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パナソニック、2020年度第1四半期の連結業績。当期純利益は98億円の赤字に転落

オートモーティブの売上高は自動車生産台数の減少によって大きく減収

2020年7月30日 開催

パナソニック株式会社 取締役常務執行役員兼CFOの梅田博和氏

 パナソニックは7月30日、2020年度第1四半期(2020年4月~6月)の連結業績を発表。オートモーティブの売上高は前年同期比44%減の2108億円、営業利益は前年同期の100億円の赤字から5億円改善し、95億円の赤字となった。

 パナソニック 取締役常務執行役員兼CFOの梅田博和氏は、「オートモーティブの売上高は、車載機器での商品ポートフォリオの入れ替えを着実に進めたものの、自動車生産台数の減少によって大きく減収となった。また、利益は赤字ではあったが、車載電池は北米工場の生産性向上などにより前年並みを確保した」という。

 また、オートモーティブ事業に対する新型コロナウイルスの影響が大きいことを指摘し、「パナソニック全体へのコロナの影響は、第1四半期の売上高で3500億円のマイナス影響、営業利益では800億円のマイナス影響がある。オートモーティブ、コネクティッドソリューションズ、アプライアンスの割合が大きくなっている」とした。

 また、テスラ向け事業については、「第1四半期は増益にはなっているが、若干赤字が残っている」とした。パナソニックでは、テスラのモデル3などを生産しているフリーモント工場に車載用円筒形電池を収めているが、「フリーモント工場は米カリフォルニア州にあり、4月~5月にはロックダウンが行なわれていた。この影響があって減収になっている。だが、合理化を進めており、32GW/hの生産体制に向けた道筋もついている」としたほか、「テスラのイーロン・マスクCEOが、車載電池生産のギガファクトリーをもう1つ米国内に作りたい、そこにパナソニックに参画してほしいと発言しているとの報道がある。実際、ますます強いデマンドを受け続けている。現在、ギガファクトリーで使用する電池材料を変えるという技術革新を進めており、これによってさらなる効率性を図っている」とする一方、「現在、増産に対する投資の協議をしている事実はある。だが、現時点で決定したものはない」と述べた。

 パナソニック全体での第1四半期の連結業績は、売上高は前年同期比26.4%減の1兆3919億円、営業利益は93.3%減の37億円、税引前利益は94.5%減の30億円、当期純利益は前年同期の497億円の黒字から、98億円の赤字に転落した。第1四半期の最終赤字は9年ぶりとなる。

 パナソニックの梅田CFOは、「売上高は、事業ポートフォリオ改革による非連結化影響に加えて、新型コロナウイルス感染症の影響によって減収となった。また利益では、経営体質強化の取り組みは進捗したが、減販が影響して大きく減益となった。10年ぶりの最終赤字は深刻に受け止めている」と総括した。

 オートモーティブ以外のセグメント別業績は、アプライアンスの売上高が前年同期比19%減の5547億円、営業利益は49%減の152億円。ライフソリューションズは、前年同期比30%減の3251億円、営業利益は前年同期比56%減の56億円。コネクティッドソリューションズの売上高は前年同期比27%減の1853億円、営業利益は前年同期の137億円の黒字から、160億円の赤字に転落。インダストリアルソリューションズは、売上高が前年同期比12%減の2886億円、営業利益は75%増の92億円となった。

 一方、同社では2020年度(2020年4月~2021年3月)の連結業績見通しも発表した。これまでは、新型コロナウイルスの影響の不確実性が高いとして公表していなかった。これによると、オートモーティブでは売上高は前年比16%減の1兆2500億円とし、営業利益は5億円改善するものの、300億円の赤字を見込んでいる。同社では、5月中旬から自動車メーカーの生産が順次再開していること、中国を先頭にして各地で回復基調は進むが、下期も影響が残ると見込んでいることを示した。

 梅田CFOは、「オートモーティブは、第1四半期においては全世界の自動車メーカーが生産を止めていたが、それ以降は日本の自動車メーカーも稼働率を上げている。北米や欧州では影響が残っているが、日本や中国では挽回できると見ている」としたほか、「車載機器事業は固定費削減を進めるが減益と見ている。だが、車載電池事業は北米工場の生産性向上などにより増益を見込む」と述べた。

 パナソニック全体での2020年度の通期見通しは、売上高は前年比13.2%減の6兆5000億円、営業利益は48.9%減の1500億円、税引前利益は48.5%減の1500億円、当期純利益は55.7%減の1000億円とした。新型コロナウイルスの通期売上高へのマイナス影響は、6500億円を想定。営業利益では1500億円のマイナス影響を想定している。

 梅田CFOは、「第2四半期以降はコロナ影響が緩やかに改善すると見込んでいる。第2四半期の調整後営業利益は、第1四半期と比べてコロナ影響額が半減。下期は上期と比べてマイナスが大きく減少し、前年下期と同水準になると見込んでいる。だが、自動車業界、航空、住宅関連向け事業では、下期もコロナの影響が残ると見ている」と述べた。

 セグメント別では、アプライアンスの売上高が前年比9%減の2兆3700億円、営業利益は19%億円増の730億円。ライフソリューションズは、前年比23%減の1兆4800億円、営業利益は234億円減の750億円。コネクティッドソリューションズの売上高は前年同期比13%減の9000億円、営業利益は610億円減の150億円。インダストリアルソリューションズは、売上高が前年比6%減の1兆2000億円、営業利益は174億円増の550億円とした。「インダストリアルソリューションズの売上高は、情報通信インフラ向けの需要が好調だが、車載向けの減販により減収になる」としている。

 梅田CFOは、「中期戦略として掲げた経営体質強化、車載事業の収益改善、事業ポートフォリオ改革を着実に推進する。2020年度はコロナ影響があるが、低収益体質からの脱却に向けた取り組みを強化する」などと語った。