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【F1日本グランプリ 2018】メルセデスのルイス・ハミルトン選手が優勝。フェラーリのベッテル選手は6位に終わる

トロロッソ・ホンダは、ピエール・ガスリー選手が11位、ブレンダン・ハートレイ選手が13位

2018年10月5日~7日 開催

優勝してウイニングランするルイス・ハミルトン選手(44号車 メルセデス)

 三重県鈴鹿市にある鈴鹿サーキットで「2018 FIA F1世界選手権シリーズ 第17戦 Honda日本グランプリレース」の決勝レースが10月7日に行なわれ、メルセデスのルイス・ハミルトン選手が優勝。自身71回目の優勝をグランドスラム(練習走行、予選、決勝すべてでトップ)で果たした。

 これにより、ハミルトン選手は次戦アメリカGPで自身が優勝し、今回のレースで6位に終わったベッテル選手が3位以下になると、今年のドライバーチャンピオン獲得を決めることができる状況になった。

 2位は同じくメルセデスのバルテリ・ボッタス選手、3位はレッドブルのマックス・フェルスタッペン選手と予選のトップ3と同じ顔ぶれとなった。

 6位と7位からスタートしたトロロッソ・ホンダの2台は、タイヤ交換時に順位を落とす展開になってしまったい、ピエール・ガスリー選手が11位に、ブレンダン・ハートレイ選手は13位となり惜しくもポイントは獲得できなかった。

予選6位となり期待されたトロロッソ・ホンダのハートレイ選手だが、最終的には13位に

8番グリッドからスタートしたベッテル選手は瞬く間に4位まであがるが、スプーンで無理なオーバーテイクを試みてスピン最後尾へ

スタートの様子、ハミルトン選手がリードしたまま1~2コーナーを通過

 1年に1度の日本GPの週末を迎えた鈴鹿サーキットは、金曜日の練習走行日、土曜日の予選日のいずれも安定しない天気で、土曜日の予選(別記事参照)に関してはドライとウェットのコンディションを行ったり来たりという形で、その路面に翻弄されたチーム、それを逆に上手く利用したチームとコントラストな結果となった。中でも大きなトピックはドライバーズ選手権で2位のセバスチャン・ベッテル選手(5号車 フェラーリ)が、Q3の最初のタイヤ選択を、他チームはドライタイヤを選択したのに対してフェラーリはインターミディエイトのウェットタイヤで出て行くという大失敗を犯し、ドライのスーパーソフトタイヤに変えて出て行った周の周回のセクター2でミスを犯してタイムロス、そのため、9位に相当するタイムしかマークすることができなかった。その後、8位となったエステバン・オコン選手(31号車 フォースインディア・メルセデス)がQ1での赤旗時に減速しなかったとして3グリッド降格になったため、8番手からスタートすることになったが、前は今回直接のライバルとなるレッドブルの兄弟チームであるトロロッソ・ホンダの2台という厳しいグリッドからスタートを強いられることになってしまった。

 今回のレースは、今週末で初めての完全な晴天になり、気温は午前中からどんどん上がり始め、スタート時点では気温28度、路面温度は39度と今週末では最も気温、路面温度ともに高い状況で行なわれることになった。それに対して湿度は51%と逆に低くなっており、蒸し暑いという感じはなく日が差している場所は暑いという気温だ。まさに絶好のレース日和という天候で、その中で14時10分にレースのフォーメーションラップはスタートした。

 スタートではトップからスタートしたメルセデスのハミルトン選手、ボッタス選手が順当に1コーナーへと入っていく。

フェルスタッペン選手と接触して失速したライコネン選手を抜いて、ベッテル選手が序盤で8位から4位へ

 そうした順当なスタートの中で、大きく順位を上げたのは、8位からスタートしたフェラーリのベッテル選手。2台のトロロッソ・ホンダを2コーナーまでにオーバーテイクし、スプーンの入り口で5位のロマン・グロージャン選手をオーバーテイク。さらにここでオープニングラップの終わりのシケインで、3位を走っていたマックス・フェルスタッペン選手(33号車 レッドブル・レーシング・タグホイヤー)と4位を走っていたキミ・ライコネン選手(7号車 フェラーリ)が接触するアクシデントが発生。

 アクシデントはフェルスタッペン選手がシケインで止まりきれず、少しはみ出して戻ってきたところにライコネン選手が真横に出てくるという形で起きた、このアクシデントでライコネン選手が減速している間に、後ろから来ていたベッテル選手がアウトから追い抜いていき、4位に浮上した。さらに、フェルスタッペン選手はこのアクシデントにより、5秒のタイムペナルティが科せられてしまい、ベッテル選手が事実上の3位に上がることになった。

