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パナソニック、2019年度第3四半期決算説明会。オートモーティブ事業は減収減益

テスラ向けの車載電池を生産している北米工場は第3四半期トータルでの黒字化を達成

2020年2月3日 実施

2019年度第3四半期(2019年9月~12月)の連結業績

 パナソニックは2月3日、2019年度第3四半期(2019年9月~12月)連結業績を発表。車載機器や車載電池などを担当するオートモーティブの売上高は前年同期比7%減の3662億円、調整後営業利益は89億円減となり、67億円の赤字となった。

 パナソニック 取締役常務執行役員兼CFOの梅田博和氏は、「円筒形車載電池は増収増益になったものの、市況の減速などによる車載機器の減販影響や、角形車載電池の固定費増などによって減収減益になった」と総括。

 テスラ向けの車載電池を生産している北米工場については、2019年10月の上期決算発表時に「下期には単月黒字化に取り組む」と発言していたが、「第3四半期トータルでの黒字化を達成した」とし、テスラとの協業において黒字が進展していることを強調してみせた。

パナソニック株式会社 取締役常務執行役員兼CFO 梅田博和氏

テスラとの協業成果が業績に貢献

 同社によると、「車載機器の売上高は、IVI(In Vehicle Infotainment)などの成長製品は伸びているものの、中国自動車市況の悪化影響や製品サイクルの移行期による販売減をカバーできずに減収となった。調整後営業利益は、主に販売減の影響によって減益となった。欧州で受注した充電器件名の開発費は前年から増加したが、第2四半期決算で修正した見通しの範囲内には収まっている。車載機器全体の開発費は、今年度がピークとの見方は変わらない」とした。

オートモーティブ事業のセグメント情報

 また「車載電池については、国内工場の減販や角形電池の北米での販売不振を、テスラ向け北米工場の円筒形電池の増産投資効果が上まわり、全体では増収となった。調整後営業利益は、円筒形電池は、北米工場の増販益が国内減販影響を上まわり増益となったが、角形電池は姫路工場での高容量セル生産開始に伴う固定費増などにより減益となり、全体でも減益となった」とした。

 角形電池は、姫路工場や大連工場での生産が急激に立ち上がっており、これに費用がかかっているのがマイナス要因だという。同社は「大幅な赤字が出ているが、今後はトヨタとの協業を含めて、高容量の角形車載電池の需要が増えていくことを想定している。2020年度も角形電池の立ち上げコストはかかることになる」とした。

 今回のオートモーティブ事業の業績において注目されるのが、テスラとの協業成果が、いよいよ業績に貢献してきたことだろう。

 パナソニックの梅田取締役常務執行役員兼CFOは、「テスラ事業としては赤字から脱却できている」とし、「北米のギガファクトリーが第3四半期で黒字化したのは、テスラの生産がかなり速いペースで立ち上がっており、これに電池の生産が追いついているためである。現時点で需要に応える形で供給ができている。まだ生産ロスが出ているので改善の余地があるが、生産ボリュームが増加することで、在庫コストが下がるといったメリットも出ている。12月末には年間換算で30GW/hまで生産能力が上がっており、2020年3月末までには32GW/hまで立ち上げたい」としている。

 なお当初計画では、ギガファクトリーは最大35GW/hまでの生産能力を予定していた。

 また、日本国内で生産しているテスラ「モデル S」「モデル X」向けの円筒型電池の生産が減少していたが、「第2四半期から第3四半期に向けて下げ止まっている。一度は赤字になりかけたが赤字ではない」という状況も、第3四半期のテスラ事業の黒字化につながっている。

 テスラでは今後、主力となっている「モデル 3」に加えて、新型SUVである「モデル Y」の販売を開始するが、「生産した円筒型電池をどのようなウエイトで使うのかはテスラが決めることであり、パナソニック側からは生産した電池がどちらに搭載されるのかは分からない。だが、モデル Yにもかなり使われることになるだろう」とした。

