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マツダ、2020年3月期決算説明会。「コロナの後は世界が変わる」研究開発や設備に投資必要

コロナ回復の兆し、ニーズを見逃さず売り上げ成長を取り返していきたい

2020年5月14日 開催

2020年3月期決算説明会を開催

 マツダは5月14日、2020年3月期(2019年4月1日~2020年3月31日)の連結決算を発表した。同日、決算説明会が実施された。新型コロナウイルスの影響にともない、説明会は電話会議で行なわれ、会議には同社 取締役専務執行役員 古賀亮氏、常務執行役員 藤本哲也氏、執行役員 梅下隆一氏が出席した。

 発表によると2020年3月期の連結業績は、売上高3兆4303億円(前期比3.8%減)、営業利益は436億円(同47%減)、経常利益は531億円(同54.3%減)、当期純利益は121億円(同80.8%減)となった。

決算実績総括

 グローバル販売台数は対前年9%減の141万9000台。地域ごとに見ると、日本では対前年6%減の20万2000台、販売シェアでは総台数で0.1ポイント減の4.0%となったが、登録車シェアでは前年同水準の5.2%となった。北米においても対前年6%減の39万7000台となったが、特に米国においてCX-5とCX-9の販売台数が対前年で増加するなど好調でシェアは前年同水準の1.7%となった。

 欧州では対前年2%減の26万4000台でシェアは前年同水準の1.4%。中国においては2月以降新型コロナウイルスの感染拡大による影響が大きく販売台数は対前年14%減の21万2000台、シェアは前年同水準の0.9%となった。外出規制による来店客減少を受け、Webなどを活用したオンラインでの商品紹介や販売などを進めたが、現在は店舗も再開しているという。そのほかの地域では対前年16%減の34万5000台となっている。

グローバル販売台数
日本ではMAZDA3とCX-30が好調
北米では特に米国でCX-5/CX-9のSUVに人気が集まる
欧州では対前年2%減でシェアは維持
中国では新型コロナウイルスの影響で2月以降販売台数が大幅に減少
その他の地域。オーストラリアでは森林火災の影響、ベトナムでは自動車ローンの厳格化などが影響

 また、2021年3月期の見通し、配当予想については、新型コロナウイルスの影響により先行きが不透明であり、引き続き業績への慎重な見極めが必要との観点から未定とした。今後、業績予想の開示が可能となった時点で速やかに公表するとした。

2021年3月期の業績予想は未定

新型コロナウイルスの影響について

 新型コロナウイルスによる影響については、1月下旬より中国で影響が出始め、3月初旬以降、世界的な感染拡大により、グローバルに影響が拡大。3月16日週より出荷を停止し減産の調整を行なった。梅下氏によれば、現在はマツダ本社で各国の規制動向や営業活動の影響、販売店の稼働状況、販売実績といった情報を集約し、出荷をコントロールしているという。

新型コロナウイルス感染拡大による影響と対応
新型コロナウイルスの影響に伴う販売領域の取り組み
週次状況の米国の例。米国では店舗稼働率が回復し始めている
在庫水準と生産調整について

 藤本氏によれば、販売台数ではグローバルで6万台の影響があったと言い、連結ベースでは1万台程度、営業利益への影響は操業の停止、部品の輸送の影響などもふくめて100億円程度に上るとした。

営業利益の悪化は為替や新型コロナウイルスといった外的要因が大きい

 営業利益については、対前年387億円の減となったが、この点について古賀氏は「総合力として数字的には厳しく受け止めている」としながらも、その内容について、「為替による悪化が約700億、新型コロナウイルスによる影響が約100億、材料市況の悪化が約100億と、コントロールできない外的影響による部分が約900億あった」と言い、一方で設備投資や研究開発費などを含めても営業努力や原価低減などによって約500億の改善ができており、インセンティブに頼らない現在の売り方をポジティブに評価しているとした。ただし売り上げの成長ができなかった点は課題だと言い、「コロナ回復の兆し、ニーズを見逃さず売り上げ成長を今期に取り返していきたい」と述べた。

営業利益変動要因。為替による影響が683億、米国新工場関連費用や新型コロナウイルスによる影響などが合わせて144億となる

 今後については、まだ見通せる段階にはないとしながらも、まずは今やるべきこととして、従業員の安全や健康、雇用、生活を守り、取引先、販売会社の雇用生活を守ること。そして販売領域では在庫からの販売を優先しつつ、インセンティブに巻き込まれることなく需要の回復の兆しを見逃さず準備をし、また、大幅に悪化したキャッシュフローを回復させるとした。

 また、中期経営計画の戦略については変更しないとしながらも、やり方や規模、タイミングは調整したいとした。

 古賀氏は「コロナの後は世界が変わる」と予想する。行動の様式も変わり、クルマに求められる価値、クルマの使われ方も変わる。そうした変わっていく価値をいち早く捉え、例えば販売の仕方においても新しい販売の仕方を取り入れていくと言い、そのためには研究開発、設備投資はむしろ強化していく必要があるとして「効率化して変化の先取りに充当していきたい」と述べた。

環境が変化する中においても中期経営計画に変更はなく、グループ全体でブランド価値向上と稼ぐ力の強化に取り組むという