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【インディ500 2019】佐藤琢磨選手「マシンは優勝した2017年に次ぐ仕上がり」
2019年5月25日 12:32
- 2019年5月26日(現地時間) 決勝開催
北米の最高峰モータースポーツ・シリーズ「NTT INDYCAR SERIES(インディカー・シリーズ)」第6戦となる「第103回 インディアナポリス500マイル・レース」(103RD RUNNING OF THE INDIANAPOLIS 500、インディ500)が、米国インディアナ州の州都インディアナポリス市にあるインディアナポリス・モータースピードウェイ(IMS)で5月14日~26日の13日間にわたって開催されている。
決勝前の最後の練習走行「ミラー・ライト・カーブ・デイ」が行なわれる前日となる5月23日(現地時間)に2017年インディ500ウィナーの佐藤琢磨選手が囲み取材に応じた。本稿では、その模様をお届けする。
決勝は気温が鍵を握る
――日曜の天気ですが、雨の予報も出ています。明日はカーブ・デイもありますが、どれぐらいの気温や路面温度を想定されているのでしょうか?
佐藤琢磨選手:それはもうコンディションに合わせるしかないので、これまでのプラクティス(練習走行)は比較的涼しい日が多かったんですよね。予選の日がだいぶ暑くなっていって、それが終わって、月曜日のプラクティスもまた寒かったので、正直言って、暑い中で集団で走っていないんですよ。暑くなると当然タイヤのグリップも路面温度が上がって落ちますし、それから空気もどんどん薄くなって軽くなって、ダウンフォースもなくなって来るので、より接近戦は難しい。
ただ、僕らとしては、今の涼しい状態の中で、正直言って、自力でトップグループのスピードが出せるかというとちょっと苦しいんですね。なので、逆に暑くなってもらって、コンディションが難しくなってくれたほうがチャンスがあるかな、という風に個人的には思っています。明日のカーブ・デイがどうやら今まで走った中で一番暑くなるだろうと言われているので、その中で最終の合わせ込みをして、涼しくても暑くても準備できるようにしたいですね。
――路面は結構変わっていますか?
佐藤選手:変わっていきますね。予選までは毎日走っているので、ラバーが乗る乗らないという話をすると、もうほとんど変わらないですね。1日目が終わった時点からほとんど変わらないんですけど、ただ予選のようにフレッシュラバーでダウンフォースをギリギリまで削った時というのは、ちょっとした路面コンディションで大きくスピードが変わるので、路面というより、気温の方が大きいですかね。だいたい今、1週間走っていないじゃないですか。明日、カーブ・デイを走って、また土曜日にお休みがあって、そういう時に雨が降ると、日曜日のレースの最初のスティントというのは、かなりサラサラの路面に感じるんですけど、だいたい1スティント目が終わる頃には路面としてはすごく良くなります。懸念すべきはオフラインがマーブルによってどんどん汚れていくというのがレースでは難しいですね。
――決勝は中団からのスタートとなりますが、気をつけないといけないですよね。
佐藤選手:やはりまわりにクルマが多いのでリスクも当然上がりますし、守りに最初から入っちゃうとあっという間に飲み込まれちゃうので、もちろんある程度はレースですし、攻めていかないといけないんですが、攻めすぎると自分がアクシデントにあう確率が大きくなってしまうので、そこらへんは様子を見ながら、だけど確実にポジションアップできるようにしたいなと思っています。
――今まで走行してきた中で日曜日に残っている不安とか、日曜日はちょっとこうしてみようというようなことはありますか?