 その後、ケビン・マグネッセン選手(20号車 ハース・フェラーリ)がシャルル・ルクレール選手(16号車 ザウバー・フェラーリ)に追突され、タイヤがバーストしてしまう。マグネッセン選手はそのままピットまで走り続けたが、その間に破片がコース上に散乱することになったので、4周目にセーフティカーが出され、レースは振り出しに戻る。

マグネッセン選手のタイヤバーストによる破片がコースに散らばったことで、コースを清掃するためにセーフティカーが入る

 レースが9周目に再開されると、見た目上の4位を走っていたベッテル選手が、見た目上の3位を走っていたフェルスタッペン選手に襲いかかる。確かに、フェルスタッペン選手を抜かなければ、前の2台のメルセデスにおいて行かれるため抜きに行くだけの理由はあったが、スプーンの入り口でインに入るというのはかなり成功率が低いギャンブルで、案の定フェルスタッペン選手がドアを閉めて2台は接触、フェルスタッペン選手はそのまま走り続けることができたが、ベッテル選手はその場でスピン、全車が通過するまで待つ必要があったため、リタイアしてしまったマグネッセン選手を除く最後尾の19位まで順位を落としてしまった。

 フェルスタッペン選手に5秒のタイムペナルティが科されているため、待ってても3位は得ることが可能だったが、それ以上の可能性に賭けたベッテル選手だったが、ギャンブルは完全に裏目に出てしまったようだ……。

レース中盤に行なわれたタイヤ交換でもメルセデス勢は安定して1-2を維持、追い上げるベッテル選手

 1回目のピットストップは18周目から始まった。今回のレースではスーパーソフト、ソフト、ミディアムの3つのタイヤが持ち込まれたが、メルセデス2台とグロージャン選手が除く上位がスーパーソフトを選択しており、スーパーソフトは早々に寿命を迎えたようで、いち早くピットに入ってきたのはフェラーリのライコネン選手。彼はミディアムタイヤに交換して、コースに戻る。一番堅いミディアムを選んだということは、1ストップで最後まで行くプランのようだ。

 だが、この日のフェラーリは何もかも上手くいかないレースの典型のようになっており、コースに戻るとピエール・ガスリー選手(10号車 スクーデリア・トロロッソ・ホンダ)、セルジオ・ペレス選手(11号車 フォースインディア・メルセデス)、エステバン・オコン選手(31号車 フォースインディア・メルセデス)の後ろになってしまう。これせせっかくの新しいタイヤのおいしいところも生かせず、それらの後ろで時間を無駄にしてしまい、前をいっていたレッドブルのフェルスタッペン選手がタイヤ交換(スーパーソフトからソフトへ)と5秒ペナルティを消費してピットアウトしてきても、後ろになってしまったのだ。さらに、15位からスタートしたダニエル・リカルド選手(3号車 レッドブル・レーシング・タグホイヤー)がタイヤ交換(ソフトタイヤからミディアムへ)を終えると、こちらもにもライコネン選手は遅れを取っている状況。これでライコネン選手の表彰台への望みはほとんどなくなってしまった。

 その後24周、25周にトップを行くハミルトン選手、2位を行くボッタス選手がピットストップを敢行。メルセデス勢はいずれもソフトタイヤからミディアムタイヤに交換。いずれも1ストップと考えられており、これでレースはほぼ決定という状況になった。あとは、ベッテル選手がどこまで追い上げることができるか、それがレースの焦点となった。そのベッテル選手は。前を走るフォースインディアのオコン選手、ペレス選手を相次いでオーバーテイクし、そして35周目にはフェルスタッペン選手を追い抜くのに失敗したスプーンの入り口でグロージャン選手を抜くことに成功して会場を沸かせた。

フォースインディア勢はトロロッソ・ホンダを抜いてポイント圏内へ、ペレス選手は7位に
ハースのロマン・グロージャン選手は8位に
フォースインディアのもう1台オコン選手は9位に
残り数周でガスリー選手を抜いて10位になりポイントを獲得したルノーのサインツ選手

