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ランボルギーニ、横浜で「ランボルギーニ・デイ 2018」開催。ニュル市販車最速の「アヴェンタドール SVJ」アジア初公開

スーパーSUV「ウルス」や日本限定モデル、名車のレストア展示など見どころ満載

2018年11月21日 開催

アジア初公開となるランボルギーニ「アヴェンタドール SVJ」

 ランボルギーニ ジャパンは11月21日、横浜で「ランボルギーニ・デイ 2018」を開催した。このイベントでは、米国カリフォルニア州で開催されたペブルビーチ・コンクール・デレガンスで発表された「アヴェンタドール SVJ」がアジア初披露されるとともに、デビュー50周年を記念してレストアされた「エスパーダ」と「イスレロ」などの展示も行なわれた。

 また、夕方より150台以上が参加するオーナーパレードも実施され、同会場に到着した後、オーナー向けイベントとしてランボルギーニ・デイ 2018を開催。参加者は350名以上。本稿では、日中に行なわれたアヴェンタドール SVJの初披露とプレスカンファレンスを中心にお伝えする。

 普段は撮影スタジオという会場の巨大な空間にステージが設置され、ベールに包まれたアヴェンタドール SVJがスポットライトを浴びる瞬間を待っている。報道陣向けに並んだ席の両脇には、オープントップモデル「ウラカン ペルフォルマンテ スパイダー」と、日本でのデリバリーが始まったばかりのスーパーSUV「ウルス」が展示されていた。

ランボルギーニ・デイ 2018の会場は撮影スタジオを借りて開催された

 ウラカン ペルフォルマンテ スパイダーは、最高出力470kW(640HP)/8000rpm、最大トルク600Nm/6500rpmを発生するV型10気筒 5.2リッター自然吸気エンジンを搭載。フォージドカーボンファイバー技術により、ベースとなる「ウラカン スパイダー」と比較して35kgの軽量化を実現。アクティブ・エアロダイナミクス・システムの「ALA」を搭載するのも特徴だ。

 ウルスは最高出力478kW(650HP)/6000rpm、最大トルク850Nm/2250-4500rpmを発生するV型8気筒 4.0リッターツインターボエンジンを搭載。ターボエンジンの採用はランボルギーニ初となっており、これはオフロード走行時に低回転高トルクを実現するためだという。乾燥重量は2200kg。アクティブ・トルク・ベクタリングと4ホイールステアリングを装備した4WDシステムを搭載している。

ランボルギーニ・デイ 2018に設置されたステージ
ステージ中央でアヴェンタドール SVJがアンベールを待つ
ステージ脇に展示されたウラカン ペルフォルマンテ スパイダー。V型10気筒 5.2リッター自然吸気エンジンは最高出力470kW(640HP)/8000rpm、最大トルク600Nm/6500rpmを発生
フォージドカーボンファイバー技術により、ウラカン スパイダーから35kgの軽量化に成功。0-100km/h加速は3.1秒、最高速は325km/hに達する
スーパーSUV「ウルス」
最高出力478kW(650HP)/6000rpm、最大トルク850Nm/2250-4500rpmを発生するV型8気筒 4.0リッターツインターボエンジンを搭載

 最初に登壇したのは、2018年4月にアウトモビリ・ランボルギーニ アジア太平洋地区CEOに就任したマッテオ・オルテンツィ氏。オルテンツィ氏は、日本のマーケットがランボルギーニにとって非常に大切であることを述べた上で、「もう50年以上も日本でビシネスをしておりますが、素晴らしい結果を毎年出しております。何十年にも渡って2桁成長を続けており、2018年も同様です」と、500台以上の販売を日本で達成したスライドと共に説明した。

アウトモビリ・ランボルギーニ アジア太平洋地区CEO マッテオ・オルテンツィ氏
ランボルギーニは日本のマーケットにおいて2桁成長を続けている

 オルテンツィ氏の合図と共にイメージビデオが上映された後、ステージ中央のアヴェンタドール SVJがアンベールされた。アジア初披露となるアヴェンタドール SVJの緑のボディカラーがライトに照らされると、チーフ・コマーシャル・オフィサーのフェデリコ・フォスキーニ氏が登壇した。

イメージビデオが終了し、ステージ中央に美女が2人現れる
アヴェンタドール SVJがアンベールされ、歓声と共にストロボが雨のように降り注いだ
チーフ・コマーシャル・オフィサーのフェデリコ・フォスキーニ氏

