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デビッド・クルサード氏がレッドブルF1マシンでドーナツターンを披露した「Honda Racing THANKS DAY 2019」

「#99 Honda NSX-GT」を佐藤琢磨&ダニール・クビアト両選手がドライブ

2019年11月10日 開催

ホームストレート上でスピンターンを披露する「RB7 2019カラー」

 ツインリンクもてぎ(栃木県芳賀郡茂木町)で11月10日、本田技研工業のファン感謝祭「Honda Racing THANKS DAY 2019」が開催された。

 今回で12回目の開催を数えるHonda Racing THANKS DAYは、2輪・4輪などのレースにホンダチームとして参戦している選手やマシンがツインリンクもてぎに集まり、多彩なプログラムを通じてファンに感謝の気持ちを伝えるイベント。ツインリンクもてぎのロードコースをはじめ、グランドスタンドプラザ、モビパーク、ハローウッズ、ホンダコレクションホール、ピットガレージなどを使ってデモランや車両展示、トークショー、サイン会などさまざまなファンサービスが行なわれた。

Honda Racing THANKS Ceremony

本田技研工業株式会社 代表取締役社長 八郷隆弘氏を中心に、両サイドに2輪・4輪の選手が一堂に並んでファンにあいさつする「Honda Racing THANKS Ceremony」

 ホームストレートで実施された「Honda Racing THANKS Ceremony」では、最初に本田技研工業 代表取締役社長 八郷隆弘氏が登場。続けて2輪のライダー、4輪のドライバー、チーム監督などが1人ひとり紹介されて姿を現わし、八郷社長が出迎える形でホームストレートに整列した。

 セレモニーではまず八郷社長がスピーチを行ない、今回はまだ一部のレースでシーズンが続いているものの、2019年シーズンにファンから送られてきた声援に対して感謝の言葉を述べたほか、この2019年が、1959年にホンダが「マン島 TTレース」に出場して世界のレースに挑戦を始めてから60周年となることを紹介。自身が生まれたのも同じ1959年であり、ホンダが自分の人生と同じ年月、レース活動に情熱を注ぎ込んできたことに感激すると語った。

 これまでにシーズンが終わっているレースでは、2輪ロードレースの頂点カテゴリーであるMotoGPでマルク・マルケス選手が4年連続、6回目のシリーズチャンピオンを獲得。トライアル世界選手権でトニー・ボウ選手が前人未踏の13連覇を果たし、モトクロス世界選手権でもティム・ガイザー選手が自身3度目のシリーズチャンピオンに輝くなど、2輪世界選手権における主要3カテゴリーでチャンピオンを輩出する成果を得たことを報告。全日本ロードレースでは惜しくも2位となったものの、国内開催のトライアル、モトクロスの両カテゴリーではチャンピオンを獲得しており、「世界一の2輪メーカーとして充実したシーズンを送ることができました」とアピールした。

2019年シーズンの結果をファンに報告し、今後も応援してほしいと語る八郷社長

 4輪ではSUPER GTのGT500クラス、スーパーフォーミュラでチャンピオン獲得とならず、来シーズンに向けて力強く努力していきたいと語り、「何が何でもチャンピオンを奪還しますので、皆さんのご声援をよろしくお願いいたします」と意気込みを口にした。

 これに加え、インディカー・シリーズに参戦している佐藤琢磨選手がシーズン2勝を挙げたことに触れた八郷社長。F1では2015年の参戦復帰後の初優勝をオーストリアグランプリで果たし、その後のドイツグランプリでも、レッドブルのシーズン2勝目とトロロッソの3位フィニッシュでダブル表彰台という結果となり、これまでの4年間で続けてきた努力が実を結んだ結果で大変嬉しいとした。また、F1はシーズン2戦を残しており、これに向けて全力で取り組んでいくこと、さらに2020年シーズンについては「レッドブルとともにシリーズチャンピオンを何が何でも取りたいと思っています」とコメント。勝利に向けて応援してほしいとファンに向けて語りかけた。

 八郷社長は最後に、ホンダのレース活動60周年の記念すべき1年は、ファンの期待に応えられるシーズンになったのではないかと自己評価し、「ホンダはこれからも、モータースポーツで勝ちにこだわり、勝つことに挑戦し続けてまいりますので、皆さん、これからもよろしくお願いいたします」と語ってスピーチを締めくくった。

