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三菱ふそう、安全性や利便性も高めた新型「キャンター」発表会レポート
「アクティブ・サイドガード・アシスト」を小型トラックで国内初搭載
2020年10月19日 20:02
- 2020年10月19日 発表
三菱ふそうトラック・バスは10月19日、キャブデザインを一新し、モデルチェンジした小型トラック「キャンター(Canter)」の新型モデルを世界に先駆けて国内で発表した。
新型キャンターは、全国の三菱ふそう販売会社および三菱ふそう地域販売部門にて11月より順次販売を開始。価格は、96kW(130PS)を発生する「4P10(T2)」エンジンと6速「Duonic 2.0」を搭載するアイドリングストップ&スタート付き平ボデーで517万4400円。
同日、同社 代表取締役社長・CEO ハートムット・シック氏らが登壇する発表会が開催され、10年ぶりに一新したキャブデザインに加えて、先進安全装置「アクティブ・サイドガード・アシスト(Active Sideguard Assist)」の小型トラック国内初搭載、テレマティクス機能「トラックコネクト」への対応、「FUSO イージーアクセスシステム」の全車標準搭載など、商品力強化が図られた新型キャンターの導入の狙いや特徴が示された。
発表会の中でシック氏は、キャンターは1963年の発売以来、日本市場では23%のマーケットシェアを持ち、国内にとどまらずインドネシア、台湾、オーストラリア、ヨーロッパなどグローバルに展開するモデルであることを紹介。特にインドネシアのマーケットシェアは55%、台湾ではシェア40%に達していることを強調した。
シック氏は「キャンターは世界中で活躍しております。成功の主な要因とはお客さまに常に付加価値を提供しているからではないかと思います。高品質、安全、信頼できる商品をお届けして、さらに販売店も常に最良のサービスを提供できるよう心がけております。今後も引き続きさらなる付加価値をお客さまに提供すべく積極的に取り組み、実現に向けて革新を重ね、新たな技術をキャンターに搭載していく予定です」と話した。
新型キャンターについて、シック氏は「本日発表いたします改良を加えたキャンターは、お客さまのビジネスをさらに効率よく安全にしてまいります。新機能がたくさん詰まった弊社の技術力、コネクティビティ、安全性能の強化をお見せする商品に仕上がりました」と仕上がりに自信を示した。
また、コロナ禍における発表となったことに、シック氏は「昨今の課題多き時代にこそ、生活必需品や日用品が社会全体に届くよう、私どもの商品が必要不可欠になっております。三菱ふそうは商品を届けるために健康リスクに直面しながら任務に邁進するすべてのドライバーに感謝いたします」とあいさつを締めくくった。
10年ぶりにキャブデザイン一新! 「ふそうブラックベルト」を採用
新型キャンターのデザインについては、開発本部デザイン部長 ベノア・タレック氏が説明。新型キャンターには、新デザインアイデンティティ「ふそうブラックベルト」を採用。ふそうバスの2018年型「ローザ」、2019年型「エアロクィーン/エアロエース」に続いて、新型キャンターにも採用することにより、ふそうブランドのデザインアイデンティティを明確にさせたという。
10年ぶりに一新したキャブデザインは「モダン&ソリッド」を基本テーマに、キャンターブランドが培った洗練のイメージを活かしながら、新時代のトラックシーンをリードするにふさわしいフロントフェイスへと進化させたといい、新型LEDヘッドライトを採用するなど、技術面の進化、小型トラックにふさわしい機敏さを表現したとしている。
小型トラック国内初搭載の「アクティブ・サイドガード・アシスト」
新型キャンターの製品概要については、小型トラック・バス商品計画部長 赤松俊平氏が説明。キャブデザインの変更やデジタルサービスへの対応に加えて、安全性能や利便性の向上が図られたことを説明した。
