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【SUPER GT 第5戦 富士】SCがキーとなった劇的レース。GT500優勝は6号車 WAKO'S 4CR LC500(大嶋/山下組)
GT300は“奇襲ピット作戦”を敢行した87号車 T-DASH ランボルギーニ GT3(高橋/クート/藤波組)
2019年8月4日 21:48
- 2019年8月3日 予選
- 2019年8月4日 決勝
SUPER GT 第5戦 「2019 AUTOBACS SUPER GT Round 5 FUJI GT 500mile RACE」が、静岡県小山町の富士スピードウェイで8月3日~8月4日の2日間に渡って開催されれ、8月4日には決勝レースが行なわれた。
GT500クラスで優勝したのは6号車 WAKO'S 4CR LC500(大嶋和也/山下健太組、BS:ブリヂストン)で、セーフティカーが入る直前にピットインしたことが2位に大きな差をつけての優勝につながった。6号車は前戦タイに次ぐ2連勝で、シリーズタイトルに向けて大きな前進を見せることになった。2位は1号車 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/ジェンソン・バトン組、BS)、3位はポールからスタートした23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI:ミシュラン)。
GT300クラスで優勝したのは87号車 T-DASH ランボルギーニ GT3(高橋翼/アンドレ・クート/藤波清斗、YH:横浜ゴム)。2回目のピットストップから1周後に3回目のピットストップを行なうという奇襲ピットストップ作戦がセーフティカーが出たタイミングとドンピシャではまり、見事に優勝を獲得した。2位はポールからスタートした52号車 埼玉トヨペットGB マークX MC(脇阪薫一/吉田広樹、BS)。3位は2位の52号車を最後約2秒まで追い上げてレースを盛り上げた34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3(道上龍/大津弘樹、YH)が獲得した。
レース序盤はGT-R+ミシュランの2台が1-2フォーメーションでレースをリード
13時47分にストレートに戻ってきた隊列にグリーンライトが点灯され、レースはスタートしていった。ローリングスタートということもあり、順位通りに1コーナーに入っていった。このため、ポールからスタートした23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI)、2位からスタートした3号車 CRAFTSPORTS MOTUL GT-R(平手晃平/フレデリック・マコヴィッキ組、MI)が順当に1-2フォーメーションを形成し、徐々に3位以下を離していくという展開になった。
3位以下は、当初は4位からスタートした38号車 ZENT CERUMO LC500(立川祐路/石浦宏明組、BS)が3位からスタートした19号車 WedsSport ADVAN LC500(国本雄資/坪井翔組、YH)を抜いて3位に上がる。ところが、その38号車と19号車がストレートで3位争いをサイド・バイ・サイドでしている時、後ろからものすごい勢いで追い上げてきた64号車 Modulo Epson NSX-GT(ナレイン・カーティケヤン/牧野任祐組、DL:ダンロップ)がインから2台を一気に料理して2台抜きで3位に上がった。また、19号車も38号車をオーバテイクして4位を維持した。その後、ランキング3位でハンデウェイトで重い38号車は徐々に遅れていき、64号車も徐々にタイムを下げ、19号車に抜かれて4位に下がった。
その後レースは淡々と進むが、26周目に19号車、30周目に64号車、32周目に38号車と徐々に上位陣のピットインが始まる。今回のレースでは4回のピットストップが義務づけられており、各車最低でも5スティントをこなす必要がある。このため、ピットストップのタイミングは177周の均等割で約35周となるが、各チームともやや早めのピットストップになった。その中でも、トップのGT-R+ミシュランの2台は快調に走り続け、34周目にトップの23号車がピットに入り、その数周後に2位の3号車が入り、各車続々とピットインした。
全車のピットインが終わり、その時点でトップに立っていたのは19号車 WedsSport ADVAN LC500だ。早めにピットインした19号車はピットインするとそこからスパートし、全車がピットインを終えると23号車を抜いてトップに立っていたのだ。しかし、そこから23号車のチャージが始まり、19号車のテールを激しくつつく走りで、2台のマッチレースが始まった。このバトルは49周目まで続いたが、49周目のストレートで周回遅れに詰まった19号車を23号車がストレートで抜き、ふたたびトップに立った。その後、19号車は55周目にピットに入り、他車よりも短い間隔で2回目のピットストップを行なうことになった。
