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日産、不適切な完成検査に関する再発防止策の実施状況を国交省に報告

2018年6月28日 発表

 日産自動車は6月28日、同社国内車両工場における不適切な完成検査に関する再発防止策の実施状況を国土交通省に報告した。

 これは、一連の完成検査に係る不適切な取り扱いに関し、3月26日付で国土交通大臣から型式指定に関する業務改善指示を受けて、四半期ごとに報告するよう指示されたもの。今回、業務改善指示に係る同社の対応を「型式指定に関する業務改善についてのご報告」、業務改善指示に係る計58件の対策の進捗状況を「再発防止策の実施状況に関するご報告」と題した文書で、それぞれまとめた。

 なお、計画立案中の対策は計4件あり「未完了の対策は、確実に実施すべく、継続して取り組んでいきます」としている。

「型式指定に関する業務改善についてのご報告」の文書では、再発防止策とその進捗状況について「現場の業務実態の把握・管理に係る対応」「コンプライアンスの徹底に係る対応」「風化防止の取り組み」の項目で現状を報告。また、現状に対する「総括」について記載している。

 以下、「型式指定に関する業務改善についてのご報告」に「総括」として記載された全文を掲載する。

・総括

 現場の業務実態の把握・管理においては、(業務改善対策)上記対策の実施により、現在の生産計画に基づき、法令に準拠した完成検査を実施するために必要とする体制を整えることができました。法令に準拠した完成検査の実施を維持していくため、今後も完成検査員の増員及び検査作業の自動化を進め、完成検査員のより一層の負担軽減を図っていきます。

 また、監査の強化においては、(工場・TCSX・内部監査室、3層による監査体制の構築が)具体的な効果が出てきています。I-4)で述べたとおり、第2層監査による指摘をきっかけに、標準作業書等の誤りを発見するに至りました。更に、工場での自主モニタリングの開始により、これまで問題としてタイムリーに認識されてこなかった事例が指摘され、工場間で共有されることで、完成検査の現場において自らが問題を認識し、意識する傾向が現れてきています。このような問題意識の高まりによって、徐々に問題発生の未然防止や自主改善につながっていく風土が根付くよう、活動を推進していきます。今後も3層による監査を継続し、各監査の指摘事項とその対策を全工場で共有・適用することで問題の早期発見と対策の実施につなげていきます。

 現場の声の把握においては、I-6)で述べた経営層・管理者層と現場のコミュニケーションの場を持つこと、任命教育や生涯管理プロセス等の検討において現場の意見を確認しながら進めること、人員調整において係長層が参画し現場実態を反映すること等を実施してきました。人員調整に関しては、プロセスが明確になり、完成検査員の過不足とその調整を工場の人員調整会議の中で議論ができるようになったとの声が現場から聞かれるようになりました。また、現場からは以前に比べてコミュニケーションが改善してきているといった声も挙がってきています。徐々に好意的な声が聞こえるようになりましたが、完成検査の現場に携わる全ての従業員が声を挙げやすくなったと実感をもってもらえるよう、奢ることなく取り組みを継続していきます。

 コンプライアンスの徹底においては、各種教育の強化や監査の強化が、完成検査の現場における問題意識の向上につながってきていますが、完成検査員も含めた従業員の意識改革には地道に活動を継続していくことが必要となります。法令遵守状況を確認する取り組みを追加し、コンプライアンスの徹底を強化していきます。

 風化防止においては、今はまだ本事案の問題意識は高いものの、風化させないためには、随時改善を行いながら、対策を実施した状態に維持していく活動が重要です。また、社内コミュニケーションによる取り組みを追加し、風化防止に努めます。

 完成検査制度は法令に基づく制度であり、当社は本制度のもと、国に代わって完成検査業務を実施しています。今回の件は、その義務を怠っていたことで国土交通省並びにお客様の信頼を損なうこととなった重大な事態だと受け止めています。しっかりと安全確保を第一に、法令遵守の推進と再発防止策の実施を進め、ステークホルダーの皆さまの信頼回復に全社一丸となって努めていきます。