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ホンダ、31年ぶりの優勝を報告する「ダカールラリー 2020」取材会

HRCの本田太一氏が参戦再開からの8年間について報告

2020年2月4日 開催

Monster Energy Honda Teamのチーム代表でHRC(株式会社ホンダ・レーシング)マネージャーの本田太一氏

 本田技研工業は2月4日、31年ぶりに2輪車部門の総合優勝を果たした「ダカールラリー 2020」の活動を報告する取材会を開催。チームやライダーたちの陣頭指揮に当たったMonster Energy Honda Team チーム代表でHRC(ホンダ・レーシング)マネージャーの本田太一氏が出席して、ダカールラリーへの取り組みについて語った。

 42回目となるダカールラリーは、中東のサウジアラビアで1月5日~17日(現地時間)の13日間の日程で開催された。ルートは紅海沿いのジッダから始まり、レストデーに滞在するリヤドを経て、ゴール地点のキッディヤに至る。ルートは75%が砂漠地帯で、全12のスペシャルステージの総距離は5100km。400kmを超えるスペシャルステージが7つあり、最も長いスペシャルステージは546km。リエゾン区間の2750kmを含めて、移動総距離は約7800kmを超える。(2輪車部門のステージ8は、ステージ7でのパウロ・ゴンサルヴェス選手が逝去したことを悼みキャンセルとなった)。

 このダカールラリー 2020に、ホンダはMonster Energy Honda Teamとして参加し、ワークスマシン「CRF450 RALLY」に乗るリッキー・ブラベック選手が2輪車部門の総合優勝を獲得した。

ルートは75%が砂漠地帯。写真はワークスマシン「CRF450 RALLY」に乗るリッキー・ブラベック選手

 本田氏は「レース自体は全走行距離が2019年より2000kmも伸びて、ライダーも非常に大変でしたし、アシスタンスするわれわれの方も移動距離8000kmぐらい移動して、とてもタフな2週間でした」と全体の感想を話した。

2013年の参戦再開から8年目で悲願の優勝

2輪車部門で総合優勝したリッキー・ブラベック選手

「世界一過酷なモータースポーツ競技」と言われるダカールラリーは、1979年より開催されて2020年で42回目の開催。ホンダは1981年から活動を開始して1982年に初優勝。1986年~1989年の4連覇後、1990年~2012年の期間は参戦を休止。その後、2013年大会からファクトリーマシンのCRF450 RALLYで参戦を再開。そして今回、復帰後の初優勝を果たした。

 本田氏は2013年の参戦再開時からダカールラリーに取り組んできており、この8年間の成績を振り返ると、2013年(ペルー~アルゼンチン~チリ)の総合7位、2014年(アルゼンチン~ボリビア~チリ)の総合5位、2015年(アルゼンチン~チリ~ボリビア)の総合2位、2016年(アルゼンチン~ボリビア~)の総合4位、2017年(パラグアイ~ボリビア~アルゼンチン)の総合5位、2018年(ペルー~ボリビア~アルゼンチン)の総合2位、2019年(ペルー)の総合7位となっている。

 8年間の取り組みについて、本田氏は「われわれは毎年、(その年の)問題を解決して次のレースに臨むというスタンスを崩していないんですけども、毎年何かしらのトラブルを出してしまうというのが実情でした」と振り返った。2019年にペルーで開催された前回大会については「今回優勝したリッキー・ブラベック選手が、ステージ9というほとんど終盤までトップを走る中で、エンジンが壊れてしまってリタイアさせてしまった」と、それが非常に心の中に残った大会であったことを明かした。

 2020年は、Monster Energy Honda Teamとして5名のライダーを起用。ホアン・バレダ選手、ケビン・ベナバイズ選手、リッキー・ブラベック選手、ホセ・イグナシオ・コルネホ選手、アーロン・メア選手といった体制で参戦した。

リッキー・ブラベック選手

 31年ぶりという優勝をホンダにもたらしたブラベック選手について、本田氏は「今回優勝してくれたリッキー・ブラベック選手ですが、やっぱり彼が、去年からさらにライダーとしての能力が上がっていて、クルマをしっかりとコントロールして走るだとか、その日の調子をちゃんと合わせて走るとか、ライバルの様子を見るとか、非常に計算高い走りをしてくれたということが、今回はわれわれの優勝で非常に助けられたかなと感じています。合わせて、若手のライダーとしてコルネホ選手も年々順位が上がってきて、今回トップ3争いをしてくれたということで、うれしい結果ですね」と話した。

 一方で、本田氏はレース全体の振り返りについては課題を残していることを明かした。“砂の2週間”と呼ばれた2019年大会において発生したエンジンをはじめとする各種問題の解決を図って挑んだ2020年ではあったが、大会前半にチーム内のマシンにエンジン交換が必要な事態が発生してしまう。本田氏にとっては、同様の症状が他のマシンに出ないかといった不安を抱えながらのレースであったという。

ダカールラリー 2020の振り返りと2021年の参戦に向けた意気込みを話した本田氏

 本田氏は「リザルトでは15分差であまり表立って出てないですがバレダ選手はペナルティをもらっているんですね。それはエンジンが実は壊れそうということで、エンジン交換をしたことで受けるペナルティをもらっています。今年は今年で、そういった問題が出てしまったということで、それらを真摯に受け止めて、また来年のダカールに向けてしっかりと準備をしていきたい」と話し、2021年の参戦に向けた意気込みを示した。

ヘルメットを手にして喜ぶ選手たち。壇上左からケビン・ベナバイズ選手、リッキー・ブラベック選手、ホアン・バレダ選手、ホセ・イグナシオ・コルネホ選手