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日産、2018年度第1四半期決算説明会。営業利益28.8%減の1091億円で減収減益。通期営業利益は5400億円の見込み

グローバル販売台数は前年同期比3.0%減の131万台

2018年7月26日 発表

2018年度第1四半期(2018年4月~6月)決算説明会に出席した日産自動車株式会社 常務執行役員 田川丈二氏

 日産自動車は7月26日、2018年度第1四半期(2018年4月~6月)決算を発表。第1四半期の連結売上高は2兆7166億円(前年同期比1.6%減)、連結営業利益は1091億円(同28.8%減)、経常利益は1589億円(同16.2%減)、当期純利益は1158億円(同14.1%減)となった。

 同日、同社 常務執行役員 田川丈二氏が出席する記者会見が実施され、第1四半期の実績を報告。2018年度第1四半期のグローバル販売台数については前年同期比3.0%減の131万台となった。

2018年度第1四半期のグローバル販売台数

 地域別では、日本では前年同期比0.8%減の13万台。米国では前年同期比9.5%減の36万5000台。ロシアを含む欧州は前年同期比12.7%減の16万2000台で、ロシアにおける販売台数は前年同期比0.6%減の2万3000台となった。

 一方、中国での販売台数は前年同期比6.9%増の33万6000台に達し、新型「キックス」やフルモデルチェンジした「ナバラ」「エクストレイル」「ティアナ」などの貢献、「D60」などのヴェヌーシアブランドの伸長が販売をけん引した。

 アジア・オセアニア、中南米、中東、アフリカをはじめとするそのほかの市場の販売台数は前年同期比6.6%増の20万台。

グローバルの販売台数と地域別の販売台数

 営業利益1091億円については前年同期1533億円から28.8%減と、営業利益率も前年同期の5.6%から4.0%に低下。主に原材料の高騰や為替の変動などが減益要因という。

 2018年度通期(2018年4月~2019年3月)業績予想は、売上高12兆円(対前期0.4%増)、営業利益5400億円(同6.0%減)、当期純利益5000億円(同33.1%減)となる。

2018年度第1四半期(2018年4月~6月)決算の主要財務指標
2018年度第1四半期(2018年4月~6月)決算の財務実績
株主還元は57円を予定

 第1四半期の評価について、田川氏は「米国と欧州の販売減少の影響が大きかったが、その他地域で中国だけでなく、ブラジル、中東、タイといった今までわれわれにとって厳しい地域で少し回復してきたことと、購買コスト削減が貢献できたのはいいニュースであった。ただ、残念ながら原材料価格の上昇と為替の影響を相殺できなく、厳しい結果と受け止めている」とコメント。

 通期業績に対する進捗状況については、田川氏は「進捗状況は小売りが22%、売上で23%、営業利益で20%、純利益で23%。米国や欧州の販売正常化の取り組みを進め、今後販売する新車が下期以降に効いてくると考えると、ほぼ社内計画に沿った状況」との見込みを話した。

 完成検査時の排出ガス測定に関する問題における国内販売への影響について、田川氏は「第1四半期については影響はありませんし、決算についても完成検査問題であった引当金を用意するということもなく、リコールの対象ではないとわれわれでは思っていてリコールに伴う引当金を積むということはございません。現状における受注の状況は、ディーラーへの来訪が減るといった懸念もありましたが今現在はほぼ正常に戻ってきており、受注も前年より5%プラスで推移して、足下で大きな影響が出ている状況でないが、今後とも日産ブランドとして信頼回復に会社全体で取り組んで、なるべくその影響を低く抑えるように取り組んでいきたい」とコメントした。

 また、バッテリー事業の「オートモーティブエナジーサプライ」の会社分割中止の影響については「直接的な影響はなく、今後同じ取引を進めていくかどうかについては、社内で検討を進めている段階で、決定次第改めてご報告いたします」と述べた。

 記者からは米国の輸入車に対する関税についての質問が出され、田川氏は「クルマに対する関税は、この影響は甚大であると思われます。例えば、米国現地の会社の試算によると輸入車で1台6000ドルのコストがかかるとか、米国で生産するクルマも部品の輸入分だけでも2000ドル上がるとか言われていますので、これから各社いろんな施策をとっていくかと思います。ただ、これがいつから始まるのか確定しておりませんし、我々としては引き続き部品の現地化であれ、いろんな対策がとれるような準備は進めておこうとは思いますが、具体的にどんな施策をとるかはここではコメントすることは差し引えたい」との考えを示した。

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