 フォスキーニ氏はまず、アヴェンタドール SVJに付けられた“SVJ”について説明。SVは「スーパーヴェローチェ(意味はスゴく速い)」で、卓越したパフォーマンスを発揮するモデルに対して付けてきた冠だ。「ミウラ」「ディアブロ」「ムルシエラゴ」などに付けられた。しかし今回、SVに“J”が追加されている。フォスキーニ氏は、「“J”というのは、より軽くよりパワフルなクルマに付ける名前。市販車でありながらレースで走れる。サーキットのために作られたクルマ」と、“J”を説明した。

“J”は「Jota(イオタ)」を意味する。そしてその名の通り、ニュルブルクリンク北コース(20.6km)のラップタイムが6分44秒97という、市販車最速記録を樹立した。その記録樹立のニュースもあり、すでに100台が売れているという。

 続いてフォスキーニ氏はアヴェンタドール SVJのデザインについて、「どの角度から見ても戦闘機、航空機の伝統を踏襲しています。特にサイドビューは、さまざまな戦闘機の要素を取り入れている。また、航空機のエンジンからインスピレーションを得ている。そのおかげで、このクルマは非常にアグレッシブな外観となった」と説明した。

アヴェンタドール SVJのデザインはジェット戦闘機にインスパイアされているという
スライドを使ってアヴェンタドール SVJの解説をするフォスキーニ氏

 外観のみならず、アグレッシブな性能を有するアヴェンタドール SVJ。レースで最高のパフォーマンスを発揮するために、3つの柱を元に製作を進めたという。その3つの柱とは「パワーウェイトレシオ」「空力性能」「ハンドリング」だ。

 アヴェンタドール SVJに搭載されるパワートレーンは新しいV12エンジンで、吸気バルブ、吸気シリンダーヘッドダクトも新デザインでチタン製。フライホイールは「アヴェンタドール S」に比べて13%の軽量化と、慣性モーメントの20%低下を実現している。

 フォスキーニ氏は、前モデル「アヴェンタドール SV」とアヴェンタドール SVJのパフォーマンスを比較したグラフについて、「非常に素晴らしい記録です。圧倒的なパワー、圧倒的な加速、圧倒的なレスポンス、圧倒的なサウンドを生み出すクルマに仕上がりました」と絶賛しながらも、「今回の目的は、最高のパワーウェイトレシオを実現すること」とし、パワーに満足するのではなく、軽量化が重要であることを述べた。

 これまでに得た知識を結集して軽量化を図り、さまざまな軽量素材を採用した。特にカーボンファイバーはモノコック、ルーフ&ピラー、エンジンボンネット、フロントスプリッターなど広範囲に渡って採用しているという。ほかにも、小型の排気システムやモノコック構造の軽量リムなどを採用することによって乾燥重量は1525kgとなり、パワーウェイトレシオは1.98kg/HPを実現した。

「アヴェンタドール SVJ」「アヴェンタドール SV」のパフォーマンスを比較するグラフ
素材変更やシステム見直しなどで軽量化された数々のパーツ

 2本目の柱となる「空力性能」では、ウラカン・ベルフォルマンテで初めて採用されたアクティブ・エアロ・ダイナミクス・システム「ALA(Aerodinamica Lamborghini Attiva)」を、「ALA2.0」という次世代のシステムに進化させた。エアインテークとエアロチャネルのデザインが最適化され、大きくなった横加速を考慮してキャリブレーション調整がされている。

 ALAは、空力負荷を積極的に変更することで、状況に応じて高ダウンフォースまたは低ドラッグを実現するシステムだ。フロントスプリッターやエンジンボンネットのフラップが電動モーターで開閉することで、フロントとリアの空気の流れを変える。さらにリアウィングのインナーチャネルは左右で分かれており、曲がる方向によってALAをON/OFFし、内側のホイールに対するダウンフォースとトラクションを高めている。

搭載される「ALA」システム。ON/OFFで空力特性を変える
曲がる方向によって、左右でALAをON/OFFするエアロ・ベクタリング

 3本目の柱である「ハンドリング」については、改良された慣性センサーを搭載したすべての車載電子システムをリアルタイムに制御するLDVA(Lamborghini Dinamica Veicolo Attiva)を活用することで実現する。パフォーマンスを最適化するために、LDVA2.0とALA2.0は完全統合されている。

