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【SUPER GT 第5戦 富士】11月開催のSUPER GT×DTM交流戦、「ドイツから6~10台のDTM車両が来日する見通し」とITR ベルガー会長

タイトルスポンサーは11月23日に45周年を迎えるオートバックスセブンに決定

2019年8月3日 開催

「AUTOBACS 45th Anniversary presents SUPER GT X DTM 特別交流戦」の開催概要を発表

 SUPER GTのプロモーターとなるGTアソシエイション(以下GTA)は、8月3日にSUPER GT 第5戦「2019 AUTOBACS SUPER GT Round 5 FUJI GT 500mile RACE」が開催されている富士スピードウェイにおいて、同社とドイツ DTMのプロモーターであるITRと一緒に11月に富士スピードウェイで開催する「AUTOBACS 45th Anniversary presents SUPER GT X DTM 特別交流戦」(以下交流戦)の開催概要を明らかにした。

 この中でGTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏は交流戦のタイトルスポンサーが、SUPER GTのタイトルスポンサーでもあるオートバックスセブン、イベントスポンサーがBHJ/BHオークションであることを明らかにしたほか、交流戦の概要に関して説明を行なった。

 それによれば、交流戦は土曜日と日曜日それぞれに予選、決勝レースが行なわれるDTMのレギュレーションで開催される予定で、タイヤはDTMで利用されているハンコックタイヤが使用される。また、今回新しく発表された内容としては、サポートレースとしてGT300の車両が参加して行なわれる「auto sport Web Sprint Cup SUPER GT×DTM交流戦 GT300特別大会」が開催される予定となっており、その詳細は8月4日に開催される予定のGTA定例会見で明らかにすると説明された。

注目の交流戦は土日それぞれに決勝レースを行なう形、GT300のレースがサポートレースに

 記者会見にはGTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏のほか、今回タイトルスポンサーに決定したオートバックスセブン 代表取締役 社長執行役員 小林喜夫巳氏、BHJ CEO 武井真司氏、ITR 会長 ゲルハルト・ベルガ―氏が同席して行なわれた。会見の冒頭では坂東代表から、11月22日~11月24日に富士スピードウェイで開催される予定の交流戦に関しての説明が行なわれた。

GTアソシエイション 代表取締役 坂東正明氏

坂東正明氏:交流戦のタイトルスポンサーが決定した。タイトルスポンサーは、長年シリーズのタイトルスポンサーをお願いしているオートバックスセブン様、イベントスポンサーは5月の鈴鹿でパートナーシップの締結を発表させていただいたBHJ様に決まった。特別交流戦は11月22日~24日に富士スピードウェイで開催されるが、11月23日がオートバックセブン様の1号店ができた日にあたり、それから45周年を祝う形になる。

 レースはSUPER GTとDTMに参加する6メーカーによる共演となる。DTMのレースフォーマットを採用し、土日それぞれで予選決勝を55分+1周という形で行なう。4輪タイヤ交換の義務があり、給油はなしという形となる。DTMのDRSやプッシュ・トゥ・パスなどに関しては使わない形で行なうことになる。性能調整に関しては現在検討中で、詳細についてはこれからも協議していく。

 また、BHJとGTAが協力して一般公開のオークションを行なっていく。パドック内にテントを建ててオークションを行なっていく。これは5月の鈴鹿で発表した契約に基づく取り組みで、SUPER GTのエントラントなどにも参加を呼びかけていき、これから先のレース活動に役立つような新しいビジネススキームの創出を目指す。

 その交流戦に先立って、日本からDTMの最終戦に3チームがゲスト参戦する。これはレクサス(トヨタ自動車)、日産自動車、本田技研工業それぞれが1台ずつ持って行く形になり、10月4日~6日のホッケンハイムのDTM最終戦に参加する。2017年にもDTMでデモ走行を行なっているが、今回はSUPER GTの車両がITRにもご理解をいただき、DTMの選手権に参加する形となる。どの車両が参加するのかに関しては追って発表する。

 また、11月の交流戦では、GT300の車両によるレースをサポートイベントとして計画している。「auto sport Web Sprint Cup SUPER GT×DTM交流戦 GT300特別大会」がその名称で、詳細に関しては明日のGTAの会見で発表する。