2015年からホンダチームに所属してMotoGPに参戦しているカル・クラッチロー選手。MotoGPの日本グランプリでツインリンクもてぎに足を運ぶたびに多くのファンから熱い声援を受けており、心から感謝しているとコメント
2019年シーズンはインディカー・シリーズの第3戦、第15戦で優勝を手にした佐藤琢磨選手。八郷社長からの叱咤激励を受け、来シーズンも勝ちにこだわり、チャンピオンを狙って頑張りたいと意気込みを語った
2019年シーズンでSUPER GT GT500クラスの参戦を終了すると発表しているジェンソン・バトン選手。かつてのF1参戦時からHonda Racing THANKS DAYにたびたび参加しており、2020年以降もバトン選手が何らかの形でこの場に立つことを期待したい
八郷社長がイベント参加の選手やチーム監督などをお出迎え
セレモニー冒頭では和太鼓と三味線による演奏も披露された
セレモニー終了後の記念撮影

Aston Martin Red Bull Racing Showrun

ツインリンクもてぎ ロードコースの最終コーナーを立ち上がるRB7 2019カラー(19秒)

 ロードコースで行なわれた「Aston Martin Red Bull Racing Showrun」では、レッドブル・レーシングが2011年のF1で使用した「RB7」のボディに2019年仕様のカラーリングを施した車両を使い、同チームのアドバイザーを務めている元F1ドライバーのデビッド・クルサード氏が搭乗。3周のデモ走行を披露したほか、ホームストレート上で豪快なドーナツターンを行なってファンにF1マシンの迫力を見せつけた。

デビッド・クルサード氏が、2019年仕様のカラーリングを施した「RB7」でデモ走行
Honda Racing THANKS DAYで恒例行事のようになっているホームストレート上でのドーナツターン。2019年はRB7 2019カラーで行なわれ、マシンが白いタイヤスモークの中に消えていった

Honda Racing 60th Anniversary

ツインリンクもてぎ ロードコースのホームストレートを駆け抜ける「マクラーレン・ホンダ MP4/4」と「NSR500」(28秒)

 ホンダのレース活動60周年を記念する「Honda Racing 60th Anniversary」では、F1マシン「マクラーレン・ホンダ MP4/4」を佐藤琢磨選手が走らせたほか、MotoGPマシン「RC213V」とWGPマシン「NSR500」にカル・クラッチロー選手、Moto3マシン「NSF250RW」に小椋藍選手が乗ってデモ走行を実施した。

佐藤琢磨選手によるマクラーレン・ホンダ MP4/4のデモ走行
カル・クラッチロー選手は「RC213V」(左)とNSR500(中央)のデモ走行を担当
小椋藍選手による「NSF250RW」のデモ走行

ウイナーズ・パレード

2019年シーズンのスーパーフォーミュラで「DOCOMO TEAM DANDELION RACING」をチーム優勝に導いた福住仁嶺選手(左)と山本尚貴選手(左中央)、全日本モトクロス選手権 IA1クラスでシリーズチャンピオンを獲得した山本鯨選手(右中央)、全日本トライアル選手権 国際A級スーパークラスでシリーズチャンピオンを獲得した小川友幸選手(右)がパレードランを実施

「ウイナーズ・パレード」は、参戦レースで年間チャンピオンを獲得した選手たちが感謝の気持ちを込めて行なう凱旋パレード。2019年シーズンはスーパーフォーミュラで「DOCOMO TEAM DANDELION RACING」のチーム優勝に貢献した山本尚貴選手と福住仁嶺選手、全日本モトクロス選手権 IA1クラスでシリーズチャンピオンを獲得した山本鯨選手、全日本トライアル選手権 国際A級スーパークラスでシリーズチャンピオンを獲得した小川友幸選手の4選手がパレードランを披露した。