なお、同じくヨコハマ勢となっている16号車 MOTUL MUGEN NSX-GT(武藤英紀/中嶋大祐組、YH)も18周目、50周目とピットインしており、どうやら19号車と16号車のヨコハマタイヤを履いた2台は、他よりも1回多いピットストップで臨む作戦を立てている、この段階でそう予想されるようになった。
そして3号車 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rは、トップを走行していた23号車が周回遅れに引っかかったことを利用してトップに立つ。そしてそのまま23号車を徐々に引き離していく。
2度目のセーフティカー導入直前にピットインした6号車 WAKO'S 4CR LC500が大きなリードを獲得
そうした中、70周目に38号車 ZENT CERUMO LC500が100Rの外側にクラッシュするというアクシデントが発生した。場内のモニターで再生されたスロー映像では、クラッシュの直前に円柱状のもの(最終的には右ホイールのナットだった)がクルマから飛んでいき、その後38号車がコントロールを失ってアウト側にクラッシュするという様子が映し出された。これにより、セーフティカーが出ることを読んだトップの3号車を含む各車はやや早めにピットインする(セーフティカーが出るとピットに入れなくなるため、燃料がなくなるとペナルティを覚悟で入るしかなくなり、勝負権が消滅する)。
ところが、37号車 KeePer TOM'S LC500(平川亮/ニック・キャシディ組、BS)と前日のクラッシュの影響でQ2のタイヤが使えないためペナルティを受けるためにピットスタートになった17号車 KEIHIN NSX-GT(塚越広大/ベルトラン・バゲット組、BS)の2台はまだピットに入る前に、セーフティカーが出てしまう。これにより、両車は予定されていたピットのタイミングでピットインできなかっただけでなく、後ろのクルマとの差が詰まった後でピットストップするためタイム的には大きな損となってしまうことになる。これにより37号車と17号車はほぼ勝負権を失うことになった。
レースは80周目に再開したが、ダンロップコーナーで4位を走っていた3号車と3位を走っていた19号車が接触して、3号車がスピン。ここまで築いてきたGT-R+ミシュランの1-2フォーメーションが崩れることになった。さらに、39号車 DENSO KOBELCO SARD LC500(ヘイキ・コバライネン/中山雄一組、BS)も19号車と接触してタイヤにフロントカウルが触れてしまい、ピットインを強いられ、リタイヤになってしまった。
これらの混乱が終わった段階でトップに立っていたのは23号車 MOTUL AUTECH GT-R。2位は36号車 au TOM'S LC500(中嶋一貴/関口雄飛組、BS)、そして3位は6号車 WAKO'S 4CR LC500(大嶋和也/山下健太組、BS)、4位は1号車 RAYBRIG NSX-GT(山本尚貴/ジェンソン・バトン組、BS)、5位は24号車 リアライズコーポレーション ADVAN GT-R(高星明誠/ヤン・マーデンボロー組、YH)、6位は12号車 カルソニック IMPUL GT-R(佐々木大樹/ジェームス・ロシター組、BS)となった。
102周目、2位のポジションで3位の6号車と争っていた36号車 au TOM'S LC500はダンロップコーナーでGT300マシンと接触し、フロントカウルと左フロントをサスペンションなどを含めて壊れてしまい、ガレージに入って修復を試みることになった。これでポイントリーダーの6号車 WAKO'S 4CR LC500がハンデウェイト70kgという重い状況でありながら2位に上がることになった、この時点の3位は1号車 RAYBRIG NSX-GTで、4位の24号車 リアライズコーポレーション ADVAN GT-R、5位の3号車 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rが追い上げてきていたが、105周目の終わりに24号車のエンジンルームから火がでてストレート上にストップしてしまう。その消火のために今回のレース2度目のセーフティカーが導入された。