テスラ事業が黒字化したことを語る梅田取締役常務執行役員兼CFO

 その一方で、中国におけるテスラの生産の動きは気になるところだ。

 現在テスラでは中国でモデル 3の生産を開始しているが、「これはギガファクトリーで生産したパナソニックのものを、米国工場でモジュール化して使っている。今は100%パナソニック製である」とするものの、中国にテスラが建設する工場では、車載電池生産において中国CATLや韓国LG化学と合意したとの報道がある。

 これに対し「パナソニックは、中国で電池の生産ラインを敷いて、設備投資をすることは考えていない。また、中国CATLや韓国LG化学の実力も今は分からない。生産が始まったらパナソニックの強み、弱みがはっきりしてくるだろう」とし、「米ギガファクトリーでは、モデル 3やモデル Y向けの生産が拡大することになる。そこに集中していく。中国の動きはあまり気にしていない」と、当面は静観する姿勢をみせた。

 中国市場での電池工場の稼働にはパナソニックは関わらないというのが現在の姿勢だが、今後テスラとの協業体制は、次のステップとしてどう拡張していくことになるのだろうか。

トヨタ自動車と車載用角形電池事業の合弁会社を設立

 一方、パナソニックは2月3日付けで、トヨタ自動車と合弁で設立する車載用角形電池事業会社「プライム プラネット エナジー&ソリューションズ株式会社」の概要を発表。今回の決算発表では「トヨタの出資比率が51%、パナソニックの出資比率は49%。新会社については、マジョリティを取っているトヨタから説明がある」とするに留まった。

 だが「トヨタとの合弁会社は工場や人員、技術をパナソニックから提供する。パナソニックは、知財ロイヤリティ収入を得ることになる。これは、調整後営業利益としてプラスに効いてくる。だが、立ち上げ費用がその他損益の中に入ることになる」と、今後のパナソニックの業績への影響を説明した。

 なお、パナソニックが発表した2019年度第3四半期累計(2019年4月~12月)の連結業績は、売上高が前年同期比5.4%減の5兆7556億円、営業利益は17.8%減の2407億円、税引前利益は19.1%減の2381億円、当期純利益は2.6%増の1781億円となった。

 また、第3四半期(2019年10月~12月)の連結業績は、売上高は前年同期比7.9%減の1兆9112億円、調整後営業利益は1.5%減の953億円、営業利益は2.8%増の1004億円、税引前利益は3.2%増の1002億円、当期純利益は22.2%増の772億円となった。

 パナソニックの梅田取締役常務執行役員兼CFOは、「第3四半期は中国などの投資需要の低迷、自動車市況の減速、国内の消費増税、為替などにより減収になったものの、調整後営業利益は限界利益率の改善や、固定費削減などにより前年並となった。営業利益および純利益は、事業ポートフォリオ改革による構造改革費用を事業売却益などでカバーして増益になった」とした。

 なお、第3四半期(2019年10月~12月)のオートモーティブ以外のセグメント別業績は、アプライアンスの製販連結の売上高が前年同期比7%減の7045億円、調整後営業利益は37億円増の294億円。ライフソリューションズは、前年同期比1%減の5120億円、調整後営業利益は前年同期比55億円増の334億円。コネクティッドソリューションズの売上高は前年同期比6%減の2517億円、調整後営業利益は28億円減の177億円。インダストリアルソリューションズは、売上高が前年同期比10%減の3262億円、調整後営業利益は114億円減の100億円となった。

第3四半期(2019年10月~12月)のセグメント別実績
第3四半期(2019年10月~12月)のセグメント別増減要因

 また、2019年度(2019年4月~2020年3月)の連結業績見通しは、2019年10月公表値を据え置き、売上高は前年比3.8%減の7兆7000億円、営業利益は27.1%減の3000億円、税引前利益は30.4%減の2900億円、当期純利益は29.8%減の2000億円としている。

セグメント別見通しの修正