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【インディ500 2018】ミラー・ライト・カーブ・デイは、トニー・カナーン選手がトップタイム

佐藤琢磨選手は6位で、決勝を見据えたセッティングを進める

2018年5月27日(現地時間) 決勝開催

ミラー・ライト・カーブ・デイでトップタイムをマークした14号車 トニー・カナーン選手

 北米の最高峰モータースポーツ・シリーズ「インディカー・シリーズ」第6戦となる「第102回 インディアナポリス500マイル・レース」(102ND RUNNING OF THE INDIANAPOLIS 500、インディ500)が、米国インディアナ州の州都インディアナポリス市にあるインディアナポリス・モータースピードウェイで5月15日~27日の12日間にわたって開催されている。

 すでに予選は5月19日~20日の2日間にわたって開催され、エド・カーペンター・レーシングの20号車ダラーラ・シボレーをドライブするエド・カーペンター選手がポールポジションを獲得するなど、5月27日に行なわれる決勝レースに向けたグリッドが決定している。

 ミラー・ライト・カーブ・デイと呼ばれる決勝前々日の金曜日(2018年は5月25日、現地時間)には、決勝レース前の最後となる練習走行(Carb Day Final Practice)が行なわれ、日曜日の決勝レースに向けたセッティングの最終確認などを行なった。

 ベストタイムをマークしたのは、14号車 A.J.フォイト・エンタープライゼス(ダラーラ・シボレー)をドライブした2013年インディ500勝者のトニー・カナーン選手。昨年日本人初の優勝を成し遂げた佐藤琢磨選手は6位でホンダ勢の4番手、このレースが引退レースとなる2008年ツインリンクもてぎでのインディ・ジャパン勝者の女性ドライバー ダニカ・パトリック選手は8位となった。

ポールポジションはオーバルマイスターのエド・カーペンター選手が獲得

 例年インディ500は5月の最終週に決勝レースが行なわれる。その1週間前に2日間にわたって予選が実施され、2018年のインディ500では5月19日~20日の2日間にわたって予選が行なわれた。

 33台の決勝グリッドに対して35台のエントリーがあり、デイル・コイン・レーシングのピッパ・マン選手、そしてシュミット・ピーターソン・モータースポーツのジェームス・ヒンチクリフ選手の2台が予選を通過できないという展開になった。特にヒンチクリフ選手は、インディカー・シリーズで何度も優勝した有力選手で、ヒンチクリフ選手ですら予選落ちをしてしまうという状況が、インディ500の予選の激しさを物語っているだろう。

 この予選でポールポジションを獲得したのは、自分の名前を冠しているエド・カーペンター・レーシングのオーナードライバーであるエド・カーペンター選手。インディアナポリス・モータースピードウェイのオーナーであるハルマン一族の一人でもあるカーペンター選手は、通常のインディカー・シリーズでもオーバルレースだけを選んで出場しているというオーバルマイスターでもある。これまで2度インディ500でポールを獲得し、今回で3回目のポール獲得となる。

 2位はサイモン・パジェノー選手、3位はウィル・パワー選手、4位にジョセフ・ニューガーデン選手と、インディカー・シリーズの最強チームであるペンスキー勢が並んでおり、今回ペンスキーからスポット参戦するベテランのエリオ・カストロネベス選手は8位。

 ディフェンディングチャンピオンである佐藤琢磨選手は、予選16位となっている。佐藤選手は、チームメイトのグラハム・レイホール選手ともども、フリー走行ではなかなかタイムを伸ばせていなかったが、最終的には予選できっちりと決めてきて、チームメイトのレイホール選手を大きく上回る16位を獲得した。

 今回の予選で一番の驚きと言えば、7位に入ったダニカ・パトリック選手だろう。インディーカー・シリーズの歴史で初めて、そして唯一の女性による優勝を2008年にツインリンクもてぎで行なわれたインディ・ジャパンで成し遂げたパトリック選手は、近年はNASCARシリーズに参戦していた。2018年限りでレース引退を決意し、そのファイナルレースとしてこのインディ500を選んでいる。インディカー・シリーズに参戦するのは2011年にシリーズ参戦して以来で、どれだけの結果を残すかに注目が集まっていたが、堂々7位という予選結果で、決勝レースにも期待ができる順位と言える。