そのセーフティカーが宣言された瞬間、6号車 WAKO'S 4CR LC500はセーフティカーが出た瞬間にピットに入り、ルーティン作業を終えてピットを出る。その後、ピットインがセーフティカーのボード掲示前に入ったのか、掲示後に入ったのかの検証が行なわれたが、掲示前にピットに入ったと判断。この時点でGT500のトップと同一周回で走っていたのは6号車を含めて6台(7位以下は周回遅れ)だったが、その6台のうち6号車だけが3回目のピットストップを終えており、セーフティカーラン後に1分近くのピットストップをしなければいけないことを考えると、この時点で6号車だけが他の車両よりも1分近く前を走っているという状況になった。これにより、6号車の優勝がほぼ決まったような状況となった。
大量リードを得た6号車 WAKO'S 4CR LC500がそのまま逃げ切って優勝
113周目にセーフティカーランが解除されると、上位勢はピットの混雑を嫌った1号車 RAYBRIG NSX-GT以外はピットに入る選択をする。ピット作業を終えると、1号車 RAYBRIG NSX-GT 、19号車 WedsSport ADVAN LC500、23号車 MOTUL AUTECH GT-R以外は全車周回遅れになっていた。
レースが再開してすぐ、今日のレースで上位を走り続けていた3号車 CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rがエンジンまわりにトラブルを抱えたのか、ガレージに入れられてフロントカウルを開けて修復作業に入る。今回ニッサンは、24号車、3号車の両方にエンジントラブルと見られるトラブルが発生するというレースになってしまった(3号車は終盤にレースに復帰)。これでレースは6号車 WAKO'S 4CR LC500がほぼ1周のリードをつけてレースをリードし、2位は1分20秒近い差をつけられた1号車 RAYBRIG NSX-GT、3位は19号車 WedsSport ADVAN LC500、4位は23号車 MOTUL AUTECH GT-R。ここまでがトップの6号車と同一周回だが、もう一度セーフティカーでも出ない限り縮まらない絶望的な差と言ってよい。
残り34周でトップの6号車がピットに入ると、続いて3位の23号車、2位の1号車が次々とピットに入り、これで順位はほぼ確定になった。ピット作業が終わると、トップを走っていたのはもちろん6号車。2位は1号車、3位は23号車、4位は37号車 KeePer TOM'S LC500となっており、ここまでが同一周回で、5位以下は周回遅れとなっていた。ピット作業を終えた後のレースを盛り上げたのは、2位を走る1号車の山本尚貴選手と、3位を走る23号車のロニー・クインタレッリ選手のバトル。しかし、最終的には山本選手がクインタレッリ選手を引き離して2位を確実にした。
結局レースはそのまま6号車 WAKO'S 4CR LC500が最初にチェッカーを受け、優勝した。前戦タイに続き2連勝を実現し、今回の長いレースでは通常のレースよりも多い25点が加算されるため、60点と大量のポイントをもってポイントリーダーの座を維持し、次のレースに臨むことになる。2位は1号車 RAYBRIG NSX-GT。3位は23号車 MOTUL AUTECH GT-Rとなり、ポイントランキングで3位に上がることになった。4位は37号車 KeePer TOM'S LC500、5位は12号車 カルソニック IMPUL GT-R、6位は16号車 MOTUL MUGEN NSX-GTとなった。
GT500の結果(暫定)
順位 | カーナンバー | マシン | ドライバー | タイヤ | ウェイトハンデ | 周回 | ベストラップ | タイム/1位とのタイム差 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 6 | WAKO'S 4CR LC500 | 大嶋 和也/山下 健太 | BS | 70 | 175 | 1分31秒677 | 4時間52分55秒248 |
2 | 1 | RAYBRIG NSX-GT | 山本 尚貴/ジェンソン・バトン | BS | 22 | 175 | 1分31秒672 | 31秒214 |
3 | 23 | MOTUL AUTECH GT-R | 松田 次生/ロニー・クインタレッリ | MI | 49 | 175 | 1分30秒984 | 36秒658 |
4 | 37 | KeePer TOM'S LC500 | 平川 亮/ニック・キャシディ | BS | 68 | 175 | 1分31秒873 | 55秒881 |
5 | 12 | カルソニック IMPUL GT-R | 佐々木 大樹/ジェームス・ロシター | BS | 19 | 175 | 1分31秒944 | 1分00秒276 |
6 | 16 | MOTUL MUGEN NSX-GT | 武藤 英紀/中嶋 大祐 | YH | 4 | 175 | 1分32秒005 | 1分18秒436 |
