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【SUPER GT第3戦 鈴鹿】「2019年には日本、ドイツそれぞれで1戦ずつ交流戦を」、GTA 坂東正明代表の定例会見

2018年5月19日~20日 開催

株式会社GTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏

「2018 AUTOBACS SUPER GT Round3 SUZUKA GT 300km Fan Festival」が5月19日~20日の2日間にわたって鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で開催されている。5月19日には予選が行なわれ、15時20分ごろから始まる(システムトラブルにより35分程度遅延)決勝レースのスターティンググリッドが決定した(予選、8号車 ARTA NSX-GTがポールポジション獲得…NSX-GT&ブリヂストンが予選1-2-3独占)。

 5月20日(日)にはSUPER GTを運営するGTアソシエイションによる定例記者会見が行なわれた。この中で代表取締役 坂東正明氏は「来年にはDTMとの交流戦を、日本とホッケンハイムでそれぞれ行なえるようにしていきたい」と述べ、2019年にはDTMとの交流戦を日本で1戦、ドイツで1戦開催できるようにしていきたいと述べた。

2019年には日本、ドイツそれぞれで1戦ずつ交流戦を行っていきたい

──冒頭に坂東代表からコメントを……。

坂東氏:今回のレースから環境が変わって300kmレースというところで、鈴鹿にとっても初めての工程でやっており戸惑いもあるけど粛々と通常通りのことをやっている。その中で天候にも恵まれたのは嬉しい。富士のレースから2週間ということもあるので、お客様の動向にも注目して、どんなイベントをやったらいいのかということを考えながら運営している。

──そろそろ来年のスケジュールについて検討する時期だと思うが、現時点での見通しを教えてほしい。

坂東氏:国内7大会にブリーラム(タイ)での1大会を加えた8大会になる。そこに、DTMとの交流戦となるファイナルレースを課題として重視しながらカレンダーを組んでいきたいと思っている。昨日(5月19日)にJRPさんがお見えになって(筆者注:5月19日にスーパーフォーミュラのプロモーターである日本レースプロモーション 代表取締役社長 倉下明氏が鈴鹿サーキットを訪れていた)、カレンダーに関していくつかの課題をいただいたし、オーガナイザー(サーキット運営会社など)なども以降もあるので今後も検討していきたい。

 基本的にはGTAが白紙のカレンダーに8戦、そこに公式テストなどを加えて、他のプロモーター(JRPやS耐)が入れて行くというのが今の形になっている。そこにオーガナイザーの要求を入れるとなると、これまでそれをどうやって調整するのがいいかとやってきたが、来季に対してはオーガナイザーとプロモーターを集めて意見を言ってもらって過密スケジュールが起きないようにしてほしいと考えている。

 例えば、1000kmが10H(10時間耐久)になって鈴鹿のレースを5月に入れるとなったが、他に入れる余地がないのでここになっている。我々のカレンダーはタイまでに1ヶ月空白になるが、そろそろモノを申してもいい頃ではないかと考えている。こちらでコントローラーとしてやらないと、チーム側が厳しくなるし、オーガナイザーにもコントロールに協力していただきたいということもある。

 DTMの交流戦に関しては、日本で呼ぶこと、ホッケンハイムでやることを意識している。行ったり来たりすることを考えながら、各団体とJAFと話をしながら決めている。

──DTMとの交流戦の実現に向けてどのような取り組みをしているのか?

坂東氏:先週行なわれたテレビ会議で、FIAが(Class1に関する)マニファクチャラー部会を招集するという話がでて、そこにプロモーターとして来いと言われている。FIAが計画するClass1のワールドカップ、それとITR(DTMのプロモーター)との交流戦をどうするのかという点が論…。19年にメルセデスが撤退して、BMWとアウディという状況の中でどのようなDTMが行われるのか、ITRも第三のメーカーを探すと言っているが、それは2020年になる可能性が高いという。その中でアウディとBMWの車種を増やすかプライベーターを増やすかという議論があるが、Class1の規定を作り上げるということは代わっていない。

 6月にノリスリンクで行なわれるレースでITRとClassに関する調印式を行なう。では、その後にみんながClass1になるのかと言えばそうではない、SUPER GTはClass1とは違うレースとなるが、日本のマニファクチャラーもClass1に対応可能な仕組みを用意するということ。その上で、こちらにはミッドシップのNSXもあるので、それは特別なルールで引き続き出していく。今後の議論としてはSUPER GTをClass1にするのか、DTMとのファイナルレースをClass1にしていくのか、などについて詰めていかないといけない。

──開幕戦の岡山と、富士は渋滞が目立ったようだが…今後の対策は?

