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ボルボ、個人戦とチーム戦でセールス技術を競う「CS-VESC 2019」ファイナルレポート
個人部門はボルボ スタジオ 青山の鈴木裕美氏、チーム部門はボルボ・カー 東名横浜が1位
2019年7月25日 14:31
- 2019年7月24日 開催
ボルボ・カー・ジャパンは7月24日、ボルボ正規販売店のセールススタッフを対象としたセールス・ロールプレイコンテスト「CS-VESC 2019」ファイナルをヒルトン東京ベイ(千葉県浦安市)で開催した。
全国のボルボ・カー・ジャパン正規ディーラーに勤務するスタッフが「個人部門」と「チーム部門」の2種類で競うこのコンテストは、約720人のスタッフが選考会に参加。4月に開催されたセミファイナルで選出された個人部門の6人、チーム部門の7チームが決勝となる今回のファイナルに進出している。
イベント名称のCS-VESCは「Customer Satisfaction-Volvo Excellent Salespersons Contest」の略。ボルボではもともと、1990年~2008年に前身となるコンテスト「VESC」を隔年で計10回開催してきたが、2015年からCS-VESCとして内容を刷新。今回は第3回大会となる。従来のVESCではスタッフの商品説明スキルを重視していたが、CS-VESCでは顧客満足度に重点を置いているという。
競技では日常的な販売店での接客場面を再現し、「顧客ニーズの把握」「商品説明」「デモ・試乗」といった一連の流れを重点的に評価。また、実際の接客中にも起こりえるような突発的なアクシデントが用意され、出場スタッフの臨機応変な対応も審査される。
当日は「V60 T6 Twin Engine AWD Inscription」と「V60 クロスカントリー T5 AWD Pro」の2台が展示され、ディーラーの店舗内を模したメイン会場、試乗に向かう直前の「V90 T8 Twin Engine AWD Inscription」が停車する店頭スペースを想定したサブ会場の2会場で競技を実施。まず午前中に個人部門の審査、午後にチーム部門の審査が行なわれた。
個人部門では競技時間7分で、1人の来店者に対する対応を審査。来店者は「赤いアウディ A4 アバント TFSI クワトロ」に乗って来店したという想定で、そのA4を購入した4年前にも購入を検討していたという「V60」に興味があるという来店者に対し、6人の出場スタッフが魅力やスペック、ボルボ車のバックボーンとなる安全思想などを紹介していった。
チーム部門では1チーム3人の出場スタッフが協力して、「事前予約してV70の車検見積もりに来店した男性」「来店直前に電話し、『黒いBMW 320i ツーリング』に乗ってV60を見に来た夫婦」の2組と、問い合わせの電話対応などを20分間で進めていく。来店や電話には時間差が設けられており、メインで対応している以外のスタッフの動き方もチェックされ、「それ以前の来店者が確認して動かしていた(想定)展示車のシートを次の来店者が見るまでに戻しておけるか」「夫人が肩から下げているマリメッコ生地のバッグを見つけ、じゃまにならないよう預かっておけるか」なども審査の対象となっていた。
コンテストの冒頭ではボルボ・カー・ジャパン 代表取締役社長 木村隆之氏があいさつ。木村社長はVESCの歴史を振り返ったあと、「新たに『CS-VESC』として復活させた意図ですが、ロールプレイングで“商談力”の上手い下手を競うのではなく、商談や接客を通じていかに顧客満足度を高められるかという点をしっかりと評価させていただき、“輸入車の中でのCSナンバーワン”を目指す『CSナンバーワンプロジェクト』の中核にこの大会をしていこう、盛り上げていこうという意思がありました。これまで3回続けてきて、予選会やセミファイナルでの皆さんの頑張り、大会に向けた拠点ごとの練習があると耳にします。これはまさにCSナンバーワンをこれからも取り続けていくぞという全員の強いコミットメントが感じられる大会になっているということで、誠に素晴らしいことだと思います」。
「また、本日は多くの皆さまが、自分たちの拠点の応援だけでなく、自分の所属する店舗の代表が出場しないにも関わらず観戦に来ていて、誠にありがとうございます。今日の競技を見ていただいて、CS向上の一助として何か持ち帰っていただくこともありますが、われわれの大きな目標であるCSナンバーワンに向け、皆さま1人ひとりが『何ができるか』『新たな取り組みができるか』を考えながら今日1日を過ごしていただければ、ますますブランドとして強くなっていけるのではないかと思います」と大会の意義について解説した。