7 | 8 | ARTA NSX-GT | 野尻 智紀/伊沢 拓也 | BS | 40 | 175 | 1分32秒196 | 1分30秒137 |
8 | 17 | KEIHIN NSX-GT | 塚越 広大/ベルトラン・バゲット | BS | 12 | 174 | 1分31秒121 | 1 Lap |
9 | 19 | WedsSport ADVAN LC500 | 国本 雄資/坪井 翔 | YH | 35 | 174 | 1分31秒580 | 1 Lap |
10 | 64 | Modulo Epson NSX-GT | ナレイン・カーティケヤン/牧野 任祐 | DL | 5 | 172 | 1分31秒352 | 3 Laps |
11 | 3 | CRAFTSPORTS MOTUL GT-R | 平手 晃平/フレデリック・マコヴィッキ | MI | 32 | 138 | 1分30秒852 | 37 Laps |
R | 24 | リアライズコーポレーション ADVAN GT-R | 高星 明誠/ヤン・マーデンボロー | YH | 28 | 104 | 1分31秒946 | 71 Laps |
R | 36 | au TOM'S LC500 | 中嶋 一貴/関口 雄飛 | BS | 48 | 102 | 1分31秒763 | 73 Laps |
R | 39 | DENSO KOBELCO SARD LC500 | ヘイキ・コバライネン/中山 雄一 | BS | 40 | 82 | 1分32秒193 | 93 Laps |
R | 38 | ZENT CERUMO LC500 | 立川 祐路/石浦 宏明 | BS | 61 | 69 | 1分32秒199 | 106 Laps |
GT500のポイントランキング
順位 | カーナンバー | ドライバー | Rd1 | Rd2 | Rd3 | Rd4 | Rd5 | 合計 | WH |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 6 | 大嶋 和也/山下 健太 | ー | 3 | 11 | 21 | 25 | 60 | 100 |
2 | 37 | 平川 亮/ニック・キャシディ | ー | 4 | 15 | 15 | 10 | 44 | 88 |
3 | 23 | 松田 次生/ロニー・クインタレッリ | 8.5 | 16 | ー | ー | 14 | 38.5 | 77 |
4 | 38 | 立川 祐路/石浦 宏明 | 1.5 | 20 | 5 | 4 | ー | 30.5 | 61 |
5 | 1 | 山本 尚貴/ジェンソン・バトン | ー | 11 | ー | ー | 18 | 29 | 58 |
6 | 8 | 野尻 智紀/伊沢 拓也 | 10 | 2 | 8 | ー | 5 | 25 | 50 |
7 | 36 | 中嶋 一貴/関口 雄飛 | 1 | ー | 21 | 2 | ー | 24 | 48 |
8 | 19 | 国本 雄資/坪井 翔 | 2.5 | ー | 4 | 11 | 3 | 20.5 | 41 |
9 | 39 | ヘイキ・コバライネン/中山 雄一 | ー | 8 | 6 | 6 | ー | 20 | 40 |
10 | 12 | 佐々木 大樹/ジェームス・ロシター | 5.5 | ー | 1 | 3 | 8 | 17.5 | 35 |
11 | 3 | 平手 晃平/フレデリック・マコヴィッキ | 4 | 5 | 2 | 5 | ー | 16 | 32 |
12 | 24 | 高星 明誠/ヤン・マーデンボロー | 3 | ー | 3 | 8 | ー | 14 | 28 |
13 | 17 | 塚越 広大/ベルトラン・バゲット | ー | 6 | ー | ー | 4 | 10 | 20 |
14 | 16 | 武藤 英紀/中嶋 大祐 | 2 | ー | ー | ー | 6 | 8 | 16 |
15 | 64 | ナレイン・カーティケヤン/牧野 任祐 | 0.5 | 1 | ー | 1 | 2 | 4.5 | 9 |
52号車 埼玉トヨペットGB マークX MCは序盤に順位を下げるが、またトップへ浮上
GT300のスタートでは、3位からスタートした360号車 RUNUP RIVAUX GT-R(青木孝行/田中篤/柴田優作組、YH)がスタートでトップに立った。2位は予選2位からスタートした25号車 HOPPY 86 MC(松井孝允/佐藤公哉/土屋武士組、YH)、ポールからスタートした52号車 埼玉トヨペットGB マークX MC(脇阪薫一/吉田広樹、BS)は3位に落ちていた。
だが、52号車は徐々に追い上げ、1回目のピットストップが終わる前にはふたたびトップの座を取り返していた。この時点では52号車 埼玉トヨペットGB マークX MC(脇阪薫一/吉田広樹、BS)がトップ、2位は25号車 HOPPY 86 MC、そして3位には徐々に追い上げてきた65号車 LEON PYRAMID AMG(黒澤治樹/蒲生尚弥組、BS)となっていた。
