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いすゞとボルボ・グループ、商用車分野で戦略的提携契約を正式発表 いすゞがUDトラックスを2430億円で事業取得

2020年10月30日 発表

 いすゞ自動車とボルボ・グループは10月30日、商用車分野での戦略的提携に関する基本契約を正式に締結したと発表した。2019年12月に締結した覚書を基にした同契約には、いすゞによるボルボ・グループ傘下であるUDトラックスの事業取得に関する合意も含まれた。

 同契約により、いすゞはUDトラックスを2430億円(約200億スウェーデン・クローネ)で事業取得する。UDトラックスの事業取得については、関連当局の承認を経た後、2021年上半期中に手続きを完了予定。

 いすゞとボルボ・グループの戦略的提携契約は、20年以上の長期にわたる契約としており、いすゞとボルボ・グループのアライアンスにおいて、強固な関係に基づき、長期にわたりシナジーを創出し、物流の将来課題の解決を目指していくとしている。

アライアンスの主要な取り組み

 いすゞとボルボ・グループはそれぞれが得意とする領域を相互に補完しながら、お互いの持つ優れた技術とスケールメリットを活かし、商用車における既存技術や先進技術開発の協業を進めていくという。

 具体的にはいすゞとUDトラックスは、ボルボ・グループの技術も活用し、日本やアジア市場向け大型トラックのプラットフォームの共同開発を進める。また、先進技術分野では、商用車の自動運転、コネクテッド、電動化などの将来を見据えた技術開発を加速させる。

 いすゞは、ボルボ・グループからUDトラックス事業を取得し、日本や海外市場における大型トラックビジネスのさらなる強化を図る。UDトラックスのいすゞグループ入りによって、ボルボ・グループとの協業を円滑かつ迅速に推進することが可能となり、早期に相乗効果を生み出すとしている。

 具体的な取り組みの第1弾として、2022年以降、いすゞとUDトラックスは一部車型の共有を行なう。ボルボ・グループは、UDトラックス事業譲渡後も、引き続きUDトラックスのスムーズな事業継続に関わる支援を当面継続、その中にはコンポーネント供給も含まれるとしている。

 そのほか、いすゞとボルボ・グループは、進化する都市型物流へ対応するため、いすゞが得意とする中・小型トラックでの協業を進めていく。購買協業においても、いすゞとボルボ・グループの相互の技術、展開地域を踏まえ、ボリューム拡大によるメリットを追求していくとしている。

 いすゞとボルボ・グループでは、これらに限らず、幅広く協業の可能性を追求していくとしている。また、いすゞとボルボ・グループの提携を強力に進めるため、両社CEO、社長、役員で構成するアライアンスボードのもと、アライアンス・オフィスを日本とスウェーデンの両国に設置することに合意した。

ボルボ・グループ プレジデント兼CEOのマーティン・ルンドステット氏

 ボルボ・グループ、プレジデント兼CEOのマーティン・ルンドステット氏は「ボルボ・グループといすゞは、このアライアンスによって、それぞれの市場や商品セグメントにおける競争力が増すことを大いに期待しています。これは技術開発投資の成果を共有するだけでなく、相互の企業成長にも貢献すると考えています。さらにUDトラックスがいすゞグループの一員になることにより、ボルボ・グループといすゞをつなぐ重要な役割を担うとともにUDトラックス自身の更なる持続的な成長にも繋がると考えています。新型コロナウイルスによる前例のない状況の中でも顧客サービスに尽力し、業績向上に努めてきたUDトラックス社員の皆さんを私は誇りに思っています。ボルボ・グループは引き続き、本アライアンスを通して、UDトラックスの支援を行うとともに、アジア市場への展開を継続してまいります」とコメント。

いすゞ自動車株式会社 社長の片山正則氏

 いすゞ自動車社長の片山正則氏は「いすゞとボルボ・グループは、昨年12月の戦略的提携に関する覚書締結後、新型コロナウイルス影響による困難な状況においても具体的な協業内容についての協議を進め、多くの合意を果たし、両社の信頼関係は強固なものになりました。この長期的なパートナーシップが、商品・技術・地域での協力のもと、世界の物流業界の進化に貢献し、未来に向けて、お客様と共に新たな価値を創造していくことを確信しています。またUDトラックスをいすゞグループに迎えることで、UDトラックスが本アライアンスを推進する上での重要な役割を果たし、協業を効率的かつスピーディーに進め、成果を早期に実現出来ることを期待しています」とコメントしている。

オンライン発表会で公開された資料