 ITRと規則統合に向けて話し合いを続けてきた。同一の規則で、コスト削減、同じエンジン、同じモノコックでやっていこうと議論を行なってきた。2013年~2014年ごろに話し合いを本格化し、2019年とかなり長い間かかったが、今季からエンジンも形状も一緒になった。ここまでの道のりは平坦ではなかった。マニファクチャラーにも不満があったりとか、「本当にやるのか」という人もいた。それでも、日本と欧州が同じ土俵で戦いがやれて、GTというレースがグローバルになるように信念をもってやってきた。最初の1歩として、3台のデモをドイツで2017年にやって、SUPER GTを見てもらって、ベルガー氏にツインリンクもてぎで見てもらって今回の運びになった。

 その課程では、メルセデス・ベンツが撤退を発表したり、Class1の実現を一緒にやってきたITRの前会長が交代したりなどあったが、ベルガー氏に後任としてご尽力をいただき交流戦が実現した。これまでの努力が身を結んで、欧州とアジアが同じルールでやれるようになり、その第一歩を踏み出すことができたことを喜んでいるし、ここまでやってきてよかったと感じている。マニファクチャラー6社が1つになってレースを行なうこと、新しい展開がここから始まる。

「6つのマニファクチャラーが1つのレースに揃うことは歴史的な第一歩」とベルガー氏

ITR 会長 ゲルハルト・ベルガ―氏

 坂東会長からの交流戦の説明の後には、ITRのベルガー会長からの挨拶と、タイトルスポンサーになったオートバックスセブン、イベントスポンサーになったBHJからの挨拶が行なわれた。なお、ベルガー会長が1987年に鈴鹿で初めて行なわれた日本GPで乗っていたフェラーリF187は、今回の富士スピードウェイの1番ピットに展示されており、訪れた来場者からも人気を集めていた。

フェラーリF187との記念撮影に応じた坂東会長、ベルガー氏ら関係者
フェラーリF187

ゲルハルト・ベルガー氏:まずはGTAの坂東代表に感謝の意を表明したい。そして、この交流戦を開催していただける富士スピードウェイの関係者、そしてスポンサーの皆さまにも感謝したい。このイベントはITRにとってもGTAにとっても大きなマイルストーンになる。われわれは長期的なビジョンを持ち、欧州と日本やアジアで6つのマニファクチャラーが一緒にレースするというのは素晴らしいことだ。坂東さんもおっしゃっていたように、長年の取り組みの中ではレギュレーション的にも政治的にも解決すべき問題はあったが、それらを1つひとつ解決し、こうして第一歩を踏み出すことができた。今後ともそれらを発展させていきたい。

 個人的には日本とは特別な関係があり、こうしてまた日本に来ることができたことは光栄に思っている。1987年に初めて来たとき、東京で日本の文化に触れて、日本のメンタリティを理解することができた。そして最初の鈴鹿のF1で優勝することができたことは非常に光栄だった。

 そしてもう1つは当時もそうだったが、日本には素晴らしいファンが沢山いることだ。今もピットビルから見ていたら、多くのファンがピットウォークのために並んでいた。それらは本当にユニークなことだ。もちろんDTMも非常に強力なプラットフォームだが、DTMにもそうしたことから学ぶべきことはあると考えている。

 最後に坂東さんが説明したとおり、交流戦ではハンコックのワンメイクで行なわれる。またオークションがあると聞いているので、それも楽しみにしている、僕が買えるかどうかは分からないが(笑)。

株式会社オートバックスセブン 代表取締役 社長執行役員 小林喜夫巳氏

小林喜夫巳氏:今回ご縁があってタイトルスポンサーになった。坂東さん、ベルガーさんおめでとう。弊社がオートバックスの看板を掲げてから11月23日で45年になる。普段からモータースポーツファンを増やしていこうと取り組みをしていて、SUPER GTに関わって23年になるが、最近ではサーキットに足を運んで下さるファミリーが増えている。そんなところを通じて支援していきたい。

株式会社BHJ CEO 武井真司氏

武井真司氏:11月に開催される交流戦でのスポンサードとオークション開催ができることを嬉しく思っている。BHAはこれまでも本格的なコレクタブルカーのオークションを開催してきた。それには日本からだけでなく海外からの入札希望をいただいている。弊社はSMBCフィナンシャルグループと提携して、透明性のあるオークションを整備してきた。そうしたこともあり海外からの入札も多く、日本にある歴史的なマシンやパーツなどの出展要望が高まっている。このため、GTAさまとパートナーシップを組み、その収益をモータースポーツに投資していくというスキームを構築していく。「SUPER GT with BHオークション」として、次世代に向けたレース資金を獲得できる仕組みを目指し、今回の交流戦で記念すべき第1回のオークションを開催していく。ぜひ、ITRのベルガー会長にも自慢のコレクションから1台出展してほしい(笑)。

