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【SUPER GT第2戦 富士】23号車 MOTUL AUTECH GT-Rがミシュランタイヤの暖まりのよさで最後のアウトラップに大逆転して優勝

GT300は55号車 ARTA BMW M6 GT3がポール・トゥ・ウイン

2018年5月4日 開催

「2018 AUTOBACS SUPER GT Round 2 FUJI GT 500km RACE」のGT500クラスで優勝した23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI)

 SUPER GTの第2戦「2018 AUTOBACS SUPER GT Round 2 FUJI GT 500km RACE」が、5月3日~4日の2日間にわたり富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で開催された。

 GT500クラスで優勝したのは23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI)で、2回目のピットストップ時までレースをリードしていた39号車 DENSO KOBELCO SARD LC500(ヘイキ・コバライネン/坪井翔組、BS)を、アウトラップで7秒も引き離すというミシュランタイヤの暖まりやすさを生かして大逆転で優勝した。GT300クラスはポールポジションからスタートした55号車 ARTA BMW M6 GT3(高木真一/ショーン・ウォーキンショー組、BS)がポール・トゥ・ウインを決めた。

「2018 AUTOBACS SUPER GT Round 2 FUJI GT 500km RACE」のGT300クラスで優勝した55号車 ARTA BMW M6 GT3(高木真一/ショーン・ウォーキンショー組、BS)

“魔法のアウトラップ”で39号車を逆転し、23号車 MOTUL AUTECH GT-Rが優勝

23号車 MOTUL AUTECH GT-R

 GT500のレースは、ポールポジションからスタートした38号車 ZENT CERUMO LC500(立川祐路/石浦宏明組、BS)が主導権を奪うのかと思われたが、レースの主導権を最初に獲得したのは予選3位グリッドからスタートした、23号車 MOTUL AUTECH GT-Rだった、周りのレクサス LC+ブリヂストンという組み合わせに比べてタイヤの暖まりがいいようで、1コーナーまでに2位の6号車 WAKO'S 4CR LC500(大嶋和也/フェリックス・ローゼンクヴィスト組、BS)をオーバテイクして2位に上がり、ADVANコーナーでトップの38号車を抜いて23号車がトップに立った。

GT500のスタートシーン

 その23号車が逃げていくのかと思いきや、ブリヂストンタイヤに熱が入った38号車、6号車、36号車 au TOM'S LC500(ジェームス・ロシター/関口雄飛組、BS)、39号車 DENSO KOBELCO SARD LC500が23号車を追いかけ、ほとんど差がない状態で続くというレース展開になった。中でも速さを見せたのは39号車で、徐々に順位を上げていき、23周目にロニー・クインタレッリ選手が操る23号車 MOTUL AUTECH GT-Rをオーバーテイクした。

 この39号車には、F1優勝経験者で2016年のSUPER GTチャンピオンのヘイキ・コバライネン選手と、今回はWEC(FIA 世界耐久選手権)に参加するため欠場している小林可夢偉選手の代役として坪井翔選手が搭乗しており、特に小林可夢偉選手の代役に起用された坪井選手は、今回がGT500デビュー戦ながら、コバライネン選手から受け取ったトップのバトンをトップのままコバライネン選手に戻すことに成功。高く評価されるべきデビュー戦となった。

39号車 DENSO KOBELCO SARD LC500

 レースのほぼ3分の2をトップとして走った39号車だが、最後のピットストップが終わってみると、トップに立っていたのは23号車 MOTUL AUTECH GT-Rだった。レースのほとんどを2位で走ってきた23号車だが、最後に入ったピットストップのアウトラップが、39号車と比べて7秒も速く、23号車がピットを出てからかなり経って39号車がストレートに来るという状況だった。第1スティントの序盤もそうだったが、今日のミシュランタイヤは暖まりがとても早く、それが23号車の武器になっていたことは明らかだ。これでトップに立った23号車は2位の39号車に徐々に差をつけていき、結局そのままトップでゴールすることになった。

