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ソニー、有効540万画素の新型イメージセンサー「IMX490」を一般初公開。120dBのHDRとLEDフリッカー抑制を両立
2019年7月22日 12:02
- 2019年7月17日～19日 開催
ポートメッセ名古屋（名古屋市国際展示場）で7月17日～19日、自動車技術会が主催する自動車技術展「人とくるまのテクノロジー展 2019 名古屋」（以下、人くる名古屋）が開催された。人くる名古屋では、「新たな自動車技術が支える地域創生」という企画コーナーを設け、数々の新しい車載製品・技術が展示されていた。
ソニーは、この企画コーナーで新型イメージセンサー「IMX490」を一般初公開。ソニーは2014年10月に当時世界最高感度の車載カメラ向け1/3型有効127万画素CMOSイメージセンサー「IMX224MQV」を製品発表。車載用イメージセンサーに参入したが、この高性能なイメージセンサーは自動ブレーキなど数々のADAS（Advanced Driver Assistance Systems、先進運転支援システム）に搭載されてADASの性能向上に寄与。ソニーは車載カメラ向けイメージセンサーのラインアップを拡大してきた。
そのソニー製イメージセンサーの最新製品が2018年12月に発表された1/1.55型有効540万画素（2880×1860画素）CMOSイメージセンサー「IMX490」になる。このIMX490では、HDR機能により120dBの広いダイナミックレンジを実現。太陽光下に相当する10万ルクスにおける高照度被写体を撮影しても白飛びを抑制。信号や標識などのLEDフリッカーも抑制している。
企画コーナーでは、トンネル内からのADAS撮影を模型で再現。トンネル出口の高照度の風景と、トンネル内のLED標識、そしてトンネル側壁に隠れる人物を動画で撮影していた。驚くべきはその性能で、比較用のイメージセンサーと異なり、トンネル内の風景からトンネル外の風景まで幅広い明るさに対応。理屈上は有利なはずの1型センサーを搭載するコンパクトカメラで撮影した静止画よりも、きれいに描き出している。また、これは肉眼で見る以上の性能で、記者自身肉眼で模型を確認してみたが、トンネル外の明るさに引っ張られトンネル側壁に隠れる人物を認識することができない。いると分かっていても見えないという状況で、自分の目の限界を思い知らされた。
この120dBという幅広いダイナミックレンジは、従来の最高性能である110dBから10dB引き上げたという。そのために、従来は3倍速で撮影していたが、IMX490では4倍速で撮影。さらに“ある工夫”をすることで、LED信号機・標識に対するフリッカーフリーも実現した。
IMX490の映像を見て分かるように、LEDフリッカーもなく、トンネル外の風景も描ききっている。比較用のイメージセンサーでは、LEDフリッカーが出てしまっているのが分かるだろう。ちなみにこの比較用のイメージセンサーも優秀で、トンネル外の風景を描いているし、トンネル側壁に隠れているナゾの人物も認識できている。IMX490は明らかな性能向上を果たしていることを分かりやすくデモしていた。
これらはカスタマーの要望に応えて引き上げた性能だと言い、3.0μmのユニットセルサイズを維持しつつ実現。そのため画素数の拡大に伴いセンサーサイズが拡大しており、結果として従来より大きめのレンズが必要になるとのこと。とはいえ、対角10.36mmの1/1.55型であり、別途対角9.69mmの1/1.7型742万画素のイメージセンサー「IMX324/IMX424」をラインアップしていることを考えると、カスタマーニーズに応えて着実にバリエーションを増やしているということだろう。
ソニーの車載イメージセンサーをすでに量産車に搭載したトヨタ/デンソーのTSS 2.0（Toyota Safety Sense 2.0）はその夜間性能などが高く評価されており、新型イメージセンサー「IMX490」がいずれ量産車に搭載されるようになればそれ以上の性能を持つことになる。高性能な車載イメージセンサーの登場によって、クルマの安全性能が引き上げられることに期待したい。
