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エスシーアイ、「3-WHEELER」「4/4」など英「モーガン」ブランドを紹介する説明会「INTRODUCING」

1909年の「3-WHEELER」から始まり、現在も年間850台を手作業で製作

2018年5月22日 実施

モーガンブランドを紹介する説明会「INTRODUCING」を明治記念館で開催

 エスシーアイは5月22日、新しく取り扱いを開始した「モーガン」ブランドを紹介する説明会「INTRODUCING」を東京都港区の明治記念館で実施した。

 説明会では、英国のモーガン・モーター・カンパニーの紹介と、モーガン車がハンドメイドで作られる様子の説明が行なわれたほか、3台の「4/4」と、1台の「3-WHEELER」が展示された。

「4/4」
4/4
タイヤサイズは165/80 R15
4/4のインテリア
屋外に展示されていた4/4
ヘッドライト
テールランプ
4/4のメーターまわり
4/4
このモデルはリアにスペアタイヤを備えている
ホイールデザインは好みに応じて選択可能
82kW/132N・mを発生するフォード製 1.6リッターエンジンを搭載
メーターまわり。オーダーメイドのため、好みに応じて変更できる
ペダル配置はクラッチとブレーキがオルガン式、アクセルペダルが吊り下げ式となる
3-WHEELER
3-WHEELERのインテリア

 エスシーアイは英モーガン・モーター・カンパニーと日本国内での輸入販売契約を締結し、2018年4月5日から「3-WHEELER」「4/4」「PLUS 4」「ROADSTER」の4モデルと部品の販売、アフターセールス業務を行なっている。日本での正規ディーラーは2018年5月現在で8社が展開している。

 説明会の冒頭で挨拶を行なったエスシーアイ 代表取締役社長 伊藤誠英氏は、「モーガンは、100年以上に渡って職人が作ってきたクルマの中で、この時代にも合ったイノベーションを繰り返しながらイギリスで生き残ってきたブランドでございます。昨今では自動車の話題になりますと、電動化とか自動運転とか、コモディティ化していくような話題が多い中で、本当のクルマ好きの方々にこういったクルマを提供し、安心して維持していただけるような体勢をメーカーやディーラー、クラブの皆さまとともに展開できることを本当に嬉しく思っております」と述べた。

エスシーアイ株式会社 代表取締役社長 伊藤誠英氏
モーガン 正規ディーラー8社の代表者が出席。左から、モーガンカーズ 福岡 久間光明氏、モーガンカーズ 名古屋東 丸尾典郎氏、モーガンカーズ 岡崎 坂田憲彦氏、モーガンカーズ 東京 渡部英人氏、モーガンカーズ 東京北 篠原祐二氏、モーガンカーズ 千葉 島影健次氏、モーガンカーズ 仙台 佐藤隆氏

 次に、エスシーアイ 広報 谷田恵美氏がモーガンブランドについて紹介。

エスシーアイ株式会社 広報 谷田恵美氏

 モーガン・モーター・カンパニーは、英国のスポーツカーをハンドビルドする自動車メーカーで、1881年に生まれた創業者のヘンリー・フレドリック・スタンリー・モーガン氏が、1909年に「3-WHEELER」を作ったことが始まり。

 1913年に、モルヴァーン・リンクのピッカーズレイ・ロードに2棟の大きなワークショップが建てられ、ここは現在もファクトリー(伝統的に“ワークス”と呼ばれている)があるという。

ヘンリー・フレドリック・スタンリー・モーガン氏
最初の3-WHEELER
現在も工場があるピッカーズレイ・ロード

 1933年にはフォードのエンジンを搭載したニューモデルの「Fタイプ」を製作。そして、1936年に現在も生産されている「4/4」が登場した。4/4の名前の由来は“4気筒で4輪であること”から。車体はZセクションでフルウィズのスチールシャシーに、角断面のクロスメンバーを使い、ボディはトネリコ(アシュ)材の木製フレームにスチールをパネル張りした仕様となる。

 第二次世界大戦の終戦後となる1950年には3-WHEELERの生産が終了。同年に「PLUS 4」の生産が開始された。

 1955年に、4/4がシリーズ2として再登場。これは、PLUS 4と同じようなデザインで、36HPを発生するフォードの1172ccサイドバルブエンジンとインテグラル3速ギヤボックスを装備したモデルとなる。このころから4/4は現在までフォードのエンジンを使い続けているとのこと。