佐藤選手:あります。残念ながらいっぱいあるんですよ(笑)。本当はプラクティスの中で全部洗い出せたらよかったんですけど、今ちょっと話したように、やっぱり涼しいということが、結局コンディションが良いと、ある程度不具合があってもそこが隠れてしまうんですね、フィルターがかかっちゃってるような状態なので。
本当に自分たちが弱いところが浮き彫りになるのは、大集団で走った時で、それが前回の月曜日、プラクティスで作り上げたクルマはよいと思っていたんだけど、細かいディテールを見てみると、いろんな部分で効率があまり良くないということが分かってきて、とくに集団のハイダウンフォースの中で。それをちょっと急遽コンセプトを変えて明日走ろうかなと。
それは想像していたよりも、ある意味緊急事態です。去年みたいにクルマができあがっていない状態だと、いろいろ振り分けて、探して探して、という感じだったんですが、アラン・マクドナルド(エンジニア)の加入で方向性はほとんど今年の初めから見えていて、秋のテストも良かったんですよね。実際、プラクティスが始まっても、オープンテストで一番速かったりとかもあって、調子が良かったから、それでいい、正しいと思い込んでいたんですけど、3人で走っていく中で細かいデータを見ていくと、ちょっと足りないね、と。
なので、それを明日やります。それをやった結果をもって日曜日のクルマにするので、ちょっと正直言って、明日まで日曜日に対してどうするかというは決まっていません。
優勝した2017年に次ぐ仕上がり
――2017年を100として考えた場合、今どれくらいの仕上がりなのでしょうか。
佐藤選手:難しいなぁ。80も行っていない。残念ながら70点ぐらいでしょうね。60ほど低くはないけど、去年の今日が40~50点ぐらいだったので(笑)、それに比べれば全然いい。今の状態でももちろんレースできるし、ある程度きっちり走れる。ただ、フロントランナーというかトップグループでコンペティティブな走りをしようとしたら、もう一段上げないといけないので、だから全力を出します。今ここに座っていた人(グレアム・レイホール選手)も今日の午後はシミュレーターに行くし、やり残したことを洗ってきて、明日のカーブデーでみんなでそれを試します。
――実際、具体的なライバルはいかがですか。
佐藤選手:やっぱりディフェンディングチャンピオンのウィル(・パワー選手)、というかペンスキー勢は今年も予選で前の方にいるし、強いでしょうね。そこに続くカーペンターの3人もきっちり入っているし、アンドレッティ勢、そして(チップ・)ガナッシですよね。本当に毎年一緒かもしれないけど、そこにチャレンジしていくという感じだと思います。
――インディの話から離れますが、先日、ニキ・ラウダさんが亡くなりました。
佐藤選手:伝説的なドライバーだったし、それも知らないドライバーじゃなくて、僕もヨーロッパのF1時代は何度か話をする機会もあって、あまりにもグリッドが離れているので、そんなにしょっちゅう話をする仲ではなかったけど、ドイツのRTLのテレビ局の時も彼は来たりしていたので、メルセデスのアンバサダーをやる前じゃないかな、その時の方がよく話をしたような気がします。
彼の生き様というか人生というのは壮絶じゃないですか。とくに「ラッシュ」の映画を見て、余計そう感じたし、彼のレースにかける意気込みと想いと緻密なエンジニアリングのすごさと、というのは本当に尊敬すべき伝説的な人だったと思います。残念ながら体調を崩していて、肺の手術もおそらくニュルブルクリンクの事故の火災から来ていると思うので、ここまでずっと戦ってきた真のファイターだったんだな、という風に思います。
――記念すべき10回目のインディ500ですが、今この時点で仕上がりはその中で何番目ですか? 2017年を1番として。
佐藤選手:そういう意味では2番目ですね。2012年はカーブ・デイで大混乱を起こして、日曜日に行く時に捨て身のセットアップというか、まったくやったことのない新しいコンセプトで走ったんですよ。シングルカーだったし、DW12(2012年から導入されたシャシー)でみんな分かんなかったし、あの時は予選が圧倒的な差があったんで、かなり後方だったんだけども、やれるだけやろうってことで。
でも、ものすごい歴史的に一番暑い日になって、すべてがひっくり返ったじゃないですか。クルマとしては2012年はたしかにレース・デイは速かったですね。速かったけど、ナイフエッジというか、あまりにも綱渡りのようなドライビングを要求されるようなクルマになってしまっていたので、それに比べたら今のマシンのほうがドライバビリティというか、トラフィックに入っている時の動きとしては緩やかなので。それを目指して作ってきてますから。
クルマも全然違いますし、2012年よりも全体の競争力が上がっていますよね。一昔前のインディだったら結構逃げ切れたりしたと思うんだけど、DW12がデビューしてから、それこそ逃げ切れないレースになって、それでもまだ差があったんですが、今は予選でも2マイルでしょ? トップと33位が。本当に小さな差なので、コンディション次第では全員ひと塊で走るぐらいコンペティティブだと思います。その中で自分たちの仕上がりとしては高いほうだけど、ちょっとしたコンディションでうまく合わなかったりすると、あっという間に飲み込まれちゃうと思います。
決勝に向けていくつか試したいコンセプトも
――先ほどの路面の話に戻りますが、色が違いますよね?
