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【レッドブル・エアレース千葉 2018】室屋義秀選手によるレース後の記者会見

室屋選手「ファステストルーザーを狙う心持ちではなかった」

2018年5月27日 開催

フライト後の記者会見に出席した室屋義秀選手

 5月26日~27日に開催された「レッドブル・エアレース千葉 2018」。5月27日の決勝レース後に室屋選手による記者会見が行なわれた。

 決勝レースで室屋選手は、14名のパイロットが対戦する「ラウンドオブ14」で、第2戦カンヌの優勝者マット・ホール選手と対戦。室屋選手はオーバーGによりDNF(Did Not Finish)で失格となり、「ラウンドオブ8」に進出することができなかった。レース後に行なわれた室屋選手の記者会見をここにお伝えする。


――今日のオーバーGについては、パーツ変更による感覚のズレというより、マット・ホール選手のタイムを受けて攻めた結果?

室屋選手:その両方だと思っています。パーツの変更はバーチカルターンにはあまり影響はないはずですが、ほんの少しフィーリングの違いはなくはないので……。マット・ホール選手のタイムが今日のベストラップでしたので、そこに追いつこうと思っていましたので、かなり目一杯いこうと思って、そのミックスでオーバーGになってしまったと思います。

垂直尾翼を小型化した予選日のセッティング

――日本でもエアレースが定着してきたと思いますが、室屋選手は今年の盛り上がりについてどのように感じている?

室屋選手:昨年より2倍くらいの注目度があると思っていました。今日もすごい数のお客さんが空からも見えましたし、メディアの皆さんにも満席になるくらい来ていただいて、日本にエアレースがあるという認知がされてきて、ファンの中でもモータースポーツとして認知が進んでいるなと思います。

――母国大会3連覇という前人未到の記録がかかっているということでメディアの注目も高く、レースに集中できない場面があったかと思う。それについてのメンタル面でのエアレースの難しさを聞かせてほしい。

室屋選手:モータースポーツですから、メディアの力がなければ日本中にモータースポーツは広がっていかないわけで、そういった状況を含めて背負うのがプロだと思います。それでも、昨年はプレッシャーが上がっていくなかで最終的にいい結果を出せました。今回のレースは残念な結果になってしまいましたが、昨年も2レース完全に落としてワールドチャンピオンを獲得したので、残り5戦をきちっと獲っていけばいいと思っています。また、より皆さんに注目していただくことでモータースポーツとして成長することになりますし、われわれやスポンサーを含めてチームを強くしていく力になるので、それを力に変えられるようにチームとしては底力を蓄える時期かなと思っています。

――マット・ホール選手に対戦で負けてもタイムを出していれば、ファステスト・ルーザーとして「ラウンドオブ8」に上がれることもできたと思うが、やはりマット・ホール選手に勝って「ラウンドオブ8」に上がりたいという気持ちがあったのか?

室屋選手:コックピットに入る前に4人ぐらいのタイムは見ていたので、マットのタイムを聞いて、かなり速いなと思っていました。だいたい1秒くらいアップしているタイムだったので、それに追いつくには相当攻め込んでいく必要があるなとスタート前から分かっていました。でも、自分としてはコンディションもよかったので楽しくなってきて“これはちょっと面白くなってきたぞ”と思いながら実はスタートしています。ほんのちょっとした操作の差だったのですが、オーバーG以外のほかのGは完璧だったし、オーバーGをしないような操作のデータも残っていたのですが、オーバーGをしたのは事実なので、自分としてはファステスト・ルーザーを狙う感じの心持ちではなかったです。

決勝レースは垂直尾翼を第2戦カンヌのセッティングに戻した

――ウイングチップ、エンジンカウル、垂直尾翼と機体の改良を進めているが、これからもシーズン中に機体をバージョンアップしていくのか?

室屋選手:機体のバージョンアップについては、今年についてはアグレッシブなものはないと予想していますが、2019年に向けたテストは始まっています。次のシーズンに向けたテストという意味合いでトラックで飛ぶ必要もあり、長い目で見れば今回の改造を含めて一歩前進していると思っています。投入の時期やトレーニングのタイミングとかは注意しながらやっていきますが、開発をやめてしまうとどこかで追いつかれてしまうので、こういうチャレンジを続けていったほうが、最終的な長い目でみると結果がよくなるのかなと考えています。

――千葉大会の全体的な感想とこれからの思いを聞かせてほしい。

室屋選手:千葉は4年目の開催でお客さんも定着してきていますし、今では千葉は世界中に定着してきたと思っています。世界のエアレースの環境で千葉のレースが1番盛り上がっていて、千葉という都市の名前がモータースポーツの世界一の都市になった実感があるので、われわれ選手としてはここで飛ばさせていただいていることに感謝しつつ、千葉がこれだけ世界に有名になったのは嬉しいです。

――次のブダペストに向けて、力強いコメントを。

室屋選手:今日はとっても残念でしたが、ワールドチャンピオンシップでは3位にとどまっているので、ポイント差は開きましたが悲観するポイント差ではないので、冷静になればいい位置に付けているのは間違いありません。今日の反省は反省として失敗から学ぶことは多いので、それを生かしてあとの5戦をしっかり戦えるように準備していきます。まだまだ終わりじゃなく、皆さん千葉が終わると、わりと終わっちゃったような感じになりますが、シーズンはまだまだ続きますので、最後まで応援いただければ力になります。


 千葉大会はノーポイントに終わった室屋選手だが、ポイントランキングは3位(今シーズン最高位2位、計19ポイント)と変わらず。レッドブル・エアレースは全8戦でワールドチャンピオンが決定する。次戦、第4戦ブダペストは6月23日~24日(現地時間)に開催予定。