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マセラティ、“偉大なレーシングドライバー”スターリング・モス卿を追悼

2020年4月12日(現地時間)発表

 マセラッティは4月12日(現地時間)、スターリング・モス卿への追悼を発表した。享年90歳。

 モス卿はイギリスのロンドン生まれ。父親のアルフレッドE・モス卿は、1924年にインディアナポリス500レースを16位でゴール。妹のパット氏もラリーに参戦するというレース一家。モス卿は、F1グランプリでは1951年~1961年にかけて66レースに参戦し、うち16のレースで勝利を収めた。しかし1955年~1958年と、4年連続で2位に甘んじたことで「無冠の帝王」と呼ばれる由縁を作った。

 また、サーキットだけではなく公道レースにおいても伝説を残しており、1955年のミッレミリアでは10時間7分48秒で制覇するとともに、セブリング12時間、ツーリスト・トロフィー、タルガフローリオなど数々のレースを制している。

 モス卿とマセラティとの結びつきは非常に強く、その証にマセラティの100周年を祝うイベントで、ミュゼオ・エンツォ・フェラーリに展示されたマセラティの名車の数々を目にしたモス卿は、「“250F”は高速マシンとしてすべての動作においてドライバーを満足させたモデルだった。“300S”は素晴らしいバランスと並はずれた運転のしやすさを備えた1台。そしてこの2つの特長を併せ持ったのが“Tipo 61 バードケージ”だ」などなど、1つひとつのモデルをこと細かに説明できたという。

 モス卿は明るくダイナミックな性格の持ち主としても有名で、1950年代~1960年代にかけては、イギリスの警官がスピード違反のクルマを止めた際に「お前はスターリング・モス卿にでもなったつもりか?」と問い正すのが常套句になったり、映画「007 カジノロワイヤル」にもゲスト出演をするなど、国民的な人気を得ていた。

 リリースでは「マセラティはスターリング・モスがブランドに与えてくれたものに感謝をし、今後も彼を忘れることはありません」と結んでいる。