GT500のポディウム

ミシュランとブリヂストンが高いレベルで戦った今回のGT500。わずかな差が勝負を分けた

38号車 ZENT CERUMO LC500

 今回のレースでは、スタート時には40℃を超える路面温度だったものの、レース中盤になると30℃台半ばになり、レース終盤には30℃前後まで下がっていた。各陣営が利用しているタイヤがどこまでその変化に対応できたかが勝負を分けたと言え、レース前半と中盤まではレクサス LCとブリヂストンの組み合わせが、レース後半では日産 GT-R+ミシュランの組み合わせが高い戦闘力を発揮していた。このため、優勝こそ日産 GT-R+ミシュランの23号車となったが、2位以下は39号車、38号車、36号車、6号車といずれもレクサス LC+ブリヂストンという組み合わせになった。ミシュランとブリヂストンがかなりレベルの高いところで戦っており、ほんの少しの路面温度の差が結果を分けた、そういうレースだったと言えるだろう。

 ホンダ勢は予選最上位だった16号車 MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤英紀/中嶋大祐、YH)が2度のパンクに襲われ、レースから脱落してしまったのが痛かった。なお、ヨコハマゴム勢は、24号車 フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R(ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/高星明誠組、YH)、19号車 WedsSport ADVAN LC500(国本雄資/山下健太組、YH)もタイヤトラブルに見舞われており、途中リタイアした64号車 Epson Modulo NSX-GT(ベルトラン・バゲット/松浦孝亮組、DL)を除外した中ではGT500最下位に固まってしまう残念な結果となった。

36号車 au TOM'S LC500
6号車 WAKO'S 4CR LC500
8号車 ARTA NSX-GT

 ブリヂストンを履いたホンダ勢は、前半こそトップ勢と同じようなタイミで走れていたが、後半になって路面温度が下がってくると、上位勢とのタイム差が大きくなっていった。ウェイトハンデのない8号車 ARTA NSX-GT(野尻智紀/伊沢拓也組、BS)、ウェイトハンデが30kg載っている100号車 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/ジェンソン・バトン組、BS)もほぼ同じようなタイムになってしまっており、8号車が8位、100号車が9位に入るのが精一杯だった。

第2戦 GT500クラスのリザルト(暫定)
順位カ―ナンバー車両ドライバータイヤウェイトハンデ周回数タイム
123MOTUL AUTECH GT-R松田次生/ロニー・クインタレッリMI121102時間52分02秒048
239DENSO KOBELCO SARD LC500ヘイキ・コバライネン/坪井翔BS1102時間52分11秒786
338ZENT CERUMO LC500立川祐路/石浦宏明BS61102時間52分25秒498
436au TOM'S LC500ジェームス・ロシター/関口雄飛BS1102時間52分35秒192
56WAKO'S 4CR LC500大嶋和也/フェリックス・ロ―ゼンクヴィストBS161102時間52分37秒374
612カルソニック IMPUL GT-R佐々木大樹/ヤン・マーデンボローBS1102時間52分38秒264
71KeePer TOM'S LC500平川亮/ニック・キャシディBS221102時間52分40秒558
88ARTA NSX-GT野尻智紀/伊沢拓也BS1102時間53分04秒240
9100RAYBRIG NSX-GT山本尚貴/ジェンソン・バトンBS301102時間53分19秒630
103CRAFTSPORTS MOTUL GT-R本山哲/千代勝正MI81092時間52分04秒862
1117KEIHIN NSX-GT塚越広大/小暮卓史BS421082時間52分15秒031
1219WedsSport ADVAN LC500国本雄資/山下健太YH41082時間52分23秒404
1324フォ―ラムエンジニアリング ADVAN GT-Rジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/高星明誠YH101082時間52分49秒677
1416MOTUL MUGEN NSX-GT武藤英紀/中嶋大祐YH21082時間53分25秒417
R64Epson Modulo NSX-GTベルトラン・バゲット/松浦孝亮DL451時間11分54秒773
第2戦終了時点でのGT500クラス年間順位(暫定)
カ―ナンバードライバー第1戦第2戦合計次戦ウェイトハンデ
23松田次生/ロニー・クインタレッリ6202652
17塚越広大/小暮卓史212142
100山本尚貴/ジェンソン・バトン1521734
1平川亮/ニック・キャシディ1141530
38立川祐路/石浦宏明3121530
39ヘイキ・コバライネン/坪井翔151530
6大嶋和也/フェリックス・ロ―ゼンクヴィスト861428
36ジェームス・ロシター/関口雄飛8816
12佐々木大樹/ヤン・マーデンボロー5510
24ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/高星明誠5510
3本山哲/千代勝正448
8野尻智紀/伊沢拓也336
19国本雄資/山下健太224
3本山哲/千代勝正112
16武藤英紀/中嶋大祐112
フィニッシュドライバーを務めたクインタレッリ選手を出迎える松田選手