予選結果
順位カーナンバードライバーシャシー/エンジン/タイヤ1周目2周目3周目4周目トータルタイムスピード(mph、マイル/h)タイムを出した日
120エド・カーペンターD/C/F39.115439.163139.212439.290902:36.7818229.618Pole Day
222サイモン・パジェノーD/C/F39.279939.305739.366239.417802:37.3696228.761Pole Day
312ウィル・パワーD/C/F39.321939.330339.399639.423902:37.4757228.607Pole Day
41ジョセフ・ニューガーデンD/C/F39.32539.424239.448139.417802:37.6151228.405Pole Day
518セバスチャン・ブルデーD/H/F39.35739.399439.576339.463802:37.7965228.142Pole Day
621スペンサー・ピゴットD/C/F39.351439.472839.480539.516102:37.8208228.107Pole Day
713ダニカ・パトリックD/C/F39.372939.420939.481939.556902:37.8326228.09Pole Day
83エリオ・カストロネベスD/C/F39.302639.441839.603139.644902:37.9924227.859Pole Day
99スコット・ディクソンD/H/F39.504839.594739.621539.686602:38.4076227.262Pole Day
1014トニー・カナーンD/C/F39.410139.517939.57839.621802:38.1278227.664Pole Day
114マティアス・リーストD/C/F39.501539.529139.567339.594302:38.1922227.571Pole Day
1298マルコ・アンドレッティD/H/F39.506439.599739.616139.667202:38.3894227.288Pole Day
1319ザカリー・クラマン・デメロD/H/F39.551939.616339.684939.737702:38.5908226.999Pole Day
1428ライアン・ハンター・レイD/H/F39.631739.642439.704539.760302:38.7389226.788Pole Day
1523チャーリー・キンボールD/C/F39.606939.695439.756839.771302:38.8304226.657Pole Day
1630佐藤琢磨D/H/F39.672739.71139.740739.775902:38.9003226.557Pole Day
1732カイル・カイザーD/C/F39.696439.742339.767739.805502:39.0119226.398Pole Day
186ロバート・ウィッケンスD/H/F39.66939.779939.81939.815602:39.0835226.296Pole Day
1933ジェームス・デービソンD/C/F39.608139.721739.840139.942902:39.1128226.255Pole Day
2059マックス・チルトンD/C/F39.659939.744239.819639.919302:39.1430226.212Pole Day
2129カルロス・ムニョスD/H/F39.695339.800739.857939.904602:39.2585226.048Pole Day
2288ギャビー・チャベスD/C/F39.734339.749139.886339.917702:39.2874226.007Pole Day
2325ステファン・ウィルソンD/H/F39.775539.833139.89339.887302:39.3889225.863Pole Day
2424セージ・カラムD/C/F39.736239.83139.907539.942402:39.4171225.823Pole Day
2526ザック・ビーチD/H/F39.768139.837539.910939.953102:39.4696225.748Pole Day
2664オリオール・セルビアD/H/F39.806639.852939.905939.93902:39.5044225.699Pole Day
2766JR・ヒルデブランドD/C/F39.834939.921639.974739.97202:39.7032225.418Pole Day
287ジェイ・ハワードD/H/F39.896139.906539.957439.964502:39.7245225.388Pole Day
2910エド・ジョーンズD/H/F39.739839.79140.262939.949602:39.7433225.362Pole Day
3015グラハム・レイホールD/H/F39.880239.917139.966140.004502:39.7679225.327Pole Day
3160ジャック・ハーベイD/H/F39.874239.951640.019639.973902:39.8193225.254Pole Day
3227アレクサンダー・ロッシD/H/F39.568439.716140.151440.610302:40.0462224.935Pole Day
3317コナー・デイリーD/H/F40.014140.088340.140840.164102:40.4073224.429Pole Day

D=ダラーラ、H=ホンダ、C=シボレー、F=ファイアストン

カーブ・デイはトニー・カナーン選手がトップタイムをマーク、佐藤琢磨選手は6位

カーブ・デイの走行に向けて続々とマシンが運び込まれる

 ミラー・ライト・カーブ・デイでは、午前11時から決勝前最後のフリー走行が行なわれた。この最後のフリー走行は1時間のセッションになっており、この時間を利用して決勝レースに向けた最後のセッティングの確認などを行なうことになる。

スタッフやマシン、ドライバーなど、ランダムに登場

 このセッションでトップタイムをマークしたのは、A.J.フォイト・エンタープライゼスの14号車 ダラーラ・シボレーをドライブしたトニー・カナーン選手。カナーン選手は39.5099秒(227.791マイル/h)をマークして、トップに立った。2位は9号車ダラーラ・ホンダのスコット・ディクソン選手で、3位は98号車ダラーラ・ホンダのマルコ・アンデレッティ選手が続いた。佐藤琢磨選手は早めの時間帯に出したタイムで6位となっているが、後半はさまざまなセッティングを試し、決勝に向けたクルマの煮詰めを引き続き行なっていたようだ。

