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エアレース・パイロット室屋義秀選手が2019年シーズンへの意気込みを語った「2019シーズン キックオフ イベント」

“地味に強く”をコンセプトに2019年シーズンを戦う

2019年1月23日 開催

 エアレース・パイロットの室屋義秀選手は1月23日、都内で開催された「室屋義秀 2019シーズン キックオフ イベント」に出席。レッドブル・エアレースへの参戦など2019年シーズンに向けて意気込みを語った。

 世界最高の飛行技術を競う「レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップ」に参戦する室屋選手は、2016年に千葉大会で初優勝、2017年には千葉大会で2連覇を達成するとともに年間チャンピオンを獲得。年間チャンピオン2連覇を目指してシリーズを戦った2018年シーズンについては、年間ランキング5位に終わった。

 ステージに登場した室屋選手は、2018年シーズンの成績を振り返って、「まあまあ頑張りましたねという感じでしょうか」と感想を語るとともに、「決して悲観するような成績ではなく、レースの中ではいろんなトラブルがあって、その中で5位に収まったので、わるいシーズンではなかった」と話した。

 また、2018年シーズンのレース全体を振り返って、室屋選手は「去年は、おととしより、タフなシーズンでしたね。新しいルーキーも入ってきて即戦力でレースのトップ争いに絡んでくるのでチャンピオンシップは厳しくなってきています。タイム差も2017年シーズンより詰まってきて、ポイント差もどんどん詰まってきて、タフなシーズンになってきている」との印象を話した。

 レースで使用する機体については、2019年シーズンに向けて、これまでにウイングレットや新エンジンを導入していることを紹介して、2018年の千葉戦に投入した垂直尾翼についてもテストを続けていることを明かした。2018年シーズンを戦った機体について、室屋選手は「(研究開発してきたパーツについて)テストの時間が足りない中で、さらに一步前にといって投入していったものが結果的に裏目に出たと思うで、そのへんは大きな反省点であったし、2019年に活かせることだと思います」と語る。

2018年の千葉戦に投入した垂直尾翼についてもテストを続けていることを明かした
機体についてはウイングレットや新エンジンを導入したという

2019年は「予選でポイント付与」するルール変更を実施

 同イベントでは、2019年のレッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップで一部ルール変更が実施されることが紹介され、ルール変更がレースにもたらす影響などについても語られた。

 2019年シーズンのルール変更では、2010年シーズン以来となる「予選でのポイント付与」が決定。各レース予選の首位通過者は3ポイント、2位は2ポイント、3位は1ポイントを獲得する。また、決勝レースの順位に応じたポイントについても、ラウンド進出ごとにボーナスポイント(ラウンド・オブ8進出で5ポイント、ファイナル4進出で3ポイント)が加算され、各順位の獲得ポイントが変更された。

 2018シーズンのタイトルが5ポイント差、2017シーズンが4ポイント差で決まっており、追加ポイントはタイトル争いに大きな影響を与えることになる。

 今回のルール変更に、室屋選手は「われわれにとって影響が大きいのは予選ポイントで、1位通過で3ポイント付きますので、チャンピオンシップを戦う場面で3ポイント差は、大きなことになっていく。予選をどうやって獲っていくかが大きなタスクになり、予選でスーパータイムを出さないといけないので面白い予選が展開されて、われわれにとっては緊張感のあるルールになると思います」と解説。

 続けて、室屋選手は「僕は予選がけっこう得意なので、昔からポイントを付けてくれって言っていました(笑)。基本的に強いチームとか、チーム体制を整えたところがポイントを伸ばしていくシステムで、われわれにとっては有利な体制と思っていて、ラッキーアンラッキーがすこし薄まると思います」との感想を話した。

もう一つのルール変更「オーバーG」

 またオーバーGに関するルール変更では、2018年シーズンは「10Gが0.6秒続けば2秒ペナルティ加算、12G記録時点でDNF(Did Not Finish/ゴールせず)」となっていたが、2019年シーズンは「11G記録時点で1秒ペナルティが加算、12G記録時点でDNF」に変更された。

 このルールについて、室屋選手は「(10Gが)0.6秒というルールがありましたが、非常に分かりにくいということでした。実はわれわれ操縦する側も0.6秒あるなら0.59秒まで使うんです。11.8Gを0.5秒かけたら、そのあとに9.9Gに戻し、もう1回11Gをかける、このテクニックは3年くらい前に僕が作って、それから全員がやるようになって、みんなやるんだからいらないルールじゃないかという議論がありました。これからGのコントロールについては、違ったテクニックを開発していかなければならないので、また1からの勝負で結構面白いとわれわれは思っています」とコメントした。

9月7日~8日に「レッドブル・エアレース 千葉 2019」開催が決定

2019年も千葉大会の開催が決定された

 さらに、同イベントの中で「レッドブル・エアレース 千葉 2019」が9月7日~8日の2日間、千葉県立幕張海浜公園(千葉県千葉市美浜区)で開催されることが発表された。

 9月開催となった千葉大会に向けて、室屋選手は「シーズンも後半戦に入るタイミングで、7~8月ごろはレースも夏休みとなるので、早めに機体を福島に搬入できて、後半戦や2020年に向けていろんな開発を含めたプロジェクトができたらいいなと思うので、非常にいい時期だと思います」と感想を語った。

2019年シーズンのレッドブル・エアレース参戦チーム体制。オフィシャル・チーム・パートナーはファルケン、テクニカル・チーム・サプライヤーはブライトリング、パーソナル・スポンサーはレクサスであることが発表された
エアロバティック・パイロットとして航空ショーなどでも活動を予定している
室屋選手個人の活動として、福島県のふくしまスカイパークに建設された新展示場「Hangar 1(ハンガーワン)」をベースに、小中学生を対象にした航空教室「空ラボ」の開催を予定している

2019年シーズンのコンセプトは「地味に強く」

 最後に2019年シーズンへの意気込みを聞かれ、室屋選手は「2019年シーズンは意外と地味に戦っていこうと思っています。“地味に強く”というのをコンセプトにその背景となるプロジェクトや研究開発トレーニングをしていますけれど、表向きは地味めにいきます。ですので皆さんに盛り上げていただきながら、9月の千葉戦に向けて盛り上がりを作っていけるように、われわれチームとしても全力でいきたいと思いますので、1年間よろしくお願いいたします」と意気込みを語った。