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1100台以上のWRXが集まった「WRX Fan Meeting」。ペター・ソルベルグ選手に加え、トミ・マキネン監督がサプライズ参加

2019年11月9日 開催

「WRX Fan Meeting」に向けて来日したペター・ソルベルグ選手。スバルのラリーカーでWRCチャンピオンを獲得している

 11月9日、ふれあいパークほうらい(愛知県新城市)において「WRX Fan Meeting」が開催された。このイベントは、歴代スバル WRXのオーナーが集まるファンミーティングとして実施され、初代のインプレッサ WRXをはじめ1100台以上のWRX、そしてオーナーを含めた1800名以上が集まった。

 WRX Fan Meetingでは、STI(スバルテクニカインターナショナル)とスバルの開発者らが参加。オープニングではスバル&STIを代表してSTI 代表取締役社長 平岡泰雄氏があいさつ。平岡社長は、スバルにおいてはEJ系などのエンジン開発に携わり、現在のスバルの主力製品となっているFA/FB系エンジンには企画段階から参加するなどエンジンの開発を行なってきている。もちろんEJ20にも携わっており、平岡社長にとってもEJ20は思い出深いエンジンになる。

オープニングステージ。STI&スバルスタッフが紹介された
「WRX Fan Meeting」の企画代表としてあいさつする株式会社SUBARU 国内営業本部 マーケティング推進部長 小島敦氏

 あいさつの後、実施された開発者トークショーでは、STI 平岡社長、辰己英治総監督、スバル 商品企画本部 WRX STI担当主査 嶋村誠氏が登壇。EJ20型エンジンが初めて搭載された初代レガシィの開発秘話などが語られた。

開発者トークショーその1。STI 平岡社長(中央左)、辰己英治総監督(中央右)、スバル 商品企画本部 WRX STI担当主査 嶋村誠氏(右)
3人のトークショーをファンと同様興味深く聞いている商品企画本部長 阿部一博氏。スバルの市販車開発のトップ

 昼過ぎには、「レジェンドドライバー登場」と事前に予告されていたステージを実施。ステージには、スバルのラリーチームで戦ったペター・ソルベルグ選手が登壇した。実はペター・ソルベルグ選手の来日は、同時期に愛知県で開催されたセントラルラリーでも予告されており、ほとんどの参加者にとっては予想できていたこと。本当のサプライズとしては、やはりセントラルラリーのために来日していたToyota GAZOO Racing WRTのトミ・マキネン監督で、ソルベルグ選手、マキネン監督と2人のWRCチャンピオンが登壇する夢のようなステージとなっていた。

スバルのラリーを代表する選手としてファンの人気も高いペター・ソルベルグ選手
サプライズ登場したToyota GAZOO Racing WRTのトミ・マキネン監督。現役最終年をスバルで過ごし、ソルベルグ選手ともチームメイトだった
登場後、ソルベルグ選手とハグ
楽しいトークが続いた

 マキネン監督は、現役時代の最後をスバルで過ごし、そのときのチームメイトがソルベルグ選手。気心知れた仲だからか、2人でスバルのラリーに関する思い出などが語られていた。印象的だったのは「Toyota GAZOO Racing WRTのドライバーとして、ペター選手を起用しますか?」という質問が投げかけられたとき。マキネン監督は、柔らかい言葉ながらも後進の育成に取り組んでいると語り、また、ソルベルグ選手も2019年が現役引退年となることから、後進育成への思いを語った。ソルベルグ選手の息子である、オリバー・ソルベルグ選手(本当はこのイベントに参加するはずだったが、手術のため来日できなかったとのこと)もラリードライバーとしての道を歩んでおり、オリバー・ソルベルグ選手の話題にも触れていた。

2019年で現役を引退するソルベルグ選手にSTI 平岡社長より花束。その後、記念写真

 開発者トークショーその2では、主に市販車を開発するスバルのメンバーが登場。新型「レヴォーグ」や「WRX」を担当する商品企画本部 WRX STI担当 プロジェクトゼネラルマネージャーの五島賢氏、商品企画本部長 阿部一博氏、第二技術本部 副本部長 小倉明氏の3人が登壇し、WRXやインプレッサの裏話を語っていた。次期WRXについての話題も出たが、五島氏がいろいろぼかしながら回答。五島氏の上司でもあり、現行インプレッサのプロジェクトゼネラルマネージャーでもあった阿部氏が、「みなさんに大きな楽しみをお届けします」と締めくくりの発言を行なった。

開発者トークショーその2。左から商品企画本部長 阿部一博氏、第二技術本部 副本部長 小倉明氏、商品企画本部 WRX STI担当 PGM 五島賢氏。五島氏が2人から突っ込まれていた

 WRX Fan Meetingのよかった点は、プログラムとプログラムの時間があいており、STIやスバルの開発者と語り合える時間が多くあったこと。時間がありすぎると間延びしてしまう面もあるが、STI&スバルの開発陣が数多く参加していたこともあり、WRXオーナーとしての意見を伝えることができているように見えた。

会場にはWRX STI EJ20 Final Edition、ニュルブルクリンク 24時間クラス優勝車(2019)、WRC チャンピオン獲得車(1998、以下WRC 98)などが飾られた。WRX STI EJ20 Final Edition、ニュルブルクリンク 24時間クラス優勝車は東京モーターショーからの移動になる
1100台を超えるWRXが集結。複数名参加が多いので、1800名以上の参加者が集まった
陽気なソルベルグ選手は、会場各所で人気者。サインをもらっている人が多かった
最後はスタッフ全員で参加者をお見送り。オフ会といった雰囲気のイベントだったが、多くのSTI&スバルスタッフがサポートすることで、特別なイベントとなっていた

 次期WRXについて詳細に語られることはなかったが、WRXオーナーの思いはSTI&スバルの開発陣には届いていたようで、ユーザーの気持ちが大きく反映される形での開発に期待したい。ショートストロークのEJ20型エンジンは現行のWRXで終わってしまうが、単に環境対応しただけというものではない、WRXが築いてきた歴史やユーザーの思いを受け継ぐクルマの登場を楽しみに待ちたい。

イベント終了後、積載車に積まれるWRC 98。このまま三鷹のSTIギャラリーにもどるのだろう(と、9日夕方は思っていた)
10日にセントラルラリーの取材に行くと、WRC 98が会場の隅に置かれていた
せっかくなのでシャシー下面を撮影。めったに見られない風景
9日にマキネン監督が「WRX Fan Meeting」に訪れていたので、10日はソルベルグ選手がToyota GAZOO Racing WRTのピットを訪問
トークショーも実施。2人の世界ラリーチャンピオンが日本に訪れた2日間となった

【お詫びと訂正】記事初出時、開催日時や一部登壇者のお名前に誤りがありました。お詫びして訂正させていただきます。