GT300の前半を盛り上げた34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3だが、ピット作業のミスで後退

55号車 ARTA BMW M6 GT3

 GT300はスタートから平穏に過ぎ、ほぼ順位どおりに1コーナーに入っていった。レースはポールポジションからスタートした55号車 ARTA BMW M6 GT3、予選2位からスタートした61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組、DL)に続き、予選7位からスタートした31号車 TOYOTA PRIUS apr GT(嵯峨宏紀/平手晃平組、BS)が3位に上がりトップ3を形成した。このトップ3は1回目のピットストップを終えても変わらず、3台で不動のトップグループを形成した。

GT300のスタートシーン

 その1回目のピットストップを終えるまでレースを盛り上げたのは、11番手からスタートした34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3(道上龍/大津弘樹組、YH)で、徐々に順位を上げて各車がピットに入る前に6位まで順位をアップ。最終的には各車のピットインにより3位となった。34号車の第1スティントと第3スティントを担当した大津選手は前回のレースがデビュー戦だったが、自分の担当パート前にリタイアになったため、実質的に今回がデビュー戦となるが、安定したタイムを刻んで徐々に順位を上げるというレースを行ない、高い評価を受けた。

 ところが、そのレースが台無しになったのはピットストップだった。1回目のピットストップを行なった際に右リアホイールが入らないトラブルが発生してしまい、他チームに比べて20~30秒近い時間をタイムロス。これで、最終的に4位になった65号車 LEON CVSTOS AMG(黒澤治樹/蒲生尚弥組、BS)の後ろを走っていた34号車だったが、ピットアウトすると12位まで順位を下げてしまい、第2スティントの道上選手、続けて大津選手も追い上げたが結果的に8位に入賞となった。このトラブルがなければ65号車の近くでゴールできたと考えることもでき、ヨコハマタイヤ勢の最上位で終えることが可能だったということで、新チームにありがちなミスがあったとは言え、NSX GT3に上位で戦えるポテンシャルがあると分かったことは同チームの救いと言えるだろう。

34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3

優勝はピットストップ時を除いてゴールまでトップを独走した55号車 ARTA BMW M6 GT3

31号車 TOYOTA PRIUS apr GT

 トップ3を形成していた55号車、61号車、31号車のフォーメーションが崩れたのは60周目。61号車にエンジントラブルが発生し、ダンロップコーナーで車両を停止してリタイアとなった。ドライブしていた山内英輝選手が悔しそうに金網に感情をぶつけるシーンがサーキットビジョンに流れ、サーキットに大きなため息が流れることになった。

エンジントラブルでリタイアした61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組、DL)

 最後のピットストップが終わると、トップは変わらず55号車で、61号車のリタイアで繰り上がった31号車が2位。そして予選8位からするすると順位を上げてきた11号車 GAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信、DL)が3位となった。レース終盤の焦点は4位争いに移り、最後の残り数周まで4位を走っていた0号車 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也組、YH)を65号車がオーバーテイクし、順位はほぼ確定した。

 優勝は55号車 ARTA BMW M6 GT3、2位は31号車 TOYOTA PRIUS apr GT、3位は11号車 GAINER TANAX GT-R、4位は65号車 LEON CVSTOS AMG、5位は0号車 グッドスマイル 初音ミク AMG、6位は7号車 D'station Porsche(藤井誠暢/スヴェン・ミューラー組、YH)となった。

