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11月11日申し込み締め切り、スバル「WRX STI EJ20 Final Edition」について国内営業本部 那須崇氏に聞く

EJ20型が一番活躍していたときをイメージ

2019年11月11日 申し込み締め切り

株式会社SUBARU 国内営業本部 マーケティング推進部 商品グループ 主事 那須崇氏

 東京モーターショーで一般公開されたスバルの「WRX STI EJ20 Final Edition」。スバルを象徴するEJ20型エンジンが今年度内で生産を終了することにあたって企画された、EJ20型を搭載した最後の特別仕様車になる。

 その特徴は、ピストンやコンロッドなどバランス取りを行なった主回転系の部品をエンジンに組み込んでいることで、最高出力227kW(308PS)/6400rpm、最大トルク422N・m(43.0kgf・m)/4400rpmという仕様は変わらないものの、回転バランスのよさを味わえるとされている。

 このWRX STI EJ20 Final Editionは555台限定で販売され、販売店で優先購入権の申し込みが必要。その締め切りも11月11日までとなっている。11月9日時点での申込数は9000件超。非常に高い倍率となっている。

 また、EJ20型エンジンを搭載した通常のWRX STIの注文も12月23日でオーダーストップ。生産期限とされている年度内に向けて最後の生産を行なっていくことになる。

 このWRX STI EJ20 Final Editionは、どのような意図を持って企画されたのだろうか? 企画者である国内営業本部 マーケティング推進部 商品グループ 主事 那須崇氏に東京モーターショーの会場で聞いてみた。

EJ20型エンジンを搭載した最後の特別仕様車「WRX STI EJ20 Final Edition」。555台の限定販売で、販売店での申し込みは11月11日まで

WRX STI EJ20 Final Edition

──最後の特別仕様車として企画されたWRX STI EJ20 Final Editionですが、エンジンまわりで仕様をまったく変更しなかった理由を教えていただけますか?

那須氏:2つ理由があります。EJ20型エンジンを使用したコンプリートカーとしては、S208と去年のWRX STI RA-Rをもって終えています。出力を上げて内外装の質感を高めたS208、軽量化を施して速さを極めたRA-R、そこはできたと思っている部分があります。今回はどちらかというとEJ20が最後の最後なので、コンプリートカーで評価いただいているバランスを量産仕様車に入れることで、一般のお客さまでも回転バランスのフィールのよさを味わっていただけるように、出力をあえて不変のままです。サスペンション設定もタイプSと同じです。

──ホイールがBBSのゴールドカラーとなっていますが。

那須氏:そこは今回の車名を、STIのファイナルエディションではなく、EJ20のファイナルエディションとしているところからこだわりがあります。EJ20が30年間がんばってやってきましたと、その30年間の中でEJ20エンジンが一番活躍していたところを考えると「やっぱりラリーだよね」と。そのため、ラリーカーとして活躍していたときのイメージにどうしてもしたかったのです。

 実は、このVAB型のSTIにしてから国内モデルでは、ゴールドホイール仕様車はありませんでした。海外には存在したのですが。国内に関してはWRCから撤退をして車形がインプレッサから分かれてWRXとなったときに「プレステージな本格スポーツセダン」という異なるコンセプトでお客さまへ提案してきました。その中でゴールドホイールとWRブルーだとラリーのイメージが残ってしまうため、あえて封印していました。今回は、最後の最後なので、一番活躍していたよい衣装を着せてあげようとなりました。

──ラリーのイメージというと、別途数字が並んだステッカーをオプションで用意するということもあったと思うのですが、そのようなオプションはあるのですか?

那須氏:車両に関するステッカーですか? 車両に関するバッヂ類はあえて特別なものは用意していません。ただ、ボンネットを開けるとエンジンルームに「EJ20 Final Edition」というプレートが見られるという演出にしました。

──EJ20型エンジンでバランス取りをした部品は具体的に何になりますか?

那須氏:ピストン、コンロッド、クランクシャフト、フライホイールとクラッチディスクカバーになります。回転系のパーツの重量公差をより精度が高いもの、ツメたものにしています。このエンジンは、我々のラインで流しているのですが大泉工場のラインではなくて、EJ20エンジンは桐生工業という関係会社にラインを持っていっています。これは生産量が少ないためで、ラインには流しているのですが事実上手組みみたいなことができるので、今回は回転系のパーツで重量バランスを取れたものを選別して555台に限ってそれを組み込んだものにしています。公差をツメていることからピストンと組み合わせるシリンダーに関しても同様に選別品となっています。

 標準車のほうもスバルとしての基準を合格したものを使用しており、EJ20ファイナルエディションはより公差をツメたものを使用していると思っていただければ。

──カムシャフトなどもバランス取り部品となっていますか?

那須氏:カムシャフトはやっておりません。主回転系となっています。

──レッドゾーンの回転数に変更はありますか?

那須氏:同じです。バランス取りをした部品を組み込んでいますが、それは同じになります。エンジンの数字的なスペックは、通常の量産仕様車と同じです。出力は308PSですし、トルクは43.0kgf・mになります。そこは変わりません。

──販売台数を555台にした理由なのですが、クルマの需要を考えると2019台や2020台などにすることもできたと思うのですが? あえて555台にした理由はどこにあるのですか?

那須氏:そこはスバルになじみのある数字ということで(笑)。2000台分となるとパーツを作るというのが難しかったこともあります。精度のよいパーツを無尽蔵に作っていくことはできないことでもあります。我々ができる、バランスのよいエンジンを仕立てていく中でマックスの条件が、ほぼそれ(555)に近しい数字だったと。なので、皆さんが思い入れのある数字である、ゴーゴーゴにしました。

──現時点での申し込みは?

那須氏:現在は9000件を超える状態となっています(11月10日時点でも公式には9000件超)。今回555台限定で抽選方式です。申込期限は11月11日になります。正直びっくりしています。お客さまには申し訳ないという気持ちです。

 ただ、標準のWRX STIもあり、こちらもEJ20エンジンを搭載しています。EJ20エンジンを搭載している都合上、2020年3月末で生産が終了します。受注は2019年12月23日をもってオーダーストップとなります。EJ20 Final Editionもご検討いただきつつ、標準車のほうも広くご検討いただけたらと思います。

 東京モーターショーでお客さまの声をうかがっていると「残念」とか「さびしい」と言われます。また、ほかのクルマは説明員がクルマの説明をするのです。機能の説明とか、ボタンの説明とか。EJ20ファイナルエディションに関しては、クルマの説明はほとんどしないでお客さまから思い出話を聞くコミュニケーションの場となっています。本当にありがたいと思っています。次の開発へ向けてのヒントをいただいています。

──申し込みの傾向とかはありますか?

那須氏:自銘柄、つまりスバル車をお持ちの方からの申し込みも多いのですが、他銘柄からの申し込みも多くなっています。今回グレードを2つ用意しています。素の状態とフルパッケージと2パターン用意しているのですが、見積もりの傾向としては、75%がフルパッケージになっています。ボディカラーに関しては、WRブルー、白、黒と3色用意しました。やはり色は、6割がWRブルー、3割が白、1割が黒なっています。GDB型のときに白いインプレッサにゴールドホイールを履いている人は多かったので、その傾向が出ているのかなと思います。


 EJ20型エンジンを搭載した最後の特別仕様車「WRX STI EJ20 Final Edition」。専用Webサイトも用意されており、詳細な特別仕様については、そちらで確認することが可能だ。