ニュース
三菱ふそう、次世代ゴミ収集車のコンセプトモデル公開。スマホ操作で作業者を追跡
独自の製品開発プラットフォームを紹介する「Fuso Future Solutions Lab」開催
2020年7月31日 11:38
- 2020年7月30日 公開
三菱ふそうは7月30日、スマホからの操作で作業者を追跡する次世代ゴミ収集車のコンセプトトラック「eCanter SensorCollect」を公開。同日、同社川崎製作所において「Fuso Future Solutions Lab」と題したイベントを開催して、eCanter SensorCollectのデモンストレーションを実施した。
ゴミ収集車仕様のコンセプトトラック「eCanter SensorCollect」
ゴミ収集車仕様のeCanter SensorCollectは、ごみ収集員の負担を軽減すること目的に開発された次世代のゴミ収集車のコンセプトモデル。三菱ふそうの小型EV(電気自動車)トラック「eCanter」をベースに、自動運転技術に用いられるLiDARなど各種センサーを搭載した。
公開されたデモンストレーションでは、作業者がスマートフォンを操作すると、ゴミ収集車が作業者を認識して追跡を開始。作業者が今いるごみ集積所から徒歩で次のごみ集積所に移動すると、障害物を回避しながらゴミ収集車がついてきてくれる。
デモを見ていると、ゴミ収集車がペットのように作業者についてまわり、自動運転技術の新たな活用方法であると感じた。車両の周辺には安全エリアが設定されており、一定の領域に人などの障害物があらわれると車両は完全に停止する安全対策も施されている。
日本のゴミ収集作業は複数名で作業するのが一般的であるが、eCanter SensorCollectを導入すると作業者が1名でゴミ収集作業をしていても、今いるゴミの集積所から次のゴミの集積所まで移動する際、近距離であれば運転席に乗車して車両を移動させることなく、作業者は徒歩で移動して車外からのリモートコントロールによって車両を移動させることができる。
三菱ふそう独自の製品開発プラットフォーム
同日開催された説明会で、三菱ふそう副社長・開発本部長 アイドガン・チャクマズ氏が、三菱ふそうにおける独自の製品開発の仕組みについて説明。eCanter SensorCollectは、ゴミ収集における現状の課題に対するソリューションとして開発したものであることを明かした。
チャクマズ氏は、三菱ふそうの製品開発プラットフォームにおいては、従来の方式にとらわれない創造性や革新性を創出するオープンな製品開発のプラットフォームとして、グループ企業やサプライヤー、大学、スタートアップ企業など社内外のパートナーと連携しながらアイデアの創出、検証、実行を行なっていることを紹介。
eCanter SensorCollectのゴミ収集車仕様は、そうしたアイデアの中の1つの例であり、アイデアを具現化する三菱ふそうの開発力を示すものであることを強調した。eCanter SensorCollectの今後について、チャクマズ氏はプロジェクトで得られた知見を先進機能を搭載するトラックに活用するとともに、社会ニーズに進展に対応した製品開発を続けていく考えを示した。
災害レスキュー車のコンセプトモデル「Canter Athena」も公開
同イベントでは、第46回東京モーターショー2019にも参考出品車として展示された災害用レスキュー車両「Canter Athena」も公開された。Canter Athenaは、三菱ふそうの小型トラック「Canter」の四輪駆動車をベースに、実際に救急救助を担う国士舘大学の防災・救急救助総合研究所と共同開発した災害用レスキュー車両となる。
説明会では、三菱ふそうマーケティング・コミュニケーション部門課長 アグスティン・トリスタン氏と国士舘大学 防災・救急救助総合研究所 助教 津波古憲氏が、Canter Athenaについて紹介した。
この説明会の中で津波古氏からは、当初は万能型のレスキュー車開発を目指していたものの、より現実的な車両開発を目指すために、多摩市役所総務部防災安全課、三菱ふそう、国士舘大学の防災・救急救助総合研究所の三者が参加する「災害時の初動対応と情報収集についての勉強会」を2020年2月に発足したことが紹介された。
津波古氏は「最近の災害で課題となっている発災直後の情報収集を目的とした車両の開発を目指すことになりました」と述べ、今後、多摩市の被害想定や地形的な特徴、初動情報の収集シミュレーション、現場活動で求められる車両の器材と性能などについて議論を行なう予定であることを明かした。
具体的には車両にドローンを積載して、空から被害状況を把握すると同時に、地上からは車両に積載したバイクで被災地の状況を把握して、それらの情報をリアルタイムで多摩市の対策本部に送るシステムなどの構築を目指していくという。