11号車 GAINER TANAX GT-R
61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT
65号車 LEON CVSTOS AMG
GT300のポディウム
第2戦 GT300クラスのリザルト(暫定)
順位カーナンバー車両ドライバータイヤウェイトハンデ周回数タイム
155ARTA BMW M6 GT3高木真一/ショーン・ウォーキンショーBS101022時間52分07秒982
231TOYOTA PRIUS apr GT嵯峨宏紀/平手晃平BS1022時間52分33秒911
311GAINER TANAX GT-R平中克幸/安田裕信DL121022時間52分42秒452
465LEON CVSTOS AMG黒澤治樹/蒲生尚弥BS161022時間52分56秒129
50グッドスマイル 初音ミク AMG谷口信輝/片岡 龍也YH61022時間52分57秒098
67D'station Porsche藤井誠暢/スヴェン・ミューラーYH301022時間53分18秒269
760SYNTIUM LMcorsa RC F GT3吉本大樹/宮田莉朋YH1012時間52分02秒869
834Modulo KENWOOD NSX GT3道上龍/大津弘樹YH1012時間52分08秒445
988マネパ ランボルギーニ GT3平峰一貴/マルコ・マッペリYH101012時間52分18秒904
1021Hitotsuyama Audi R8 LMSリチャード・ライアン/富田竜一郎/篠原拓朗DL1012時間52分20秒524
1110GAINER TANAX triple a GT-R星野一樹/吉田広樹YH1012時間52分28秒692
125マッハ車検 MC86 Y's distraction坂口夏月/平木湧也/玉中哲二YH1012時間52分35秒635
1318UPGARAGE 86 MC中山友貴/小林崇志YH401012時間52分46秒661
1496K-tunes RC F GT3新田守男/中山雄一BS1012時間53分18秒815
1526TAISAN R8 FUKUSHIMA山田真之亮/川端伸太朗/中野信治YH41012時間53分22秒729
1687リーガルフロンティア ランボルギーニGT3佐藤公哉/元嶋佑弥/高橋翼YH1012時間53分26秒606
179GULF NAC PORSCHE 911久保凜太郎/石川京侍YH1012時間53分36秒454
1830TOYOTA PRIUS apr GT永井宏明/佐々木孝太YH992時間52分13秒494
1952埼玉トヨペットGreenBraveマークX MC番場琢/脇阪薫一/高木真一YH992時間52分14秒536
2050EXE AMG GT3加納 政樹/安岡秀徒/坂本祐也YH2992時間52分21秒241
2148植毛 GT-R田中勝輝/飯田太陽/リチャード・ブラッドリーYH992時間52分59秒446
22117EIcars BENTLEY井出有治/阪口良平/田中篤YH982時間52分04秒850
232シンティアム・アップル・ロータス高橋一穂/加藤寛規YH962時間45分33秒087
2435arto RC F GT3ナタウッド・ジャルーンスルカワッタナ/ナタポン・ホートンカムYH872時間52分31秒677
2522アールキューズ AMG GT3和田久/城内政樹YH862時間52分11秒001
26777CARGUY ADA NSX GT3横溝直輝/木村武史/ケイ・コッツォリーノYH832時間53分11秒259
R360RUNUP RIVAUX GT-R田中篤/青木孝行/YH692時間53分17秒457
R61SUBARU BRZ R&D SPORT井口卓人/山内英輝DL541時間31分27秒660
R25HOPPY 86 MC松井孝允/近藤翼/土屋武士YH22401時間52分32秒225
第2戦終了時点でのGT300クラス年間順位(暫定)
カーナンバードライバー第1戦第2戦合計次戦ウェイトハンデ
55高木真一/ショーン・ウォーキンショー5212652
18中山友貴/小林崇志202040
7藤井誠暢/スヴェン・ミューラー1552040
11平中克幸/安田裕信6111734
65黒澤治樹/蒲生尚弥881632
31嵯峨宏紀/平手晃平151530
25松井孝允/坪井翔111122
0谷口信輝/片岡龍也36918
88平峰一貴/マルコ・マッペリ52714
60吉本大樹/宮田莉朋448
34道上龍/大津弘樹336
26山田真之亮/川端伸太朗224
50加納政樹/安岡秀徒112
21リチャード・ライアン/富田竜一郎/篠原拓朗112

