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パナソニック、2019年度第2四半期決算説明会。営業利益、純利益ともに減益
「テスラの決算が黒字化したことはパナソニックにとっても追い風」
2019年11月1日 00:00
- 2019年10月31日 開催
パナソニックは10月31日、2019年度第2四半期(2019年7月~9月)の連結業績を発表。その中でパナソニックの取締役常務執行役員兼CFO 梅田博和氏は、「テスラ向けの電池事業は現時点では赤字であり、2019年度通期での赤字脱却は難しい。だが、テスラのギガファクトリーにおける増販効果が出ており、2019年度中には単月での黒字化を見込みたい」とし、黒字化に向けて改善が進んでいることを強調した。
また、「テスラにおける35GW(ギガワット)の設備については導入を完了しているが、現時点ではやっと30GWまで稼働している。だが、生産性向上への取り組みや品質ロスの改善などの取り組みが遅れている。これは下期に向けてしっかりとやっていくことになる。ただし、これは世界中で誰もが経験したことがないスピードで立ち上げているものである。現時点では、テスラへの電池供給という点での支障は出ていない。当社としては今後、生産能力を上げることに集中していくことになる」などと述べた。
さらに、「高級車種である『モデル X』および『モデル S』向けの電池は、日本の住之江工場で生産している。これは生産台数が横ばいか減少しており、減益要因になっているが、米ギガファクトリーにおける『モデル 3』向けの増産効果が大きく、増収増益になっている。テスラの決算が黒字化(2019年第3四半期決算)しており、これはパナソニックのビジネスにとっても追い風になる」とも述べた。
営業利益および純利益はそれぞれ減益
一方、2019年度第2四半期(2019年7月~9月)の連結業績は、売上高が前年同期比2.3%減の1兆9533億円、調整後営業利益は2.1%増の941億円、営業利益は11.9%減の839億円、税引前利益は14.1%減の817億円、当期純利益は9.1%減の511億円となった。
梅田CFOは、「売上高は為替影響を除く実質ベースではわずかに増収となった。また、調整後営業利益は車載機器の欧州での開発費増加や、中国での投資需要低迷の影響が続くというマイナス影響はあったが、国内の住宅関連や家電の増販益などにより増益となった。だが、営業利益および純利益はそれぞれ減益となった」とした。
セグメント別では、オートモーティブの売上高は前年並の3698億円、営業利益は126億円の赤字となった。上期累計では売上高が3%増の7472億円、営業利益は前年同期の86億円の赤字からさらに悪化し、227億円の赤字となった。
このことについて、「第2四半期のオートモーティブの売上高は、為替影響を除く実質ベースで前年同期比3%増となった。車載電池は増収増益となったが、車載機器は欧州課題事業の開発費が増加したことが影響し、調整後営業利益、営業利益ともに減益した」と総括。また、車載機器の売上高については「IVIなどの成長製品は伸びているものの、中国自動車市況の悪化影響や、製品サイクルの移行期による販売減をカバーできずに減収となっている。調整後営業利益は、減販影響に加えて開発費が大幅に増加し、利益が悪化したことがマイナスに影響している。これは、欧州で受注した開発難易度が高い充電器件名において、開発費が増加したことで収益性が悪化し、資産化開発費を減損したことによるもの」とした。加えて「車載電池の売上高は、角形、円筒形ともに増産投資効果により増収となった。調整後営業利益は、円筒形国内工場での減販影響があるものの、角形工場や円筒形北米工場での増産益で挽回して、赤字額が改善した」と述べた。
そのほか、セグメント別ではアプライアンスの売上高は前年並の6867億円、営業利益は2%減の229億円。ライフソリューションズの売上高は5%増の5311億円、営業利益は24%増の284億円。コネクティッドソリューションズの売上高は4%減の2634億円、営業利益はブレイクイーブン。インダストリアルソリューションズは、売上高は8%減の3308億円、営業利益は46%減の112億円となった。
また、フリーキャッシュフローは上期実績が186億円となったことを示し、「在庫削減をはじめとした運転資金の改善などによる営業キャッシュフローの良化のほか、投資の見極めによって前年上期から改善している。年間では、角形車載電池事業への投資は続き、とくに2020年4月以降はトヨタとの車載用角形電池事業で設備を立ち上げていくことになる。だが、その一方で、テスラに対する電池事業における大型投資は終了している。今後はフリーキャッシュフローは改善していくことになる」とした。
一方、同社では2019年度(2019年4月~2020年3月)の連結業績見通しを下方修正した。売上高は、5月9日公表値に比べて2000億円減の前年比3.8%減の7兆7000億円。だが、営業利益、調整後営業利益、税引前利益、当期純利益は据え置いた。
これについては「売上高の下方修正は、主に為替前提を見直しが要因となっている。オートモーティブは車載機器の開発費増加、車載電池の北米電池工場の生産性向上の遅れ、国内工場の減販影響などにより、売上高、利益ともに下方修正した」と説明。オートモーティブの通期連結業績見通しは、売上高は670億円減の1兆5100億円、調整後営業利益は290億円減の395億円の赤字、営業利益は290億円減の440億円の赤字とし、年初見通しよりも赤字幅が拡大する見通しに修正した。