 フォスキーニ氏はアヴェンタドール SVJの説明の最後に、「数字でまとめると、V12の自然吸気エンジン、770馬力、最高速が350km/h以上、720Nm、0-100km/h加速が2.8秒、0-200km/h加速が8.6秒、パワーウエイトレシオ1.98kg/HP、空力性能がSVと比べて40%以上向上といったところ。それらによって、ニュルブルクリンクで6分44秒97という記録を打ち立てることができました」と締めた。

車載電子システムをリアルタイムに制御するLDVA2.0により、最高のハンドリングを実現する
アヴェンタドール SVJにまつわる数字。それらによって6分44秒97という記録につながっていった

 続いて、アウトモビリ・ランボルギーニ CEOのステファノ・ドメニカリ氏が登壇し、この後に開催されたオーナーイベント「ランボルギーニ・デイ 2018」を含めて、「今日はこのランボルギーニの世界を、この美しい場所で体験いただきます」と挨拶した。会場には数々のモデルなどが展示されていることを前置きし、「ランボルギーニのプログラムの数々があります。これはランボルギーニがいかに成功しているかを表すものです。単に数字だけではありません」とランボルギーニの成功を誇った。

アウトモビリ・ランボルギーニ CEOのステファノ・ドメニカリ氏

 また、ランボルギーニはマーケットとしてだけでなく、日本のことを重要視していることを訴えた後、「今日はチャリティオークションを開催し、台風や地震、北海道や大阪の災害に遭われた方々に寄付したいと思います」と発表。ドメニカリ氏は、「これは皆さまと(さまざまなことを)分かち合いたいと思ってのこと」と、ランボルギーニと日本の友好の証としてチャリティオークションを行なうことを宣言した。

アヴェンタドール SVJの隣で挨拶を行なうドメニカリ氏

 最後に、ゲストの駐日イタリア大使のジョルジョ・スタラーチェ氏が登壇し、「日本は21世紀の今、どんどん発展を続けている。日本はとてもランボルギーニに合ったマーケット。アヴェンタドール SVJは、21世紀を象徴するような将来を担うようなクルマです」と挨拶した。

駐日イタリア大使のジョルジョ・スタラーチェ氏
ドメニカリ氏から大使にミニチュアカーがプレゼントされた
アヴェンタドール SVJ
リアのエンジンカバーはSVJ用に新しく設計されたもの。軽量のカーボンファイバー製で、クイックリリースクリップで取り外せるようになっている

 会場には、ステファノ・ドメニカリ氏から説明されたチャリティオークションの出展品が展示されていた。世界で1枚しかない「アヴェンタドール SVJ 63」のデザインスケッチや、アヴェンタドール SVJがニュルブルクリンクの記録を更新した際にドライバーのマルコ・マペリが着用していたレーシングスーツ、その際に装着していたタイヤの3点がそれだ。タイヤはオプション設定のピレリ製「P ZERO TROEFO R」で、全4本のうちの1本。ほかの1本はイタリア本社にあるランボルギーニミュージアム、残り2本はイタリア本社で展示や保管を予定している。

チャリティオークションに出品された3点
「アヴェンタドール SVJ 63」のデザインスケッチ
ピレリ製「P ZERO TROEFO R」タイヤは、当時のタイヤカスが付着したまま
2016年から数々のタイトルに果敢に挑戦し続けるマネパGT3

 ほかにも、好みやニーズに合わせたパーソナライゼーション・プログラム「アド・ペルソナム」やアパレル&アクセサリーを扱う「CAL(Collezione Automobili Lamborghini)」の展示、日本市場向けに特別にデザインされた5台の限定生産モデル「アヴェンタドール S ロードスター 50th Anniversary Japan」(水・地・火・風・空)、今年デビュー50周年を記念してレストアされた「エスパーダ」と「イスレロ」などが展示された。

5台の限定生産モデル「アヴェンタドール S ロードスター 50th Anniversary Japan」。青いボディカラーは「水」モデル
写真では伝わりにくい微妙な空色をまとう「空」モデル
白と黒の「風」モデル
深紅の「火」モデル
「地」モデル。5台の限定車は今回の展示のため、オーナーから借りているとのこと
2018年にデビュー50周年を記念してレストアされた「エスパーダ」と「イスレロ」は、メイン会場とは別に展示されていた
「イスレロ 400GT」。ランボルギーニ400GTの後継モデルとして、1960年代に225台が製造された
「エスパーダ S3」。10年に渡り1217台が生産された。このモデルはS3で、生産台数は456台
パーソナライゼーション・プログラム「アド・ペルソナム」
ライセンス商品を扱う「CAL(Collezione Automobili Lamborghini)」