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三菱ふそう、新型「キャンター」初公開 10年ぶりにキャブデザインを一新
巻き込み事故防止「アクティブ・サイドガード・アシスト」標準装備
2020年10月19日 11:00
- 2020年10月19日 発表
三菱ふそうトラック・バスは10月19日、小型トラックの新型「キャンター」を発売した。キャブデザインを10年ぶりに一新、三菱ふそうが進めている新しいデザインアイデンティティの“ブラックベルト”を採用したフロントマスクとなっただけでなく、車両左側をレーダーで監視し警告を出す「アクティブ・サイドガード・アシスト」を搭載した。
新型の変更点は主にキャブのエクステリアデザインの変更、アクティブ・サイドガード・アシストの標準搭載、テレマティクス機能の「トラックコネクト」の採用など。エンジンをはじめとするパワートレーンや、インテリアデザインなどに大きな変更はないが、安全装備や、車両管理の点では大きく進化している。
アクティブ・サイドガード・アシストなど4つの特徴
10月19日の発表に先立った説明会が行なわれ、同説明会において小型トラック・バス商品計画部の武村真理氏は、新型には4つの特徴があるとした。
その4つとは、小型トラックとして初の「アクティブ・サイドガード・アシスト」をはじめとした安全装備の充実、「モダン&ソリッド」を基本とした新しいキャブデザイン、運転効率の向上や予防安全に寄与するデジタルサービス「トラックコネクト」、鍵をポケットに入れたまま、ドアの施錠解錠、エンジン始動ができる「FUSOイージーアクセスシステム」。
キャブのデザインについては10年ぶりのデザイン変更で、デザインアイデンティティとして「ふそうブラックベルト」として統一、LEDヘッドライトを標準装備、小型トラックにふさわしい機敏さを表現した。視認性を向上させるためサイドターンランプもドアにLEDで設置した。LEDヘッドライトと一体のデザインは緻密さ、独創性と先進性を広くメッセージしているという。
安全装備はさらに充実させ、小型トラックとしては初の「アクティブ・サイドガード・アシスト」を標準装備。死角になりがちな左側をミリ波レーダーで感知することで、歩行者、バイクや自転車などの巻き込みを防止し、レーンチェンジなどでの接触事故を未然に防ぐとしている。動作は走行中、左側に動く対象物が近付くとピラーの警告灯が黄色に点灯、ウインカーやハンドルを左に切ると赤に点滅し、警告ブザーが鳴る。
また、デジタルサービスではトラックコネクトの標準搭載をあげ、PCやスマートフォンから車両の現在地や進行状況が確認でき、トラブル時のスピード対応や、業務効率の改善など幅広いビジネスシーンで活用できる。予防安全の向上などさまざまなメリットがあるとした。
FUSOイージーアクセスでは、乗用車で普及が進むスマートキーの採用でふだんから頻繁に乗り降りする街中での配送作業をより効率化するとした。
水平基調の安定感あるデザイン、ベーシックグレードでもLEDヘッドライト
エクステリアデザインについては、商品本部デザイン部アドバンスデザイン マネージャーの土出哲之氏が説明。全体的には水平基調の安定感あるデザインとし、ふそうの新アイデンティティである「ふそうブラックベルト」を採用、黒い部分に見えやすい縦と横のバランスをとったFUSOの文字を置くことでボディカラーが変わってもブランドの認知の変化のないデザインとした。
ブラックベルトは小型と大型バスから採用が始まっているが、同じデザインモチーフを当てはめるのではなく、トラックでは大型は力強さ、小型は軽快感を表現するといったキャラクターに合った当てはめ方にしている。
また、ボディ全体ではトラックはどうしても箱型になってしまうが、全体的にすっきりとした品質感のあるデザインを目指した。従来型は部品が1つひとつ独立したデザインとして強いキャラクターを表現していたが、今回は方針を若干変更。各部品がお互いに影響しあって1つのクルマに見え、長く使っても飽きのこないすっきりしたデザインに仕上げたという。
キャブのデザインも、従来型は力強さや大きさを表現するためVのラインなど縦基調だったが、ブラックベルトデザインは水平方向に広がりを見せ、横方向に安定して見え、ワイドに見えるなどの効果を出しているとした。
さらに、土出氏はグリルやヘッドライトも近寄った場合にも「ちゃんとしたものに見える」と細心の注意をもってデザインしたとし、ベーシックグレードではハイグレードから剥ぎ取ったようなイメージになりがちだが「ベーシックでもきちんとしたもの」にしたかったと強調、LEDヘッドライトを全車に標準装備とするなどした。なお、オプションでハロゲンライトの選択肢も残している。
小型トラックのコネクティビティでは遠隔診断の価値がある
コネクティビティ機能の「トラックコネクト」はトラックアジアコネクティビティ/デジタルサービス部の鈴木照幸氏が説明。「大きなマイルストーン、キャンターに搭載することで、大型、中型、小型とフルラインアップでサービス提供ができる」と強調した。
鈴木氏は輸送効率の向上にはデジタル化は不可欠として、トラックコネクトは基礎的なインフラとして活用できる。データは情報セキュリティが大事で、ダイムラーの情報セキュリティポリシーと連携し、ユーザーのデータを守りながら活用を最大限活用図っていくとした。
なかでも小型トラックにおいて、最も価値提供できる機能は遠隔診断機能で、障害発生時にデータをクラウドに送信し、カスタマーポータルで情報の確認ができる。従来の不具合発生時の連絡は、ユーザーからの電話連絡などでは正確性に欠けるところもあったが、トラックコネクトならばデータに基づいて判断ができる。そのため、修理完了までの時間を短くできるほか、トラブルを早期に発見できれば大きな修理にならないうちに対応でき、コストだけでなくトラックの稼働率が改善でき、生産性向上につながるという。
トラックコネクトでは故障時以外にも位置情報や安全運転に関わる情報、燃費の情報なども専用のWebサイトで確認できるが、燃費の状況などはデータをダウンロードして外部の表計算ソフトで活用することも可能で、これまでの燃費管理で活用してきた方法を変えずに利用することもできるとした。
新型キャンター 標準キャブ バン仕様
10月19日の発表を前に3台の実車が公開された。まずは、標準キャブのバン仕様で、グレードは上級の「カスタム」。架装はPABCO製のフラットVANで、ボディーサイズは4840×1890×2770mm(全長×全幅×全高)で、エンジンはインタークーラーターボ付きの3リッターディーゼルの「4P10(T2)」。
新型キャンター ワイドキャブ ロングボディー
2台目は、ワイドキャブのロングボディーでグレードはベーシック。架装は木製3方開荷台。ボディーサイズは6180×2220×2240mm(全長×全幅×全高)で、エンジンはインタークーラーターボ付きの3リッターディーゼルの「4P10(T4)」。