佐藤選手:そうですね。なんか新しくコーティングをして。結局、去年のインディ500はあまりにも追い抜きが少なかったと。それはダウンフォースが極端に落ちたからなんですよね。ドラッグ(空気抵抗)も考えると、空力の効率がすごく悪くなってしまったので、そういうことになっちゃったんだけど、それを対策するのに、エアロ的にはほとんどいじれない。今年は新たにリアウィングのガーニーフラップとか、フロントウィングのエクステンションとか許されているので、去年よりはダウンフォースは付けられるんだけど、一緒にドラッグも付いてきちゃうので、みんな全部付けていくとは思えないんですよ。まあ、気温次第ですけどね。
そうすると、じゃあ、あとどこで追い抜きができるようにするかというと、路面を良くするのとタイヤを良くする、それしか残っていないんですよね。ですから、IMS側も路面をよりハイグリップになるようにコーティングをして、ファイアストンタイヤもとくにフロントタイヤの構造を一新して、さらに追い抜きが可能になるように、前のクルマにくっつけるように、空力的にフロントが不利になっても、まだグリップするようなタイヤを今年持ってきていますよね。なので、去年よりは明らかに接近戦になっています。
――白線のカットの具合はどうですか?
佐藤選手:白線のカットはみんなもう通常ラインになっています。なので、たしか2013年だったと思うんだけど、あそこからどんどんポピュラーになってきて、そうすると路面ができあがって、みんなそこに入るようになって、たしかに白線の上にスルスルスルーっと乗って乗り切っちゃうとダメなんだけど、一気にズバッとカットするような感じで行けば、今は十分にグリップするし、むしろ内側の方が空力的にもフロントウィングの左側に少し空気を当てられるので、前のクルマに近づけるようになりますし。
――でも、行き過ぎちゃいけなんですよね。
佐藤選手:うん、もうみんな同じラインを走っちゃうので、結局、白線の上を走ってる時代とほとんど変わらなくなってきて、内側に行くと、今度は縁石がありますから、すごく危ない。
――カントの具合は変わらないですか?
佐藤選手:バンク角はほとんど変わらないですね。バンク角が行ききったところで縁石がちょっとあります。なので、路面が荒れていたりとか。でも、コーナーによってアプローチがだいぶ違います。
――ターン3がちょっと違うような感じもしますが。
佐藤選手:そうですか。ターン3はたしかにバンピーですね。ターン3の出口に向けて一番バンピーなので、クルマが底を打ちやすいんですが、ターン2のほうが難しいです。
――決勝までの3日、明日やることなどいろいろと悩んでいると思うのですが、整理具合はどうですか。
佐藤選手:やるべきことというのは決まっていて、プログラムももう立てましたし、今日、シミュレーターで走ったあと、最終的にどっちで行くかというのを明日の朝決めて、3台で振り分けてみます。
――迷いはもうない?
