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TRI-AD、自動運転用地図で実証実験。衛星画像やドラレコから高精度地図生成に成功
TRI-AD、Maxar、NTTデータ、CARMERA、TomTom、HEREが参加
2020年3月10日 15:53
- 2020年3月10日 発表
トヨタ自動車は3月10日、自動運転ソフトウェアの先行開発を行なうTRI-AD(トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント)とパートナー企業との実証実験で、衛星画像や一般車両のドライブレコーダーなどのデータを元に、自動運転用の地図情報の生成が可能であることを確認したと発表した。
従来、自動運転に必要な高精度地図の生成は、専用の計測車両を使用するなどコストがかかるため、広範囲での網羅が難しく自動車専用道路に限られていた。
今回、TRI-ADは、高精度地図生成に対する効果的な手法を追及するためMaxar(マクサー・テクノロジーズ)、NTTデータ、CARMERA(CARMERA Inc.)、TomTom(TomTom International BV.)、HERE(HERE Technologies)とともに実証実験を実施。
実証実験では、衛星画像や一般車両のドライブレコーダーのデータなどを元にして自動運転用の地図情報を生成することや、TRI-ADによる車両データのデータ形式を変換して、他社のプラットフォームで活用することなどを検証。いずれも高精度地図生成に有効であるという結果を得たとしている。
同社では、これらの実験成果を活用することで、自動運転用地図の更新期間の短縮、エリアの拡大、作成や維持コストの大幅な削減が期待できるとしている。
衛星画像から高精度地図を自動生成するMaxar、NTTデータ、TRI-ADの実証実験
Maxar、NTTデータ、TRI-ADの3社は、2019年4月25日より合同で高解像の衛星画像を用いた自動運転用高精度地図の自動生成に向けた実証実験を行なった。
その中で、衛星画像に写る自動車や影、建物の倒れこみによる遮閉などの地図以外の要素を自動で解析、除去、補正することで、必要な地図情報を自動抽出することに成功。東京23区と海外6都市で、自動運転制御に活用できる相対精度となる25cm程度の地図生成を実現し、自動運転用地図として有用であることを確認した。
ドライブレコーダーから地図を自動生成するCARMERAとTRI-ADの実証実験
CARMERAとTRI-ADは、東京23区と米国2都市で、一般車両にも搭載可能なドライブレコーダーを使用した自動地図生成技術の検証を行なった。この中で、ドライブレコーダーのデータのみで自動運転に必要な相対精度となる40cm程度の地図生成に成功した。
また、両社はCARMERAの「Real-Time Events and Change Management engine」と同じマシンラーニング技術などを使用することで、自動運転に必要な最新情報を判別し、HDマッピング・システムに送信、更新することが数分でできるようになることを確認。AI認識に必要な画像データを収集し、幅広いエリアの地図生成の可能性について実証できたとしている。
TomTomのプラットフォームで一般道高精度地図の生成に成功
実証実験では、TRI-ADの自動地図生成プラットフォーム「AMP(Automated Mapping Platform)」上の車両データのデータ形式を変換して、アルゴリズムを補正することにより他社のプラットフォームで活用する検証も行なった。
TRI-ADとTomTomとの実証実験では、TRI-ADが集めたAMPの車両データの信頼性を検証した。
TRI-ADが集めたAMPの車両データをTomTomのクラウドベースの地図生成プラットフォーム用にデータ形式を変換して、TomTom独自のアルゴリズムを活用して入力することで、自動運転に必要な車線情報を含む一般道高精度地図の生成と更新に成功した。
HEREのプラットフォームで一般道高精度地図の生成に成功
TRI-ADとHEREとの実証実験では、TRI-ADの車両データの位置誤差をHEREの高度セルフヒーリング技術で補正することにより、自動運転に必要な車線情報を含む一般道高精度地図の生成に成功。
HEREの「HD Live Map」はすでに世界有数の自動車メーカーのレベル3自動運転開発プログラムにおいて採用されており、TRI-ADの車両データを「HERE Platform」に入力することで、HERE独自のアルゴリズムで高精度の一般道地図を自動生成することができたとしている。
TRI-ADのAutomated Driving Strategy and MappingのVice President マンダリ・カレシー氏は「Maxar、NTTデータとCARMERAとのこれまでの実証実験の成果および、新たな実証実験パートナーであるTomTom、HEREとの成果を発表できることを、大変うれしく思います。人々にとって自動運転がより安全で身近な技術となる未来にまた一歩近づきました。さらに精度を向上させるため、今後もパートナー企業との連携を進めてまいります」とコメントしている。