暖まりではなく、タレないことを優先してタイヤを選んだとクインタレッリ選手

第2戦 富士のGT500、GT300両クラスで優勝した4人のドライバー

 決勝レース後には、GT500、GT300両クラスの優勝ドライバーによる優勝者記者会見が行なわれた。以下はその模様だ。

司会:それでは、優勝した4人のドライバーに、それぞれ今の気持ちや自分のパートについて説明してほしい。

GT300優勝の55号車 ARTA BMW M6 GT3をドライブした高木真一選手(左)とショーン・ウォーキンショー選手(右)

ショーン・ウォーキンショー選手:レースはとてもよいレースで、自分のパートではギャップを維持するだけだった。温度がどんどん下がっていったので、タイヤのウォームアップが難しかったが。

ショーン・ウォーキンショー選手

高木真一選手:(司会からポールポジション獲得13回、優勝19回で単独トップという記録を聞かされて)嬉しいです。最多勝や多くのポールを取れているのは、いいクルマを用意してくれている鈴木亜久里さん、土屋圭市さんをはじめとしたチームのおかげだと思っている。われわれはソフトタイヤを選択していたので、後半に落ち込みがどれくらいあるかが気になっていた。だが、その前に2位との差を広げることができた。気温が下がっていくとバランスが狂い始めて、特に後半4輪交換を行なうと気温が下がったときには固めにでていて、3スティント目はかなり厳しかった。それでも、晴れたので、楽をさせてもらった面はある。

高木真一選手

松田次生選手:(司会から歴代単独首位の20勝を達成したことを告げられて)まさか自分が20勝を達成できるとは思っていなくて、このレースで立川さんに並ばれるのではないかと思っていた。チーム、スタッフ、そして半分はロニーと一緒に獲っているので感謝したい。これまでの20勝は運が味方してくれているときもあったが、25勝とか30勝を目指して今後も頑張りたい。

今日のレースはロニーが最初と最後を走った。序盤はロニーが苦しそうだったので、自分の真ん中のスティントでは大変な状況になるだろうと思っていた。39号車に行かれたときには、アウトラップで抜けるかなと思っていたが、坪井選手のアウトラップがすごくて、正直感心しながら走っていた。運わるくGT300の車両が止まってヘアピンで黄旗が出たことで、それに引っかかって7秒ほど開いてしまって、そこからなかなか詰められなかった。最後は4秒まで詰めたところでロニーに代わって、冷えたタイヤの状態で頑張ってくれた。

ロニー・クインタレッリ選手:昨日の予選ではポールを取れるだけのクルマのポテンシャルがあったが、3位に終わってしまい悔しかった。スタート時には岡山の時みたいにジャンプスタートにならないよう注意していた。青になった瞬間によく反応できて、1台を抜いて1コーナーに入ることができた。その後も思い切り行ったらダンロップで立川選手の前に出られた。その後は引き離そうと思ったが、GT300のトラフィックの中で上手くいかず、路面ができていないときに38号車と39号車に抜かれてしまった。

3スティント目の時にはピット作業が終われば前に行けると思っていた。39号車も(自分たちの)次の周にピットに入ったのでチャンスだと思っていた。ピットからリスタートしてすぐにリアタイヤが暖まり、内圧の上がり方も早くて1周目からいいタイムを出すことができ、その後マージンを広げたが、あんなにマージンを作れるとは思わなかった。

GT500優勝の23号車 MOTUL AUTECH GT-Rをドライブした松田次生選手(左)とロニー・クインタレッリ選手(右)

――2回目のピットストップ後のアウトラップでの39号車との差が勝因だと思うが、ミシュランのタイヤは暖まりがよかったのか?