新型キャンターでは、ドライバーの死角となりやすい車両左側をレーダーで監視することで対象物を感知し、警告を出す先進安全装置となるアクティブ・サイドガード・アシストを小型トラックでは国内初搭載。
アクティブ・サイドガード・アシストは、左死角に隠れた危険を警告する安全装置で、ドライバーにとって死角となる箇所をレーダーによりモニタリングして注意を促すとともに、左側方向指示器の作動時やステアリング操作時に警報音とランプで警告する機能。
走行中に車両左側の歩行者や車両をレーダーが感知し、左操舵または左折ウィンカー操作に入ると警報音でドライバーに警告し、左折時の巻き込み事故やレーンチェンジ時の危険性を抑制するという。
赤松氏は、新型キャンターではアクティブ・サイドガード・アシストの搭載に加えて、衝突被害軽減ブレーキ、車両安定性制御装置、車線逸脱警報装置の搭載とあわせて、ドライバーの安全運転サポートの強化を実現させたことを強調した。
また、利便性向上の部分では、街中での配送業務等で乗り降りを繰り返すことが多い小型トラックの運転ニーズに対応して「FUSOイージーアクセスシステム」を全車標準搭載したことを紹介。同システムでは、FUSOイージーアクセスキーをポケットの中などに入れたまま、ドアノブにあるスイッチを押すだけでドアの施錠・解錠が可能になるほか、車両付近からのリモコン操作も可能。エンジン始動時にはステアリングコラムにあるエンジンスイッチを押して回すだけで作動し、乗り降りや始動・停止を繰り返す作業の効率化を図ったとしている。
テレマティクス機能「トラックコネクト」搭載でふそう車の100%がつながるクルマに
新型キャンターに搭載されたテレマティクス機能「Truckonnect(トラックコネクト)」については、トラックアジアコネクティビティ デジタルサービス部長 ピーター・ファイグラー氏が説明。
トラックコネクトサービスは、稼働中のリアルタイムのトラック情報をユーザーのPC端末でチェックできるサービスとなる。車両の現在位置・稼働経路、そして万が一の車両の故障時などのトラブルを確認できるとともに、ドライバーの安全運転の状況もリアルタイムで把握することが可能になるとしている。
問題発生時には、遠隔診断機能を通じてトラックから発信される車両の各種情報を24時間稼働のサポートセンターでモニタリングし、サービス提供の段取りや予後・予防メンテナンスなどの必要なサポートを提供するという。
ファイグラー氏は「トラックコネクトは2017年に大型トラックスーパーグレートに搭載されて以降、eキャンター、大型バスエアロクイーンとエアロエース、そして中型トラックのファイターに搭載されました。本日この発表によりまして10月以降の国内の車両が100%つながるようになります」と強調。
ファイグラー氏は「トラックコネクトの主な目玉といたしまして、皆さまが情報へアクセスできるようになります。透明性が高まることによりましてお客さまが情報にもとづいて対応を取り、輸送効率を拡大することができ、また稼働時間が拡大することによって収益にもつながってくると思います」との考えを述べた。
トラックコネクトは、契約初年度を利用料金無料に
新型キャンターの国内販売については、取締役副社長 兼 国内販売・カスタマーサービス本部長 林春樹氏が説明。「業界最長の保証延長」として、特別保証部品を最長8年または18万kmまで保証延長を行なう「EXプラン」を継続することや、「トラックコネクト」については契約初年度を利用料金無料とすることを明らかにした。
新型キャンターの国内導入に向けて、林氏は「リーマンショック以降は需要が徐々に回復し、日本の小型トラックマーケットは11万台レベルを推移しています。小型トラック販売シェアはここ数年伸び悩んでおりましたが、昨年末から大きく回復しております。お客さまからは保証延長プランなど商品パッケージに対して高い評価をいただいております。今年はコロナ禍の影響もありマーケットの総需要自体が減少する異例の年でもあります。私どもとしては厳しいマーケットではありますが、今回の新車導入によってお客さまに商品のよさについてしっかり評価をいただき、さらなるシェアアップにつなげていこうと思ってます」との意気込みを述べた。