2017年と同様、電動キックボードで登場した佐藤琢磨選手
カーブ・デイのスタートに向け準備。走行とチェックを繰り返していた

 このセッションは各チームともに集団の中での走行となっていたため、スリップストリームが効く状態で走っており、タイムは各車の性能を明確に示している状況ではない。このため、各車ともにタイムはあまり意識しておらず、どちらかと言えば決勝レースに向けて最後の確認を行なっているため、参考程度の結果ということになるだろう。

カーブ・デイ 結果
順位カーナンバードライバーシャシー/エンジン/タイヤタイム速度(mph、マイル/h)タイム差前車との差ベストラップ周周回数
114トニー・カナーンD/C/F00:39.5099227.7911938
29スコット・ディクソンD/H/F00:39.8787225.6840.36880.3688638
398マルコ・アンドレッティD/H/F00:39.9610225.220.45110.08231130
418セバスチャン・ブルデーD/H/F00:40.0329224.8150.5230.0719543
523チャーリー・キンボールD/C/F00:40.0512224.7120.54130.0183542
630佐藤琢磨D/H/F00:40.1637224.0830.65380.1125738
712ウィル・パワーD/C/F00:40.1889223.9420.6790.02521241
813ダニカ・パトリックD/C/F00:40.2409223.6530.7310.052215
921スペンサー・ピゴットD/C/F00:40.2534223.5840.74350.01251245
1010エド・ジョーンズD/H/F00:40.2583223.5560.74840.0049944
1164オリオール・セルビアD/H/F00:40.2618223.5370.75190.00352841
1224セイジ・カラムD/C/F00:40.3085223.2780.79860.04671648
1333ジェームス・デービソンD/C/F00:40.3152223.2410.80530.00672135
1420エド・カーペンターD/C/F00:40.3191223.2190.80920.0039830
151ジョセフ・ニューガーデンD/C/F00:40.3252223.1860.81530.00612547
1660ジャック・ハーベイD/H/F00:40.3410223.0980.83110.01581038
173エリオ・カストロネベスD/C/F00:40.3745222.9130.86460.03352048
1829カルロス・ムニョスD/H/F00:40.3946222.8020.88470.0201649
197ジェイ・ハワードD/H/F00:40.4122222.7050.90230.0176648
2022サイモン・パジェノーD/C/F00:40.4332222.5890.92330.021936
2115グラハム・レイホールD/H/F00:40.4448222.5260.93490.01163751
2232カイル・カイザーD/C/F00:40.4706222.3840.96070.02583538
2326ザック・ビーチD/H/F00:40.5241222.091.01420.05351639
2466JR・ヒルデブランドD/C/F00:40.5356222.0271.02570.01151125
2588ギャビー・チャベスD/C/F00:40.5476221.9611.03770.012840
2628ライアン・ハンター・レイD/H/F00:40.5558221.9161.04590.00821238
276ロバート・ウィッケンスD/H/F00:40.5732221.8211.06330.01742230
284マテウス・リーストD/C/F00:40.5773221.7991.06740.0041537
2925ステファン・ウィルソンD/H/F00:40.5839221.7631.0740.00663348
3019ザカリー・クラマン・デメロD/H/F00:40.6188221.5721.10890.0349425
3159マックス・チルトンD/C/F00:40.6429221.4411.1330.02413544
3227アレクサンダー・ロッシD/H/F00:40.6552221.3741.14530.01231829
3317コナー・デイリーD/H/F00:40.9636219.7071.45370.30841635

D=ダラーラ、H=ホンダ、C=シボレー、F=ファイアストン

トップタイムをマークしたトニー・カナーン選手のコメント

トップタイムをマークしたトニー・カナーン選手の記者会見

「このセッションはエンジニアなどにとっては追加の時間をもらったようなもので、何かを大きく変えるようなセッションではない。エンジンのマイレージの問題もあるので、それらを勘案しながら忙しく走ったセッションだった。シボレーは本当によい仕事をしていてパワーもあるし、メカニックもよい仕事をしてくれて、クルマの調子もよい。(これで決勝に向けてよい方向だと思えるかと問われて)決勝レースを予想することは難しい。このセッションでも最初は調子がよかったけど、時間とともにそれが変わっていった。大事なことはミスをしないで、1つ1つを完璧に決めていくことだ」。