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出川哲朗さんが電動車いすの魅力をプレゼン 経産省「のろーよ!デンドー車いすプロジェクト」アンバサダー就任

電動車いすは高齢者が自由に外出できるツールの1つ

2020年10月21日 発表

 経済産業省は10月21日、「のろーよ!デンドー車いすプロジェクト」PR発表会を開催。同プロジェクトのアンバサダーに就任したタレントの出川哲朗さんが電動車いすの魅力を伝える「プレゼンテーション」に登壇。“元気だから出かけられるんじゃない、出かけられるから元気でいられるんだ”というメッセージとともに、電動車いすのある生活の魅力を伝えた。

 黒いスーツ姿で登場した出川さんは、このプレゼンテーションに向けて2か月前から、電動車いすの製造者や実際に電動車いすを利用する人への取材を実施したという。プレゼンテーションの中で、出川さんは「この電動車いすに出会って、実際に出歩くのがすごい好きになったって、おじいちゃん、おばあちゃんの生の声も、僕いっぱい聞きました」と取材の感想を話した。

スティーブ・ジョブズばりのプレゼンテーションを目指したという出川哲朗さん

 また、会場では実際に電動車いすに試乗しながらその操作性をアピール。“リアルガチ”で「便利」「優しい」「家族も安心」「人生が広がる」といった4つのポイントを示して、出川さんは「とにかく乗ってくれる人に優しく作ってます。だから、皆さんにどんどんもっとこの電動車いすを広めていただいて、もっともっと、おじいちゃん、おばあちゃんに楽しい、ポジティブになれる生活を送っていただきたい」と電動車いすの魅力をアピールした。

電動車いすは高齢者が自由に外出できるツールの1つ

 経産省では、今回のPRイベントを前に、横浜市・調布市・つくば市・京丹後市・静岡市の全5都市において、電動車いすの導入実証を10月12日から順次スタートさせることを発表。

 同事業では、地域の高齢者に電動車いすを3週間貸与し、電動車いすの利用が高齢者の活動に与える効果や、地域で活用する上での課題などを把握するとともに、安全な利用に関する周知を行なうとしている。

 同省は、電動車いすの利用の促進は、高齢者の移動・活動を促すだけでなく、自動車運転による事故の減少などにもつながることから、高齢化の進む日本において重要な役割を果たし得るものと位置付けている。しかし、電動車いすは高齢者が日常的に利用することが自然であるとの認識が低い状況にあり、社会における理解の増進や受容性の向上が、電動車いすの普及に向けた課題という。

経済産業省 政務官 佐藤啓氏

 同イベントにおいて、経済産業省 政務官 佐藤啓氏は「この電動車いすは高齢者の皆さんが1人1人自由に外出できる、そんなツールの1つでございます。誰に気を使うこともなく外出できるので、高齢者の皆さまの自由な活動を広げることができる、そんなふうに考えております。今回のプロジェクトを通じまして、電動車いすは高齢者の皆さんが元気に活動するための乗り物であるという新たな価値を皆さんと一緒に広げてまいりたいと考えております」と挨拶した。

経済産業省 商務・サービス政策統括調整官 山本和徳氏

 また、経済産業省 商務・サービス政策統括調整官 山本和徳氏が、電動車いすの普及の促進と安全性の周知を含めた取り組みについて説明した。

 山本氏は、高齢者の外出手段として「自分で運転する自動車」が、60歳~64歳で78.8%、65歳~69歳で68.6%、70歳~74歳で63.3%、75歳~79歳で45.7%、80歳以上で26.4%となっている内閣府の調査結果を示した。

年齢別の外出する際に利用する手段

 一方で、高齢者(65歳以上)の免許の自主返納は2018年から2019年にかけて約20万人増加し、免許返納後の移動手段としては、公共交通機関や徒歩・自転車を選択する割合が高く、電動車いすを選択する割合は極めて低いといった現状が報告された。

運転免許の自主返納の件数と返納後の移動手段やサービス利用
コロナ禍の影響を示す調査結果

 こうしたことを背景に、シニア層を中心とした交通の安全と生活に必要な移動手段の確保を両立するためには、移動に関する多様な選択肢を用意していくことが重要との考えが示されるとともに、高齢者にとっての「外出」は、身体機能・認知機能という2つの観点から重要であり、「外出」へのハードルを下げるために、電動車いすを上手に活用することも有効と考えられるという考えのもと、「のろーよ!デンドー車いす」プロジェクトを発足させたという。

 同プロジェクトにおいては「さまざまな地域環境における電動車いすの導入実証」「電動車いすを用いた新たなサービスの検討」「広報活動を通じた、電動車いすの魅力的な活用・安全な利用の周知」を実施。これらの活動を通じて、認知度・社会的受容性の向上、活用可能性の拡大、安全な利用方法の普及を目指すとしている。

様々な地域環境における電動車いすの導入実証を実施
電動車いすを用いた新たなサービスの検討も
出川哲朗さんのアンバサダー起用の理由