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マクラーレン、4番目の「ロングテール」モデル「600LT」アジア初公開。価格は2999万9000円
600PS/620N・mの出力で0-100km/h加速2.9秒、最高速328km/h
2018年7月30日 19:31
- 2018年7月30日 開催
- 2999万9000円
マクラーレン・オートモーティブは7月30日、英国で開催されたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで世界初公開した“スポーツシリーズ”の新型モデル「600LT」を、東京 渋谷でアジア初公開した。クーペモデルとなる600LTは10月からおよそ12カ月間にわたって生産される予定で、価格は2999万9000円。
車名に設定されたLTは「ロングテール」を意味するもの。1996年~1997年に製造された「マクラーレン F1 GTR」のル・マン出場モデルがロングテールと呼ばれていたことをヘリテージとして受け継いでおり、2015年にリリースされた「675LT」「675LT スパイダー」に続く4番目のロングテールモデルとして位置付けられている。
同じマクラーレンのスポーツシリーズとしてラインアップされている「570S」のクーペモデルから構成部品の4分の1を変更。マクラーレン F1 GTRのロングテールモデルで実施された改良内容を踏襲し、エンジンの高出力化やエアロダイナミクスの追究、徹底した軽量化などを実施している。
搭載するV型8気筒 3.8リッターツインターボ「M838TE」エンジンは30PS/20N・mアップとなる600PS/7500rpm、620N・m/5500-6500rpmを発生。ボディには新しいフロントスプリッター、サイドシル、拡張されたディフューザー、固定式のリアウイングなどを装着しており、他のスポーツモデルから全長を74mm延長した4604mmとして、ボディサイズは4604×2045×1194mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2670mmとした。
軽量化では、開発の当初から「570Sから車両重量を96kg削減する」との目標が設定され、エアロダイナミクス装備にカーボンファイバー素材を積極的に使い、超軽量アルミアロイホイールを装着。内装材でも軽量なアルカンターラをトリム素材に多用して、シート下のカーペットを削除。さらに675LTでも採用されたカーボンファイバー製のレーシングシートを標準装備することで、車両重量は1356kgを実現。さらにMSO(マクラーレン・スペシャル・オペレーションズ)の用意するオプションとして、5月に日本初公開された「マクラーレン セナ」向けに開発された超軽量カーボンファイバー製、カーボンファイバー製のルーフ&カントレイル(梁)、ダクト付きカーボンファイバー製フロントフェンダーもラインアップしており、すべてを装着すると乾燥重量が1247kgまで低減されるという。
こうした改良により、乾燥重量でのパワーウェイトレシオは2.08kg/PSとなり、0-100km/h加速は2.9秒、0-200km/h加速は8.2秒、最高速は328km/h。また、軽量なボディにフロント6ピストン、リア4ピストンのアルミニウム製ブレーキキャリパーとフロント390mm、リア380mmのカーボンセラミック製ブレーキディスクを備えることで、200km/h走行状態から静止するまでの制動距離は117mとしている。
0-200km/h加速8.2秒はフェラーリの「488 GTB」より速い
アジア初公開の会場では、最初にマクラーレン・オートモーティブ アジア 日本代表の正本嘉宏氏が登壇。正本氏はマクラーレンの現ラインアップが「アルティメットシリーズ」「スーパーシリーズ」「スポーツシリーズ」の3種類で構成され、新たに紹介する600LTはマクラーレンの走りのDNAをスポーツカーセグメントに移植したスポーツシリーズに属することを紹介。
また、先日行なわれたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードに合わせて発表した新たなビジネスプラン「Track25」では、「18種類のニューモデル導入」「ニューモデル導入と合わせた100%ハイブリッド化」「2025年に向けた12億ポンドの研究開発費の投資」「全世界で86拠点ある正規販売店を100拠点に拡大」などの野心的な目標を掲げており、この実現にあたり日本は極めて重要な市場であると正本氏は説明。スポーツシリーズの販売で、日本は北米、英国に続く3番目の市場になっており、2017年度は受注ベースで前年比78%増と大きな成長を遂げているほか、保有台数も累計で800台を超えているとアピール。
マーケティングやPRの強化に努めており、5月に公開したマクラーレン セナに続き、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで世界初公開したばかりの600LTをアジア初公開した。
車両についてのプレゼンテーションを行なった英マクラーレン・オートモーティブ Commercial Operations Directorのアレックス・ロング氏は新たにデビューする600LTが、20年にわたるマクラーレンの歴史でまだ4番目と数少ないロングテールモデルであり、マクラーレンのスポーツシリーズで初めてLTの車名が与えられるモデルになるとコメント。マクラーレンにおいてLTは「究極のマシーン」であり、「むき出しで容赦がなく、恐れを知らない存在。ドライバーと最強の一体感を提供し、意気地のない人には操れないクルマなのです」とアピールした。
具体的な車両解説では、LTのDNAを忠実に実現するため、600LTでは「最大限の軽量化」「最適化されたエアロダイナミクス」「増加したパワー」「トラックにフォーカスしたダイナミクス」「ドライバーエンゲージメント」「少数限定」の6つを柱として設定。これによって600LTは「マクラーレンが作ったクルマで最もスリリングになっている」とロング氏は語り、「ドライバーエンゲージメント」が“LTらしさの尺度”になっていると解説。
指先やシートなどから伝わってくる感覚が、パワートレーンやシャーシのチューニングによって高められていることを示し、車体が熱を持っている時には乗員の背後にあるエキゾーストから火を噴く体験ができるとした。また、600LTでは不要な物が廃され、クルマと周囲とのむき出しの一体感が味わえるとロング氏は表現している。
「最大限の軽量化」では675LTと同様の軽量化を目指し、最軽量版では乾燥重量を1247kgまで低減。8.2秒を達成した0-200km/h加速については、フェラーリの「488 GTB」やランボルギーニの「ウラカン ペルフォルマンテ」、ポルシェの「911 GT2 RS」より速いタイムであることを誇りに思っていると述べた。軽量化はLTモデルの中核であり、独自のカーボンファイバーシャシーに加えて車体全体でカーボンファイバー素材を採用。キャビンではカーペットを削減したほか、ガラスの板厚を薄くしているという。また、軽量なブレーキシステムとサスペンションは「720S」から、カーボンファイバー製のレーシングシートは「P1」から受け継いでいることを明らかにした。
「最適化されたエアロダイナミクス」については、特徴として「よりアグレッシブな設計」を行なっているとロング氏は解説。車両前面の大型フロントスプリッターは150mphで40kgのダウンフォースを発生。さらにサイドスカートは車両側面で起きる空気の流れをマネージメントして、エンジンルームでの吸気を高めて冷却効果をアップさせているという。
ロング氏が「570Sから一番大きく変更を加えた」と強調したのが「トラックにフォーカスしたダイナミクス」の部分。サスペンションシステムが一新され、720Sから継承したブレーキシステムにより、グリップ、アジリティ、高速安定性が高められており、さらに超軽量アルミアロイホイールとオーダーメイドによる新しいピレリ製タイヤなどによって刺激的な走りを実現するとした。
最後にロング氏は「この6つの柱に忠実であることにより、600LTは最もピュアで気分を高揚させるドライビングエクスペリエンスをスポーツシリーズで提供します」とコメントしてプレゼンテーションを締めくくった。