山本尚貴選手と福住仁嶺選手の「SF19」によるランデブー走行
山本鯨選手と小川友幸選手はウイリー走行でアピール。山本選手はコース外の未舗装部分を駆け抜けた

SUPER GT Honda Grand Prix

ダニール・クビアト選手が運転する「#99 Honda NSX-GT」

 SUPER GTのGT500クラスに参戦している「NSX-GT」ワンメイクの模擬レースとして行なわれる「SUPER GT Honda Grand Prix」。2019年はシーズンを戦う5チームのマシンに加え、ダニール・クビアト選手と佐藤琢磨選手がタッグを組んで挑戦する「#99 Honda NSX-GT」を含めた6台によって争われ、山本尚貴/ジェンソン・バトン組の1号車「RAYBRIG NSX-GT」が優勝。2019年シーズンでSUPER GT参戦を終了すると発表しているバトン選手がツインリンクもてぎで有終の美を飾った。

くじ引きの結果でポールポジションを得たダニール・クビアト/佐藤琢磨組の#99 Honda NSX-GTがレース序盤をリード
ドライバー交代も行なわれる本格的なワンメイクレースの結果、山本尚貴/ジェンソン・バトン組の1号車「RAYBRIG NSX-GT」が優勝。バトン選手はNSX-GTでのツインリンクもてぎラストバトルを勝利で終えた

SUPER FORMULA FINAL BATTLE

「SUPER FORMULA FINAL BATTLE」で勝利したルーカス・アウアー選手の50号車「B-Max Racing with motopark」(SF19)

 SUPER GT Honda Grand Prix同様に模擬レースとして行なわれた「SUPER FORMULA FINAL BATTLE」。SF19に同じ本田技研工業/M-TEC製の「HR-417E」型エンジンを搭載する7台によるレースは、走行後の選手たちがインタビューで「シーズン中でもあんな接近戦はしない」と口にするほど白熱した争いが繰り広げられた。7周で行なわれたレースは、ラストラップの最終コーナーでサイドバイサイドのバトルを制したルーカス・アウアー選手が優勝となった。

SUPER FORMULA FINAL BATTLEには1号車、5号車、16号車、17号車、50号車、64号車、65号車の7台が出走
2番手につけてきた山本尚貴選手が、最終コーナー手前のインとアウトが入れ替わる場所を狙って勝負に出るが、ルーカス・アウアー選手はここまで温存してきた「OTS(オーバーテイクシステム)」を発動。アウト側のラインから逃げ切ってそのまま優勝を果たした

Honda Riders パフォーマンス

世代やレースカテゴリーを越えて多彩なホンダ2輪マシンがデモ走行した「Honda Riders パフォーマンス」

 MotoGPライダーのカル・クラッチロー選手など、ホンダの2輪マシンでレースに参戦している11人の選手が日ごろの参戦マシンで一堂にデモ走行する「Honda Riders パフォーマンス」。

JSB1000参戦マシンであるTeam HRCの13号車「CBR1000RRW」
EWC参戦マシンであるF.C.C. TSR Honda Franceの5号車「CBR1000RR SP2」
スーパーバイク世界選手権参戦マシンであるMoriwaki Althea Honda Teamの23号車「CBR1000RR SP2」
JSB1000参戦マシンであるMuSASHi RT HARC-PRO.Hondaの634号車「CBR1000RR SP2」(左)とMotoGP参戦マシンであるLCR Honda CASTROLの35号車「RC213V」(右)
Moto3参戦マシンであるHonda Team Asiaの79号車「NSF250RW」
レース専用マシンの「RC213V」をベースに、必要最低限の変更と追加を行なって一般公道の走行を可能とした期間限定モデル「RC213V-S」に「LCR Honda IDEMITSUカラー」を与えた車両

Honda Racing Kart Cup

2輪と4輪のレースで活躍する選手がタッグを組んで戦う異色のスペシャルイベント「Honda Racing Kart Cup」

「Honda Racing Kart Cup」では、ホンダのマシンでレースに参戦している2輪と4輪の人気選手がチームを結成。日ごろ乗り慣れたマシンではないレーシングカートを使って白熱のレースを披露した。

 レースでは決勝レースのスターティンググリッドを決める予選のタイムアタックを4輪ドライバーが担当。決勝レースでは前半を4輪ドライバーが走り、規定ラップ数を超えてからピットインして、2輪ライダーに交代するスタイルで進められた。レースは周回数を重ねて2輪ライダーが走行を担当するようになったあたりから徐々にヒートアップ。コース内でマシン同士が接触するようになり、チェッカーフラッグが用意されるラストラップの第1コーナー出口でトップを走行していたソムキャット・チャントラ選手と2位走行の山本鯨選手が横並びとなり、チャントラ選手がスピン。