「Fタイプ」
現在も生産されており“量産車として世界で最も長い歴史を持つ”という4/4
4/4がシリーズ2として再登場

 21世紀を迎えた2000年のジュネーブショーで「エアロ8」を発表。2006年にはPLUS 8の生産が終わり、フォードのV型6気筒3.0リッターエンジンを搭載した「ROADSTER」が誕生した。

 そして、2011年には50年以上の時を経て、ヘンリー・モーガンの設計を現代流にアレンジした3-WHEELERが再登場。モーガン初のEV(電気自動車)として2016年のジュネーブショーで発表された「EV3」は3-WHEELERをベースとしている。

「エアロ8」
「ROADSTER」
2011年に3 WHEELERが再登場

 モーガン車は、研究から設計・塗装・内装に至るまでの全ての行程をピッカーズレイ・ロード工場で行ない、主にトネリコアッシュ材、アルミ、革の3つの素材を用いて、1台1台丹念にハンドビルドされている。そのため、現在は年間850台のみの生産となっているとのこと。

 谷田氏は、「モーガンは伝統とチャレンジの精神を受け継ぎながら、一流のパフォーマンスを発揮するクルマをこれからも開発し続けます」と述べ、プレゼンテーションを締めくくった。

 続けて、モーガンの特徴的なハンドビルドによるクラフトマンシップについて、ブランドマネージャーのジャスティン・ガーディナー氏が説明。スライドとともに紹介していく。

エスシーアイ株式会社 ブランド マネージャー ジャスティン・ガーディナー氏。「イギリスに行くチャンスがあったらぜひ工場見学をしてください。お金はかかりますが、1日4回くらいのツアーがあります。そこでこのハンドメイドのクルマを見ると、きっと欲しくなります(笑)」と話していた
ヨーロッパの馬車は、約250年前からトネリコ、アッシュ材を使って作られていたため、ヘンリー・モーガンは馬車と同じトネリコ材を使ってクルマを作り始めた
トネリコの木
現在はフレームのみにアッシュ材を用い、シャシーにはスチールを使用。電気を使って外側だけでなく、ボックスプリングの中まで錆びにくいペンキを塗っているとのこと
これまではリアサスペンションに板サスペンションを使っていたが、2018年の夏からロードスターは5リンクコイルになるとのこと。なお、フロントサスペンションは、モーガン特製のスライディングピラーのサスペンションを使い続けている
モーガン車に使われているアッシュ材は、3枚を重ねてボンドで接着。3~4時間程プレス機に入れて、形を作っている
全てのフレームが完成したら腐り止めの液剤に漬け、乾燥させる
乾燥後、工場で木のフレームの上にアルミを手作業で貼っていく。なお、アルミの部分は釘で止めているとのこと
ボンネットもハンドメイド
事故があった場合は部品を単品で供給。木のフレームも全てパーツごとに供給している
木のフレームとアルミボディ、スチールシャシーの全てを組み上げてフィッティングを行ない、再度分解して塗装を行なう。「その場でペンキを塗るので、好きな色を塗れます」とガーディナー氏
改めて組み上げたのち、最後にトリムを取り付ける。トリムとシートに使われるレザーは、“やや防水の柔らかいもの”が15色、“もう少し硬い防水レザー”が21色から選択可能。シートの部分とドアポケットの部分がそれぞれ選べるため、自分のオリジナルのクルマが作れるという
レザーの見本
完成車の積載風景
3-WHEELERを積載車に積み込む際は工夫が必要とのこと
3-WHEELERのエンジン。S&S製2.0リッター空冷Vツイン
4輪と同じく、フレームはスチール製
トランスミッションはマツダ MX-5(ロードスター)と同じものを搭載し、短いプロペラシャフトを介して、1輪しかない後輪にオートバイと同じようにベルトで力を伝達
3-WHEELERのフレームもアッシュ材
EURO4の排出ガス検査を通ったエンジン
航空機のようなインテリア
デカールは約10種類を用意
ほぼ完成したクルマ
モーガン初のEV「EV3」。イギリスのデパートとタイアップして、19台だけのリミテッドエディションを製作。2018年12月くらいに生産できるとのことで、ガーディナー氏いわく「もしかしたらもう少し生産するかも」とのこと
日産自動車「リーフ」と同じチャデモ(CHAdeMO)を搭載
受け付けに置かれていたイラスト