DTMから交流戦に来るDTM車両は6~10台、DRSなどの差はBOPで埋める仕組みとなる

 それぞれのコメント後には質疑応答が行なわれ、DTMが日本に連れてくる車両の台数やBOP、さらにはDRSやプッシュ・トゥ・パスがない日本のSUPER GTの車両がホッケンハイムに行ってレースする時の扱いなどについての質問が行なわれた。

――DTMから日本の交流戦にくる台数は何台になるのか、以前の情報では18台がくるのではという情報もあったが。また、DTMの最終戦に出るSUPER GTの3台が勝ってしまっても問題ないのか?

ゲルハルト・ベルガー氏:2つ目の質問からお答えしよう。われわれは常に激しい競争のあるレースが行なわれることを望んでいる、その中で勝った者が強いのだ。日本のクルマが速ければ日本のクルマが勝つ、何も問題はない。ポイントもまったく同じで、通常通りのポイントを渡すことになる。それで2位に欧州のクルマが入ればそのクルマがチャンピオンになる、それだけの話だ。われわれにとって大事なのは、素晴らしいショーを観客に見せることができること。刺激的な週末になればいいと思う。

 1つ目の答えだが、18台+スペアパーツを飛行機に載せようとすれば、どんだけスペースがあっても足りなくなる(笑)。欧州からくる車両は6~10台の間になる。近日中に詳しいことは明らかにできると思う。

――日本の車両がDTMのレースで走るときにはBOPはどうするのか? また、日本のSUPER GTの車両がDTMのレースを走るときにはプッシュ・トゥ・パスやDRSはどうするのか?

ゲルハルト・ベルガー氏:2020年になればほぼ同じレギュレーションになるため、BOPは必要ないと考えている。しかし、今年に関してはまだそれが必要になる。そこで、フェアなコンディションを実現するためにウェイトなどで調整することになる。練習走行で走ってもらい、その結果などから調整していくことになる。もちろん、完全に同じにするのは難しいと思うが……。その調整にはわれわれのテクニカルパートナーであるDEKRAにも加わってもらい、科学的な調整を行なう予定だ。

 もちろん、現行のSUPER GTの車両にはプッシュ・トゥ・パスやDRSはないので利用することができない。しかし、ドイツ勢はもちろん使うことになる。DTMの最終戦はシリーズの1戦であるためだ。いずれにせよ、そのあたりも含めてBOPで調整するということだ。

――富士の交流戦に6~10台がくるとして、DTMでは1車両に1人のドライバーとなっている。それに対して日本のSUPER GTでは1車両に対して2人のドライバーとなっている。日本勢は1台のクルマで土曜日、日曜日とドライバーを変えてくることが想定されるが、DTM勢はどうするのか?

ゲルハルト・ベルガー氏:私としてはそうは思わない。しかし、すべての車両を持ってくる訳ではないので、メーカーによってはそういう選択をするところもあるかもしれない。それはこれから調整していくことになると思う。

レースチケットは8月8日から販売開始。前売観戦券は6000円から、保護者同伴の中学生以下は無料

 記者会見終了後に富士スピードウェイから発表があり、交流戦のチケットは8月8日より販売が開始されることが明らかになった。それによれば、11月22日が公式練習走行、11月23日~24日にそれぞれ予選と決勝が行なわれるフォーマットになっている。

レーススケジュール予定(変更される可能性があり)

11月23日(土)
SUPER GT300クラス:予選(20分)
SUPER GT&DTM:予選(20分)
ピットウォーク
SUPER GT300クラス:決勝レース(22周)
SUPER GT&DTM:決勝レース(55分+1周)

11月24日(日)
SUPER GT&DTM:予選(20分)
ピットウォーク
SUPER GT300クラス:決勝レース(22周)
SUPER GT&DTM:決勝レース(55分+1周)

 一般観戦券の前売価格は、大人6000円(税別)、大人ペア券1万1000円(税別、駐車料別途必要)で、保護者同伴の場合は中学生以下の入場料が無料となる。チケットは大会チケットページなどから購入できる予定だ。