【SUPER GT第3戦 鈴鹿】ホンダ「NSX-GT」が1-2フィニッシュ。8号車 ARTA NSX-GT（野尻智紀/伊沢拓也組、BS）が優勝

GT500クラスを優勝した8号車 ARTA NSX-GT（野尻智紀/伊沢拓也組、BS）

「2018 AUTOBACS SUPER GT Round3 SUZUKA GT 300km Fan Festival」（以下、SUPER GT第3戦 鈴鹿）が5月19日～20日の2日間にわたって鈴鹿サーキット（三重県鈴鹿市）で開催された。15時20分から行なわれた決勝レースでは、GT500クラスがポールポジションからスタートした8号車 ARTA NSX-GT（野尻智紀/伊沢拓也組、BS）が優勝。2位には100号車 RAYBRIG NSX-GT（山本尚貴/ジェンソン・バトン組、BS）が入り、ホンダNSX-GTが開幕戦に続いて1-2フィニッシュとなった。3位は1号車 KeePer TOM'S LC500（平川亮/ニック・キャシディ組、BS）。

　GT300クラスはレース後半の5台による熾烈なバトルを制した96号車 K-tunes RC F GT3（新田守男/中山雄一組、BS）が優勝した。96号車がトップへ立った後も、実に7台による2位争いが行なわれ、それを勝ち抜いた25号車 HOPPY 86 MC（松井孝允/坪井翔組、YH）が2位に、61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT（井口卓人/山内英輝組、DL）が3位となった。

スタート前の一コマ。予選で好調だったNSX-GTのドライバーたち

鈴鹿サーキットクイーン

NSXのセーフティカー

GT500クラス、セーフティカーもでた波乱のレースを8号車 ARTA NSX-GT（野尻智紀/伊沢拓也組、BS）が優勝

GT500クラスのスタートシーン

　GT500のスタートは非常に静かなものとなった。ポールポジションからスタートした伊沢拓也選手がドライブする8号車 ARTA NSX-GT（野尻智紀/伊沢拓也組、BS）は好スタートを決めて、2位からスタートしたジェンソン・バトン選手が操る100号車 RAYBRIG NSX-GT（山本尚貴/ジェンソン・バトン組、BS）を大きく引き離していった。

　これに対してバトン選手の100号車は、予選4位からスタートして、スタート直後に3位に上がった1号車 KeePer TOM'S LC500（平川亮/ニック・キャシディ組、BS）に迫られることになる。どうやら、レクサス＋BSという組み合わせの方が、NSX＋BSの組み合わせよりもタイヤの暖まりはいいようだ。しかし、100号車のタイヤに熱が入ると今度は1号車を引き離し始めた。

　レース序盤に一番盛り上がったのは7位の64号車 Epson Modulo NSX-GT（ベルトラン・バゲット/松浦孝亮組、DL）が、36号車 au TOM'S LC500（中嶋一貴/関口雄飛組、BS）に追いつかれてからのバトルだ。何度もコーナーで追いつくものの、ストレートでは64号車 Epson Modulo NSX-GTが速く、追い抜くまでには至らない。バトルが繰り広げられている間に、9位の38号車 ZENT CERUMO LC500（立川祐路/石浦宏明組、BS）以下が追いついて15位まで数秒の間に8台のクルマが入る計算になり、そこかしこで追い抜きがあるという展開になった。

　ところがレースが動いたのは13周目、39号車 DENSO KOBELCO SARD LC500（ヘイキ・コバライネン/小林可夢偉組、BS）がデグナーの先でスピンしてコースアウト、車体の半分がコースにはみ出た形でストップしてしまいリタイアになってしまった。しかし、これでセーフティカーが導入され、セーフティカー先導でレースが引っ張られる形になった。最も損をした形となったのは、2位の100号車を10秒近く引き離そうとしていた8号車 ARTA NSX-GT。このセーフティカーの導入でそれまでの貯金がなくなる形になり、レースは振り出しに戻る形になった。

　19周目にリスタート。3位を走っていたニック・キャシディ選手の1号車 KeePer TOM'S LC500がリスタートのタイミングを上手く捉えてバトン選手が操る100号車 RAYBRIG NSX-GTを1コーナーで見事にオーバーテイク。しかし、その次の周に100号車、そして4位を走っていた17号車 KEIHIN NSX-GT（塚越広大/小暮卓史組、BS）などが同時にピットインした。トップを走る8号車と1号車はそのまま走り続けたが、24周目に16号車 MOTUL MUGEN NSX-GT（武藤英紀/中嶋大祐組、YH）がデグナーでタイヤバリアにクラッシュ。これでセーフティカーがでることを警戒したのか8号車と1号車は相次いでピットインした。

