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ソニーセミコンダクタソリューションズの梅林拓氏に「紫綬褒章」。積層型多機能CMOSイメージセンサー構造の開発で

スマートフォンなどに採用され半導体産業の活性化に貢献

2020年4月28日 發表

積層型CMOSイメージセンサーの構造

 ソニーは4月28日、積層型多機能CMOSイメージセンサー構造の開発に関する業績が評価され、ソニーセミコンダクタソリューションズの社員である梅林拓氏に対して令和2年 春の褒章における紫綬褒章が授与されることになったと発表した。

 紫綬褒章は、科学技術分野における発明や発見、学術、スポーツ、芸術文化分野で優れた業績を挙げた人に対して授与されるもの。

 今回の受章では、積層型多機能CMOSイメージセンサーを搭載したスマートフォンなど多くの製品によって国民の利便性を向上させ、日本の半導体産業を活性化させた業績が高く評価された。

従来の裏面照射型CMOSイメージセンサー

 積層型多機能CMOSイメージセンサー構造の開発においては、従来の裏面照射型CMOSイメージセンサーの支持基板の代わりに信号処理回路が形成されたチップを用いて、その上に裏面照射型画素が形成された画素部分を重ね合わせる積層構造のCMOSイメージセンサーの量産化に成功した。

 この積層構造により、小さなチップサイズで大規模な回路の搭載が可能となることに加え、独立形成が可能となった画素部分と回路部分は、それぞれに特化した製造プロセスを採用できるため、小型化・高画質化・高機能化を同時に実現できるとしている。

 さらに、回路が形成されたチップに先端プロセスを採用することで、信号処理の高速化・低消費電力化を図ることができ、昨今ではさらなる性能の向上により、イメージセンサーをはじめとするさまざまなセンシングデバイス(半導体素子)の高機能や多機能化を促進する基本技術として応用されている。

 なお、この開発については2016年度の全国発明表彰(主催:公益社団法人発明協会)において「内閣総理大臣賞」を受賞し、その後も発明協会の推薦により、2018年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(開発部門)が授与され、発明協会から今回の紫綬褒章に推薦されている。