ところが、セーフティカーがピットに入ってレースが再開されてから上位に上がるはずだった65号車 LEON PYRAMID AMGは、車両から煙が出てピットイン。そして消化器により消火されるほどになってしまい、走り出すことはできなかった。
2回目のピットストップを全車が終えると、1位は52号車 埼玉トヨペットGB マークX MC、2位は7号車 7 D'station Vantage GT3(藤井誠暢/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ/ダレン・ターナー組、YH)、3位は4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也組、YH)、4位は61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組、DL)、5位は360号車 RUNUP RIVAUX GT-Rとなり、序盤からトップを走っていた25号車は14位まで後退していた。
87号車 T-DASH ランボルギーニ GT3がトップに、そして34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3が3位に浮上して2位を追い上げる
全車3回目のピットストップが終わると、トップに立っていたのは87号車 T-DASH ランボルギーニ GT3(高橋翼/アンドレ・クート/藤波清斗、YH)。2回目のピットストップの後、1周後に3回目のピットストップを終えるという変則的なピットストップを採用したことが、セーフティカー2回導入のタイミングにバッチリとはまり、2位の52号車 埼玉トヨペットGB マークX MCに1分近い差をつけてトップを走っていた。この状態で、1位も2位も残り1回のピットストップとなるので、87号車が圧倒的に優位な状況になった。3位は18号車 UPGARAGE NSX GT3(小林崇志/松浦孝亮/山田真之亮組、YH)、4位は88号車 マネパ ランボルギーニ GT3(小暮卓史/元嶋佑弥組、YH)、5位はSUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組、DL)、6位は34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3(道上龍/大津弘樹、YH)となり、4位から6位はパックになって激しく順位を争う展開となっている。
トップを走っていた87号車 T-DASH ランボルギーニ GT3がGT500の残り42周でピットインし、タイヤ交換。給油などを終えてピットアウトする。その数周後、52号車 埼玉トヨペットGB マークX MCがピットに入る。こちらはタイヤ交換はせず、ドライバー交代と給油だけしてピットアウトしていく。これで、52号車は87号車の後ろで合流し、最後の勝負に賭けることになる。フレッシュタイヤだが燃費的にはギリギリの87号車、タイヤはかなり使い古しだが燃費には余裕があるはずの52号車のマッチレースというのが終盤のGT300の展開になった。
そしてその後ろでは18号車 UPGARAGE NSX GT3と34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3というNSX GT3+ヨコハマタイヤが3位表彰台を賭けた熱いバトルを繰り広げていた。残り20周、ストレートでスリップストリームにより34号車は前を走る18号車に追いつき、1コーナーではアウト側となるが、2コーナーに向けてクロスラインをとり、コカコーラコーナーでアウトから前に出て3位に躍り出た。その後も大津選手がドライブする34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3は、2位を走る52号車 埼玉トヨペットGB マークX MCとの差を1周1秒ペースで縮め始める。残り20分の段階で11秒差。計算上でも、52号車のタイヤが厳しいことを考慮に入れても、18時40分のゴールまでに追いつきそうな勢いだ。
その後も大津選手がドライブする34号車はタイヤが厳しくなった52号車を追い上げ続け、最終的には約2秒まで追い詰めたが時間切れ。優勝は見事なピットストップ作戦を実らせた87号車 T-DASH ランボルギーニ GT3、2位はポールからスタートして最後まで34号車の追い上げをしのぎ切った52号車 埼玉トヨペットGB マークX MC、3位は34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3、4位は18号車 UPGARAGE NSX GT3、5位は88号車 マネパ ランボルギーニ GT3、6位は4号車 グッドスマイル 初音ミク AMGとなった。