クインタレッリ選手:われわれが選んだタイヤは暖まりがいいタイヤではなく、ちょっと苦労するレベルだったので、まさかあそこまでいけるとは思っていなかった。だが、2人ともミシュランタイヤのことはよく理解していてタイヤはトモダチだから(笑)。チームと一緒に総合力で上手く使いこなせたと思っている。今回われわれが選んだタイヤは暖まりよりも、タレないことを優先して選んだ。

――23号車の2人に、これでチャンピオンが見えてきたか? 開幕戦でシングルフィニッシュし、第2戦で優勝というのは2015年にチャンピオンを獲った時と酷似しているが

松田選手:確かに2015年はそういう勝ち方でチャンピオンを獲った。SUPER GTの場合は勝つとウェイトが重たくなるので、これからが大変。開幕戦に行く前に最低5位ぐらいでいいよね、次の富士で勝てるかなという話をしていたら、本当に開幕戦5位、そしてここで優勝となったので、今は順調と言っていい。問題はこの先だ。シーズン中盤から後半にかけて、1勝からもう1度気を引き締めてみんなでやっていかないといけない。内容を見れば楽勝だったということはなく、マシン的にはまだ満足していない。

クインタレッリ選手:次生が言っているように、レースを振り返れば明らかに足りない部分があるので、シーズン後半から、特に菅生とかも速く走れるようにしていく必要がある。今回のレースでは長いストレートのお陰でいろいろ(各社の得意不得意が)見えた。メディアなどには日産が3メーカーの中で弱い弱いと言われてしまうので、NISMOにはもっと頑張ってもらって総合力で1位を維持していきたい。松田選手の最多勝と同じように、自分も5回目のチャンピオンを早く獲りたいので。

3メーカーの争いは接戦になっており、今回の結果を見ても岡山で勝った車両が周回遅れになっているなど、ウェイトハンデ制度が機能していると言える。自分たちも鈴鹿で1つ目のリストリクターが入るので、頑張って今の位置を維持していかないといけない。

ロニー・クインタレッリ選手

――高木選手に、55号車のタイヤ選択について教えてほしい

高木選手:ソフトタイヤを選択しており、それが不安だった。朝のフリー走行を含めてつらいかなというのがあった。というのも、このタイヤではロングをやっていなかったからだ。しかし、最初のスティントで走ってみたら速かった。今日は本当にタイヤのお陰で勝てたと言っていい。

次のサーキットの鈴鹿は(BMW)M6にとって苦手なサーキットで、そこでウェイトを積まれることになるのでかなりつらい。ただ、加重に強い対策パーツを入れてもらえることになっているので、それで1点を取りたい。その後タイで勝って、富士で勝ってチャンピオンを目指したい。

――23号車の2人に、去年との違いを教えてほしい

松田選手:去年より見た目がかっこよくなったこと(笑)。去年は苦しいシーズンを送っていたけど、空力面でダウンフォースが足りなかったので、それが増えたことが大きい。開幕前はバランスを取ることが難しかったけど、足まわりのバランスが取れたらよくなった。

岡山では昨年と比べて正直わるくなかった。前のポールのクルマがいろいろあったのでペナルティを受けたけど、正直あのペナルティがなければ優勝争いができていた。富士はローダウンフォースになるけど、課題だった100RやAコーナーは乗りやすくなった。

松田次生選手

クインタレッリ選手:去年のシーズン終盤にはクルマは速くなってきていた。足まわりには大きな変化はなく、空力のおかげ。ブレーキにはまだ不満があるけど、突っ込みやすいクルマにはなってきた。特にセクター2では、1年前に比べてニュートラルになっており、去年の課題だったフロントタイヤの痛みも今年は解消されていた。

――ウォーキンショー選手は日本に来て2年目だが、日本のレースはどうか? また、今後どういうドライバーになっていきたいか?

ウォーキンショー選手:今はこのSUPER GTでのチャレンジにフォーカスしていて、今年チャンピオンになることを目指している、日本のシリーズに参戦できるのは非常にエキサイティングだし、次の鈴鹿でも頑張りたい。