ争いからは脱落してしまった。トップの21号車は37周目にピットイン、しかし、アウトラップでコースアウト、グラベルを通ってコースに戻ったが、これで大きく順位を下げ、最終的にはマシントラブルでピットストレートにマシンを止めてリタイアになってしまった。

34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3(道上龍/大津弘樹組)
34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3は前車に追突しボンネットが吹き飛んだ
ピットストップまでトップだった21号車 Hitotsuyama Audi R8 LMS(リチャード・ライアン/富田竜一郎組)はマシントラブルでリタイア

 ピットストップが終わるとトップに立っていたのは、レース前の前評判では優勝候補の筆頭にあげられていた25号車 HOPPY 86 MC(松井孝允/坪井翔組、YH)。ところが、その背後に迫りつつあったのが、同じマザーシャシー86の18号車 UPGARAGE 86 MC(中山友貴/小林崇志組、YH)。同じマザーシャシー86、ヨコハマタイヤという条件の中で競り勝った18号車は2位以下を大きく引き離し、そのまま優勝した。

 2位は後半追い上げた7号車 D'station Porsche(藤井誠暢/スヴェン・ミューラー組、YH)、3位は25号車 HOPPY 86 MC、4位は65号車 LEON CVSTOS AMG(黒澤治樹/蒲生尚弥組、BS)、5位が11号車 GAINER TANAX GT-R(平中 克幸/安田 裕信組、DL)となった。

2位に入った7号車 D'station Porsche(藤井誠暢/スヴェン・ミューラー組)
25号車 HOPPY 86 MC(松井孝允/坪井翔組)
4位に入った65号車 LEON CVSTOS AMG(黒澤治樹/蒲生尚弥組)
GT300クラスの表彰台
GT300クラス 決勝結果
順位カーナンバーマシンドライバータイヤ周回タイム
118UPGARAGE 86 MC中山友貴/小林崇志YH771:56'23.935
27D'station Porsche藤井誠暢/スヴェン・ミューラーYH771:56'29.411
325HOPPY 86 MC松井孝允/坪井翔YH771:56'34.218
465LEON CVSTOS AMG黒澤治樹/蒲生尚弥BS771:56'34.506
511GAINER TANAX GT-R平中克幸/安田裕信DL761:55'21.848
655ARTA BMW M6 GT3高木真一/S.ウォーキンショーBS761:55'22.215
788マネパ ランボルギーニ GT3平峰一貴/マルコ・マッペリYH761:55'23.493
80グッドスマイル 初音ミク AMG谷口信輝/片岡龍也YH761:55'30.257
926TAISAN R8 FUKUSHIMA山田真之亮/川端伸太朗YH761:55'57.979
1050EXE AMG GT3加納政樹/安岡秀徒YH761:55'59.245
1152埼玉トヨペットGreenBraveマークX MC番場琢/脇阪薫一YH761:56'00.414
1287リーガルフロンティア ランボルギーニGT3佐藤公哉/元嶋佑弥YH761:56'02.951
1310GAINER TANAX triple a GT-R星野一樹/吉田広樹YH761:56'09.506
1496K-tunes RC F GT3新田守男/中山雄一BS761:56'09.960
15777CARGUY ADA NSX GT3横溝直輝/木村武史YH761:56'32.984
169GULF NAC PORSCHE 911久保凜太郎/石川京侍YH761:56'35.938
1760SYNTIUM LMcorsa RC F GT3吉本大樹/宮田莉朋YH751:55'20.423
1861SUBARU BRZ R&D SPORT井口卓人/山内英輝DL751:55'49.247
1922アールキューズ AMG GT3和田久/城内政樹YH751:56'21.401
2030TOYOTA PRIUS apr GT永井宏明/佐々木孝太YH751:56'33.699
21117EIcars BENTLEY井出有治/阪口良平YH741:55'42.662
2248植毛 GT-R田中勝輝/飯田太陽YH741:56'13.284
232シンティアム・アップル・ロータス高橋一穂/加藤寛規YH741:56'20.421
2435arto RC F GT3N.ジャルーンスルカワッタナ/N.ホートンカムYH741:56'42.998
R21Hitotsuyama Audi R8 LMSリチャード・ライアン/富田竜一郎DL421:05'11.350
R5マッハ車検 MC86 Y's distraction坂口夏月/平木湧也YH411:56'37.675
R31TOYOTA PRIUS apr GT嵯峨宏紀/平手晃平BS3045'22.473
R34Modulo KENWOOD NSX GT3道上龍/大津弘樹YH1827'38.627
R360RUNUP RIVAUX GT-R柴田優作/青木孝行YH1726'06.833

 次戦は、5月3日~4日に富士スピードウェイで開催される。