　8号車と1号車がピットアウトすると、100号車と17号車の前にでることは成功したが、1号車はタイヤが暖まっておらず、十分にタイヤが暖まっていた100号車が1号車を抜いて、2位に上がった。その後は、野尻智紀選手が操る8号車 ARTA NSX-GTと山本尚貴選手があやつる100号車 RAYBRIG NSX-GTのマッチレースになっていった。結局レースの終盤まで8号車と100号車のバトルは続いていたが、最終的には徐々に8号車 ARTA NSX-GTが100号車を引き離していき、結局そのままポールトゥーウインで優勝した。

8号車 ARTA NSX-GT（野尻智紀/伊沢拓也組、BS）と100号車 RAYBRIG NSX-GT（山本尚貴/ジェンソン・バトン組、BS）のトップ争い

2位になった100号車 RAYBRIG NSX-GT（山本尚貴/ジェンソン・バトン組、BS）。この2位獲得で100号車はポイントランキングトップに躍り出た

3位になった1号車 KeePer TOM'S LC500（平川亮/ニック・キャシディ組、BS）

　2位は100号車 RAYBRIG NSX-GTでこれでポイントリーダーに躍り出た。3位は1号車 KeePer TOM'S LC500、4位は追い上げた12号車 カルソニック IMPUL GT-R（佐々木大樹/ヤン・マーデンボロー組、BS）、そして5位は前半コースアウトするなどして10位以下に落ちていたのを、後半担当した関口雄飛選手が激走に次ぐ激走で追い上げた36号車 au TOM'S LC500（中嶋一貴/関口雄飛組、BS）が入った。

4位となった12号車 カルソニック IMPUL GT-R（佐々木大樹/ヤン・マーデンボロー組、BS）。最終周に36号車の猛追を受けた

5位は36号車 au TOM'S LC500（中嶋一貴/関口雄飛組、BS）。ファイナルラップのシケインで関口雄飛選手が12号車に挑むもののオーバースピードで抜ききれず。その果敢なアタックは見るものの心を熱くする

優勝を喜ぶARTAチーム。左から鈴木亜久里監督、野尻智紀選手、伊沢拓也選手

GT500クラス 正式結果

順位	カーナンバー	車両名	ドライバー	タイヤ	ウェイトハンデ	周回数	時間
1	8	ARTA NSX-GT	野尻智紀/伊沢拓也	BS	6	52	1時間46分39秒770
2	100	RAYBRIG NSX-GT	山本尚貴/ジェンソン・バトン	BS	34	52	1時間46分42秒563
3	1	KeePer TOM'S LC500	平川亮/ニック・キャシディ	BS	30	52	1時間46分51秒157
4	12	カルソニック IMPUL GT-R	佐々木大樹/ヤン・マーデンボロー	BS	10	52	1時間47分17秒858
5	36	au TOM'S LC500	中嶋一貴/関口雄飛	BS	16	52	1時間47分18秒474
6	23	MOTUL AUTECH GT-R	松田次生/ロニー・クインタレッリ	MI	52	52	1時間47分20秒523
7	3	CRAFTSPORTS MOTUL GT-R	本山哲/千代勝正	MI	10	52	1時間47分44秒580
8	38	ZENT CERUMO LC500	立川祐路/石浦宏明	BS	30	52	1時間47分45秒157
9	24	フォーラムエンジニアリング ADVAN GT-R	ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/高星明誠	YH	10	52	1時間47分45秒328
10	64	Epson Modulo NSX-GT	ベルトラン・バゲット/松浦孝亮	DL	ー	52	1時間47分45秒865
11	17	KEIHIN NSX-GT	塚越広大/小暮卓史	BS	42	52	1時間47分57秒257
12	6	WAKO'S 4CR LC500	大嶋和也/ジェームス・ロシター	BS	28	52	1時間47分57秒836
13	19	WedsSport ADVAN LC500	国本雄資/山下健太	YH	4	52	1時間48分12秒597
ー	16	MOTUL MUGEN NSX-GT	武藤英紀/中嶋大祐	YH	2	23	51分12秒820
ー	39	DENSO KOBELCO SARD LC500	ヘイキ・コバライネン/小林可夢偉	BS	30	12	22分56秒057