GT300結果(暫定)
順位 | カーナンバー | マシン | ドライバー | タイヤ | ウェイトハンデ | 周回 | ベストラップ | タイム/1位とのタイム差 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 87 | T-DASH ランボルギーニ GT3 | 高橋 翼/アンドレ・クート/藤波 清斗 | YH | 8 | 163 | 1分40秒288 | 4時間54分37秒976 |
2 | 52 | 埼玉トヨペットGB マークX MC | 脇阪 薫一/吉田 広樹 | BS | 11 | 162 | 1分39秒773 | 1 Lap |
3 | 34 | Modulo KENWOOD NSX GT3 | 道上 龍/大津 弘樹 | YH | 12 | 162 | 1分39秒668 | 1 Lap |
4 | 18 | UPGARAGE NSX GT3 | 小林 崇志/松浦 孝亮/山田 真之亮 | YH | - | 162 | 1分40秒230 | 1 Lap |
5 | 88 | マネパ ランボルギーニ GT3 | 小暮 卓史/元嶋 佑弥 | YH | 35 | 162 | 1分40秒107 | 1 Lap |
6 | 55 | ARTA NSX GT3 | 高木 真一/福住 仁嶺 | BS | 61 | 162 | 1分39秒880 | 1 Lap |
7 | 56 | リアライズ 日産自動車大学校 GT-R | 平峰 一貴/サッシャ・フェネストラズ | YH | 54 | 162 | 1分40秒025 | 1 Lap |
8 | 4 | グッドスマイル 初音ミク AMG | 谷口 信輝/片岡 龍也 | YH | 29 | 162 | 1分39秒888 | 1 Lap |
9 | 11 | GAINER TANAX GT-R | 平中 克幸/安田 裕信 | DL | 50 | 162 | 1分39秒967 | 1 Lap |
10 | 61 | SUBARU BRZ R&D SPORT | 井口 卓人/山内 英輝 | DL | 30 | 162 | 1分40秒137 | 1 Lap |
11 | 7 | D'station Vantage GT3 | 藤井 誠暢/J.P.デ・オリベイラ/ダレン・ターナー | YH | - | 162 | 1分40秒003 | 1 Lap |
12 | 2 | シンティアム・アップル・ロータス | 高橋 一穂/加藤 寛規/濱口 弘 | YH | - | 161 | 1分40秒017 | 2 Laps |
13 | 21 | Hitotsuyama Audi R8 LMS | リチャード・ライアン/富田 竜一郎/アレッシオ・ピカリエロ | YH | 12 | 161 | 1分40秒585 | 2 Laps |
14 | 10 | GAINER TANAX triple a GT-R | 星野 一樹/石川 京侍 | YH | 42 | 161 | 1分39秒524 | 2 Laps |
15 | 96 | K-tunes RC F GT3 | 新田 守男/阪口 晴南 | BS | 60 | 161 | 1分40秒488 | 2 Laps |
16 | 33 | エヴァRT初号機 X Works GT-R | ショウン・トン/マーチー・リー/道見 真也 | YH | 18 | 161 | 1分39秒847 | 2 Laps |
17 | 5 | ADVICS マッハ車検 MC86 マッハ号 | 坂口 夏月/平木 湧也/阪口 良平 | YH | 30 | 160 | 1分40秒619 | 3 Laps |
18 | 31 | TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT | 嵯峨 宏紀/中山 友貴 | BS | - | 160 | 1分40秒332 | 3 Laps |
19 | 9 | PACIFIC MIRAI AKARI NAC PORSCHE | 横溝 直輝/峰尾 恭輔/都筑 晶裕 | YH | - | 160 | 1分40秒096 | 3 Laps |
20 | 35 | arto RC F GT3 | ナタポン・ホートンカム/ショーン・ウォーキンショー | YH | - | 160 | 1分40秒563 | 3 Laps |
21 | 50 | ARNAGE AMG GT3 | 加納 政樹/山下 亮生/手塚 祐弥 | YH | - | 160 | 1分40秒938 | 3 Laps |