坂東氏:富士の時には状況としては関係者の入り口が飽和してしまい、さらに西ゲートからパドックへ向かう外周路も飽和状態になってしまっていた。このため、オーガナイザーの方には関係者の駐車場を600台分ぐらいのクルマを集められる場所を用意してくださいとお願いしている。そしてシャトルを随時走らせるようなことをすれば、いいだろう。前回の富士でも結局関係者ゲートがいくつかあるゲートのうち1つしかなくて、飽和状態になってしまっていた。結局レース前には収まったが……。

 富士のレースでは前年対比では若干のマイナスになっていたが、車両の数としてはあまり代わっていなくて、あれ以上お客さんが来ると大変だ。今後のことを考えると富士の場合には新しいことを考えないといけない。

 岡山に関しては場外の駐車場がちょっと遠いところにある。場所もないので難しいのは事実だが、街から上がってくる道も狭く、場内に入ろうというクルマが集中して渋滞が発生する。また、場内の駐車場は前売りで完売しているのだが、それがちゃんと伝わっていなくて、渋滞している側面もあるので、それをきちんとアナウンスしたり交通整理していく必要があると思う。

──鈴鹿1000kmレースが300kmになったことで、最長のレースは8月の富士500マイルレースとなるが、今後のレースフォーマットについてはどう考えているか?

坂東氏:富士の500マイルレースもそうだが、今回の鈴鹿300kmなどを見てから考える。1000kmのレースではボーナスポイントとかあったが、経費もかかるので、お客さまの反応などを見ながら考えていきたい。レースの距離数は、スケジュールが決定してからでも選べるので、JAFへのスケジュールの提出が6月末になるので、それまでにFIAのイベントやWECなどそういう部分との差をとって決めていきたい。

マザーシャシーのウェイトハンデを30kg増やしたのはFIA-GT3との性能を均衡するため

──マザーシャシーのウェイトハンデが30kgになった理由は?

坂東氏:現在のJAF-GT300はFIA-GT3とのパフォーマンスウィンドウでコントロールしている。エンジン、空力、パワーウェイトレシオもそうだ。パワーウェイトレシオを、プリウス、SUBARU、MCのそれぞれでベンチデータをもらってチェックし、均衡を図るようにしている。その結果が今回の30kgというもので、パワーウェイトレシオを固定するということ。こうした取り組みによりパワーウェイトレシオの均衡を実現しており、それを元にSRO側でFIA-GT3とのバランスを実現している。こうしたことをやっていかないと、車両が全部FIA-GT3になってしまう。

──DTMとの提携。FIAが目指す世界選手権との関係は?

坂東氏:現在やっている最中になる。FIA会長のジャン・トッド氏、そしてその代理人になるユーロスポーツが入ってきて2年ぐらいずっとやっている。我々がずっといいつづけているのでは、SUPER GTがあってその上で世界選手権という形だ。FIAがどのように考えているのかは分からないが、SUPER GTなくして世界選手権に協力するということはない。

──DTMとの関係についてどう考えているか? 欧州ではアウディもメルセデスに次いで撤退するのではという噂もでているようだが……。

坂東氏:今のところの話では、アウディもきちんと継続して、新しいTV中継も入って、ホッケンハイムで新しいスタートを切って、19年に向けていろいろなことを考えてているというレターを(ITR会長の)ベルガー氏よりもらっている。6月にあるノリスリンクのレースでITR側と話し合いを持つが、メルセデスが抜けた後への不安を特に持つような状況ではないと考えている。

──今回300kmになって新しくスタートを切る鈴鹿のSUPER GTだが、お客さまにはどこに注目してほしいか?

坂東氏:昨日の予選では西風が吹いて、空を飛んでる方が速いんじゃないかのぐらいの中でのとんでもないタイム。その中で1分44秒台とか、とんでもない世界だ。このタイムというのは、車両もタイヤも開発を進み、鈴鹿1000kmの暑い時期であればタイムがでないという状況も味方して、ポールをとった本人達も驚いたコーナリングスピードになっていると思う。

 お客さまにはそういうレースを楽しんで頂きたいが、(午前中に行われたF4では3台を含む事故が1コーナーで発生し、1台は宙を舞った)F4の例もあるので、きちんとした安全対策、管理の中で、オフィシャルにも気を引き締めてもらって安全に考慮しながらレースを進めていきたい。