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日産、2018年度 第2四半期決算説明会。売上高2.1%減の5兆5327億円、純利益10.9%減の2463億円で減収減益

国税局からの200億円の申告漏れ指摘は「見解の相違によるもの」

2018年11月8日 開催

日産自動車株式会社 CFO(最高財務責任者)財務、経理、IR、M&A支援 軽部博氏

 日産自動車は11月8日、2018年度 第2四半期の累計6カ月(2018年4月~9月)における決算を発表した。2018年度上期の売上高は前年同期比2.1%減の5兆5327億円、営業利益は同25.4%減の2103億円、当期純利益は同10.9%減の2463億円、売上高営業利益率は3.8%となっている。

 同日に神奈川県横浜市の日産グローバル本社で実施された決算説明会で登壇した日産自動車 CFO(最高財務責任者)財務、経理、IR、M&A支援 軽部博氏は、冒頭で2018年度 第2四半期(2018年7月~9月)の3か月における主要財務指標が、売上高が2兆8200億円、営業利益が1012億円、当期純利益が1304億円で、自動車事業におけるフリーキャッシュフローはマイナス48億円で、ネットキャッシュポジションは1兆5635億円と紹介した。

 この内容について軽部氏は、新興国通貨の下落、原材料価格の上昇といった逆風の影響を受けて減収減益となっていると解説。総括としては、「販売の質の向上」に取り組みつつも、小売り台数やマーケットシェアではほぼ前年同期並みを確保。しかし、卸売り台数を絞って販売会社の在庫適正化を推し進めたことで、売上高の減少につながったとした。

 具体的には、グローバルの小売り台数が前年同期比1.8%減の137万4000台に対し、卸売り台数が同3.7%減の131万3000台。これにより、グローバルの販売会社在庫が3か月で約5万台減少、さらに上期の6か月全体では10万台減少させたことで、適切な在庫水準で下期に臨むことができると説明している。

2018年度 第2四半期の決算について解説する軽部氏
2018年度上期の財務実績
2018年度 第2四半期(3か月)の主要財務指標(中国合弁会社持分法ベース)
2018年度 第2四半期(3か月)の主要財務指標(中国合弁会社比例連結ベース)
2018年度 第2四半期(3か月)の決算総括。為替の影響だけで300億円のマイナスとなっている

 グローバルの販売台数では、日本、中国、タイ、フィリピン、中南米で販売増を実現。日本では「リーフ」「ノート e-POWER」「セレナ e-POWER」の販売が好調。中国でも順調な成長でマーケットシェアを前年同期比0.4%増の6%に高めた。

 一方で「改善に取り組んでいる地域」として挙げられたのは米国と欧州で、米国では「販売の質の改善」、欧州では「厳格化される環境規制への対応」を喫緊の課題として取り組んでいるとのこと。

 説明の最後に軽部氏は、「2018年度上期は北米や欧州における販売台数の減少、原材料価格の上昇、為替の課題などに直面して厳しい結果となりました。一方で、米国における販売の質の改善は、時間のかかる取り組みではありますが、少しずつ結果も出はじめており、下期はさらなる改善を実現できるものと考えております。また、コスト削減の取り組みも順調に進んでおり、もの作りにおいてはしっかりとした結果を残せる見通しです。以上のことから、2018年度通期の業績見通しに変更はありません。自動車事業のフリーキャッシュフローも、上期は販売会社在庫の調整の影響もあって若干のマイナスとなりましたが、下期は在庫調整もほぼ終了したことで、収益と共に回復して、通年では3000億円程度のフリーキャッシュフローを実現できると見込んでおります」とコメントして締めくくった。

グローバル販売台数は前年同期比1.8%減の268万3000台
日本市場の販売台数は前年同期比0.5%増の28万5000台
中国市場の販売台数は前年同期比10.7%増の72万台
米国市場の販売台数は前年同期比9.1%減の70万9000台
ロシアを含む欧州市場の販売台数は前年同期比12.1%減の33万台
その他市場の販売台数は前年同期比4.3%増の40万7000台
2018年度上期の営業利益増減要因。為替、原材料価格、研究開発費、販売活動などが減益要因となっている
販売会社在庫は51万台に減少した
配当などの株主還元は従来予定どおり行なわれる

東京国税局からの200億円の申告漏れ指摘は「見解の相違」と軽部氏

質疑応答でコメントする軽部氏

 後半に実施された質疑応答では、在庫調整の北米分の内訳や調整の影響、北米事業の解説などが求められ、これについて軽部氏は「計10万台のうち、アメリカでは3か月で2万6000台、6か月で5万4000台で、(米国の在庫は)26万台になっています。これは適正なレベルになっていると思いますし、在庫の内容も、昨年は旧型モデルイヤーの在庫を多数抱えてインセンティブも高止まりとなっていました。今年は数も少なく、第3四半期以降に売るクルマで旧型モデルイヤーの比率が下がります。ちょうど10月から販売を始めました「アルティマ」に加えて質の改善に貢献できると思っています。足下のインセンティブの状況は、残念ながらまだ大幅に減ったというレベルまでは到達していませんが、この3か月では売上高比率で1ポイント弱ぐらいは改善しているかなと思います。これを引き続き努力していきたいと思います」と解説した。

 また、前日に行なわれた米国の中間選挙についての質問には「1企業としてあまり申し上げられることはありませんが、アメリカの国民の皆さんが選んだ結果なので、それにしたがってやっていく。ビジネスは与えられた環境の中でベストを尽くすということだと思っています」と回答している。

 このほか、一部報道で、東京国税局から日産の関連会社で200億円の申告漏れにがあると指摘されたと取りあげられていることについては、「東京国税局から『タックスヘブン対策税制』の適応について更正決定処分を受けたことは事実です」と述べ、「バミューダにある保険会社のタックスヘブン適応除外要件という点の解釈で、当局との相違があったということです。当社に申請は適正だったと理解していますので、国税不服審判所に審査請求をしております。何年かある実績の内で特定の1年について、処理の更正通知ということなので、ビジネスそのものがタックスヘブンを利用した租税回避であるというようなことではなく、もう少しテクニカルな、定義や計算についての部分での見解の相違と考えています」とコメントした。