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メルセデス・ベンツ、次世代車でNVIDIAのAI車載SoC「Orin」を搭載。アップグレード可能な自動運転車実現で協業

2020年6月23日(現地時間) 発表

NVIDIAの車載SoC「Orin」を搭載する次世代メルセデス・ベンツ車

 ダイムラーAG取締役会会長 兼 メルセデス・ベンツ・カーズ統括 オラ・ケレニウス(Ola Kallenius)氏とNVIDIA 創業者/CEO ジェンスン・フアン(Jensen Huang)氏は6月23日(現地時間)、共同で発表会見を実施。車載コンピューティングシステムとAIコンピューティングインフラストラクチャ構築のために協業することを発表した。この協業では、2024年から出荷としており、メルセデス・ベンツの次世代車がNVIDIAの最新車載SoC「Orin(オーリン)」を搭載するとともに、自動運転機能のソフトウェアアップデートなどが行なえるようになる。

 NVIDIAのOrinは、同社の次世代アーキテクチャであるAmpereアーキテクチャを採用。このAmpereアーキテクチャは現在のVoltaアーキテクチャよりもAI性能に優れており、AIスーパーコンピュータである「DGX A100」(A100 GPUを8基搭載)と同一のアーキテクチャになる。

ダイムラーAG取締役会会長 兼 メルセデス・ベンツ・カーズ統括 オラ・ケレニウス(Ola Kallenius)氏(左上)、NVIDIA 創業者/CEO ジェンスン・フアン(Jensen Huang)氏(左下)
協業の発表は、ドイツとアメリカをオンラインで結んで行なわれた

 Orinでは、レベル5完全自動運転向けのOrin(2000TOPS、800W)から、レベル2+以上の自動運転向けOrin(200TOPS、45W)、ADAS向けのOrin(10TOPS、5W)をラインアップとして発表。メルセデス・ベンツはこの中から、一般的な自動車向けとしてはハイエンドとなる200TOPS版のOrinを採用。NVIDIAの自動運転車開発環境であるNVIDIA DRIVE プラットフォームをベースとして、自動運転用のソフトウェア デファインド コンピューティング アーキテクチャを構築していくという。

両者でソフトウェア デファインド コンピューティング アーキテクチャを構築していく
Orin
メルセデス・ベンツのコンセプトカー「VISION EQS」の走行映像
「VISION EQS」のリア映像に切り替わり
NVIDIAのドライブシミュレータ内を走るバーチャルモデルの「VISION EQS」も紹介された。とてもシミュレータ映像には見えないが

 自動運転機能がソフトウェアで構築されているため、車両の所有期間を通じて、OTA(Over the Air)によるソフトウェアアップデートによって機能、アプリケーションおよびサブスクリプションサービスを購入し、追加するなども構想に含まれている。

 現状、公表されている自動運転機能は、ある地点からある地点(addres-to-adress)までの自動運転、自動バレーパーキングなど。自動運転機能をどれほど仮想化し、どれほど定義していくのかは不明だが、自動運転機能を機能ごとに購入可能で、アップグレード可能なクルマが登場することになる。