佐藤選手:いやいや、迷いはなしというか、いくつかやりたいコンセプトが残っていて、明日走り終わったあとに日曜日の方向性を全部決めます。それによっては本当に大きく変わる可能性もあります。
――2017年までのレースと、エアロパッケージが共通化されたこの2年はどういう風に変わったのでしょうか。
佐藤選手:マニュファクチャラーのエアロパッケージがデビューした2015年からは戦い方というか勢力図も大きく変わったと思うし、あの時、とくに2015年はロードコース、ストリートコース、僕らは本当に苦しかったですよね。ほとんど不可能というぐらいのリザルトで。
2016年にだいぶ良くなったとはいえ、まだダウンフォースのレベルでいうと追いつかなかった。スーパースピードウェイのパッケージに関しては、ダウンフォースの絶対値というよりも空力効率が非常に優れていました。とくにインディアナポリスでは強さを見せられたと思うし、2017年はその極めつけだと思うんですけど、共通のユニバーサルパッケージになった2018年というのは、ある意味、僕らにとっては結構ショッキングでしたね。
ホンダエンジンとしては毎年パフォーマンスアップして、ロードコースやストリートでは、とくに2018年の初めなんかは、ホンダ勢のほうがむしろ優勢で、ロードコースでのパフォーマンスがひっくり返ったぐらいでした。でも、スーパースピードウェイに来たら、またひっくり返っちゃった、と。
そういう意味では、エンジン単体というよりも、コースに合わせた全体のパッケージングで、スーパースピードウェイを走るスピード域での苦しさというのは、去年露出しちゃったかなと。それを改善すべく、今年も数々の対策を施しましたが、予選を見る限りはもう一歩、僕らはステージを上げる必要があるかなと感じました。
――ホンダエンジンに関してですが、去年に比べて変わりましたか?
佐藤選手:もう全体的なパワー感は向上しています。間違いなく。ドライバビリティは大きく変わっていないですけども、そこはむしろ最初からホンダのほうが良かったと思うので。ロードコース、ストリートコースではそんなに大きな差はないですけど、スーパースピードウェイはちょっとつらいですよね。ただ、去年よりは差が縮まっているかなと思います。
――アラン・マクドナルドが来て、予選も期待していたと思いますが、彼のクルマの作り方にはどういう特徴があるのでしょうか。
佐藤選手:特徴というか、新しいコンセプトをいろいろと持ち込んできてくれたので、それをレイホールのベースに合わせて作り込んだんですが、もちろんエンジニア一人の力ではないですから、やっぱりチーム全体なので、今年もカーペンターの3台がコンシスタントにトップ6に入って、ある意味、アランが見たグレアムはチームの中でも2番手でしたから、決して別に彼だけのということはないと思うのですが、それでも彼が来てくれたおかげで、去年の僕らのスーパースピードウェイで非常に苦しんでいたところから脱出して、非常にコンペティティブなパッケージには仕上がっていると思います。
最後の最後まで力を振り絞って全力で走る
――今週末にかけての意気込みを教えてください。
佐藤選手:ものすごく楽しみにしています。ただ、2017年の時のようにプラクティスの初日からすべてが順調に順調に行って、本当にあとはレースでいいレースをするだけだという状態に比べると、まだいくつか不安要素というのが残っていて、このあと最終プラクティスが1個残っているんですけど、そこで調整して、最後のレースに挑もうかな、と。去年よりは明らかにクルマの動きもチーム全体のパフォーマンスも高いので、そういう意味ではレースが行なわれる日曜日を楽しみにしています。
――やはりインディ500は特別ですか。
佐藤選手:特別ですね。インディカーシリーズ全17戦の中の1戦という位置づけなんですけども、ほかのレースとは比べ物にならないぐらいスケールが大きくて、だからと言って、他のレースで手を抜くわけでもないですし、すべて全力で走るんですけど、例えば、レース日に向かうプラクティスの日数を数えても4倍も5倍もあるし、お客さんだって35万人も入るし、それこそセレモニーも含め、歴史も含め、この土地で100年以上前から500マイルのレースをやっているというだけでも本当に特別だし、通常のレースが3位まで表彰台に上がれるのに対し、ここはもうレースウィナーしか表彰されませんから、何もかもが特別ルールで、ここで勝つというのは、目標というのを通り超えて本当に夢のようなことですから、みんなそこを目指して戦っている場所ですね。
――予選14位という結果を受けてほかのインタビューではレース後半に向けて上がっていけるようなセッティングにしたいとおっしゃていましたが。
佐藤選手:まあ、そうですね。自力でFast 9に入ることができなかったので、純粋なスピードでいうと足りないんですよね。そうするとレースは非常に難しいものだと思っています。ただ、レース日、ちょっとした風向きの変化だったり、あるいは気温が暑い日になったり、涼しい日になったりすることで、まわりのライバルと相対的なスピード差が生まれるので、そこをうまく使っていきたいですよね。そうすれば確実に前に動くことは可能だと思うので、前まで行ければ、優勝に挑戦できると思います。だから、レース序盤では難しいかもしれないけど、きっちり200周の中で上がっていきたいな、というのが今の目標です。
――琢磨さんにとって抜きやすいところはあるんですか?