 ここでトップに立った山本選手と3位から2位に浮上した藤波貴久選手の2人がコース中盤のヘアピンコーナーで接触してコースアウト側でスピンすると、その後方を走っていたカル・クラッチロー選手がピースサインの左手を突き上げながら追い抜いていく。クラッチロー選手はそのまま後方とのリードを保ってトップチェッカーを受けた。

スターティンググリッドを決めるタイムアタックは4輪ドライバーが担当
2輪ライダーに交代してバトルがヒートアップ
先行する選手がスピンする間隙を突いてカル・クラッチロー選手がトップに立ち、そのまま1位でチェッカーフラッグを受けた
優勝は武藤英紀/カル・クラッチロー組

Honda Racing THANKS DAY ステージ

ダニール・クビアト選手が登場した「F1 トークショー」

 中央エントランスに用意されたステージでは、8時30分スタートの「Modulo トークショー」を皮切りに5つのトークショーを実施。ダニール・クビアト選手が登場した「F1 トークショー」では、2019年シーズンのこれまでの振り返りやドライブする「STR14」についてコメントしたほか、7月に行なわれて自身3年ぶりの表彰台獲得となったドイツグランプリの決勝直前に誕生した長女のことにも言及。いっしょに過ごす時間が自分をリラックスさせてくれると語り、25歳の若者らしい一面も見せた。

このイベント参加に向けて前日に来日し、イベント終了後にはブラジルに飛ぶという多忙な生活を送っているクビアト選手。シーズン中でまだあまり時間は取れていないながら、生まれたばかりの長女と過ごす時間が自分をリラックスさせてくれると語った
中嶋悟総監督と道上龍選手が登壇した「Modulo トークショー」

 Modulo トークショーでは中嶋悟総監督と道上龍選手が登壇。次世代のクルマ好きやレーシングドライバーを育てていくため、子供たちに対して積極的にアピールしていくことの重要性などが語られたほか、最後には中嶋総監督とのじゃんけん大会を実施。勝ち残った人には、ステージ上で登壇者と一緒にプロカメラマンによる記念撮影に参加する権利が贈られていた。

中嶋悟総監督
道上龍選手
中嶋総監督とのじゃんけん大会では、勝ち残った人と登壇者が記念撮影
トークショーは8時30分スタートというスケジュールながら、ステージ前には多くのファンが集まっていた

車両展示

Aston Martin Red Bull Racingの「RB14 2019カラー」(左)とRed Bull Toro Rosso HondaのSTR13 2019カラー(右)

 走行以外でも、ピットガレージやグランドスタンドプラザでは2輪・4輪のさまざまなマシンが展示され、多くの人が記念撮影などを楽しんでいた。

RB14 2019カラー
STR13 2019カラー
NSR500(左)とマクラーレン・ホンダ MP4/4(右)
新旧ホンダF1マシン
#99 NSX-GT
#16 MOTUL MUGEN NSX-GT
TCS NAKAJIMA RACINGのSF19(左)とModulo Epson NSX-GT(右)
REAL RACINGのSF19(左)とKEIHIN NSX-GT(右)
DOCOMO TEAM DANDELION RACINGのSF19。左が福住仁嶺選手の5号車、右が山本尚貴選手の1号車
B-Max Racing with motoparkのSF19
CIVIC TCR
2019年の世界選手権チャンピオンマシン
MuSASHi-RT HARC-PROのブース
ワンメイクレース「Exciting GROM Cup」でも使用されたHRC GROM Cup
Modulo KENWOOD NSX GT3
NSX GT3
Modulo S660 Modulo X #34 Modulo NSX GT3 スペシャルカラー
Modulo S660 #64 Modulo NSX-GT スペシャルカラー
Honda CBR600RR
Honda CBR1000RR
クロスカブ110・くまモン バージョン
レブル 250

フィナーレ

 イベントのフィナーレでは、走行を披露した多数のマシンをホームストレートに並べ、参加選手がグランドスタンドに向けて手を振ってあいさつした。

パレードランも兼ねてマシンがコースを1周。ホームストレートに並べられた
RC213Vのバーンアウトシーン(33秒)
フィナーレ後はホームストレートが開放されて「パルクフェルメウォーク」を実施
パルクフェルメウォークの展示車両