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トヨタも応援する日本ディープラーニング協会、「G検定」合格者の交流会開催

理事長の松尾豊氏「技術を覚えた次のステップはビジネス力勝負」

2018年7月4日 開催

日本ディープラーニング協会が開催した「合格者の会」参加者らとの記念撮影

 JDLA(日本ディープラーニング協会)は7月4日、東京・千代田区の新有楽町ビル7階の「FiNC」において、2017年12月と2018年6月に実施したジェネラリスト検定「G検定:JDLA Deep Learning for GENERAL」の合格者の交流の場として「G検定 合格者の会」を開催した。

 JDLAでは、ディープラーニングに関する知識を有し、事業活用する人材を「ジェネラリスト」として認定する検定「G検定」を実施している。イベント当日は、「G検定」合格者の中から抽選で選ばれた約180名のほか、JDLA 理事長である東京大学 大学院 工学系研究科 特任准教授 松尾豊氏、JDLA理事を務めるエヌビディア エンタープライズ事業部長 井﨑武士氏といったJDLA理事会会員や、会員企業、賛助会員企業の代表者らが参加した。

トヨタ自動車株式会社 先進技術開発カンパニー 先進技術統括部 主査 竹内康臣氏

 同会場では、賛助会員代表としてトヨタ自動車 先進技術開発カンパニー 先進技術統括部 主査 竹内康臣氏が挨拶。竹内氏は「弊社が協会に期待しているところは、産業への実装、産業への貢献や人材育成を意識していることです。われわれも自動運転の技術開発を行なっており、産業としての課題をぶつけていきたい」と話すとともに、検定合格者へのトヨタからのメッセージとしては「検定に合格したからいいとかではなく、この日本を変えていくために皆さまには伝道師になっていただきたいと思います。このような会でもネットワーキングが重要で、こういったネットワークが今後のつながり、皆さまの成長になってくると思います。中国、シリコンバレーもすごいパワーで、日本も負けてはいけない。トヨタ自動車も応援していきたい」との期待感を話した。

 合格者の会では、6月16日に開催された「2018年 第1回G検定」の受験者数や合格者数などの実施結果詳細を報告。過去2回の優秀者や最年少・最年長合格者の表彰も行なわれたほか、各種分野でディープラーニングの活用を目指す人たちが業種を越えて交流できる場としていた。

 JDLAの理事として参加したエヌビディアの井﨑氏は「われわれが日本ディープラーニング協会に参画しているのは、ディープラーニングの産業での活用と日本の産業力、競争力強化を目的にしています。もちろん、われわれはプラットフォームベンダーとしてGPUを売る売らないといった部分もありますが、それよりもディープラーニングの活動が広がらないとビジネスになりませんし、日本の企業が世界的に勝てる企業になってほしいという思いが日本法人としてもあります。ディープラーニングは2012年を皮切りに始まっていますが、産業での活用というとまだまだスタートベースです。ここからいかに急速に立ち上げていくのか、こういった協会が人材育成や産業活用をアクセラレートしていくのかが重要で、それによって市場が大きくなって、結果として儲けを出していく企業が増えていくという好循環になっていくと思いますので、そういった市場を作っていくお手伝いをしたいと考えています」とコメントした。

JDLA 理事長で東京大学 大学院 工学系研究科 特任准教授 松尾豊氏

 会の締めくくりに挨拶をしたJDLA理事長である東京大学 大学院 工学系研究科 特任准教授 松尾豊氏は、ディープラーニングの将来について、ITやデジタル技術の領域において新しい付加価値を生み出せる可能性がある技術であることを強調するとともに、コスト削減サイドより付加価値サイドに振ったほうに将来があるとの考えを示した。

 加えて、松尾氏は「今のディープラーニングは20年前のインターネットと同じくらいの時代感。皆さんが検定で技術を理解したというのは、HTMLが書けます、Webサーバーの立ち上げ方を覚えましたぐらいの話。それが前提の話で、検索エンジンとか、ソーシャルネットワークといった、新しい事業モデルを作るのが勝負のポイントになる思う。インターネットと違って、ディープラーニングにおいては産業ごとに構造を緻密に読み取って動いたプレーヤーが、その分野を取るといったことになると思う。ですので、技術を覚えた次のステップはビジネス力勝負」との考えを示した。