22 | 60 | SYNTIUM LMcorsa RC F GT3 | 吉本 大樹/宮田 莉朋 | DL | 10 | 160 | 1分41秒319 | 3 Laps |
23 | 22 | アールキューズ AMG GT3 | 和田 久/城内 政樹/ビヨン・ビルドハイム | YH | - | 159 | 1分40秒377 | 4 Laps |
24 | 48 | 植毛GO&FUN GT-R | 田中 勝輝/飯田 太陽/浜野 彰彦 | YH | - | 158 | 1分41秒035 | 5 Laps |
25 | 30 | TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT | 永井 宏明/織戸 学/小高 一斗 | YH | - | 143 | 1分40秒454 | 20 Laps |
26 | 25 | HOPPY 86 MC | 松井 孝允/佐藤 公哉/土屋 武士 | YH | 32 | 139 | 1分39秒087 | 24 Laps |
27 | 360 | RUNUP RIVAUX GT-R | 青木 孝行/田中 篤/柴田 優作 | YH | - | 126 | 1分39秒475 | 37 Laps |
R | 65 | LEON PYRAMID AMG | 黒澤 治樹/蒲生 尚弥 | BS | 39 | 74 | 1分39秒791 | 89 Laps |
R | 720 | McLaren 720S | 荒 聖治/アレックス・パロウ | YH | - | 21 | 1分40秒086 | 142 Laps |
GT300のポイント
順位 | カーナンバー | ドライバー | Rd1 | Rd2 | Rd3 | Rd4 | Rd5 | 合計 | WH |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 55 | 高木 真一/福住 仁嶺 | 8.5 | 15 | 5 | 2 | 6 | 36.5 | 73 |
2 | 56 | 平峰 一貴/サッシャ・フェネストラズ | 3 | 9 | ー | 15 | 5 | 32 | 64 |
3 | 96 | 新田 守男/阪口 晴南 | 10 | ー | 20 | ー | ー | 30 | 60 |
4 | 87 | 高橋 翼/アンドレ・クート | ー | ー | ー | 4 | 25 | 29 | 58 |
5 | 11 | 平中 克幸/安田 裕信 | ー | 20 | 2 | 3 | 3 | 28 | 56 |
6 | 88 | 小暮 卓史/元嶋 佑弥 | 0.5 | 11 | ー | 6 | 8 | 25.5 | 51 |
7 | 87 | 藤波 清斗 | ー | ー | ー | ー | 25 | 25 | 50 |
8 | 52 | 脇阪 薫一/吉田 広樹 | 5.5 | ー | ー | ー | 19 | 24.5 | 49 |
9 | 10 | 星野 一樹/石川 京侍 | ー | 1 | ー | 20 | ー | 21 | 42 |
10 | 65 | 黒澤 治樹/蒲生 尚弥 | 2.5 | 6 | ー | 11 | ー | 19.5 | 39 |
11 | 34 | 道上 龍/大津 弘樹 | 1 | ー | 4 | 1 | 13 | 19 | 38 |
12 | 4 | 谷口 信輝/片岡 龍也 | 1.5 | 5 | 8 | ー | 4 | 18.5 | 37 |
13 | 61 | 井口 卓人/山内 英輝 | 4 | ー | 11 | ー | 2 | 17 | 34 |
14 | 25 | 松井 孝允/佐藤 公哉 | ー | ー | 7 | 9 | ー | 16 | 32 |
15 | 5 | 坂口 夏月/平木 湧也 | ー | ー | 15 | ー | ー | 15 | 30 |
16 | 18 | 小林 崇志/松浦 孝亮/山田 真之亮 | ー | ー | ー | ー | 10 | 10 | 20 |
17 | 33 | ショウン・トン | ー | 4 | ー | 5 | ー | 9 | 18 |
18 | 21 | リチャード・ライアン/富田 竜一郎 | ー | 3 | 3 | ー | ー | 6 | 12 |
19 | 33 | マーチー・リー | ー | ー | ー | 5 | ー | 5 | 10 |
20 | 60 | 吉本 大樹 | 2 | 2 | 1 | ー | ー | 5 | 10 |
21 | 33 | 道見 真也 | ー | 4 | ー | ー | ー | 4 | 8 |
22 | 60 | 宮田 莉朋 | 2 | ー | 1 | ー | ー | 3 | 6 |
23 | 60 | ドミニク・ファーンバッハー | ー | 2 | ー | ー | ー | 2 | 4 |