GT500クラス 表彰台

NSX-GTの1-2フィニッシュを喜び合う

GT300クラス、セーフティーカーで貯金がなくなる波乱を跳ね返した96号車 K-tunes RC F GT3がポールトゥーウイン

GT300クラスを優勝した96号車 K-tunes RC F GT3（新田守男/中山雄一組、BS）

　GT300のスタートも特に混乱なくスタートした。この中でずるずると順位を下げていたのが2位からスタートした25号車 HOPPY 86 MC（松井孝允/坪井翔組、YH）。同チームがタイヤ無交換作戦を決行することはまわりに認知されており、序盤で無理をせず、タイヤを温存していると考えられた。

　そうしたGT300のレースが動いたのは、GT300の39号車がコースとアウトしてセーフティカーがでた14周目。これでポールポジションからスタートして順調に2位以下との差を順調に広げていた96号車 K-tunes RC F GT3（新田守男/中山雄一組、BS）が貯めた貯金はGT500のトップと同じようにご破算となった。2位にいた0号車 グッドスマイル 初音ミク AMG（谷口信輝/片岡龍也組、YH）などとの差は詰まり、レースは再び振り出しに戻った。

GT300クラスのスタートシーン

　そのセーフティカーあけとなるGT500の19周目には、上位を走っていた25号車 HOPPY 86 MC（松井孝允/坪井翔組、YH）、61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT（井口卓人/山内英輝組、DL）、18号車 UPGARAGE 86 MC（中山友貴/小林崇志組、YH）などが相次いでピットイン。ところがピットアウトしてみると、これらのグループでトップに立っていたのは、18号車 UPGARAGE 86 MCだった。

　これらのチームはいずれのチームもタイヤ無交換作戦でピットでのロスタイムを減らす作戦に出たのだが、その中でも18号車はピット作業が圧倒的に早く、ピットインした車両の中で先頭になっていたのだ。その後、トップを走っていた96号車などもピットインしてみると、ピットインした組のトップは、依然として18号車ということになる。

　ところが上位陣で最後までピットインしていなかった0号車 グッドスマイル 初音ミク AMGがピットインすると、0号車もタイヤ無交換作戦にでて、迅速なピット作業を実施。18号車の前の前、つまりトップで戻ることに成功した。

　その後、この0号車の後ろに、18号車 UPGARAGE 86 MCがついてマッチレースを展開することになったが、すぐに96号車 K-tunes RC F GT3、61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT、25号車 HOPPY 86 MCが追いついて、なんとトップ争いが5台で展開されることになった。

　この均衡を最初に破ったのが96号車 K-tunes RC F GT3。96号車は18号車をシケインで抜くと、次の周には同じように0号車をシケインでオーバーテイクし、再びトップを奪い返した。その後、96号車は2位以下を大きく引き離し、結局そのままポールトゥーウインを達成した。

0号車 グッドスマイル 初音ミク AMG（谷口信輝/片岡龍也組、YH）を96号車 K-tunes RC F GT3（新田守男/中山雄一組、BS）が抜きトップに立った

　それに対して2位争いは、後半になってタイヤが厳しくなった0号車がフタをする形となり、6位以下も徐々に追いついてきた。この争いに88号車 マネパ ランボルギーニ GT3（平峰一貴/マルコ・マッペリ、YH）、60号車 SYNTIUM LMcorsa RC F GT3（吉本大樹/宮田莉朋組、YH）、65号車 LEON CVSTOS AMG（黒澤治樹/蒲生尚弥組、BS）も加わり、結局7台での2位争いとなった。結局2位を走っていた0号車は徐々にタイヤが厳しくなり、61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTや25号車 HOPPY 86 MCなどに相次いで追い抜かれた後、タイヤをセーブするためにスローダウンして結局8位まで後退してゴールした。

0号車 グッドスマイル 初音ミク AMG（谷口信輝/片岡龍也組、YH）を先頭に繰り広げられた2位争い。GT300クラスは熾烈な2位争いが繰り広げられた

　最終的に2位は61号車を終盤にオーバーテイクした25号車 HOPPY 86 MC、3位が61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT。4位は追い上げた88号車 マネパ ランボルギーニ GT3、5位は60号車 SYNTIUM LMcorsa RC F GT3となった。5台のトップ争いや、その後の7台による2位争いなど、今の激しいGT300の競争を象徴するレースだったと言ってよいだろう。

2位になった25号車 HOPPY 86 MC（松井孝允/坪井翔組、YH）。これでランキングも2位になる

3位は61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT（井口卓人/山内英輝組、DL）。速さは見せながらトラブルで泣いてきた61号車は、今シーズン初表彰台