レース終盤まで10位でポイント圏内を走っていたガスリー選手は、残り2周でルノーのサインツ選手にオーバーテイクされポイント圏外へ

予選7位からスタートしたガスリー選手は、スタートしてすぐ6位に上がるが、最終的には11位に

 同じように会場を沸かしたのは、トロロッソ・ホンダのガスリー選手。ガスリー選手はタイヤ交換前まで7位を走っていたが、フォースインディアの2台が先にタイヤを交換してタイムを縮め始めてからピットインしたたため、フォースインディアの2台、そして先にミディアムタイヤに交換していたザウバーの2台にも抜かれてしまったのだ。しかし、ガスリー選手は1コーナーでザウバーのエリクソン選手を、シケインでルクレール選手を抜き、10位まであがりポイント圏内へと復帰することに成功した。

 その後41周目にバーチャルセーフティカーが出されたが、ほぼ半周ですぐ解除され、残り10周の時点での順位はハミルトン選手、ボッタス選手、フェルスタッペン選手、リカルド選手、ライコネン選手、バーチャルセーフティカーが出された段階では7位だったが解除後に前を走るグロージャン選手を抜いたペレス選手、グロージャン選手、オコン選手、ガスリー選手というトップ10になった。

 これで確定かと思われたが、3位を走るフェルスタッペン選手がみるみる前を走るボッタス選手に追いついて行く。ボッタス選手はミディアムタイヤ、フェルスタッペン選手はソフトタイヤで、タイヤの違いが大きく影響しているものと考えられる。そしてもう1つの争いは、10位を走るガスリー選手と、11位を走るカルロス・サインツ選手の1ポイントをかけた争い。こちらも、残り7周で1秒差まで詰まっていく。最後は51周目の1コーナーでサインツ選手が1コーナーでガスリー選手をオーバーテイクし、トロロッソ・ホンダの地元でのポイント獲得はなくなった。

優勝したルイス・ハミルトン選手

 優勝はポールから1度も順位を譲らなかったメルセデスのルイス・ハミルトン選手。71回目の優勝で、3つの練習走行、予選、そして決勝レースのすべてでトップとなるグランドスラムを達成した。この結果により、ハミルトン選手は次戦のアメリカGPにおいて、自らが優勝しベッテル選手が3位以下になれば自身5回目のワールドチャンピオンを決定する状況になった。

 2位はフェルスタッペン選手の追い上げを振り切ったボッタス選手、3位はそのフェルスタッペン選手、4位はリカルド選手とレッドブルの2台。

2位に入ったバルテリ・ボッタス選手
3位に入ったマックス・フェルスタッペン選手
4位に入ったダニエル・リカルド選手

 5位はライコネン選手、6位はベッテル選手とフェラーリの2台となった。7位はフォースインディアのペレス選手、8位はハースのグロージャン選手、9位はフォースインディアのオコン選手、10位はルノーのサインツ選手となった。トロロッソ・ホンダはガスリー選手が11位、ハートレー選手は13位とポイントには届かないレースになった。

5位に入ったキミ・ライコネン選手
6位に入ったセバスチャン・ベッテル選手

・日本GPのレース結果表(結果は暫定)

順位カーナンバードライバー車両周回数タイム
144ルイス・ハミルトンメルセデス531:27:17.062
277バルテリ・ボッタスメルセデス53+12.919s
333マックス・フェルスタッペンレッドブル・レーシング・タグホイヤー53+14.295s
43ダニエル・リカルドレッドブル・レーシング・タグホイヤー53+19.495s
57キミ・ライコネンフェラーリ53+50.998s
65セバスチャン・ベッテルフェラーリ53+69.873s
711セルジオ・ペレスフォースインディア・フェラーリ53+79.379s
88ロマン・グロージャンハース・フェラーリ53+87.198s
931エステバン・オコンフォースインディア・フェラーリ53+88.055s
1055カルロス・サインツルノー52+1 lap
1110ピエール・ガスリースクーデリア・トロロッソ・ホンダ52+1 lap
129マーカス・エリクソンザウバー・フェラーリ52+1 lap
1328ブレンダン・ハートレイスクーデリア・トロロッソ・ホンダ52+1 lap
1414フェルナンド・アロンソマクラーレン・ルノー52+1 lap
152ストフェル・バンドーンマクラーレン・ルノー52+1 lap
1635セルゲイ・シロトキンウィリアムズ・メルセデス52+1 lap
1718ランス・ストロールウィリアムズ・メルセデス52+1 lap
NC16シャルル・ルクレールザウバー・フェラーリ38DNF
NC27ニコ・ヒュルケンブルグルノー37DNF
NC20ケビン・マグネッセンハース・フェラーリ8DNF