佐藤選手:うーん、どうだろう。ここは1コーナーと3コーナーの入り口が最もオーソドックスというか、それ以外のコーナーっていうのはほとんど抜けないですね、通常で走っている限り。もちろん、スタートとか、リスタートとか、あるいは前でグチャグチャっとなったときにパッと、「ショートシュート」と言い方をしますが、1コーナーと2コーナーの間、3コーナーと4コーナーの間の短いストレートで並んで抜くことはできるんですけど、普通の抜き方では無理ですね。だから、いかに2コーナーの出口でスピードを乗せて近づけるかということ、4コーナーもまったく同じですね。それができれば1コーナーに向けてより有利にレースが進められます。
――ほかのドライバーに琢磨さんについてどう思うということを聞いていたんですが、グッドガイであるということと、ただレースでは勇猛果敢で、ものすごく突っ込んでくるという風に言われました。ご自身でシーズンごとに今年は違うというようなことはありますか?
佐藤選手:いやぁ、どうだろう。その時のベストを尽くすために未だに勉強していますね。まだまだ学ぶも多いし、足りないところもたくさんあるし、もちろん勝ったレースはうまく行ったことが多いですが、細かく見ると小さなミスはあって、それを次のレースでいかに克服していくかというのは毎回課題にしていますから。基本的には攻めるタイプのドライバーだと思いますけども、それだけではないというところも当然見せたいですし、ここ最近はおとなしいレースもありますから、安心して見てください。
――今年はトップから一番後ろまでスピード差が無いですが、危なくはないですか?
佐藤選手:たしかにより接近したレースになります。スピード差は拮抗しているので、誰が勝ってもおかしくないようなレースになる可能性は高いですよね。その中で抜け出るのはほとんど無理だと思うので、いかにコンディションに合わせ込むかというのが大事だと思います。
――今年からSRS(鈴鹿レーシングスクール)のプリンシパルに就任されましたが、子供たちにこのレースはここを見ろ、というようなところはありますか?
佐藤選手:レースというイベントをこういう風に楽しんでいるというのを見てもらいたいですよね。レースそのものがエキサイティングなのは言うまでもないんだけども、インディ500という歴史背景があって、そのファンが4世代、5世代とか家族が同じシートに座るんですよね。そういう文化っていうのは日本はまだないと思うので、そういうスケールの大きさとか、優勝したあとの勝者の扱われ方も含め、本当に国の一大イベントとしてやっているレースっていうのを楽しんでもらいたいですね。
子供たちに見てもらいたいとしたら、どんな状況になっても絶対に最後まで諦めないこと。もちろん、すべてのスポーツに携わるアスリート、諦めるようなレーシングドライバーなんていないと思うんだけど、やっぱり、ああ、もうちょっと今日は無理かなと思う瞬間は僕らだってあるんですよ。でも、このレースは、たとえ序盤のアクシデントで周回遅れになっても勝てるので、そういう意味では、最後の最後まで力を振り絞って全力で走るというのを忘れないで、そこを見てもらいたいかなと思います。
――今シーズンはすでに1勝していますが、シリーズタイトルを狙うにあたり、インディ500は勝つとして、何勝ぐらいを目標にされていますか?
どうでしょうね。去年のディクソンが4勝で9回の表彰台ですから、少なくともそれだけのリザルトは残さないとタイトルは取れないという風には覚悟しています。がんばります。