4位は猛追を見せた88号車 マネパ ランボルギーニ GT3（平峰一貴/マルコ・マッペリ、YH）

25号車と上位争いを繰り広げた18号車 UPGARAGE 86 MC（中山友貴/小林崇志組、YH）。最終的に6位

0号車 グッドスマイル 初音ミク AMG（谷口信輝/片岡龍也組、YH）。タイヤ無交換により終盤はトップに立ち、ハンデも重く不利な状況ながらほかのクルマを押さえ込んだ谷口信輝選手。最後はタイヤが力尽きたのか8位

写真左から、中山雄一選手、影山正彦監督、新田守男選手

GT300クラス 正式結果

順位	カーナンバー	車両名	ドライバー	タイヤ	ウェイトハンデ	周回数	時間
1	96	K-tunes RC F GT3	新田守男/中山雄一	BS	ー	49	1時間48分14秒458
2	25	HOPPY 86 MC	松井孝允/坪井翔	YH	22	49	1時間48分30秒343
3	61	SUBARU BRZ R&D SPORT	井口卓人/山内英輝	DL	ー	49	1時間48分37秒013
4	88	マネパ ランボルギーニ GT3	平峰一貴/マルコ・マッペリ	YH	14	49	1時間48分38秒690
5	60	SYNTIUM LMcorsa RC F GT3	吉本大樹/宮田莉朋	YH	8	49	1時間48分39秒507
6	18	UPGARAGE 86 MC	中山友貴/小林崇志	YH	40	49	1時間48分39秒812
7	65	LEON CVSTOS AMG	黒澤治樹/蒲生尚弥	BS	32	49	1時間48分40秒473
8	0	グッドスマイル 初音ミク AMG	谷口信輝/片岡龍也	YH	18	49	1時間48分44秒164
9	31	TOYOTA PRIUS apr GT	嵯峨宏紀/平手晃平	BS	30	48	1時間46分41秒915
10	10	GAINER TANAX triple a GT-R	星野一樹/吉田広樹	YH	ー	48	1時間46分45秒630
11	7	D'station Porsche	藤井誠暢/スヴェン・ミューラー	YH	40	48	1時間46分58秒494
12	87	リーガルフロンティア ランボルギーニGT3	佐藤公哉/元嶋佑弥	YH	ー	48	1時間46分58秒822
13	2	シンティアム・アップル・ロータス	高橋一穂/加藤寛規	YH	ー	48	1時間47分06秒237
14	52	埼玉トヨペットGreenBraveマークX MC	番場琢/脇阪薫一	YH	ー	48	1時間47分07秒524
15	9	GULF NAC PORSCHE 911	久保凜太郎/石川京侍	YH	ー	48	1時間47分07秒909
16	11	GAINER TANAX GT-R	平中克幸/安田裕信	DL	34	48	1時間47分17秒654
17	30	TOYOTA PRIUS apr GT	永井宏明/佐々木孝太	YH	ー	48	1時間47分18秒508
18	117	EIcars BENTLEY	井出有治/阪口良平	YH	ー	48	1時間47分24秒119
19	50	EXE AMG GT3	加納政樹/安岡秀徒	YH	2	48	1時間47分33秒894
20	55	ARTA BMW M6 GT3	高木真一/ショーン・ウォーキンショー	BS	52	48	1時間47分50秒744
21	777	CARGUY ADA NSX GT3	横溝直輝/木村武史	YH	ー	48	1時間47分56秒941
22	48	植毛 GT-R	田中勝輝/リチャード・ブラッドリー	YH	ー	48	1時間48分01秒919
23	21	Hitotsuyama Audi R8 LMS	リチャード・ライアン/富田竜一郎	DL	2	48	1時間48分08秒141
24	35	arto RC F GT3	ナタウッド・ジャルーンスルカワッタナ/ナタポン・ホートンカム	YH	ー	48	1時間48分08秒438
25	22	アールキューズ AMG GT3	和田久/城内政樹	YH	ー	47	1時間46分51秒544
26	34	Modulo KENWOOD NSX GT3	道上龍/大津弘樹	YH	6	47	1時間46分55秒168
27	360	RUNUP RIVAUX GT-R	田中篤/青木孝行	YH	ー	45	1時間46分54秒090
28	26	TAISAN R8 FUKUSHIMA	山田真之亮/川端伸太朗	YH	4	44	1時間46分47秒879
ー	5	マッハ車検 MC86 Y's distraction	坂口夏月/平木湧也	YH	ー	13	27分49秒465

GT300クラスの表彰台