このほかにも木村社長は、コンテストの審査結果を取りまとめる空き時間を利用して、取材に足を運んだ報道関係者とのグループインタビューに対応。
木村社長は顧客満足度を向上させる取り組みとして、就任してからの5年間で毎年1回、サーキットを使ってボルボのニューモデルと競合他社のモデルをスタッフ全員(約1500人)が試乗する商品研修を実施。日常的に触れる機会のあるボルボモデルだけでなく、ライバルとなるクルマにも乗ってみて、それぞれが持つよさを褒められるようになってほしいとの考えを示した。また、接客業務では来場したユーザーのニーズをしっかりと受け止めて提案を行なうことが重要になっていると説明。ユーザー1人ひとりと会話して「どんなところに興味を持っているのか」「現状でどんな不満があるのか」などを引き出していくことが大切で、ITの時代だからこそ販売店での体験が大きなポイントになるとした。
ボルボが目指す方向性としては、2極化が進む日本市場で「純プレミアムにならなければ日本では生き残れない」とコメント。スウェーデン発のボルボは自動的に差別化が可能である一方、プレミアムブランドを目指して価格帯が上がればユーザーの期待値も上がり、要求はより厳しくなると指摘。接客や顧客満足度を磨き上げていく必要があると語り、CS-VESCの開催もそのための施策になっているという。
CS-VESCと隔年の入れ替わりで行なっている技能競技大会「VISTA(Volvo International Service Training Award)」でも、従来は「どのように修理するか」「修理すべきポイントを見つけ出せるか」を課題として評価してきたが、現在はそれらに加え、「お客さまにきちんと説明できるか」といった接客技術もポイントにしているという。これにより、顧客満足度をCS-VESCとVISTAの両輪で高めていると説明した。
このほかに木村社長は「お客さまをハッピーにしようとするなら、従業員が満足して働いて、ハッピーじゃないとだめだ」と語り、ボルボ・カー・ジャパンが主導して従業員に対する満足度調査も行なっていると紹介。販売店ごとの結果は横並びで公開して「自分の販売店がどれぐらいの位置にあるのか」を経営陣や店長などが確認できるようにして、顧客満足度のベースとなる従業員の満足度を高める対策を続けているという。
個人部門は「ボルボ スタジオ 青山 鈴木裕美氏」、チーム部門は「ボルボ・カー 東名横浜」が1位
審査の結果、個人部門ではボルボ スタジオ 青山の鈴木裕美氏が1位を獲得。2位はボルボ・カー 虎ノ門の白子和英氏、3位は同点でボルボ・カー 成田の山岡裕一氏とボルボ・カー 杉並の秋田元氏が選ばれた。
チーム部門ではボルボ・カー 東名横浜が1位を獲得。2位はボルボ スタジオ 青山、3位はボルボ・カー 神戸が選ばれている。それぞれの上位入賞者には記念の賞状とブーケに加え、副賞としてスウェーデンにあるボルボ本社での研修旅行が贈られた。
コンテストを締めくくる記念レセプションで、木村社長は、3回目となるCS-VESCでは、事前に出場スタッフに提示される課題設定の情報をこれまでよりも絞り込み、より実践に近い状態でコンテストを実施したが、各自がしっかりと取り組んでリアルな競技になったと高く評価。主催者側も取り組みを強化して課題の中にさまざまな“隠し要素”を用意していたが、出場スタッフがそれぞれで持ち味を発揮して競技に取り組んでおり、結果に寄らず27人の出場スタッフ全員が素晴らしいと語り、レベルが高いことに誇りを持ってほしいとコメント。2年後に開催される予定のCS-VESCでも、ボルボのCSレベルを上げるために盛り上げていきたいと意気込みを語った。
また、ボルボ・カー・ジャパン 営業本部長 菅原雅樹氏からコンテストの総評が行なわれた。菅原本部長はCS-VESCは復活以降、回を重ねるごとにレベルが高まっており、個人では商品説明の正確さが、チームでは連携力がアップしていると評価。今後に向けては、「ボルボブランドをどのように説明するか」「気遣いやお客さまに対する関心」「日ごろからのオペレーション」「世間への関心」の4点がキーポイントになっていき、これからの日常業務や訓練で気を付けて取り組んでほしいと指摘した。
さらに電話応対について、「覇気がない」、または「覇気がありすぎる」人がいたと語り、問い合わせをしてきた人の言葉を遮ってしまったり、一方的に説明を続けてしまったりする部分があり、今後の課題にしてほしいとした。最後に菅原本部長は「新たな課題が見つかったということは、われわれはCSナンバーワンになる道半ばということで、見つけた点にこれから真剣に取り組んでいって、1日も早く輸入車でのCSナンバーワンブランドになることを皆さんと目指していきたいと思います」と語り、今後の活動に向けて指針を示した。